サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 番外編Ⅲ


「おおおぉぉぉぉ――らぁ!!」

「うおおぉぉぉぉ――はぁ!!」

闇夜の天(そら)を刃が弧を描き、金属音と共に火花が散る。一度互いが離れ、再び力強く刃を打ち合う。

天鎖斬月が横凪ぎに振るわれる――氷輪丸がそれをいなす。

氷輪丸が左斜め上段から振るわれる――天鎖斬月がそれを難なく受け止める。

一進一退の攻防を繰り返し、戦いを彩る火花が数え切れない程に散り行く。

「月牙……天衝ォ!!」

「往け……氷輪丸!!」

互いに距離を取った瞬間、戦いは停止する事なく動く。天鎖斬月から溢れた奔流が型を成し、弧を描く白い斬撃が飛翔する。氷輪丸から溢れた冷却が型を成し、氷と水の竜が天を疾走する。

先に喰らいついたのは竜……が、その優劣はすぐに別れた。月牙が竜を砕いて往き、そのまま男に襲い掛かった。竜との衝突でタイムラグが在り、それは避けられたが、その隙を狙って崩天が特攻し天鎖斬月を殴る様に叩きつけた。

少し圧され気味の少年に対し、崩天は笑う。

「ハッ、人様乗っ取って力引き出しといて、その程度かよ!?」

崩天の言う通り、氷輪丸は少年の身体を乗っ取り……そして、自らの力を引き出している。例えそこに、資格者との信頼が無くとも。ならば何故、氷輪丸が崩天に圧されているのか?

理由の一つには、まだ氷輪丸が通常解放状態で在る事が関係している。常に完全解放状態と言っても過言ではない天鎖斬月を相手に、通常解放で挑むなど普通はナンセンスなのだが……少し違う、氷輪丸は全力を出さないのではなく“出せない”のだ。

氷輪丸の刀を圧し続ける崩天が、言う。

「違げぇな……まだそのガキと融合しきれてねぇんだろ!?」

「フッ――なら、少し強がってみよう」

「なに……ッ、チィ!!」

突如、崩天が自分に優勢だった鐔競り合いを崩し、その反動で後方へ飛ぶ。その時、先ほどまで彼のいた場所に巨大な赤と青が入り交じった球体が落ちて来た。無論、後方へ飛び球体を避けた崩天だったが、彼をさらに追撃するように上空からもう一つ球体が迫り来る。
再び飛び退き、それをやり過ごす崩天――

「卍解……大紅蓮氷輪丸」

――が、その背後に凄まじい冷気が集い、駆け巡るのを彼は確かに感じ取り、すぐさま後ろに振り返る。しかし、それより速く刃は振り下ろされた。

「氷竜旋尾!!」

巨大な竜を纏った様な姿の少年が刃を振り下ろし、崩天を名の通り尾の様な斬撃が包み込んだ。その氷自体にはすぐに罅が入るが……。

「千年……氷牢」

その上から、さらに氷の柱が集い、重なり合い崩天を封じ込めた。流石の崩天も、二段の囮に対しての対処で反応が遅れた所為で、完全解放への行動が一瞬遅れた。

決着はついた……そう言わんばかりに勝ち誇った笑みを浮かべていたのは、氷輪丸を持ったではなく、氷の牢を見下ろす二人の女性だ。

「ははっ、主に逆らうからこうなるのさ!!」

「噂の天鎖斬月も、所詮はこの程度――」

『――調子扱いてんじゃねぇぞ、ザコ虚(ホロウ)が……!!』

「「ッ!?」」

響く声は、氷の牢からの物……バカな。あり得ない、あの氷の中では指一本動かせない筈だ。そんな思いとは裏腹に、氷の牢に罅が入りそこから白い奔流が溢れ――瞬間、白い奔流が爆せ、氷の牢をいとも簡単に吹き飛ばす。

「主から能力(チカラ)貰っただけのクソガキが……」

白い奔流と冷気が晴れると、そこからダブり声が貫くように響き、圧倒的な重圧が空間を支配し、ただ立っているだけで空間が震えているように思えてくる、崩天がいた。

右半分が血の紋様で染まっている仮面……何処か禍禍しい雰囲気を出すそれは、幾千もの虚(ホロウ)が束ねられた存在である二人をも本能的に畏縮させる程の物だった――だからこそ、二人の反応は明確に遅れた。

