サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第29話

イメージOP、嵐『Face Down』
────────────────────






世界は回る。例え、世界の危機が迫ろうとも、起ころうとも、世界は変わらず回り続ける。

物語は動く、歪んだ形だろうと、確かに終曲へと旋律を奏でる。ただ、確かなのは――物語は終わりと始まりを繰り返す。まるで『ダ・カーポ』の様に、繰り返す旋律‐物語‐。

物語の終わりと、物語の始まりは、すぐそこに迫っていた。その事を知っている者は、ほとんどいない。

だが確かに――歪んだ物語は、ゆっくりと加速していた。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「主、もう10時ですよ」

「……頭痛いから、もうちょっとねかせてよ~」

ちなみにこのやりとり、家ではなく病院の病室内でのやり取りである。

季節が季節なので仕方ないが、病院の毛布を離さず潜る様は、いつもの彼からは想像も出来ない姿である。毛布の所為で姿は見えないが、誰かは言わなくても解るであろう。現在進行形でアイドルと付き合っていると言う、冷静に考えると凄いことをしている、ヒナギクだったりする。

そんな布団の中の彼を、まぁあんな事があったのだから仕方がないか、とお見舞いの花を花瓶に生けながら考え、微笑みと共に見つめる女性は、先日までとはどこか雰囲気の違う魔法使い、芳乃シグナム。

たまには、寝坊助な主と言うのも良いのだろうが、どのみち次の一言で勢い良く起きるのだろうと彼女は“推理”していた。

「そうですか……ですが、そろそろ雪華が見舞いに訪れる頃ですよ」

アイツは今日、オフの日ですから――とシグナムが言葉を放つ頃には、毛布とシーツは既に整えられた後。その間にも、恐るべき速度で髪を整え身嗜みをしっかりと整え……ともかく、雪華が来ることに万全の状態で備えていた。

ちなみに、雪華が朝一で来ない理由はおそらく、見舞いの品をどうするか迷っているのだろうとシグナムには容易に想像が出来た。

なんだか初々しい二人の姿に、無意識のうちに笑みがこぼれてくる。
そんな彼女の雰囲気に見て、この前から疑問に思っていたのか、ヒナギクが少し考える仕草をしてから、言った。

「シグナム、なんか雰囲気変わった?」

その問いに、花を整える手を止めて僅かに瞳を見開き驚きを表すシグナム。

あの後、彼に付きっきりだったとはいえ、気付かれるとは思っていなかった。と言うより、思った以上に自分は顔に出やすい性格なのか……どちらにしろ、隠し通すことでは無いが、かといって言い振らすことでもない。

――せっかくなので、曖昧に答えて誤魔化して見ようか。

「……まぁ、変わったと言えば、変わりましたよ」

変わったと言うより、“戻った”と言う方が正しいかもしれない。それでも、姉にまで“変わった”と言われてしまったのだが。

明らかにはぐらかした返答にも、ヒナギクはふーんと特に気にした様子もない。何にしろ、シグナムはシグナムだと思っているのだろう。要は信頼しているのだ。

――さて、それはそうと。一つ、一応だが言って置こうと思い、扉を開く前に口を開いた。

「主、雪華が来ますから私はそろそろ帰りますが――病院では、昼間に“そういった事”は出来るだけお控えくださいね?」

「へ――えぇ!? そ、そそそんな雪華ちゃんとなんて私!!」

「おや、私は雪華とは言っていませんよ」

「ッ……う、うるさいうるさいうるさい!!!! さっさと行きなさい!!」

墓穴を掘ったヒナギクが顔を真っ赤にし、まるでツンデレの様な台詞――おそらく、中にいる人間の影響――を吐いてシグナムを追い出した。

明るくなったものだな、と扉を閉めて可笑しそうに……いや、嬉しそうにシグナムは微笑む。

――変わった。そう言いたかったのは、寧ろシグナムの方だった。明るくなった、何かを吹っ切ったと言う様にも思える。

それもこれも、命をかけて主を救ってくれた“友人”のお陰……そう考えた時、ふと気が付いた。

(……そういえば、友人が出来たのは初めてだったな)

