サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の魔法使いの出逢いの物語 D.C.(ダ・カーポ)クロス編『二人のさくらと枯れない桜』


「『芳乃さくら』……さくらさんと、同じ名前……」

「ふぅん、その様子だとボクと容姿も同じなのかな?」

は、はいと動揺しながら答える青年は桜内(さくらい) 義之(よしゆき)……偶然、と言って良いのだろうか、桜の魔法使い――芳乃さくらと黒い影の戦闘に巻き込まれた彼はさくらの手を取り立ち上がり、自分の知ってる“さくらさん”と違うところを見つけ様としていたが……

(ま、全く同じ……)

――その容姿、声、瞳の色。それら全てが自分の知る“さくらさん”と同じだ。

そんな“偶然”に驚きを隠せない義之の様子を見て、さくらは一人軽く思考の海に入り込んでいた。

(偶然……な訳ないよねぇ。おばあちゃんが知らせた場所に、ボクと同姓同名、しかも同じ容姿の人がいる――確信犯か)

まぁそんな事だろうと思った、と相変わらず狂った様に舞う桜の中で、静かにため息を吐いた。

だが、彼女の“悪戯”には大抵何かしらの訳がある。彼女なりの、何かしらの理由が。

今回は珍しく下調べをしなかった自分のミスもあるが、世にも珍し(とはいえ、“咲かせるだけ”ならば彼女にも簡単に出来るのだが)枯れない桜のある場所で、しかも過去に“彼”が討滅したはずの存在が現れたとなれば、逸る気持ちを抑えるのは難しいだろう。

はてさて、取り敢えず、だ。

「……謝りに行かないとね、その“さくらさん”って人に」

「え?」

「だって、君のその感じからして、たぶん義之くんの保護者みたいな人でしょ? だったら、君をこんなことに巻き込んだ責任取らないとね」

「え、いやでも……」

さくらの提案に対しやけに曖昧に言葉を濁す義之に、あぁと彼女も気付く。

前提条件が違った。桜内義之は確かに“異質”な存在ではあるが、魔法に関しては恐らく殆ど知らない人間なのだ。だから“さくらさん”という人物にしても、無関係だと思っているのだろう。

が、決して無関係ではない、とさくらは推論を立てた。あの黒い影に関しては、直接的な関係は無いに等しいだろう。

だが――と彼女は再び碧い瞳を向けたのは、聳え立つ『枯れない桜』。これについては、ほぼ確実に無関係とは言えない。ま、そういったことを含めて、直接聞くより調べて解き明かすのが自分の性格なのだろう、とさくら自身が思う。
そして、謝りに行くことについては、どうやら向こうが先にこっちに来てしまったらしい――

「義之くん!!!!」

この一帯に響く、いつになく必死な声。その声に義之が振り向くと……よほど焦って来たのだろう。木に手を付いて、荒い息を必死に整える彼女の――『芳乃さくら』の姿があった。

特に外傷も見えない義之の姿に、安堵の表情で胸に手を当て息を吐くさくら……だが、義之の隣にいる人物を見て息を呑んだ。

金髪のツーサイドアップ。小学生と見違えそうなその姿。碧い瞳。そのどれを取っても、義之の隣にいる人物は自分と瓜二つ。

魔法使いの碧い瞳は交錯し――時を超えた物語は、枯れない桜の下でゆっくりと動き出した。









魔法少女リリカルなのは 烈火の魔法使いの出逢いの物語 D.C.(ダ・カーポ)クロス編『二人のさくらと枯れない桜』









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「この度は、義之くんをこんなことに巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした」

そう言って、純和風の学園長室で自分と瓜二つの人物に深々と頭を下げるのは、『桜の魔法使い』であるさくらだ。

「そ、そんな謝らないでください!! 元はと言えば……」

「いいえ。『枯れない桜』に“アレ”が取り付いた元の原因は、此方にあります」

正確には過去に“アレ”を討滅しきれていなかった“彼”に責任があるのだが、それを含めて今は自分が責任に取るべきだと彼女は考えていた。

対して、この『風見(かざみ)学園』の学園長であるさくらは、目の前の彼女の謝罪に困り果てていた。後で説明する、という約束でこの場にはいない彼、桜内義之の言葉通りならば、彼女は彼を守ってくれたのだ。感謝しこそすれど、謝らせるのは筋違いだ。

とにかく、このままでは埒が開かないとばかりに、学園長のさくらが言葉を放った。

「それより、義之くんを襲ったのは……」

「――淀んだ意識の集合体、としか言えません」

というより、その言葉が一番あの“黒い影”の正体を現している、と言えるだろう。

「意識の集合体……」

「そう。“アレ”は人の『願い』や『想い』といった感情を食らい、力を強める――だからこそ、この『枯れない桜』を選んだ」

今度こそ、義之の無事な姿を見て一番は安堵したさくらの表情が、冷たく青ざめた。

それはつまり、あの『枯れない桜』が原因――義之を危険にさらしたのは、自分の考えの甘さが――

「ですが、枯れない桜に取り付いたのは本当に偶然です。何度も言いますが、元の責任は“私”にあります」

そんな彼女の表情を見て取ってか、すかさず何度目かのフォローを入れるさくら。だが、あの様子を見るに恐らく『枯れない桜』は――

(いや、そこだけで判断するにはまだ早い)

