サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第3話

「テスタロッサ? ……本当にそう名乗ったのか?」

「はい。裏月さん、知っているんですか?」

「ああ、まぁ正確にはそいつの親だな」

なのはの言葉に裏月は一度頷き、自分の前にあるパソコンのキーボードを高速で叩き始めた。

この間の出来事、フェイト・テスタロッサとの邂逅時、なのはが彼女の名前を問うた理由は2つ。一つは、なのは自身が彼女に興味を持ったから。もう一つは、知識が豊富な彼が、このように何かを知っている可能性があったからだ。

たとえ少女自身が有名でなくとも、その親が有名という可能性はある。相手が魔導師ならなおさらだ。
数秒もしない間に、パソコンの画面に誰かの顔が映った。なのはが画面を覗くと、それには一人の女性が映し出されている。

「裏月さん、この人がフェイトちゃんの母親ですか?」

「そ。プレシア・テスタロッサ。ミッドじゃかなり有名な魔導師“だった”らしいな」

「だった……ですか」

裏月の言い方だと、どうやら有名だったのは昔の話らしい。今はどうしているのか……なのはの疑問に答える為に、裏月はパソコンの画面を切り替える。そこに乗っているデータを彼女が読んでいくと、その表情はみるみる不快感を顕にしていった。

それも当然だろう。何せ、その情報は少女にとって……いや、普通の人なら不快な物でしかないのだから。

「これ、自分たちの失敗を、全部プレシアさんに押し付けたって訳ですか」

「ああ。プレシアが危険だと判断した実験を強硬。結果、事故によって死者が出ちまった。しかも、その責任を全てプレシアに押し付けた……まぁ、これはプレシアが行方をくらました後、捜査によってこいつの責任じゃないって分かったんだが――重要なのはそこじゃない」

彼がさらに画面を切り替える。そして、そこに映っている人物を見て、なのはは目を見開いた。

「なに……これ。この人、フェイトちゃんと瓜二つ……」

「やっぱりな。アリシア・テスタロッサ。十年前、さっきの事故で死亡したプレシアの“一人娘”だ」

「一人娘!? 父親は――」

「とっくに死んでる。しかも、アリシアの事はかなり溺愛していたらしいな。たった一人の家族……かなり精神的にきただろうぜ」

――おかしい。まず、アリシアとフェイトの関係。容姿が瓜二つなのは、双子という事ならば説明がつくが、一人娘なのだからそれはほぼあり得ない。

そして、さらにおかしいのはフェイトの年齢だ。フェイトの容姿からして、せいぜいなのはと同じくらいだろう。だからおかしい。

事故が起こったのは十年前。少なくとも、その頃にはフェイトは生まれてすらいない筈だ。つまり、最低でもそこから一年か二年以内にフェイトは生まれた計算になる。
父親は既に死に、プレシアは精神的に不安定な状態で、アリシアと瓜二つ――偶然にしては出来過ぎている。

ここで少女の頭脳は、一つの可能性を導き出した。ただ、それはなのはにとってはあって欲しくない可能性だ。

だが、それでも訊かなければならない。自分が思い付くのだ、彼がこの可能性を配慮していない筈がない。

「裏月さん……ミッドにクローンの技術って、ありますか?」

「――結論だけ言うなら、ある。違法行為だが、技術的には完全なクローンを生み出せる。お前なら、俺に訊くまでも無いだろ」

……普通ならば、クローンなど何をバカな、と切って捨てる人間が殆どだろう。だが、少なくともこの地球にとっては異常な魔法世界の技術を使えば、可能性はあった。
そしてその可能性は、裏月によって完全に肯定されてしまった。まだ確定ではないが、それでも可能性としてはあり得る話だ。

これについても調べておくか……と、裏月か自分のメガネを指で上げて位置を直し、突然話を変える。確かにフェイトの事も大事だが、忘れてはいけない事は他にもあるのだ。

「問題は他にもある。プレシアが居るという前提で、フェイトがジュエルシードを集める理由だ」

「願いの宝石、クローン……アリシアちゃんとフェイトちゃん。このキーワードから導き出される可能性は――まさか……!」

……ここまでキーワードが揃えば、なのはは彼女の目的が確信はないが予想できた。

しかし、裏月にとっては完全に確信していた。それは彼自身が、彼女に近い――大切な人を突然失う――事を体験しているからだ。

失った人の関係の違いがあろうとも、同じことを願うだろう。それは、裏月とて例外ではなかった。

恐らく、今のプレシアと過去の裏月の目的は同じだろう。下手をすれば、今も裏月はプレシアと同じことを願っていたかもしれない。

――それは、あらゆる人が願い、そして叶わぬ“ユメ”。かつては裏月も追い求め、だがその天才的な頭脳を持ってしても叶わなかった願い。

彼女はその叶わぬ“ユメ”を叶えようとしている。そんな事は、幻想でしかないだろうに……。

彼女が追い求めるもの……それは――

「……死者を生き返らせる。それが――」

「それがお前の願いか、プレシア」

裏月の言葉を引き継ぐかのように、全く別の場所で彼の親友がそう呟いた。

彼の手には一通の手紙があり、彼はそれを強く握りしめる。

「あのバカ者が……!!」

彼の呟いた言葉に込められたものは、手紙を送った人間に対しての怒りや悲しみが含まれているように思えた。

――だからこそ、彼も動き出す。向かう先は……自身の親友が居る場所。

「早まるな……早まるなよ、プレシア!!」

この歪んだ物語はさらに加速し、誰にも止められない。さまざまな願いの先には……何が在るのだろうか?









