サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 番外編Ⅱ


溢れだす虚(ホロウ)。停止した世界の“時”。その混乱の中で、凄まじい斬撃音が響き渡っていた。
二つの刃が光りを反射させ、煌めきを放ち、ぶつかり合い火花を散らす。時には互いの場所を入れ替え、時には黒髪の男がジャンプし上から振るった刃を、銀髪の人物があっさりと受け止め、再び高速の剣戟が始まる。

弾き、弾かれ、ぶつかり合っていたそれは、両方が一度距離を取った事で終わりを迎えた。

「――貴様、虚(ホロウ)だな?」

白銀の剣を構えた、女性の様な容姿を持った銀髪の少年――ジャンヌ・ダルクが男に問い掛ける。

男は……答える代わりに、一気に距離を詰めて再び剣を振り下ろした。素早く反応したジャンヌが、その刃を剣で受け止めた事で、先程とは打って変わって鐔競り合いになった。そんな状態でも、ジャンヌは平然と話を続ける。

「それも普通の虚じゃない。何百……いや、何千もの虚が融合して創られた個体だな」

刃を交えただけで、すぐに解った。様々な“魂”の感覚、明らかに人間では無いと解るそれは――同時に、男の刃に何の“心”も無いと言う事さえも、ジャンヌは感じ取る。

そして、敵をも萎縮させる彼のサファイアブルーの瞳が男を射ぬく。

「貴様の狙い……違うな。貴様の主の狙いは何だ?」

「……お前は、主の計画の邪魔になる」

言うなり、男が剣を弾き再び距離を取る。大きく飛んだ男が着地すると、剣を持っていない方の腕を掲げ――空中に何本もの“剣”を成形した。その光景を見れば、誰もが男が普通の人間では無いと理解出来るだろう。

「成程、大した曲芸だ」

「……消えろ」

ジャンヌの、称賛にしては幾らか感情がこもっていない言葉を無視し、男が空中に停滞させていた剣を解き放つ。

放たれた剣の総数は、六。それが一気に、ジャンヌに向かって飛翔する。それに対して、ジャンヌは動ずる事も無く動く事も無い。いや、動いてはいた。左手に持った剣を、右手に持ち変えただけだが。
そのまま、剣はジャンヌに突き刺さると思われた。当たり前だ、ジャンヌは何も“構えていない”のだから。

……普通の思考をした人間なら、そう考えるだろう。だが違う、ジャンヌは“構えている”。ただし、無形の構えで。

――瞬間、六本の剣が火花を散らし、金属音と共に全て撃ち落とされた。ほぼ、同時に。

「大した曲芸だが、所詮はこの程度か」

透き通る、白銀のクリスタルの様な刃を持った剣を再び構え直したジャンヌが、平然と言う。先刻、ジャンヌの目の前を飛翔していた剣は、他ならぬジャンヌによって“撃ち”落とされた。そう、撃ち落としたのだ、彼は。

証拠に、落ちている剣の近くには六つの銃弾が落ちている。魔力で創られてはいるが、形は普通の銃弾と何の変わりもない。そして彼の騎士甲冑(の様な物)の、コートの様に後ろ足辺りを隠すスカート部に隠された銃も在る。

だが、いつどうやって――そんな考えは、男には浮かばない。ただ自分は、目的を果たすだけだと言わんばかりに、また剣を構える。

再び剣劇の嵐が再開される……そう思われた刹那、在る変化が起こり、その予想は覆された。

ドクン!! と凍結した空間が震えたかと思うと、穴が……虚が溢れ出ていた空間の穴が閉じて往く。

「空間が……!!」

「…………」

それが合図だったのだろう。男が無言のまま一歩下がり、そこから一気に撤退を開始した。追うか追うまいか……ジャンヌがそう思案した時には、男の姿はなかった。恐らく、転移の類を使ったのだろう。

――結局、敵の目的は判らずじまいか。謎も謎、謎だらけだ。これだけの虚、彼らの存在を知っている者ならば人為的な物だと簡単に想像できる。そしてこの、凍結した空間。自分たちが動ける理由は何となく解るが、それ以外は本当に謎だらけだ。

