サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第30話

人には誰しも、物事に対する“慣れ”と言う物が存在する。本人が絶対に慣れないと思っていても、案外簡単に慣れてしまう物なのだ。

海に没した街並。普通なら常識を逸した光景なのだが、この世界では常識となる世界の風景。

では、そんな世界のビルの上でテーブルを置き、平然と茶を飲む市丸ギンと言う人物がここに居る事は、果たしてこの世界の日常風景なのだろうか?

――そんな訳はない。そんな訳はないのだが……。

(……なぜ、こんなにも心が乱されるのか)

自分で自問自答しても、答えは出ない。大体、生前では男とこんなにも話した事はなかったのだ、仕方がないではないか、と相変わらず顔を隠す真紅のフードを被る女性、緋炎は動揺を表す様に、フードの下の灼眼の瞳を知らず知らずに揺らす。

――無視すればいいだろうに。

言葉が頭を過るが、それが出来たら苦労はしていない。無論、最初は彼の事など無視していた。が、勝手に人の世界に入り込んで勝手に話して勝手に居座る人に、そんな事では通用しない。

そうして、許可もなく勝手に上がり込んで来る彼に、いちいちいちいち注意していたら……まぁなし崩しこういう事になっていると言う訳だ。

「まぁでも、ここに来るのも久しぶりやなぁ。元気にしとった?」

「……久しぶり、と言うのは長い時間が経過している事を言います。貴方の久しぶりは、たった1日程度来ない事なのですか? 市丸ギン」

「いやぁ、緋炎先生の享受は頼りになるなぁ」

ほら、自分が皮肉を言ってもヘラヘラとした笑顔で返されてしまう。

――その笑顔の下に、一体どんな過去を秘めているのだろうか?

向かい合い、こうして茶の湯を共にしても皆目見当もつかない。別に興味がある訳でも……。

「そう言うたら、緋炎ちゃんはこの前まで何しとったん?」

――なかったのに、先に訊かれてしまった場合はどうすれば良いのだろうか? とりあえず、言葉を濁すことにする。

「……どういった意味で?」

「そのまんまの意味、やね。別に無理に聞こうとは思わんけど」

だが、それも彼にはお見通しなのだろう。そういう処が、気に入らないのだ。勝手に、スルリスルリと人の心に潜り込んで来るのに、自分の心はなかなか明かそうとはしない。

やはり、こういったタイプは初めてだからか、大分やりにくい。けれど、なかなか嫌いにはなれないのは、自分が思いの外他人との関わりが苦手ではなかったのか、それでも彼だからなのか……これも、考えても解らないことだった。

が、一応質問には答えねばなるまい。別段、隠す様な事でもないのだから。

「……聖職者ですよ、こんなんでも」

「聖職者って……シスター? なんや、緋炎ちゃんって何か崇めてたん?」

「いいえ。私は神様も信じていませんよ」

は? と流石のギンもこれには面食らう。シスターは基本的に何か……例えばその宗教の“神様”などを崇めている印象なのだが、緋炎は聖職者なのに神様すら信じていないと言っている。まことに、不思議な事も在るものである。

「じゃあ、緋炎ちゃんは何を信じてたん?」

「『愛』ですかね。親愛、敬愛……まぁいろいろと在りますが、未だに“恋愛”のファクターは不確定で興味深い物があります」

信じるのは、己の『愛』のみ……とでも言った処か。何にせよ、彼女がこの『天鎖斬月・緋炎』を宿す人物になった理由も、そこにあるのかもしれない。

かなり冷めてしまった茶を啜り、ギンはその事について尋ねてみる事にした。

「キミがこの天鎖斬月を宿す者に選ばれたんも、それが原因?」

「さぁ? 私を選んだのは蒼天ですから、今すぐ彼女に訊きに行けばよろしいのではないでしょうか」

さらっと、さっさと出ていけと遠回しに言った緋炎だったが、ギンは相変わらず飄々と答えた。

「うーん、ボクが気軽に出入りして話しとるのなんて、緋炎ちゃんくらいやしなぁ」

ピクリ、とギンにも解らないくらい微かに指を動かし動揺した緋炎だったが、それを気取らせない様に平然と茶を飲み干し話を続けた。

「言っておきますが、私とてこれだけの時間話をしたのは生前を含め貴方が初めてですよ」

――いや、あんまり動揺を隠せていなかった様である。これでは、貴方は“特別”ですよと言っている様な物だ。それに気付き、フードの下の顔を真っ赤に染める緋炎。
しかし幸い(?)にも、ギンはそれに気付く事なく、別の話題が気に掛かったらしい。