「不意討ちの一回は一回です――月牙天衝・双牙」

「なに……ぐぁ!?」

「ヤン!! うぁ!!」

彼女達の真後ろから掛けられた声と共に、まずヤンと呼ばれた赤い虚が月牙の直撃を受け、殆ど差が無いタイミングでもう一人の虚にも蒼い月牙が直撃。二人とも月牙に呑まれ、そのまま地面に激突した。

二人を一瞬で倒した者……蒼天が、同じく一瞬で仮面を着けた崩天の隣に移動する。

「んだよ、高見の見物じゃなかったのか?」

「そう思っていたのですが、貴方の戦いに手出しする者がいましたので」

「あんなザコ、お前が手出ししなくても俺が一瞬で倒してたっつーの」

「私がそうしたかったので」

あーそうかいそうかい、と崩天がしれっと答える蒼天に呆れにもにた表情(仮面を着けているが)で言い、再び天鎖斬月を片手で氷輪丸に突き付けた。

「相変わらず仲が良いな、崩天」

「うるせーよ。テメェ、まだ続けんのか」

「クククッ……いいや、今は“まだ”虚化(ホロウか)したお前と戦う気はないよ」

今は“まだ”……そう不敵に笑い、完全解放状態――冬獅郎と違い、紫色の竜――を解除する氷輪丸。その隣に、先程の月牙を何とか耐えたのか二人の虚も睨み付けながら並ぶ。

「俺が逃がすとでも、思ってんのか?」

「そうせざるを得ない、とは思っているよ。この少年を身体を案じている、ならね」

「あぁそうだな――けど、ムカつくから一発喰らっとけ」

瞬間、崩天の天鎖斬月から仮面を着ける前とは比べ物にならない程の、圧倒的な白い奔流が溢れ出し、加速し――解き放たれた。


「――月牙天衝」


それは、斬撃という枠には収まり切らない物だった。崩天と氷輪丸の距離は、10メートルも無く、放たれた月牙は一瞬で彼らの姿を呑み込んだ。いや、それだけでは無い。圧だけで辺りの物が砕け、吹き飛ぶ。白い月牙は、辺りの天の一帯全てを覆い尽くす程の大きさ。

もはや爆発と呼んでも過言ではなく、天を崩す者の放った白い奔流はまさに、敵を喰らい尽くす“牙”だ。

凄まじい暴風と共に、漸く白い奔流が晴れて行く。そこには……誰もいなかった。跡形もなく消し飛んだ、と言う訳では無い事は撃った崩天と隣に控える蒼天には良く分かっていた。

「……まったく、無駄だと分かっていたでしょう」

「言ったろ、ムカつくツラに一撃入れたかったんだよ」

と、崩天が自らの仮面に軽く触れる。すると、重い重圧を放っていた仮面があっさりと消え失せた。そんな崩天を尻目に……蒼天がボソッと呟いた。

「…………ガキ」

「……オイコラ、今お前ガキって言ったよなぁ!?」

「いいえ。貴方がツンデレのガキとは、言いましたが」

「誰がツンデレだコラ!? テメェの方がツンデレだろうが!!」

「愛していますよ」

「心がこもってねぇ!!」

……なんか段々バカップルみたいになって来たので、以下の会話は割愛。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「んで、何から訊きたい?」

「じゃあ全部!!」

「……俺は何から、って訊いたんだがな、クイントさんよ」

崩天と蒼天がコントじみたやり取りをしているのとほぼ同時刻、首都防衛隊ゼスト隊隊舎。同じく、裏月とクイントも本当の意味でコントなやり取りをしていた。

それはさて於き、だ。

「しゃーねぇな。順を追って説明するか。まず、今回の一連の事件は――間違いなく、『理(ことわり)から外れし者』……その一人が起こしている事件だ」

「……それは、先程の救援に来た者達の事を言うのか?」

「はい。彼らは基本的に、人の前に姿を現す時は『資格者』と認めた人間と共にいるのです」

「さっきの二人の場合、俺とリインだな」

ゼストの質問にリインフォースが答え、さらに裏月がフォローを入れる。理から外れし者……彼らは、自らの意思で己が力を貸す――いや、力を共にするに相応しいと決めた資格者と共に在る。

ただ、性格や相性などの問題も在り一度に集結する数は多くない……そういう意味では、現時点で七人もの――候補や“例外”を入れれば九人――資格者がおり、その人物達の全員が互いの存在を認知している、と言うのはかなり珍しいと言えるだろう。