「ジャンヌ~~」

「……リリィか」

非常に甘い声、と言うか何というか、そんな感じの声がしたのでジャンヌが後ろを向くと、一言で言えば美少女がいた。そりゃあもう、この場に合わないくらいの。

ふわりと揺れる、ツーサイドアップに括られた天然パーマの金髪。あと、言っては何だがなのはとは対照的な大きな胸に、かなり小柄な体型をしている。所謂(?)、一定の層に人気そうな少女だった。

「無事だったか……と、訊くだけ無駄だな」

「あ、ひっどーい!! そこは無事だったかの後に、安堵の表情で“良かった……”って繋げる処だよ!!」

「注文が長い」

バッサリ、一刀両断と言う文字のままに言うジャンヌに、リリィは暫く文句を言っていたが、状況が状況なのですぐにおふざけモードから切り替わった。

「ねぇねぇ、どうするの?」

「他の者と合流だな。じっとしていても始まらん」

「ラジャー!!」

ビシィ、と上目遣いで敬礼をする器用なリリィが少し可笑しく思えて、ジャンヌは微笑を零す。

緊張感の無い奴だ……そう思うジャンヌだが、それがリリィの良さなのかもしれないと、思い直してまた微笑する。

「それにしてもさぁ、何だか大変な事になったね」

「まぁそうかもしれんが――遺伝子バカの吸血鬼と会うよりは、大分マシだと思うがな」

ジャンヌの言い回しに、キョトンとなるリリィだったが、すぐに言っている事が解ったのか、ポンっと手を叩いて歩きながら会話を続けた。

「ああ、ブラドの事かぁ。ホント、ジャンヌってアイツの事が嫌いだよねー」

「ふんっ、嫌いになる要素しかないからな。まぁ、最後は自分が引っこ抜いた柱の下敷きになったまま捕まったのだから、どうしようもなく好い気味だったよ。聞こえていたかは知らんが、ついでにいろいろ言って遣ったしな」

ついでって……呟き、若干苦笑するリリィ。が、ジャンヌはマジで嫌っているのか、ハッハッハと笑う。

そりゃあもう、悪い顔で笑う。今さらだが、彼の弟とはまた違う感じでSな感じである。

「確かに、当たり前だけど好かれる要素は無いよね。遺伝遺伝うるさかったし、アリアや理子を欠陥品呼ばわりするし……」

「まぁ、その欠陥品呼ばわりした人間達に倒されては、世話ないがな」

皮肉げに言うジャンヌに、リリィは少し曖昧に笑う。ここまで相手を嫌うジャンヌと言うのも、少々珍しいからかもしれない。まぁ、ジャンヌが一番嫌う性格なのだから、当たり前なのかもしれないが。
そんなこんな、まるで夫婦の食卓の様な会話をしながら、二人はシグナム達と合流。ここから、この歪んだ物語は本格的に動き出す――

「……夫婦漫才か?」

「違う!!」

「漫才はともかくぅ、夫婦って処は肯定しても――」

「するかぁ!!」

――のかもしれない、多分。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「……よし、揃ったな。早速始めよう」

アースラの会議室にて、クロノが真剣な声色で周りの人間を見回して言う。集まっている人間は、フェイト・テスタロッサ。八神 はやて、その守護騎士のヴォルケンリッター三人のうちの二人、ヴィータとザフィーラ。少し離れた場所には、虚出現時に駆け付けたさくら、そしていつもの真っ白な服を着た市丸 ギンの姿も在る。

「もう言うまでも無いだろうが、キミ達に集まってもらったのは第97管理外世界“地球”……そこで起こった異常の為だ。一つは、謎の時間停止。もう一つは、虚(ホロウ)の大量発生についてだ」