「初めてって……話し相手とかいなかったん?」

「……私がいたのは確か“聖王”とやらを崇める教会でしたが、そういう物を信じていない、などと言えば近づく人間はいないに決まっているでしょう」

確か、と曖昧に記憶している時点で本当に神様に興味がなかったのだろう。ただまぁ、聖王もギン達からすれば所詮はただの“人間”でしかないのだから、神様のように崇めているのは未だに違和感がある。

それはそれとして、要は彼女は煙たがられていたのだろう。そりゃあ、ある意味で聖王を侮辱しているのだから、そこに所属する聖職者としては大問題である。

「せやけど、何で信じてもない教会にいたん?」

「一応、拾ってくださった親代わりのシスターがいた教会でしたので」

「教会への恩返し?」

「いえまったく。一応教会で育ちましたが、生憎あの教会は好きでもなかったので」

……言いたい放題である。しょうがない、好きじゃない物は好きじゃないのだ。嫌いな物を今すぐ好きになれなど、到底無理な話だ。

――とはいえ、別に嫌なことばかりではなかったのだが。

「先程、話し相手はいなかったのか、と貴方は問いましたね?」

「言ったけど……なんや、誰かいたん?」

「まぁいるにはいました。彼女が勝手に話し掛けて来ていただけ……でしたが」

それに、付き人の様な少女には嫌われていた――まぁ、教会で自分を知っている人間は大半自分を嫌っていたが――ので、話し掛ける度に注意されていたが。

しかしまぁ、教会の異端児だった自分が、今やその教会で神聖化されている武具の内部人格。一方的に話し掛けて来たその少女は、今や教会の偉い人になっているときた。

運命とは、いやはや不思議な物だと思う。それを言ったら、こんなに長い間、陰口以外で男性の話を聞く事など前は思いもしなかった。
まぁただ、決して心地が悪い物ではないと――

「まぁでも、ボクはあの教会嫌いやないよ。美人さん多いし」

――その時、この世界の温度が一気に冷え込んだと言う。凍り付く空気。緋炎と言う名とは真逆に、彼女の周りは氷点下までまで冷え込みそうな勢いである。

(……あれ?)

ある意味その状況を作り出したギンが、ようやく雰囲気が変わった事に気付いた。特に、目の前の女性は何だか初対面の時より好感度が低くなった気がする。つか、好感度ってなに?

「あの、緋炎ちゃん?」

「知りません」

「は? なに――」

「知りません」

「え、いや」

「知りません」

「……もしかして拗ねとる?」

「知りません」

「や、冗談よ冗談。緋炎ちゃんが可愛いのは事実やけど」

「この――うるさいうるさいうるさぁぁぁぁぁいッ!!!!」

キレた。結局めんどくさくなったのかキレた。

ダン!!と拳をテーブルに叩きつけ、彼女にしては珍しく感情を表に出して叫んだ。

「そもそもお前はもう私に訊く事なんて無いでしょ!? もう心配事は解消されたんだから、さっさと帰りなさいよ!!」

「あ、やっと素になってくれた。見た時から猫被ってるって思うとおたんよ」

「うるさいうるさいうるさい!! 聖職者は色々とめんどくさいの!! お前は何回不法侵入してると思ってるの!?」

「聞きたい? しっかり数えとるけど」

「……いい」

――こうして、僅かばかりの平和な時間が過ぎて行く……。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

暴れ狂う雷撃。既に半壊状態の訓練場を破壊し、それでも尚止まる気配を見せない。いや、本人が止めていないのだ。

「っ……うぁ!!」

狂う雷の中心の少女……フェイト・テスタロッサが制御しようと必死に思考を動かすが、電撃は制御するどころかさらに暴れ狂い、一人の男へと強力な一筋の雷が向かい――何かに阻まれたように弾かれ、男は……クーゴは平然とフェイトに向かって叫んだ。

「さっきから言ってんだろ、頭で制御しようとすんな!! 先ずはお前自身の力に慣れろ。話はそっからだ!!」

「は、はい!!」

――その二人を中心に、遥か後方。出入口の近くに立つ、背の高い女性と年齢の割に背の低い……ゲフンゲフン、些か育ちが悪い少年がその異常な光景を普通に会話しながら見学していた。