記憶がなかった時は不思議にも思わなかったが、こう姉と過ごした十年近くの記憶が全て戻ると、なんだか不思議な気分になる。

――天才少女の“妹”。流石はあの人の“妹”……そんな言葉を聞かなかったのは、本当に久しぶりだったから。

「……さて」

記憶の戻った自分の想いに浸るのは、ここまでにしておこう。ふと彼女は桜色の髪を揺らして――不審者三名の後ろに回ることにした。

……不審者三名。赤毛の少女、守護騎士ヴォルケンリッター鉄槌の騎士、ヴィータ。まぁ彼女はいい。

頭に帽子を被った男、盾の守護獣、ザフィーラ。まぁ彼もいい。帽子は犬耳(?)を隠す為の物だろう。

しかし、しかしだ。コートとサングラス……明らかに間違った刑事知識を持ったヴォルケンリッターの最後の一人、湖の騎士、シャマル。

――目立つ。少なくとも病院の人々に怪しい目で見られるくらいには、凄い目立っている。

階段近くの壁辺りに隠れているつもりだろうが、全く隠れていない。そして、一番目立っているであろう人物が、全くそれを自覚していないと言うのが、一番厄介な事だろう。

「……ザフィーラ、やっぱお前シャマル連れて帰れ。アタシ一人で行く」

「だが……」

「お前ヒナギクと面識ないだろ、余計混乱させるだけだ。シャマルは……いると目立つ」

「え? 完璧な変装だと思うんだけど……」

それで完璧な変装なら、全国で変装を必要としている方々は苦労していないだろう。って言うか、楽になってもらっても困るのだが。

もう時間がない筈の守護騎士が、何故三人揃ってこの場にいるかと言えば――

「それで? お前達は何の用だ?」

「何の用って……ちょっと余裕が出来たから、この前の事をヒナギクに謝りに……」

「そうか、殊勝な事だな」

言いながら、ヴィータは気付いた。待て、今話しているのは一体誰だ、と。ザフィーラは勿論、いなかったシャマルにも事情は話している。

本来ここに来る余裕はなかったのだが、イレギュラーな事態があった事で余裕が出来た。

話を戻そう、今自分と話していたのは誰だ? いや、問う迄もない。その声を聞き間違う筈もないし、答えは目の前にあった。

桜色の髪をポニーテールに、彼女の意思の強さを現す様な、透き通る美しい瞳。何処か不思議な雰囲気を纏った彼女は、もう名前を問う迄もない。

「な、なな、なんでお前がここにいんだよ!?」

「主が入院しているからな。大体、私が病院にいて何が悪い」

それは、いつかと同じヴィータの問いかけ。が、シリアスの欠片もなく、あっさりとシグナムの正論によって切り捨てられた。

問いかけたヴィータも、冷静になるとそりゃそうだよな、と思ってしまう辺り、やはりシリアスの欠片もない。

そんなヴィータを尻目に、シグナムは酷く驚いているシャマルとザフィーラに視線を向け、そして再びヴィータに視線を戻しながら言った。

「……ザフィーラにシャマル、それにヴィータ、で合っているか?」

「合っているかって……貴方、“思い出した”んじゃなかったの?」

「思い出した、と言うのは語弊がある。私の記憶にない記録を、外部から叩き込まれた様な物だからな」

シグナムの言葉を聞いてもちんぷんかんぷん、といった風の三人。そりゃそうだ、これは彼女と記憶を封じる『魔法』を使った“姉”にしか分からない。

『……キミが全てを思い出した時、この記憶……いや、記録がキミの中に流れ込む。その時どうするかは、キミ次第だよ』

流れ込んだ記録は、そう多い物ではない。“前の自分”が目の前の三人とどういう関係だったのか、そして“夜天の魔導書”と言う本。

――だからといって、別にどうこうする気はない。自分は『烈火の魔法使い』。そして何より、あの方の“妹”である『芳乃シグナム』なのだ。

今の自分の記憶は、確かにそう。例え姉やおばあ様に会う前、どういう状態だったとしても、残酷な言い方だがまったく関係ない。

――烈火の魔法使いは、今まで確かにこの世界で姉と共に生きてたのだから。そしてこれからも、芳乃シグナムとして生きていく。流れ込んだ記録を見ても、シグナムは意志を変えず、そう選択したのだから。

(しかしまぁ、思い返すと姉さんも役者だな……)

何が自分では解けない、だ。掛けた本人が解けない訳ないし、さらっとおばあ様に責任を転嫁していた。まぁおばあ様もそう言われても仕方のないことをしているし、記憶が戻ったらすぐにバレる嘘だったのだから、よしとする事にしよう。

