サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第4話

「刃が消えた……? 何のつもりだい、それは!?」

相対するヒナギクとアルフ。その身に何かも分からない重圧を受けながら、アルフは叫んだ。彼が何を言った途端、刀の刃が消えた。アルフからすれば、自分が舐められているとでも思ったのだろうか?

対するヒナギクは、何も言わない。いや、言わないのではない。何も言う必要がないのだ。

舞い散る桜の刃……それが見切れていない時点で彼女の敗北は――すでに決まっているのだから。

その変化は、一瞬で起こった。無数に枝分かれした、千本桜の刃。それが月の光を浴びて、名の通り桜色に輝く。その刃が、まるで風が吹くように、アルフの体を通り過ぎた。

その瞬間……アルフの体に突然衝撃が走り、急速に意識が遠退いていく。

(なん……だい……)

声に出す事すらできない。彼女の体が傾く。だが、ヒナギクはそれを見ずにその身を翻した。もう、アルフに興味がないとばかりに。
アルフの拳は、一度もヒナギクに届くことはなかった。二人の物理的な距離は近い……しかし、絶対的な距離がある。

まさに“格”が違う、と言わんばかりに、アルフは地に墜ちながら意識を失い、ヒナギクは悠然と歩きだし、千本桜の刃は刀の刀身に戻った。

「っ……!!」

だが、突如ヒナギクが咳き込み始める。少しして収まったが、口を押さえていた手のひらには、彼の騎士にはとても見せられない……血が吐き出されていた。

「今日は一段と、調子が悪いですね……」

まだ十分程度しか戦ってないはずなのに、と付け足して彼は呟く。まぁ、自分の弟子からは五分がギリギリ許容範囲、と念を押されていたので当然だが。

少々遊びが過ぎましたね……と、全く本気を出していないらしい事をヒナギクは思った。事実、全く本気を出していなかったのだが。
さて、私の騎士様はどうなりましたかね。などと、ヒナギクは自分の体を一切気にしていない様な事を考えているヒナギクだった。彼の弟子が聞けば、怒り狂いそうな考えだが。

そんな彼の騎士はというと、その手に白い刀、『天鎖斬月』を持ちフェイトと相対していた。

彼女自身もそうだが、彼女の持つ天鎖斬月は本来の力ではないにしろ、圧倒的な存在感を放っている。

そんな彼女と相対するフェイトは、一瞬たりとも目が離せない。離してしまえば、自分は一瞬にして敗北してしまうだろうと、直感で理解していたからだ。その為、自身の使い魔が敗北したことにも、全く気が付かなかった。

自分と同格と見る、何てことはおこがましい。完全に格上として見なければ……確実にやられる。

――そんな事を考えている時点で、甘過ぎる事に彼女は気が付かない。

フェイトからすれば本当に突然、シグナムの姿が消えた。フェイトには、消えたようにしか見えなかった。

「どこに……っ!?」

反応できたのは、奇跡的だっただろう。彼女の黒い斧状のデバイスである『バルディッシュ』ですら、防壁を張る事は愚か反応すらできなかったそれを、フェイトはバルディッシュの本体で受け止めた。

だが、受け止めただけで衝撃は殺し切れずフェイトは吹き飛ばされた。彼女が受け止めたのは、彼女の右側から振るわれた天鎖斬月……つまりはシグナムが振るったものだ。

刀を受け止められたシグナムは、少々驚いたようだ。今の一撃があの少女に反応されるとは、思っていなかったのだろう。

――これは、少しは楽しめるかもな。

そんなシグナムの少々嬉しそうな笑みを、フェイトは見る間もなく飛行魔法を行使して空中へ舞い上がった。

近距離は不味い……そんな考えでフェイトは距離を取った――彼女からすれば、だが。残念ながら……シグナムからすれば、この程度は距離を取った事にはならないことを、フェイトは次の瞬間に思い知る。

「なっ!?」

――距離を取った筈のフェイトの目の前に、天鎖斬月を振るうシグナムが現れた事で。

その天鎖斬月を辛うじてバルディッシュで受け止める……が、半秒足らずでバルディッシュが展開した障壁に、何かが衝突する。障壁が展開されている場所は、自分の左脇。何が起こっているか理解できないフェイトだったが、その目が大きく見開かれた。

「う……そ……」

少女の目に映っているのは、天鎖斬月を持ったシグナム“達”だった。何が起こっているか理解できない……だが、少女の頭脳が何とか答えを導き出す。

(残像っ!? それもこれだけの数を……しかも、魔力を使ってない!? そんな事、あり得ないっ!?)