「……こういった光景に短期間で慣れると、些か悲しくなるな」

「そうかしら、良い経験になるわよ。クロノ君」

時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンと処刑人(エグゼキューター)、高町なのは。

まぁ、あんな命懸けの事を経験すれば嫌でも慣れるだろう……一生涯、慣れたくはない物だが。

……あの誰にも知られることのなかった騒ぎから、既に一週間が経過しようとしていた。その間に、短い期間とはいえ物事は次々と変化を続けていた。

「で、クロノ君はこの前のことはどう上に説明するつもりかしら?」

この前のこと、とは勿論“闇の書事件”の最中に起こった『時空の翼』による出来事――一つ選択を間違えれば、なのはを含めた強大な戦力全てを敵に回すことに成りかねないことだ。

だが、クロノは平然と……当たり前のようにその問い掛けに答えた。

「何のことだ? ただ僕達は消えようとしていた人ひとりの命を助けようとし、無事に救出を完了。その中で“何故か”守護騎士の一人が協力をしてくれた……が、この出来事には証拠がなに一つとして無い。事実確認が出来ない“空想”は、報告する物ではないさ」

「……待ちなさい。あの翼のエネルギーは次元が違い過ぎて遠くからじゃ観測不能だけど、アースラの機器はエラーとはいえ観測していた筈よ?」

確かに、他にも結界内部にてクロノとなのはが守護騎士を追い詰めたが、彼らが観測不能の“何かを使い”あと一歩の所で取り逃がした、とでも“空想”を言えば言い訳は利く。

しかし、アースラのデータには言い訳できないレベルの理解不能なデータが残っている。明らかに守護騎士の仕業ではない上に魔法技術ですらないそれを、一体どうやって言い訳するのか。

するとクロノは困った様に肩を竦ませ、こればかりはどうしようも無いとばかりに言葉を放った。

「それがな、この一週間いろいろと忙しかったから言っていなかったが、あの時のアースラのデータは綺麗さっぱり消えていた」

「それって……」

「勿論、僕ではないさ。そんな権限は僕にはない。だが確かに、あの日の出来事のデータが、“まるで最初からなかったかのように”綺麗さっぱり消えていた。するつもりも無いが、僕がいくら声を荒げたところで、上の誰も信じないだろうな」

――時空管理局が誇る技術の結晶たるアースラの機器が、何の形跡も無く侵入され、剰えデータまでいじくり回されていた。

無論、そんな事を出来る人間は殆どいない。なのはが知ってる中でまず候補に上がるのは、管理局の技術者の誰一人として叶うものはいないと言われる天才、裏月だが……彼は個人的な案件で忙しいらしく、この一件には無関係だろう。
となると、あと出来そうな人物は彼女にあらゆる戦闘技術を叩き込んだ“最強の魔法使い”……さくらぐらいな物だが、彼女もあの一件後すぐにロンドンに行ってしまった。出来ないとは言わないが、自分に何の相談も無しにこんな“悪戯じみたこと”を実行する確率は低い――

(…………悪戯?)

ふと、気付き、まさかと思う。が、同時に何となくストンと納得してしまう。一名、いた。本当に自由な人で、最も魔法使いらしいとまで称される『魔女』が。

「――他にもいろいろやってそうね、まったく」

「は?」

唐突な呟きに反応したクロノに、何でもないわ、と返しながらも、頭を抱えてため息を吐くなのは。

推測の域を出ないが、何となく彼女が行ったことな気がしてならない。っていうか、絶対にそうだ。そして、呟きの通り他にもいろいろとやっていることだろう。

――何せ彼女は、悪戯好きの魔法使いなのだから。

こればかりは、自分にはどうしようも無いと、また一つため息を吐くなのは。何せ相手は、自分の様な“己の願いの一つも叶えられないような”出来損ないでは足下にも及ばない魔法使い。なのはとて、どうこうしようと思っても、どうにもならない相手はいるのだ。

すると、彼女の反応に空気を読んだのかは解らないが、クロノが唐突に話題を変える。今、現実的に問題になっていることを。

「しかし、あれ以降は闇の書……いや、『夜天の魔導書』の守護騎士達の行方は全く掴めないな」

「見つからない様に動いてる、と考えるのが定石(セオリー)だけど……それにしても、ただの記録装置だった魔導書が、随分と物騒な物に変わったものね」

――夜天の魔導書。本来、闇の書とは管理局が付けた名前でしかない。

そもそも夜天の魔導書とは、一種の記録媒体でしかなかった。その目的は、失われていく技術や知識を後世に残すこと。

本来“無限再生機能”や“転生機能”も記録の劣化や喪失を防ぐ為の単なる“復元機能”でしかなかったはず。それが長い年月をかけ転生を繰り返し、何者か――今となっては、知る手段はない――が改竄を施し……今の呪われた魔導書へと変貌した。

