サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは バレンタイン記念小説・中編 『なのはの天秤』


圧倒的なデータ量を解析し、高町なのははデータの海を掻き分けて行く。その中で、彼女の中の過去の記憶が流れ、ビジョンとして映し出されていく。

スパルタ教育のさくらとの、少し特殊な方法での修行。ゼスト・グランガイツとの死闘。様々な事件の記憶。

どれも、瞳を閉じれば昨日のことのように蘇る記憶――

『皆が……もっと幸せに、安心して暮らせる世界になって欲しいね』

――忘れられない少女との“約束”。その想いを胸に、彼女は今を駆け抜ける。そして、データの奔流を抜け出し……光が弾け世界が構築された。

「…………」

ゆっくり、肉体を構築し白いコートのバリアジャケットを羽織り、高町なのはは夢の世界へと舞い降りた。

目の前に広がる光景は、見慣れた自分の故郷……極めて普通の生活を送る幼い自分――そう、朝の夢と同じ光景だ。

(じゃあ、朝の夢はユーノくんの……?)

いや、だがユーノには自分が学校に通っていたことなど教えていないし、ユーノが来た頃にこの姿になったので通うに通えず(別の理由もあるにはあるが)彼は学校の存在すら知らない筈である。

だから彼がこの夢を見るには、些か矛盾が生じる。まぁ、夢など所詮は矛盾だらけの物なのだが。

「……キミが初めてだよ、生身のままこの中に入って来たのは」

「そう。貴方は、随分と悪趣味なのね」

突如、夢の中で背中越しの声に反応し、さも当然と言うかの様に振り向くなのは。

――そこに居たのは、ユーノ・スクライアその人。

「勘違いしないで欲しいよ。この姿は、僕が望んで持った物じゃないんだ」

「何でもいいわよ、そんなこと」

いや、ユーノ・スクライアの身体を借りた“何か”というのが正しい。が、なのはにとってはどうでも良いのだ。まだ予測範囲内……目の前のユーノの皮を被った何かの正体も、大方の見当はついている。

「アンタ、このロストロギアの管理人格か何かかしら?」

「そうだよ。まぁ、持ってる権限なんて高が知れてるけどね」

なのはの冷ややかな瞳に見つめられても、彼は思いの外あっさりと自分の正体を認めた。

管制人格……かつて闇の書の管制人格であった、リインフォースを想像すれば早いだろう。ただ、このロストロギアは闇の書と違い暴走したから管制人格に殆ど権限がない、という訳ではなさそうだ。

「じゃあ、ユーノ君を解放する権限なんてのは……」

「無いね。この『ユメミノタマゴ』は、組み込まれたプログラムをただただ実行するだけさ。それに――この夢は、キミが望んだ夢だよ?」

ぴくり、となのはが瞼を動かし微かに反応を示す。

発動時、捕えた対象を夢の中に強引に引きずり込み、その人が持ってるうちに秘めた“願望”や“願い”を見せて、永遠の眠りにつかせるロストロギア――それがユメミノタマゴの筈だ。

しかし、今管理人格は“キミが望んだ夢”だと言った。

取り込んだユーノではなく、なのはの夢だと。尚も管理人格は、極めて冷静に言葉を続ける。

「いや、正確にはキミの意識がこの身体の人格とリンクし、キミの願望を叶えたいと望み……この世界が生まれたのさ」

「…………」

「つまり、ここはキミの心の願いが叶えられた世界。キミが望めば、ずっとこの世界で――」

――管制人格の言葉は、唐突に遮られる。かつて、時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンですら反応できなかったライフルの閃光。その一陣が、ユーノ・スクライアのハニーブロンドの髪を揺らす。

真っ直ぐに、一瞬にして握られていた白いライフルを構え、なのはは冷徹な瞳で管理人格を睨む。

「くだらないわね。さっさと、ユーノ君を返してもらうわ」

「……何故だい? キミは自分の願望を叶えたくないと? そんな人間、普通はいないんだけどな」

「そうね。確かにここは、私の心の奥底を叶えた場所ね」

ただただ平凡に、今の様な争いの無い自分の世界。

――誰よりも戦いが“嫌い”な、高町なのはが心から望む世界、なのだろう。

けれども、それは彼女の奥底の話でしかないのだ。

「でもね、私にはやることがあるの……それに比べたら、私の人生も、願望も、命だろうと取るに足らないのよ」

「壊れてるね。そんな人間、普通はいないよ」

「あぁ、言ってなかったわね――」

そう、“高町なのは”は壊れている、歪んでいるのだ。本来は、甘くも優しく、自分の夢を持ち管理局にでも入っていたのかもしれない。

だが、そうはならなかった。それは、市丸ギンと出会った時か、それにより常人の数倍の速度で成長した時か、芳乃さくらと出会った時か、それとも力だけでは笑顔になど出来ないと分かった時か。