情報が足りていない段階で判断するのは、推理としては成り立たない。そうなる迄の段階……それがまだ抜け落ちている。

――キーワードは『桜内義之』、『枯れない桜』……の起源。まだその程度だろう。

「で、でもボクは――」

「だから――義之くんは私が絶対に守ります」

さくらの、何かを吐き出す様な言葉を敢えて遮り……彼女は『桜の魔法使い』としての言葉を放った。

「『桜の魔法使い』の名に誓って、義之くんには指一本触れさせません」

「どうして……」

「義之くんを巻き込んだ責任、もあります。けど――義之くんに対する個人的な興味も、あったりして……」

うにゃ? というのは学園長のさくらから出た声……一方の魔法使いはあぁやっぱりな、という感じで霧散した硬い空気を感じていた。

「いやその、私って他の人から見ると“好奇心旺盛”みたいで……不謹慎かもしれませんけど、元はと言えば『枯れない桜』の謎が気になってここに来たのが半分の理由なんです――繋がる気がするんです。私が“芳乃”の性で、貴方と同じ容姿な理由も、あの枯れない桜が握ってる気がして。その過程で、義之くんにも興味が出たんです」

「……それを解き明かしたら?」

「うーん……個人的な興味を満たしたいだけなので、言い触らしたりはしません。でも、私は解くと決めたらその謎は必ず解きます」

まぁ、解いたところでどうするのか、と聞かれれば……よほどのことで無い限り他人に何かを言ったり、それを咎めたりはしない。第一、勝手に相手の隠し事に土足で踏み込んでいる時点で、そんな資格はないと彼女は考えていた。

「……その謎がもし、許されないことだったなら?」

「それが貴方のことを指すのなら、もしかしたら謎を解き明かすだけで終わるかもしれませんね」

それこそ、どうしてと問いたくなった。自分は恐らく、許されないことをしたのだ。今はあり得ない“可能性”をこの世に生み出した、のだから。

だが、桜の魔法使いは優しげに笑みを浮かべる。それは何故か――遠い記憶の大切な人と、重なった。

「知ってますから、貴方と似た様な人」

「ボクと……?」

「えぇ。普段は飄々としてるくせに、寂しがりやなんです。それでいて傷つきやすくて、何でもかんでも抱え込む人を、二人ほど」

う……といきなりそんな事を言い当てられて、気まずそうに瞳を逸らすさくら。今頃、その問題の二人――甲斐性無しと悪戯好き――はくしゃみでもしてる頃だろうか。
そしてそんな人は、人が何でもかんでも不幸になるような事はしない。もしそうなったとすれば、恐らくは――

「ともかく、義之くんは私が守ります。それは……信じてください」

もう一度、信じてもらう為に深々と頭を下げる。だが、初対面の人物に“信じろ”なんて酷なことだろうとは思う。

しかし彼女は……芳乃さくらは、彼女を信じて見ようと思った。それは、運命の巡り合わせか、時を超えた必然だったのか……彼女自身も、信じてみたくなったのだ。

「――信じます、貴方を。……ボクも、力の限り義之くんを守りたいから」

――彼の、桜内義之の■■として。

「それに、何だか貴方は他人の様な気がしなくて……」

と言うより、同じ名前で同じ容姿で魔法まで使える、となると他人の気がしないのは当たり前だろう。
にゃはは、と場を和ませる様に笑い言うさくらに、魔法使いは確信を込めて微笑し……言った。

「他人じゃないですよ、きっと」

「……その謎も、貴方が解き明かす?」

「ふふっ、この短時間でそこまで私を……互いを理解できる、からね」

最初の重苦しい雰囲気はどこへやら、楽しげに笑う二人。容姿も相まって、他人から見れば二人は双子の一時にしか見えないことだろう。

そう他人ではない……全ての答えは、恐らく『悪戯好きの魔法使い』が握っているのだろう。

だが――他人に答えだけを聞いて解かれた謎など、何が面白い? 自分で調べ、自分で手掛かりを聞き、自分で推論を組み立てる。だからこそ、解いた時の快感が一層強くなる。

(……これ、誰に似たんだろ?)