そして守護騎士達は、恐らくそれを知ること無く行動している。今までの“闇の書事件”とは違った言動からの、現段階では推論でしかないが。

これらのデータが、ユーノ・スクライアが無限書庫を駆使し報告された結論である。

……クロノが、どこかやりきれない様子で拳を握り締め、言う。

「そういう意味では、夜天の魔導書やその守護騎士も被害者なんだ」

「そして面倒なのは、一定期間“魔力蒐集”を行わないと、主に選ばれた人間への侵蝕を開始する。つまりは――」

「今の守護騎士達は、主を助ける為に行動している可能性がある……か」

たった一つの希望を信じ――それが、穢れ切った希望だとも知らずに。

このままは闇の書が完成してしまえば、主や守護騎士の意思に関係なく暴走を始め主の命を食い荒らし……今までと同じように、転生を繰り返すのだろう。

そうなれば今までと同じ、悲しく惨めな怨みと復讐の連鎖が繰り返される。そんな事は――

「そんな事……絶対にさせない!!」

「そうね。その為には、打てる手は全て打っておかないと……ね」

笑みを浮かべるなのはに、クロノは力強く頷く。その為に、なのはも目を覚ました次の日から、今の今まで姿を消していた。

何をしていたかは問わない。その時になれば、彼女は教えてくれるだろう。それが例え、どんなに残酷な現実であろうとも。

そして目に見える打てる手は、この訓練場で繰り広げられている、新たな力を手にしたフェイト・テスタロッサの制御訓練と言う訳だ。

「しかし、目の覚ました彼女をよくここまで……彼女は暴走したあの時のことを覚えてたんだろう?」

「えぇ。まぁクーゴの奴、乗せるのは上手いみたいだからね。『過ぎたことで落ち込んでる暇があったら、さっさと迷惑かけた奴の役に立て』……ホント、アイツらしい励まし方だわ」

彼の性格を知るなのはは、知らず知らずに微笑みながら言う。そんなクーゴが、彼女の訓練を引き受けた理由は『磨くと面白そうだったから』。何ともまぁ、彼らしい理由だった。

が、それを聞いたクロノはふと疑問……いや、意外に思ったことがあった。

「だが意外だな。僕はてっきり、君もフェイトの訓練に付き合うと思っていたんだが……」

「適任の人材、ってのがあるでしょ。もともとアイツのレアスキルなんだから、使ってるアイツが一番上手く教えられると思っただけよ。それに私、人にこういうこと教えるの苦手だしね」

また意外な言葉が出てきた、とクロノは静かに驚く。それを見たなのはが、ふぅ、と息を吐いて言葉の理由を放った。

「私はね、物事を見る視点を自分中心に考える人間なの。そういう人間は、大体は自分の出来ること、自分の出来る考えを相手に押し付けてしまう事が多いわ」

「キミが……か?」

「……そういう奴は、教導には向かないのよ。相手に考え押し付けて、必要な事も『これくらい解ってくれる』なんて考えて、もしかしたら若い芽を潰してしまうかもしれない。あくまで自己分析の結果だけど、本当に潰したらそれこそ責任なんて取れないからね」

――だから、自分が他人に教導を行うなど、まず無いだろう。そう、自己分析を行い結論を出した。実際に教導を行ったことはない……しかし、自分の経験からしてそう考えてしまうのだ。

なのはの自己分析を聞いたクロノは、何かを言いたそうにしていたが、敢えて問うのは止めた。こういった個人的な了見には、関わるべきではないと考えたのだろう。

何も問わないクロノに対して、なのはは改めて制御訓練を続けるフェイトとクーゴを見て、言う。

「だから、クーゴが近くにいて助かったわ。荒っぽいけど今のところは、上手く教えられてるみたいだしね」

「だが……間に合うか?」

何が、とは問わなくても解る。次の戦いまでに、フェイトの力の制御は間に合うか、ということだ。

「それこそ、間に合ってもらわないと困るわ。せめて基礎制御だけでも、ね。フェイトちゃんが戦う気満々だし、不確定要素を抜くと戦力が微妙なのよ。アルフさんは間に合いそうにないし」

