サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第5話

「へぇ~、ヒナギクって言うんだ。男の子なのに、珍しい名前だね?」

「まぁよく言われます……あれ?」

自分の自己紹介を終えて、自分の名前の感想を言われて普通に返してしまったが、唇に指を当てて彼は雪華の言葉に疑問を感じる。

――私、男だなんて言ってないですよね?

少なくとも、自分の性別を一撃で見抜いた人なんて今まで一人もいない。珍しいのレベルじゃないですね……と、それほど他人に興味を持たない彼にしては珍しく、少女に興味を持った。

「どうしたの?」

「ううん、何でもないですよ。それより、どこか行く予定とかだったんじゃないんですか?」

「――あぁっ!! 変なのに追い掛けられた所為でもう時間だよ!! どうしよう……足の怪我があるから、これ以上無理をするわけにもいかないし……」

どうやら、先ほどの男二人にかなりしつこく追い掛けられていたらしく、右足の怪我が悪化してしまったようだ。

彼女の仕事上、これ以上足の怪我を悪化させる事はできない。どうしようか迷っている雪華に、何かを考えていたヒナギクが質問をする。

「あの、目的の場所って走れば間に合いますか?」

「う、うん。今から走れれば……」

「じゃあ、私が貴方を背負って行きますよ」

「へ? い、良いの?」

雪華の言葉に含まれるものは、恐らく初対面なのにそこまでお世話になっていいのか……と言う感じだろう。が、ヒナギクがそんな事を気にする筈がない。

「良いですよ。どうせ暇でしたから」

「じゃ、じゃあ遠慮なく……」

雪華がヒナギクの背中に乗り、ヒナギクも手慣れた様子で彼女を背負う。まぁヒナギク的には、お姫様抱っこの方が楽なのだが……理由としては、楽なの以外にも彼女のふくよかな胸が背中に――

「――いま、エッチな事考えてたでしょ?」

「……さ、さぁ。何のことですか?」

考えが読まれた事を誤魔化すように、ヒナギクは一気に走りだした。

この子かなり鋭い。下手に変な事は考えられないらしい――まぁ、単純に鋭いだけではないのだが……。

と、言うわけで走ること20分くらい。二人がたどり着いた場所は海鳴市で一番大きいドームだ。

そこには、グッズを買ったりなどしている人がかなり居て、デカデカとドームの入り口に取り付けられた看板は、ヒナギクが背負って来た少女の仕事を知るには十分な物だった。

「雪華ちゃんって、アイドルだったんですね……」

「ん、まぁ一応ね。とりあえず、はいこれ」

「ふぇ?」

ヒナギクの背中から降りた雪華が、彼にさらっと何かを手渡した。それを見てみると、首に掛けるタイプの通行証らしい。

「何かお礼したいから、一緒に中に入って待っててくれる? ついでに私のライブも見れるから♪」

「私は別にお礼なんて……」

「良いから良いから、早く行きましょ!」

ヒナギクが遠慮する暇もなく、雪華が彼の腕を取ってずんずん引っ張って行ってしまう。遠慮しようと思ったヒナギクも、どうやら雪華の勢いには逆らえないらしい。まぁ彼自身、彼女に興味を持っているのでやぶさかではないのだが。

二人揃って会場の裏口から入ると、そこは大勢のスタッフが居て、準備の真っ最中のようだ。そのスタッフの内の一人に、雪華がためらいもなく話し掛けた。

「すいません、遅れましたっ!!」

「おお雪華ちゃん。まだ大丈夫だよ……ってそっちの子は? 見ない顔だけど」

「あ、彼は――」

「初めまして。新しく入った、雪華ちゃんの手伝いの者です。今日はよろしくお願いします」

雪華が何かを言う前に、ヒナギクがとんでもないことを言って遮った。

その発言に驚いたのは、勿論のこと雪華だ。手伝い何てさせる為に、彼をここに呼んだ訳ではないので当然だが、スタッフは疑うことなく、そうかそうか、じゃあよろしく頼むよ!! 何て言って準備に戻ってしまった。

「ちょ、ちょっと! 私は別に手伝いなんて頼んでないよっ!?」

「良いんですよ。どうせ暇ですから」
そう言って、ヒナギクはあっという間にスタッフに混じって手伝いを始めてしまう。それを見ながら、雪華は大丈夫かなぁ、何て心配になってしまったが……その心配は良い意味で裏切られた。

「おーいキミ、こっちも頼むー」

「キミキミ、こっちも頼めるかい?」

「はい、よろこんで♪」

一体どこでこんなスキルを修得したのか――まぁ本人にも分からないが――凄まじい働きを見せて、ヒナギクは絶賛大活躍である。

そんな平然と手伝いをこなすヒナギクだったが、何か奇妙な視線を感じていた。何が奇妙かと言えば、別に悪意のある視線でもなく、何かを見極める様な物……加えて、人ではない何かの視線だ。