フッ、と微笑を浮かべ、彼女は冷徹な瞳で管理人格を見据える。

何処かが狂い、歪み、それでも突き進むと決めた時、今の彼女は誕生した。

そうだ、高町なのはが背負うべき業-カルマ-。その名が――

「私は『出来損ないの魔法使い』……高町 なのは。壊れてて、当たり前の存在なのよ」

人を笑顔にすら出来ない、力で人を助けることしか出来ない。だから彼女は――出来損ないの魔法使い、高町なのはだ。

なのはの言葉を理解したのか、それとも理解できなかったのか。それは彼にしか分からないが、管理人格は手を開き、言葉を紡ぎ出す。

「……そうか。ならば、管制人格の使命に従い、侵入者であるキミを排除するしかないね」

「へぇ、アンタが戦うの?」

「まぁね。言ったろう? “僕が持ってる権限なんて高が知れてる”って。だから、その数少ない権限を使わせてもらうよ」

言い、管制人格は手の平にエクスシアと色違いの翠色の宝石を浮かばせ、一瞬眩しい光を放ちデバイスを展開する。

そして、次の瞬間にあった光景に、なのはは目を見開き初めて動揺を表に現した。

「アンタ……それは!!」

「この子の中にあった記憶から、一番合いそうなのをここの魔力を使って組み立てて見たんだ。魔力だけは、無駄に余ってるからね」

なのはの動揺を尻目に、デバイスを展開した管制人格が緑のシールド型の遠隔防御兵器『ホルスタービット』を動かし、その内部から対になる遠隔殲滅兵器『ライフルビット』を一気に展開し――

「なかなか、面白い曲芸だろう?」

――緑色の閃光が、なのはの視界を覆い尽くした。

無数の閃光がビルのガラスを壁を、地面も無差別に貫き凄まじい砂ぼこりを上げる。

その殲滅力を目の当たりにして、しかし放たれた閃光を超える速度で飛翔したなのはが、古い記憶を掘り起こし、この場で作製されたというデバイスの原初を確かに確信していた。

「間違い、ないわね」

『Yes.Master. アレは、私の製作者である裏月が設計した、私の能力を連射砲撃面に特化したデバイス――デュナス』

つまり、エクスシアの兄弟機ともいえるデバイス。エクスシアの持つ超高速飛行能力を、短期かつ極限まで高めたのがシュテルの『ルシュフェリオン・シュロウガ』ならば……デュナスはエクスシアの遠距離殲滅砲撃能力を数をさらに増やすため、数十を超えるビットにて砲撃連射を極限まで高めたデバイスだ。

しかし、デュナスはなのはのエクスシアやシュテルによって日の目を見たシュロウガと違い、結局は設計されることがなかった。それは何故か? 答えは――

「!!」

『Master.!!』

エクスシアの警告よりも早く、なのはは翼を自分の身体の一部の様に扱い、圧倒的な速度で飛翔し離脱する。

だが、エクスシアの持つ圧倒的な速度の飛行能力を以ってしても、振り切れぬ程の閃光がなのはへと襲いかかる。

なのはの先を予測する様に放たれる閃光を、彼女は驚異的な空間認識能力と反応速度を以って旋回や上昇などを繰り返し回避……が、その回避した先にも無数の閃光が押し寄せる。

「こ……のぉ!!」

それを強引なターンで回避するが、尚も一人の魔導師を相手にしているとは思えぬ程の物量が迫ってくるため、足を止めている暇はない。

――エクスシアが比較的……と言っていいのか、一対一でも一対多数でも戦える様、戦局によって武装を変更できるバランスの取れたデバイスに対し、シュロウガ及びデュナスは完全に専用武装にて、極端に特化されたデバイスなのだ。
デュナスの場合は、圧倒的な物量にて接近などさせなければいい……そんな考えが浮かび上がる。

無論、デュナスに所持者が見つからなかったのは、使う為に必要な無茶苦茶な条件を満たさなければいけなかったからである。まず、これだけのビットを制御する為の情報処理能力と連射砲撃に必要な魔力量、そして空間認識能力だ。

――それが今、奇しくも満たされてしまった。

それぞれの得意分野、と言えるだろうか。空間認識能力という点ではなのはの方が優れるが、情報処理能力という点ではユーノ・スクライアの方が優れていると言える。魔力量は……管制人格が言う様に、有り余っているのだろうことが伺える。