「それはそうと、主は今取り込み中……いや、取り込み中になる処か」

「は?」

「ほら、あれだ」

シグナムに顔の動きだけで促され、三人は揃ってヒナギクの病室を見た。

……そこに居たのは、一人の超絶美少女。帽子を被っていても、そのオーラは消せはしない。

そしてヴィータは、彼女に見覚えがあった。緋色の髪をなびかせ、業火の中から現れた彼女の姿を忘れる訳もなく、それ以前に“テレビで見た”記憶が――

「あぁ!! もしかして藤原ゆき――ふがっ」

「はいはい、言いたいことは分かるし、最近忘れていた正しい反応だが、病院では静かにな」

彼女の名を思わず叫ぼうとしたヴィータの口を、すぐさまシグナムが手で塞ぐ。

確かに、普通に身近にいるので忘れていたが、藤原 雪華とは今をときめく現役トップアイドル。本来テレビの向こうの人物なのだ。ヴィータの反応は凄く正しいし、ここで騒ぎが起きないことの方が奇跡に近い。

まぁそこは、使用する人達のマナーの良さ故だろう。病院の先生やナースの人に、サインを求められたりはしたが。

バシバシ、とシグナムの手を叩くヴィータ。分かったと言うことなのだろう、シグナムも大人しく手を離してヴィータを自由にしてやる。そこで当然の如くテレビの前での雪華を知るシャマル(はやてと揃ってファンだったりする。ちなみに口数が少ないザフィーラも)が、部外者の人間からすれば当たり前の疑問を持ち出した。

「な、なんで雪華ちゃんがその……ヒナギクさんの病室に?」

「なんでと言われてもな……主の“彼女”であるアイツが、見舞いに来てはいけない理由があるのか?」

沈黙、そして三人揃って目を見開き超絶の驚愕。なんだか、シグナムが目の前に現れた時より驚いている気がする。いや、確かに現役トップアイドルが現れて、果てには目的の人物の彼女などと言われれば、当然の反応かもしれない。

シグナムにとっては今さらだし、アイドルである以前に雪華個人の友人であるので、特に問題はない。
二回言うが、今さらなのである。

その当本人、藤原雪華はもう何回目かの手鏡を取り身嗜みをチェック。そして見舞いの品だろう物を持ちながら、入った時のシミュレーション。そこから再び身嗜みを――ループに入っていた。

が、そんな事をしている間に後ろにいた少年が迷わず扉を開き、雪華を強引に押し込んで手早く扉を閉めた。

まさに早業。そして目が物語っている……なんでこんな事してんだろ俺、と。静かに黄昏る少年……冬獅郎がシグナムの存在に気が付き、ふらりとシグナム達の下へ到達した。

「お疲れ様です、冬獅郎殿」

「なんで俺がこんな事……つうかお前がやれよめんどくせぇ」

「いえいえ、冬獅郎殿が一番適任でしょうから」

にこやかにそう告げるシグナムは、冬獅郎はめんどくさそうに、そうかよ、と言って静かに諦める。まぁ仕方がない。二人の会話に付き合う必要がないだけマシだろう。
ふと、彼は未だ呆然としている三人、ヴォルケンリッターの面々をようやく認識した。同時に、一人以外は顔に覚えがある事も。

「誰かと思ったら……この前、雪華に追っ払われた奴らか」

敵意も何もないから、思わずスルーしてしまっていた。そもそも敵意などがあればとっくに気付いているし、それ以前にこの面々を相手に戦いを挑むと言うのは“無謀”の一言だ。

――さらにそれ以前の話、よく最初に雪華と戦った時にアイドルだと気付かれなかったものである。知らなかったとはいえ、氷雪系最強の刀とそれを完璧に扱う人間の前で、悠長にそんな事を気にする余裕はなかったのだろうが。

チラリ、と冬獅郎がシグナムに視線を向ける。本当に大丈夫なのか、と言う確認だが、シグナムの答えは無論“問題ない”と言う目線の返答。それを見た冬獅郎が、もう三人に興味を失ったのだろう、話題を別な物に変えた。