彼が集中して気配を探ると、やはり人とは違う気配を感じる……そう、自分の千本桜が具象化した時と同じ気配だ。まぁ、別に何かする訳でもないらしいので、放っておいても平気だろう、と彼は手伝いに集中する。

「アイツ……俺の気配を感じとったのか?」

奇妙な視線の主。その人物は天井の柱の上に立ちながら、決して小さくない驚きを見せていた。

背は九歳程度の子どもと同じくらいだが、銀髪で翡翠の瞳に少し長めの刀を背中に背負って居るため明らかに普通の子どもではない。

「凄いやろ? あの子、ボク達の気配も正確に解るんよ」

「――げ……何でてめえがここに……」

少年が振り向くと同時に、かなり彼の表情が嫌そうに変わった。いつのまにか彼の後ろに居たのは、一切の濁りがない真っ白な服を身に纏って、その糸目と薄ら笑いの様な表情からは恐らく親しい者でしか考えを読み取れない……そう思わせる人物だった。

その人物は、ゆったりとした動きで柱に座り、大きな袖に手を入れて漸く口を開いた。

「何や、久しぶりの再会やのに、その反応は酷いなぁ」

「俺はてめえに会いたいとは、微塵にも思ってなかったからな」

彼らの関係は、かなり親しい関係のようだ。少年の方は憎まれ口を叩きながらも、どこかその表情は穏やかで、薄ら笑いを浮かべている彼もどこか楽しげだ。まぁ言うなれば、腐れ縁と言う感じか。

「で、アイツ一体何者だ? 気配を殺したのに、アイツは正確に感じ取ってきた。こんな事、俺たちそれぞれの主じゃねぇと普通は無理だ」

「単純に関係だけなら、ボクの可愛い主の師匠や」

「――実力は?」

少年の問いに彼は自分の目を少し開き、その少年からはほんの少し見え程度の、しかし鋭く光る深紅の瞳で少年を見据えながら、言う。

「本気を“出せるんやったら”、白河(しらかわ)家の当主様でもないと、あの子とまともに戦う事も出来へんやろうな」

「なるほど……な。天鎖斬月の所有者で、やっとか」

「それも、完全に使いこなせんとアカンからなぁ」

「……とりあえず知りたい事は分かったが、お前いい加減そのエセ京都弁やめろよ」

少年によっていきなり話が切り替わり、二人の間に流れていた静かな空気が霧散する。彼もそれに合わせるように、再び糸目になり笑みをこぼした。

「ボクは気に入っとるんやけどなぁ。キミこそ、主の記憶使わんとその姿やない」

「それはお前も同じだろうが。俺達と同じく、資格者を見つけた他の三人はどうなんだよ? さくらの奴は俺も会ったけどな」

「んー、みんな自由気ままにやっとるよ。まぁ、姿が変わっとらんのは、ボク達とさくらちゃんくらいなもんやけどな。ああ、そうそう、新しい子も増えたんよ。もうえらいツンデレさんでな」

「何だそりゃ? ……俺はもう行くぜ」

訳が分からん、と言った風な少年だったが、何かを感じ取って青年に背を向ける。

「あらら、もしかしてあの変な石を拾いに行くん?」

「ああ。俺の主の仕事をあんなくだらないもんに、邪魔させる訳にはいかねぇしな」

「主思いなんね」

「…………うっせ」

瞬間的にその場から居なくなる時、少年の顔が耳まで真っ赤になったのは気のせいではないだろう。事実、青年の方は面白いものを見た、っていう感じの表情だし。

因みに青年の方は、さてさて小さな主さんの場所に戻ろうか……やっぱり、もうちょい探検しよか~、とか思っている辺り、主を困らせるくらい自由人だったりする。

時間は過ぎ去っていき、あっという間にライブ開始の直前。ステージの裏側では、当然だがもう既に雪華がスタンバイしていた。……そんな雪華を心配して見つめるのは、ヒナギクだ。

「ん、どうしたの?」

「……足の怪我、大丈夫なんですか?」

「へーきだよ。それじゃ行って来るね――ヒナ」

ヒナギクに見せたのは、誰もが見惚れるだろうとびっきりの笑顔。それは……ヒナギクとて例外ではなかった。

始まったライブ……その空気に、ヒナギクは一瞬にして呑まれた。

「みんなーー!! 盛り上がって行くよ――!!!!」

〈おおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!〉

素人でも分かる、これが本物かどうかなど。一瞬にして観客を魅力し、足の怪我など全く感じさせない動き。

ヒナギクは雪華から目が離せなくなる、何も言えなくなる、ここまで女の子相手に見惚れてしまうのは……まぁ、シグナムが現れたとき以来と言った感じか。

そんな魅入られたヒナギクを元に戻したのは――彼にとっては不快でしかない物だった。

何かが弾ける様な感覚、ジュエルシードの発動だ。しかし、ヒナギクにとって重要なのはそこではない。

ジュエルシードが発動した瞬間、ほんの少しだが雪華がそれに反応した、それが彼にとっては重要だった。

(あの子……ジュエルシードの発動に気付いてる)