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「あれか……」

時間と場所が変わり、ビル等が立ち並ぶ市街地。そこに人影は一切ない。いくら夜と言えども、かなり異常な光景だった。

それも当然。何故なら、この場所一帯には魔法によって結界が張られているのだから。

そして、空中に浮かぶ魔法を帯びた宝石……ジュエルシードを見つめるのはシグナム――と、その主のヒナギクだ。

「へぇ~、なかなか綺麗ですね」

「はぁ……」

どうしてこうなったのだろう? その問いの答えは、シグナムが一番知っているのだが、そう思わずにはいられなかった。

まぁ、シグナムでも気付く近場でのジュエルシードの発動。それをヒナギクが気付かないわけがない。で、彼がこんな物をシグナムに任せて放っておくわけがなく、こうして一緒に来てしまった、という事だ。実際、シグナムでは結界を張れないので助かったと言えば助かったのだが。

さて、さっさと封印してしまうか、とシグナムは何処からかカードを取り出し、それをジュエルシードに投げつけた。そのカードはやけにあっさりジュエルシードに刺さり、あっという間に青い宝石を取り込んでシグナムの手元に戻ってきた。

本当にあっさり済んだな……シグナムはそう思ったが、すぐに思考を切り替えた。

どうやら、相手は気配を隠す気など毛頭ないらしい。結界内に誰かが侵入したのはとっくに気付いていたが、ここまで隠す気がないとはな。

暗闇の中から、二人の侵入者が姿を現した。一人は金髪の少女、もう一人は犬耳の様な物が付いている女性だった。

「……それを渡してください」

「断る、と言ったら?」

「無理にでも、奪います」

「ケガしたくなかったら、とっととそれを渡しなっ!!」

シグナムは一度、諦めた様にため息を吐いた。これは、一切話を聞くつもりなど無い。特に使い魔――シグナムからすれば守護獣――の方はすぐにでも襲い掛かって来そうだ。

これはもう、選択肢が無さそうだな……できれば主は巻き込みたくなかったのだがな、とシグナムは考えたが――

「シグナム、そっちの子は任せます」

「なっ!?」

「あ、アルフっ!?」

まさに早業。ヒナギクが転移魔法を起動、シグナムの返事を聞く間もなくアルフを連れてどこかへ転移してしまった。

シグナムは……今度は頭を抱えながらため息を吐いた。まぁ彼にとっては、シグナム一人に任せるという選択肢はないので当然と言えば当然なのだが。

こうなってしまったら、仕方がないな。そう思いシグナムは目の前の少女に意識を集中させた。

「どうやら、お前と私の一騎打ちらしいな」

「構いません。私もアルフも敗けませんから」

「大した自信だな」

だが、少しは自分達の力量を弁えた方がいい。確かにフェイト達の力量は、普通の魔導師に比べれば高い方だろう。

しかし、この二人は普通の魔導師の枠には収まらない。いや、魔導師ですら無い。

――それに、あの程度の輩に私の主が敗ける筈がないからな。

シグナムにはその自信があった。
だからこそ、自分は目の前の少女に集中できる。

既に目の前の少女は、己の武器を構えて戦闘態勢をとっていた。

ならば自分も、それに応えよう。シグナムは卍型の白い小刀を取り出し、それを前へ突き出した。

それだけ、たったそれだけの事なのに、少女はいきなり自分の体に重圧が掛かった様に思えた。

(なに……これ……)

(何なんだい! コイツはっ!?)

時を同じくして、少女の使い魔が戸惑いを感じていた。転移してすぐに、彼女は自身の主の下に戻る為にヒナギクに攻撃を仕掛けたのだが――その攻撃は一切当たらない。

使い魔、アルフの得意な距離である筈の接近戦が、全て通用しないのだ。あり得ない、自身の力量を理解しているアルフはそう思ったが、現実にそれが起こっているのだ。

対して攻撃を避けるヒナギクは……意気がった割りにはこの程度か、と失望にも似た感情を抱いていた。

これならば、自分の弟子と戯れ方が数倍楽しい。別に自分はバトルマニアでも何でもないが、こんな時でもないと、自分の弟子にまともに戦わせてもらえないので多少は期待していたのだが……期待外れもいいところだ。

それに――とヒナギクの表情がほんの一瞬だが歪む。それは、自分の胸に痛みが走ったからだ。

そろそろ、時間的にキツい頃ですね。相変わらず不便な体です……そう考えたヒナギクは、動いた。

「ッ!?」

次の瞬間、殴り掛かろうとしていたアルフは、本能的に後ろに跳んだ。避けるだけだったヒナギクの手には……一瞬前まではなかった一本の刀が握られていた。もし、退くのが少しでも遅ければ、アルフの意識は刈り取られていただろう。

ヒナギクが刀を顔の前に構え、その瞳をゆっくりと閉じる。

(ま、後でさくらに怒られるでしょうから――さっさと決着つけますか)

シグナムが左手を刀を構える右手に添え、さらに力を込める。

(さて……まだ記憶はまったく戻らんが、顔も解らない“姉さん”に恥をかかせぬ戦いをせねばな)

一見無防備に見えるが……相対している二人だから解る。下手なことをすれば、自分たちは一瞬でやられてしまう、と。

ヒナギクとシグナム。二人の魔力ではない何かの力が膨れ上がっていく。

「散って――」

ヒナギクの刀の刃が、その姿を散らし月の光を受けながら舞う。

「煌めけ――」

シグナムを白い光が包み込み、その光の奔流から少しづつ刀が姿を現す。

「――『千本桜』」

月の光を受けた刃が、桜のように美しく舞い散る。

「――『天鎖斬月』」

巫女の姿をした彼女の持つ刀が、一切の汚れなく白く煌めく。

今、姫と騎士が……歪んだ運命を斬り開く刃を振り下ろす。
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  1. 2012/03/17(土) 21:31:39|
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