「それはそうと、さくらの奴どこ行ったんだ? この前から姿が見えねぇが……」

「あぁ、“あの方”ならロンドンに帰りましたよ」

はぁ!? と言う冬獅郎の叫びも冷静に受け流し、シグナムは冷静に考える。そもそもな話、あの方がこんなに長期に渡って留まること自体が異例だったのだ。

それを言ったら自分もなのだが、半休暇状態なので特に問題は……在るのだが、後で片付けるのでやはり問題はない。

「アイツ、俺にも言わないで何やってんだ……」

「いつも大事な事を隠す貴方へのお返し、とあの方は言っていましたよ。大体、ずっとあの方をほったらかしにしていた貴方が言えることで?」

「…………い、いや、別にほったらかしにしてた訳じゃ――」

――なんでコイツが知ってんだ?物珍しい焦り顔を冬獅郎が見せた時、彼はその事に気が付いた。
バッとシグナムを見る……先程と同じ、にこやかな……と言うより、いじめてやろうと言う人間の笑み。

先程の言葉、“ずっとほったらかしに”なんて言葉は、文字どおりさくらと一緒にいなければ出てこない言葉だろう。だが、シグナムがこの地に来たのはもうすぐ一年程。その中で、さくらと己の事を話す程シグナムに彼女との交流が在ったとは到底思えない。

そして何より、スルーしていた分かりやすい変化。さくらを呼ぶ通称が呼び捨てから“あの方”と言う敬称になっている。

本人に自覚が在るのかは知らない。だが――

「……お前、間違いなくあの婆さんの孫だ」

――確信するくらいには、あの魔法使いと浮かべる笑みが同じだった。呆れ気味に頭を抱える冬獅郎に、シグナムは変わらずにこやかな笑みを浮かべて言う。

「お褒めいただき光栄です。それと、何も言わないからと、あの方が何も思っていないと思わない事です。無論、私も」

「……分かったよ、俺の負けだ」

なにに負けたかは分からないが、とりあえず負けにしておく。ちなみに最後のシグナムの忠告は、何も言わないがあの方は静かに怒っていますよ、と言う忠告文と同じだ。

いやまぁ、最初に再会した時に気まずいからと話を逸らしたのは自分だが、彼女はそれ以降普通だったので完全に油断していた。

そんな明らかに“帰ってきたらなんて言おう”と盛大に悩んでいる冬獅郎はさて置き、だ。

フワリとスカートを翻し、ようやく正気に返った三人に振り返るシグナム。その何気ない仕草にすら、何処か気品漂う彼女。そして、彼らには初めて見せる魔女の様な妖艶な笑みで、言った。

「さて、そろそろ場所を移そう。そして自己紹介。“初めまして”。私は『烈火の魔法使い』――芳乃シグナムだ」

――歪んだ物語は、日常すら出逢いの交差をもたらし、さらに加速する――











────────────────────

第29話、お送りしました。そしてごめんなさい、1話じゃ納まり切らないと思い、2話に分ける事にしました。予告混じりに言うと、この後にギンと緋炎の会話、その後になのは達の会話、そしてシグナム達に戻るつもりでした……どうしてこれが1話に収まると思ったのだろう(笑)

さてどうでしたでしょうか? 微妙なフラグ回収に加え、新たなフラグを立てるのお話。先程も言ったように、次回に続きます。

では感想等々も待ってます!!次回をお楽しみに!!
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  1. 2012/12/17(月) 17:49:03|
  2. 烈火の翼
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<活動報告 | ホーム | 魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第28話>>

コメント

冬獅郎、お疲れ様ですw

取り敢えずもうシャ○さんは変装させない方が良いとry)家にいて、料理して貰ry)

しかし遂に再会……どんな会話をするのか気になる所です。

P.S.脱字ですが、

「彼女の意思の強さ現す様な」→「彼女の意思の強さ『を』現す様な」

です。

P.S.のP.S.卯の花さん、やっぱりそうでしたかとw

そんな経歴の人が何故あの隊にと言う疑問がおい何をす(斬殺
  1. 2012/12/17(月) 19:47:13 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

>フルカスタムさん

感想&誤字報告ありがとうございます!!

冬獅郎もいろいろと苦労してますww まぁ彼自身もいろいろと迷惑を掛けてるんですが(笑)

そしてシグナムとヴォルケンリッターの会話は……すいません、次回には収まりませんでした(ぇ


では、次回をお楽しみに!!

PS.ホント、いろいろと凄い展開になってきましたねww まぁでも、また過去話が必要になってきそうな状況に……いやぁ、楽しみです。

卯の花さんは……ほら、頑張ったんじゃないですか?(ぇ
  1. 2012/12/29(土) 03:53:22 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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