それに気が付いたヒナギクの行動は早かった。発動したジュエルシードの数は、全部で三つ。距離は三つそれぞれ近い場所に在るが、個別の発動らしい。

瞬時に術式を組み、結界を展開する。そして、発動した場所に向かって一気に走りだした。

同時刻、ジュエルシード発動を感知したなのはが走る。一緒に来ていた筈のシグナムがいない理由は、なのはが無理やり置いて来たからだ。緊急時の為にとか、無理な理由をつけて。

「っていうか、本当にもう一つの方は心配ないの?」

「へーきや。ボクの知り合いが、ちょうど近くに居るんよ」

なのはの隣を走る、糸目の青年が確信があるといった風に言う。なのはがシグナムを待機させた理由の一つは、彼女の隣を走る青年が人手は足りている、と教えてくれたから。

もう一つの理由……これは自分の師が望んでいる事だから、今は関係ないだろう。

「なら良いけど。まぁ今回は早く済ませたいから、お願いできる?」

「ハイハイ。了解や」

言うなり、青年の姿が消えた。その代わりなのだろうか、なのはの服装が青年と同じ真っ白な服に――違いは大きさくらい――なり、服の腹辺りには脇差の様な刀が差してある。

服装が変わったなのはは、さらに走る速度を上げた。それと同じ時、既にヒナギクはジュエルシード暴走体と相対していた。

相手は、ジュエルシードを取り込んだ巨大な鳥……怪鳥だ。それが通常の魔導師より遥かに迅い速度で飛翔している――そう、通常の魔導師ならば、かなり苦戦するだろう。通常より迅い魔導師、例えばシグナムと戦ったフェイト・テスタロッサならば、多少の苦戦程度だろう。

ならば……ヒナギクが苦戦する道理など、どこにもない。彼が手に持った刀の刃が、散って行く。

舞い散る千の刃、それら全てがヒナギクの背に集まり、型を成して行く。

それは桜色の翼となり――一瞬にして“純白”に変わった。一対二枚の純白の翼……ヒナギクの姿は、まるで天使を思わせる程に美しい。


「行こっか――『千本桜』」

場所は変わる。なのはが相対している暴走体は、ヒナギクが相対している暴走体とほぼ同じだった。恐らく、揃ってジュエルシードを取り込んでしまったのだろう。

まぁこの程度の速度なら、彼女のデバイスを使えば問題はない。が、なのははそこまで時間をかけるつもりは毛頭なかった。

少女が脇差サイズの刀を抜き、それを上空の怪鳥に向ける。それだけで、もう終わるのだ。

「射殺せ――『神鎗』」

再び場所は変わり、最後の一体のジュエルシード暴走体。それは、一本の樹がジュエルシードを取り込み、言うなれば意思を持った樹木の化け物、といったところだ。

そんな暴走体の前に現れたのは、全く恐れの見えない少年……糸目の青年と話していた彼だ。

「悪いな。生憎、俺の主は仕事中だ。さっさと終わらさせてもらうぜ」

少年が背中の刀に手を掛けると、刀の鞘が消えて少し長めの刃が露になった。それだけなのに、暴走体が何かを恐れる様に、少年に向かって無数の根を使って攻撃しようとする。

だが、遅すぎる。冷気が溢れ、全てを凍り付かせる力が、解放される。

「霜天に坐せ――『氷輪丸』」

勝負は全て一瞬で終わった。
切り裂き……貫き……凍り付く。言葉にすればそれだけ、しかし本当にそれだけで戦闘は終結した。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「今日はありがとね。おかげで助かったよ~」

「ううん、私は何もしてないから」

観客の知らない場所での三人(?)の活躍により、雪華のライブは大成功に終わった。まぁ、今は片付けなども有り夜遅くになってしまったので、女性一人では危ないとヒナギクが雪華を送っているという訳だ。

と、突然ヒナギクの隣を歩いていた雪華が走り、彼の目の前で振り返り止まった。何事かとヒナギクは問いかけようとして……雪華の笑顔で上機嫌な言葉に、完全に固まったしまった。

「ねぇねぇ、ヒナ。……私とデートしない?」

「…………はい?」

出逢いの形なんて、全部唐突だ。恋の始まりだって、全部突然だ。他者から見れば三角関係に見えることだって、多分いきなりだ。

つまりはまぁ、そういう事なんじゃないの? まるで関係のない様な出逢いでも、物語は止まらず加速を続けるってことだ。
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  1. 2012/03/18(日) 23:35:02|
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