「で、ここからが重要だ。アイツらはな……管理局の法じゃ裁けない」

「「!?」」

裏月の言葉に、混乱を避ける為にゼストとクイントの二人だけに説明されていたのだが、その両人ともが驚きで目を見開いた。

「ど、どうして!? 少なくとも、このミッドで起こった犯罪なのよ!?」

「一つは、理から外れし者……つまり、“世界”と言う物から外れてるんだからその世界の法で裁くのは可笑しい。と言われてるな」

「もう一つは――彼らは関わっているんです。時空管理局……その、創設に」

……驚愕。というよりは、唖然として反応に困っていると言う感じの二人。まぁだろうな、と他人事のように裏月は思っていた。

話が飛躍し過ぎているとは、まさにこの事だろう。

「時空管理局創設……百年以上前の事にか?」

「あぁ。まぁ、生まれた時代が個人個人でバラバラらしいから、結構最近の奴もいるみたいだが……古代ベルカ時代程度なら、知ってる奴は多そうだな」

「て、程度って……」

「程度なんだよ。アイツらにとってはな」

そう、一部――最近の事だと言っているさくら、彼女と深い関わりが在る冬獅郎――を除き、古い歴史とされるベルカ戦乱時代も彼らにとっては“程度”でしかない。

しかも、表向きには知られていないが、彼らはベルカ戦乱時代に参加している。ただし、最後の辺りだけ……しかも理由が、あんまりにも五月蝿くて騒がしかったから、と言う後世にはとても語り継げない物なのだが。

誤解しないでもらいたいのは、この介入理由は一部の者でしかない事だ。公開されていない資料の中には、その圧倒的な力で戦乱の世を収めたとされる。ただ、戦争が収まったとき、彼らは表舞台から姿を消したとされ、ベルカの戦乱は表向き『勝者なき戦争』となっている。

一部記述には、一本の『刀』と共に戦乱の世を収めた者、その家系が在ったとされるが……これは、かなり有名な物では在る。この記述を踏まえると、ある意味この家系こそ戦乱の“勝者”なのかもしれない。今となっては、この戦乱の真実を知る者は彼らしかいないので定かでは無いが。

「んでもって、ベルカ戦乱に介入した奴らもいた訳だが……」

「再び彼らが表舞台に姿を現したのは、時空管理局創設の時と言う事です。彼らは、代々『刀』を受け継ぐ家系とされる『白河家』と共に管理局創設に尽力した、とされています」

「だから、管理局の法では裁けない?」

でもそれは、暗に彼らの犯罪行為を見逃す事になる。そう言いたげなクイントに、リインフォースが静かに首を振る。

「確かに、管理局創設から今まで何一つ問題は在りませんでしたが……彼らは、自分達の中で害を成す存在が現れたとしたら、自分達があなた方に協力し裁く。と言い残していたのです」

「つまりだ、レジアスのオッサンも動いている今……みんな動くぜ。刀を持つ者達も、処刑人(エグゼキューター)も、白河家の当主様も、俺たちもな。そして、切って落とされたこの戦いのタイムリミットと決戦までの時間は――三日だ」

三日……たったそれだけの時間が、彼らに残された世界のタイムリミット、及び決戦までの時間。

――歪んだ舞台の幕は、既に切り落とされている。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ごめんねギンくん、付き合ってもらって……」

「いやいや、お安い御用やって」

時が停止した地球、海鳴町。虚(ホロウ)との戦闘で疲れが在るだろうと、一時解散して各自自由行動が許可されたので、さくら、そして自ら付き添いを自称したギンが、海鳴の見回り兼散歩をしていた。

時(正確には世界)が止まった空間は、何の音もなく静かで、何処か神秘的だった。が、それでもさくらの表情を晴れやかにする事はできない。無論、その原因は……。

(冬獅郎くん……か)

そう考えるギンも、雪華やさくらでさえも彼の行方を知る者はいない。そして、姿を現さない彼にさくらの感情はみるみる不安定になっている。

二人の関係を知っているギンとしては、何処に言ったのやらと思う反面、強い嫌な予感にも駆られていた。

「っ、冬獅郎!!」

「さくらちゃん!?」

途端、ギンの思考を割いていた人物の名を叫び、さくらが走り出す。
少女が走る。ただ、必死な表情で。角を曲がり、少し広い道路に出た処で、さくらは立ち止まり叫んだ。

「――冬獅郎!!!!」

彼女の叫びと視線の先に……驚いたように振り返って、己の銀の髪を揺らす者がいた。彼は、驚きを含んだその声で言う。

「……さくら」

「冬獅郎くん」

少女の隣に、僅かに目を開いたギンも追い付き、その瞬間、我に返った冬獅郎が表情を厳しい物へ変える。だが、さくらはそれに気付かない。彼を見つけた嬉しさが、勝っているのだろう。