少女の混乱も無理はないだろう。何せ、自分を上回る速度を叩きだしているにも関わらず、一切の魔力反応を感知できないのだから。

そんな少女の混乱を気にも止めずに、シグナムは一気に少女を攻め立てる。天鎖斬月を叩きつけ、少女に防がれればまた別な場所に叩きつけ、それが防壁に阻まれたのなら、さらに速度を上昇させながら天鎖斬月を振るった。

少女がこの猛攻に耐えられているのは、一重に自分のデバイスがギリギリのラインで防壁を自動展開してくれているからだ。それがなければ、少女はとっくにやられていた。

――しかし、その行動は数秒も持たなかった。

「はあっ!!」

「くうっ!?」

ほんの一瞬、少女の集中力が途切れ、その動きが少しブレたところに、シグナムの蹴りが少女の右脇腹に直撃したのだ。

直撃したのは普通の蹴り。しかし、こんな超速の中で繰り出された蹴りだ。普通の威力な筈がない。

少女の体は簡単に吹き飛ばされ、近くのビルに叩きつけられた。
幸い、装甲が薄いとはいえバリアジャケットを纏っていたので、大したダメージにはならなかった。しかし少女にとって、そんな事は慰めにもならない。

相手は自分よりも遥かに格上。自分の得意とする筈のスピード勝負では話にならない上に、相手はまだ全力を出しているようには見えない。

……勝てない。私はこの人には勝てない。そんな考えがフェイトの頭を過るが、それを振り払うかのように術式を展開し始める。

私は敗けられない。大好きな母の為にも、絶対に。少女は自分が今最短で術式を組めて、なおかつ威力の高い術に自身の魔力を込めるだけ叩き込む。

最大術でなくていい、今の僅かな時間で彼女の防御を越えられるだけの術を行使する。そして、防御を越えた瞬間を狙って一撃で撃破する。それしか方法はない。

「撃ち抜け、轟雷ッ!!」

『Thunder Smasher.』

術式の展開完了と同時に、少女は自身の持てる全て出して、一気に急加速。彼女の居る高度に到達した瞬間、強引に急停止をかけ――バルディッシュを横凪ぎに振るった。

「サンダー……スマッシャー――――!!!!」

シグナムに向かって放たれたのは、巨大な魔力の雷撃。轟音をならしながら、その圧倒的な筈の雷撃がシグナムに迫る。

そうだ。圧倒的な筈なのに……シグナムは全く顔色を変えない。それどころか、一切逃げるつもりもない。

「その心意気はよし――しかし、次からは自分の力量を弁えてかかってくるのだな」

その瞬間、シグナムの持つ天鎖斬月から魔力ではない何かが溢れる。

シグナムが天鎖斬月を両手で持ち、構える。それだけの動作なのに、とても美しい、とフェイトは思えた。

「月牙――」

シグナムが轟音の中でも、なぜかはっきりと聞き取れる声で言う。ただそれだけで、溢れ出る何かが力を増す。

この時点でフェイトは分かっていただろう。自分では勝てない、と。それでもまだ、諦めずに雷撃に魔力を込める。

ついに渾身の雷撃がシグナムに到達しようか……その時に、彼女は天鎖斬月を振り下ろした。

「――天衝ッ!!」

放たれたのは、斬撃“そのもの”。天を衝く月の牙が、雷撃を食らい尽くす。

放たれた白い斬撃は雷撃と衝突――その刹那、斬撃は雷撃をいとも簡単に押し返し、

「母……さん……」

その勢いのままにフェイトを飲み込み、意識をも簡単に刈り取った。

決して、彼女達が弱い訳ではなかった……しかし、相手が悪すぎた、と言っておこう。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「もしもし。どうした、父上?」

『うむ。久しぶりだな、斬月』

場所は変わり、なのは達の地球からすれば異世界、ミッドチルダ。そして、そんな場所で電話に出ているのが彼――ミッドだとかなり有名な家系の現当主、斬月だ。

彼の言葉から分かるだろうが、電話の相手は彼の父親だ。……察しの良い斬月は、何かまた面倒事になっているのだろう、と思い自分が訊きたいことを先に言った。

「先に訊くが父上。あのじゃじゃ馬がどこに行ったか、分かったのか?」

『いや、まったくだ。まぁだが、三本の内、二本の『天鎖斬月』……さらには『千本桜』と『神鎗』。果てにはあのじゃじゃ馬の『氷輪丸』まで持ち主を見つけるとは……かなり異常と言えるな』

二人の会話から分かる通り、斬月の家系は様々な刀を受け継いでいる。

その中でも、天鎖斬月は家系の中でもかなり特殊な刀であり、家系に伝わる刀としては代名詞と言った感じで扱われるが……他の刀も十分に特殊である。

そもそも、デバイスと違い機械ですらない刀が、人格を持っているのだ。特殊でなければ何なのだろう?