本来、デュナスはなのはとユーノ、二人が揃って完成するデバイスなのかもしれない。

しかし今、なのはにそんな事を考えている余裕はない。段々と、此方が反撃できない為に詰め将棋の様に差が詰められて来ている。

これが加速力という点ではエクスシアより優れるシュロウガか、もしくはフルドライブを起動すれば振り切れるが、いくら魔力量がバカげているなのはと言えどユーノを助ける条件が分かっていない以上、出来るだけ魔力は温存しておきたい。

――と、そんな事を考えている間に、空間認識能力に優れる彼女がエクスシアより早く、迫る閃光に気付き速度を上げようとし……エクスシアの内部回路が、なのはの反応速度について行けず悲鳴をあげた。

「ッ!!」

『Master.!!』

以前の検証結果では、神羅を発動させたなのはの反応速度に、いずれエクスシアがついて行けなくなるという答えが出ていた。が、今は『神羅』を発動すらしていない反応速度ですらついて行けなくなっている。

その一瞬だが反応が鈍ったのが、戦場では致命的な差となる。ほんの少しだが、回避より閃光がなのはを貫く方が早い。足を止めて迎撃すれば、残りの閃光も全て防ぎ切らねばならない……なのはの選んだ答えは、エクスシアと同調した。

なのはを狙った一陣の閃光が、シールドの前に弾かれる。しかしそれは、彼女が展開した魔力フィールドではない。


「たくっ……もう!!」

白いシールド。エクスシアから転送された、今の今まで一度たりとも使用されることがなかった、対魔力コーティングが施されたエクスシア専用シールド。それは、バリアジャケットすら簡単に貫くライフルビットの魔力ビームをあっさりと弾く。

さらに迫り来る閃光には――右手で引き抜いたマギリングサーベルで、片っ端から切り払っていく。その数と速度を考えれば、恐ろしい程に神掛かった技量だ。

やがて砲撃が途切れ、遥か彼方に引き離されていた管制人格がホルスタービットを引き連れて、なのはから少し離れた空中に降り立った。

「恐ろしいねキミは。今の砲撃を避け切るなんて」

「半分はこっちの台詞。アンタが初めてよ、私にエクスシアのシールドを使わせたのは」

さて、どうした物かとビットの位置も把握しながら考えていると……エクスシアが、彼女に予測外の提案をした。

『Master. 今すぐこの空間から撤退を』

「はぁ? 何言って――」

「あぁ、暴れ過ぎたみたいだね。キミの侵入でただでさえ歪んだ空間が揺らいで、もうすぐこの空間は消滅……というか、キミやこの子を取り込んで転移するよ」

冷ややかな管制人格の声に、半分はアンタの所為かという意味を込めてなのはは睨んだが、管制人格はわざとらしく肩を竦めるだけで反省など微塵もしていない。ま、当然と言えば当然だが。

エクスシアはそれを感知し、主の身の危険を最優先して今の意見を進言したのだろう……が、なのはの答えは決まっていた。

「ごめんねエクスシア……今回も、私の命は軽く見積もらせてもらうわ」

『……Yes.Master.』

エクスシアも、聞く前から分かっていたのだろう。少し迷いながらも、彼女の判断を優先する。

それはつまり、ユーノの命を優先し自分の命を捨てるという選択に等しい。あと残り10分も無いだろう……そんな状態でユーノを助ける。出来なければ、このままユーノと心中だろう。

「あぁ、でもそうはならない見たいだ」

だが、やはり管制人格は冷ややかに告げる。微かに首を傾げるなのはに……一人の声が頭に響いた。

『――聞こえるか、高町なのは』

――それは、これ以上ない援軍の到着。創造を司る者が……『旅の魔法使い』が、歪んだ物語を加速させた。
















────────────────────

なんで中編になったかって?……スパロボUXやってて進まなかったししばらく書ける気がしなかったので()

はい、という訳でバレンタインもクソもないなのはさんの(バトル的な意味の)奮闘記です(((

やはりバレンタインもクソもない、この物語に置いてのなのはさんがどういう人物なのかというお話になりました(笑)

では、感想等々もお待ちしています。次回をお楽しみに!!
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  1. 2013/03/21(木) 23:24:15|
  2. 烈火の翼
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

厄介な敵が厄介なモノを……しかし躊躇が無いのは流石なのはと言った所ですね。
  1. 2013/03/21(木) 23:52:33 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

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