ふと、たまに彼女はこう考えるが、悪戯好きの魔法使いに聞いたところ『誰の遺伝でもないねぇ……ただ、謎解きと研究に違いはあれど、集中するとご飯を食べるのも忘れるのは、私の姉に似たのかねぇ?』と、どこか懐かしそうに語っていた。

詰まるところ、この他の人曰く“超好奇心旺盛”は自分特有の物らしい。嬉しいのやら、悲しいのやら……。

――それはともかく、桜内義之を守る――まぁ、相手はしばらく引き籠もっているだろうし、万が一に備えて、だが――にしても、この地に隠された謎を解くにしても、今の自分の身分では弊害が出る。

しかし、目の前の学園長と自分の資格があれば……。ニヤっと突如指を唇に当て、表情を変えた桜の魔法使いを見て芳乃さくらは首を傾げた。

「それはそうと、一つちょっとしたお願いがあるんですよ――」

ちなみに、悪戯好きの魔法使いから続く桜の魔法使いの家系には一つ共通点があったりする。

――“ちょっとしたお願い”が、決して“ちょっとした”ではないことだ。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

翌日、桜内義之は教室の自分の机でボーっと考え事をしていた。

それは、悪友の板橋(いたばし) 渉(わたる)。友人の月島(つきしま) 小恋(ここ)、雪村(ゆきむら) 杏(あんず)、花咲(はなさき) 茜(あかね)の通称“雪月花”三人娘の声にも上の空な反応しかしなかった程だ。

彼が考えていることは、もちろん昨日のことである。本当にアニメの中みたいなこと――まぁ本当に多少なら魔法が使える自分に言えることではないのだが――があり、自分の保護者と同じ容姿の人物が助けてくれたのだ。気にならない訳がない……が。

(結局、さくらさんは『今日になったら分かる』、の一点張りだったしな……)

そう、珍しく早く帰ってきたさくらから聞かされたのは、その一点張りだけなのだ。結局、アレが何なのかも判らず仕舞い……まぁ、もう大丈夫だということらしいし、久しぶりにさくらさんが本当に楽しそうな笑顔を見せてくれたから、それは良いと言えば良いのだが……。

(気になる物は、気になるよなぁ)

結局、桜の魔法使いと名乗った彼女はどこに行ったのか、という疑問が全く解けずに、悶々としてまたため息を吐く義之。


その後ろで、悪友と自他共に認めるロリ担当の杏、さらにスタイル抜群の茜が悪戯を仕掛けようとしていることにも気が付かない。

ただいま唯一の良心である小恋が必死に止めているが、彼女の性格と三人が相手ということもあり遂に押し切られ――る寸前で、教師が入ってきた。

席に着けーという教師の声に、残念そうする三人と安堵する一人は、席に戻りクラスの全員がそれぞれの席に着いた。それでも、義之はまだ反応しない。

(……ん?)

が、“臨時講師”という上の空で聞こえた教師の言葉には反応した。そして、入ってきた人物に騒つくクラスの声にも。

こんな時期に臨時講師か……と、漸く教卓に目を向け――文字通り、顎が外れるくらい口を開いた。叫ばなかった自分を褒めてやりたいくらいに。

“臨時講師”が、ニッコリと微笑みチョークで黒板に自分の名前を書き、ツーサイドアップに括られた“金髪”を揺らして、言った。

「初めまして。この度、臨時講師としてこの風見学園に来た、学園長の親戚の――芳乃 桜です。よろしくね」

――なるほど、今日になれば分かる筈だ。何せ、“本人”が自分に近い場所に直接来るのだから

ひらりひらりと、クラス全員に手を振っていると見せかけて、明らかに義之に手を振っている彼女を見て、義之は力なく手を振り返しながら、思った。

(真面目な人かと思ったけど、案外お茶目な人なのかもな……)

それは、紛れもなく現実逃避だったとさ。

――時を超えた物語は、また新しい旋律を奏で始めた。













────────────────────

D.C.クロス編『二人のさくらと枯れない桜』をお送りしました~。

えー、クロス編での話の構成としては、一人ずつキャラクターがどんな人物かとか説明したりして、同時に桜が謎を解いていく、というスタンスになります。

今回は桜(紛らわしいので漢字表記ww)がどんな人物か、どんな目的で動くのかというお話になりますかね。一言で言えば好奇心旺盛。気になる謎が在れば西へ東へー見たいな(笑)本編の烈火の翼での彼女はまだ猫かぶりな感じです……ww

次回は、桜内義之がどんな人物か、どんな友人を持つのか、そしてどういった境遇(義之本人が知る限り)なのか、というお話になる予定です。

では、感想等々もお待ちしています。次回をお楽しみに!!
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  1. 2013/02/18(月) 03:33:07|
  2. 烈火の魔法使いの出逢いの物語
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

魔法使いの方のさくらの意思の様なモノを強く感じました。

しかし臨時講師……教師だと弄られる機会が多いですから楽しみですw
  1. 2013/02/18(月) 07:35:11 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

>フルカスタムさん

感想ありがとうございます!!

二人のさくらの決定的な違いは、桜の魔法使いが超好奇心旺盛だということですからww

はい、そりゃあもう弄りますともえぇww

次回をお楽しみに!!
  1. 2013/02/20(水) 03:19:24 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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