まぁ、斬月の父親が異常と言っているのはそこではない。一世代にここまで継承者が現れる、それが異常と言えるのだ。

「しかも、持ち主が分からない『氷輪丸』以外は全て私の知り合い」

『ああ。そして、残った最後の『天鎖斬月』。すでに蒼天の持ち主が現れている……これはもしかすると――』

『お父さんの……バカあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!』

唐突に電話から響く、よく知る叫び声。電話からでも十分に響くその声に、思わず斬月は携帯を耳から離してしまう。

まぁ彼の予想通り、また変な面倒事になっているな、と思わず頭を抱える斬月。

『うおっ! な、じゃない。ざ、斬月!! 早く帰って来てくれっ! 私ではどうにも――まてまて!! フライパンは投げる物ではないだろう!?』

『バカバカバカバカバカっ!! お父さんのバカあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!』

「ああ、分かった。出来るだけ、早く戻るようにする」

もはや、聞こえていないだろうと思いながらも、斬月はそう言って電話を切った。

全く、あれが自分の妹だと思うと……ついでに言えば、どこも私に似ていないしな。

因みに、彼は容姿は父親似、性格は母親似。彼の妹はその真逆。似ていないのも当然と言えた。

さて、家の為にもさっさと解決しなければな。そう思い、彼は再び足を進める。

――歪んだ物語の中で、一つの街に刀の継承者達が集結していることを……まだ彼は知らない。そして、彼と最後の一人が揃う時に何が起こるのか――まだ、誰にも分からない。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「はぁ……」

先ほど話していた刀の継承者、その中の一つ『千本桜』の継承者である彼、ヒナギクはため息を吐いていた。

昨日の夜のいざこざは――別に小さくはないが、軽く解決した。あの二人も、適当に軽いバインドで縛って置いたので、意識を取り戻したら勝手に解けるだろうから心配ない。

いつも彼に付き添っているシグナムは、ただいま彼の弟子であるなのはが、とあるアイドルのライブに行くための付き添いで居ないのだが、彼のため息の理由はそれでもない。

彼のため息の理由、それは――

「ちょっとまてよ!! 俺たちと遊ぼうぜぇ!!」



「ああもう!! 貴方たちみたいな人、私の好みでもなんでもないのよっ!!」

絶賛、真っ昼間のナンパ風景に遭遇中だからである。状況的には、色的には珍しい緋色の髪をした少女が、男二人に追い掛けられている。

それだけなら、別にヒナギクはスルーしていくつもりだった。あの少女、身体能力的には問題なく逃げ切れそうだし。問題は……彼女、足を怪我してるんですよね。

詰まるところ、怪我をしている少女をスルーできる程、彼は薄情ではないという事だ。

持ち前の身体能力を生かし、少女と男の前にあっという間にヒナギクは立ち塞がった。

「お、なんだいお嬢ちゃん。キミが俺たちと――」

「……今すぐボコボコにされてゴミバケツに放り込まれるか、もしくはボコボコにされて警察に放り出されるか――どっちがいいですか?」

「「ど、どっちも遠慮させていただきますっ!!」」

言われた瞬間、男二人はあっという間に退散してしまった。

まぁ、誰から見ても冗談に見えない表情だったので彼らの判断は正しかったと言える。っていうか、引かなかったらマジでヒナギクは実行しただろう。彼は、案外ドSである。

「大丈夫?」

「あ、うん。ありがとう……」

男二人を軽く撃退したヒナギクは、後ろを向いてペタンと座り込んでいた少女の手を取って立ち上がらせて上げた。

(全く、何でナンパなんかするんだか……私は男ですけど、未だにそういうところが理解できないんですよね)

少女を立ち上がらせながら、そう思ったヒナギクだったが、何故か少女が急に唖然とした表情になり不思議に思った。

「どうかした?」

「え、ううん。何でもない! そうだ自己紹介! あのね、私は――」

ほぼ同時刻、シグナムとなのはは海鳴の一番大きいドームに向かって歩いていた。目的は、そこで予定されているアイドルのライブだ。

そういえば、誰のライブか訊いていなかった、と思いシグナムは嬉しそうにスキップしながら歩くなのはに訊く事にした。

「なのは。一体、誰のライブを見に行くのだ?」

今、運命の歯車が……

「あ、そういえば言ってませんでしたね! ――藤原(ふじわら) 雪華(ゆきか)さんこと、雪ちゃんのライブですよ♪」

「私は藤原 雪華!! よろしくねっ♪」

――カチリと噛み合い、ゆっくりと動き始める。また、物語がさらに加速を続ける……。
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  1. 2012/03/17(土) 21:59:38|
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