フェイト・テスタロッサの使い魔、アルフは彼女が暴走した時に負傷し今は療養中だ。そして、傷の回復速度からして……恐らく、戦線復帰は望めないだろう。

「多分、電撃を受けた時に虚(ホロウ)の力も流れ込んだのね。普通の人……というか使い魔には毒でしかないから、回復速度が極端に遅くなってる」

「治るのか?」

「えぇ、虚と言っても千差万別。フェイトちゃんの中にいた虚は、別段強かった訳じゃないし、時間さえあれば自然治癒は可能よ。私も珍しく治癒に2日掛かったけど、自分で虚の力を駆除しながら傷を負った部分を“再構築”したから、問題は――」

――ない。と言おうとして、あ、と声に出して気が付いた。再構築……などと、傷の治療に普通の人間は言わないだろう。クロノも気付き、なのはをバッと見るのと同時になのはは彼から目を逸らした。

「ちょっと待て。今物凄い単語が聞こえたんだが?」

「あ、ごめん。今の無し。忘れて」

……そんな事を言ったら、言い間違えではないと認める様な物なのだが。

聞こえてくるクロノの追及をのらりくらりと躱しながら、なのはは今日何度目かのため息を内心で吐いた。

――だから嫌なのだ、一定の人物と長い時間パートナーを組むのは。

……高町なのはという人物は、通り名に反して情に脆い人物だ。今の様に、認めて相棒になった人物には自分の事に関してだけだが、今の様にポロッと口を滑らせたりする。

さて、どうやって誤魔化そうかと思考を始めたなのはが――瞬時の判断で、クロノを引き寄せた。

「な――」

――瞬間、クロノが寄りかかっていた壁に激しい閃光が瞬いた。それは壁を砕き、頑丈な筈の訓練場の壁に大穴を開け、今尚スパークを撒き散らしている。

「ご、ごごごごごめんなさ――――――い!!!!」

遥か遠くから、フェイトの謝る叫びが聞えて来た。つまり今のは、フェイトが制御を誤った雷撃が、偶然こちらまで飛んで壁を砕いた……。

チラリ、壁を見てクロノは思う。今、なのはが引き寄せなかったら自分は黒焦げだったな、と。

「……こ、これだけの距離が在るのに、訓練場の壁をあっさりと貫く、か」

「――フェイトちゃんが力の制御を出来る様になるのが先か、事件が動くのが先か、それてもこの訓練所がブッ壊れるのが先か、どれかしら?」

――それを聞いて、出来れば最後のではあって欲しくないな、とクロノは思ったとか何とか。

ちなみに、この訓練場の修繕費用は『闇の書事件』の経費から降りるらしい。

恐らくとんでもない額を見るであろう人物に――合掌。














────────────────────

……えっと、結局収まりませんでしたはい。これがどうして1話に収まると思ったのかといかじゅんは(ry

はい、というわけで烈火の翼 第30話をお送りしました。フラグ立てまくりな緋炎の過去と冷静と見せかけて案外違った性格の彼女です(笑)ちなみに、彼女のただいまのデレ度はツンが八割デレが二割ですww 描写はしてませんが、ギンも相当な回数彼女の下を訪れています。ですがまだまだ足りないようです(なに

そして、シリアスとギャグが交ざったなのはとクロノの会話でした。ちなみに、実はなのはの相棒は章によって変わる予定だったり……

さて、次回は予告通りシグナム達の会話。そしてまた別の人物達の会話になります。

感想等々もお待ちしています。では次回をお楽しみに!!
スポンサーサイト
  1. 2012/12/29(土) 03:53:33|
  2. 烈火の翼
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<正月記念短編小説『運命共同体』 | ホーム | 活動報告>>

コメント

何と分かり易いツンとデレw
ギン次第では落ちるのも時間の問題なんですね分かりますw

そしてなのはの漏らした台詞……なのはさん(StS仕様)にはキツイ台詞ですね(^◇^;)

ピンポーン

おや、誰か来た様だ

P.S.曳船さん、痩せたら別人過ぎるだろうとw

平子の反応も納得でした( ̄◇ ̄;)
  1. 2012/12/29(土) 11:16:42 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

>フルカスタムさん

感想ありがとうございます!!

緋炎は凄く初期の、最近流行りの暴力系ツンデレに逆らって設定した正当派(?)ツンデレです。

いやまぁ、ギンも長生きしてる分いろいろありますからww なのはの言葉は、いろいろと自己分析を重ね過ぎた結果ですね。本来の歴史の彼女との対比、のつもりで書いてみました。

次回をお楽しみに!!

PS.流石にあれはビビりましたww そりゃあ平子も驚くでしょうねww
  1. 2013/01/02(水) 00:01:53 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://freedomzer.blog.fc2.com/tb.php/54-c08fcbbe
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。