「冬獅郎、どこ行ってたの……心配したんだよ――」

「来るなッ!!」

ビクッ、と伸ばされた腕が震え、さくらの瞳が信じられない物を見た様に揺れる。拒絶……強い、自分への拒絶。さくらはそれを、まるで理解できなかった。いや、したくなかった、と言う方が正しいか。

冬獅郎が、ゆっくりと、その背中の刀に手を掛ける。

「今の俺は――お前らの、敵だ」

「どういう意味なん?」

それに対し、ギンがさくらの前に庇う様に立ち、己の刀に手を掛ける。さくらは、まだ動かない。動けない。

「答え次第で――ボクは君を斬らなアカン」

「答えるつもりはねぇ……霜天に坐せ、氷輪丸!!」

冬獅郎が刀を引き抜き、美しい冷気と共に竜が疾走。ギンも同じく刀を抜き放ち、接近する竜を横凪ぎに斬り裂き、地面の蹴り、また同じく走る冬獅郎と刃を交えた。

「初めてやね……キミと戦うんはっ!!」

「あぁ、そうだなっ!!」

互いの刃が弾かれ、二人の姿が消え、次の瞬間には再び激突。ギィンと、何度も刀がかち合う音が響く。
何度かそれを繰り返し、長刀と短刀が鐔競り合いが行われ、二人の視線が交錯する。

何かの、覚悟を決めたサファイアブルーの瞳と、それを見定める淡い水色の瞳。冬獅郎の刀にも、迷いは無い――

「――やめて!!」

――なかった。と言う方が正しい。叫んだのは、今にも泣きそうな、悲痛な表情のさくら。

その声と、ギンの後ろに見える彼女を見た事で、冬獅郎の刃は揺れる。

「やめてよ!! 冬獅郎……やめてぇ!!!!」

「ッ……!!」

さらに刃は揺らぎ、彼自身も目を伏せ、表情を見せずに歯を食い縛る。それでも鐔競り合いが崩れないのは、ギンが同じだけの力を込めているから。そして、ギンは解った……彼が何をしようとしているかを。

一瞬、冬獅郎とさくらの瞳が交わる。同じサファイアブルーの瞳が……違う理由で、揺れる瞳が。さくらは、彼の表情を見た。その、何故か自分が良く知っている……けど、今まで見た事が無い筈の――

『ごめんね――冬獅郎』

――矛盾した、その彼の耐える様な、自ら抱え込む様な表情を。混乱した今の彼女には……解る筈もなかった。

再び目を伏せた冬獅郎は一度飛び退き、地面を蹴り上げ三度、ギンと刃を交える。その時、冬獅郎の唇が間近にいたギンにしか解らない程度に、動いた。

「――――――」

「……!!」

僅かに目を見開いたギンを見て、冬獅郎は一気に空中に飛び、刃を振るって水と氷の竜を生み出す。それ自体は、先程と同じ様にギンの刀で斬り裂かれたが……水と氷が消え、視界が晴れた時には、冬獅郎の姿はなかった。

「……どうして?」

じっと彼が消えた空を見つめていたギンが、その声にハッとなり振り返る。

……ポタリ、涙が地面にこぼれ落ちる。

「……なんで?」

『今の俺は――お前らの、敵だ』

また一粒、時が止まった地面へとこぼれ落ちる。呆然と、虚空を見るさくらの瞳から、とめどなく涙がこぼれる。誰も、少女の問いには答えられない。ギンも、自分が答えても意味がないと知っているから。

起こった事を否定するかの様に、首が左右にゆっくりと振られるが、現実は何も変わらない。そして、また静けさが戻った街に――声が響いた。

「どうして……冬獅郎――――――――!!!!!!」

――悲痛な絶叫が響き渡るその時……歪んだ物語は、また加速した。
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  1. 2012/11/15(木) 22:43:35|
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  4. | コメント:2
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コメント

さくらの悲痛さが痛い程伝わりました……

3日間の間にケリを付けて欲しいですねぇ……
  1. 2012/11/18(日) 20:56:05 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

さくらの想いが伝わってよかったです……個人的に、冬獅郎は帰ったら殴られ(ry

果たして三日間の間に決着はつくのか?

感想ありがとうございましたm(__)m
  1. 2012/11/30(金) 03:39:54 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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