「――ぶったぎる形で悪いんだけどさ、虚(ホロウ)って何なんだよ? あの変な化け物……」

いきなり疑問と投じたのは、赤毛の少女、ヴィータだ。その表情は平淡としているが、その心境は穏やかでは無い。当たり前だ、訳の分からない事が多すぎる。

「そうだな、キミ達にはまずそこから説明しなければならないか。……虚とは、簡単に言えば彷徨う魂が形になった物だな」

「本当に簡単に言(ゆ)うと、そう言う事やね。まぁ、厳密に説明すると面倒やけど」

「……全然わかんねぇ」

苦い表情で呟くヴィータに、クロノも内心同意する。彼とて、全て理解している訳では無いし、虚の情報もなのはから少し聞いたことが在るだけだ。

取り敢えず虚の疑問が解決……する訳がなく、次に疑問を投げ掛けたのははやてだった。

「ちゅう事は、虚の大量発生は自然現象なん?」

「ううん。こんな形で虚が現れるなんて、普通はあり得ないよ」

「へ?」

はやての論をあっさりと否定したさくらに、フェイトがそれを引き継ぐ形で言葉を紡ぐ。

「そう、虚は本来“ヒト”に取り付いて、強い『感情』に呼応して目覚める。だから、虚が個体で身体を持つなんて事、あり得ない」

「……つまり、人為的に創られた物か」

「うん。今回みたいに例外的に身体を持ったとしても、虚単独での力は弱いから、虚にとっても良いことは無い。ザフィーラ君の言う通り、自然現象じゃなくて、誰かが虚の魂を集めて強引に創ったと考えるのが普通だね」

だからこそ、敵は虚を大量に出現させた。例え個々の力が弱くとも、千もの数が集まればそれは脅威となる。つまりは、そういう事だ。ただ、ここで疑問となるのは、やはり虚を操る人物の存在になる。

「問題は、誰が何の目的で虚を生み出し、操っているかだな。そして、時間停止の件も――」

「――厳密には、時間停止ではなく空間凍結ですね」

クロノの言葉を遮る凛とした事が響き、会議室の扉が開いた。全員が視線を向けると、そこには五人の人物がいた。堂々と入って来るジャンヌに、不法侵入紛いの行為に若干申し訳なさそうな表情のリリィ。いつもと大して変わりは無い様に見える、シグナムと雪華。

そして、最後は――

「ヒナギ……ク、じゃねぇな」

「あら、やっぱりヴィータちゃんも分かっちゃうんですね。それはそれとして――申し遅れました。私は紅 刹那です。以後、お見知りおきを」

ふわり、金の髪を揺らし、そんな些細なことさえも優雅に見える動きで、彼は……紅 刹那はお辞儀をした。それだけなのに、元からいた者のヴィータを除いた全員が見惚れてしまう。そして、彼が頭を上げたのと同時に、ヴィータが問いかけた。

「んで、何でアンタが出て来てんだよ。ヒナギクは?」

「私が出てきた方が説明しやすいと思って、ちょっと眠ってもらって変わりました。まぁ、遣る事をやったら戻りますよ、かったるいですし」

「……簡単に言うがな、お前が戻った後、主を相手に誤魔化すのは私なのだが?」

「あら、主のサポートは騎士様の役目ではなくって? まぁ私がかったるいだけですけど」

ジト目で言うシグナムに対し、刹那は笑みを浮かべて平然と返す。外面だけ見れば、ヒナギク相手にいつも敬語のシグナムがタメ口と言う、かなり珍しい光景に刹那を初めて見た一同が唖然となる。

その空気を取り払ったのは、二人のやり取りを呆れ顔で見ていた雪華だ。

「ちょっと刹那、説明するならさっさとしたら?」

「ん、それもそうですね。それじゃあ、まずはこの事象ですけど――これは、地球と言う世界“そのもの”が凍結しているんですよ」

結構あっさりと、特に前置きも無しに言う刹那だが……当然、それだけで解る人間は殆どいない。ほぼ全員が「?」を浮かべていて、シグナムと雪華は何となく、ジャンヌ、そしてギンとさくらはだいたい解っていると言う感じだ。

「まぁ分かりやすく言いますと、地球と言う“存在”が凍り付いてしまっている、と言う感じですかね」

「……それ、時間停止と変わらないんじゃねーの?」

「言ったでしょヴィータちゃん、“厳密には”違うって。大雑把に言えば、時間停止も空間凍結も変わりは無いですよ」

「だから、重要なのはそこではない、だろう?」

そう言ったのはジャンヌで、刹那は彼を見て、肯定の意を込めて頷く。重要なのはそこではない……問題は、それだけの事が出来る者が誰なのか、だ。

「今回の空間凍結に於いて、フェイトちゃん達が無事だったのは、大なり小なり空間凍結を行った者の力に対抗できる力を持っていたから。そして、この空間凍結を成した人物は、世界と言う理(ことわり)から外れた者……つまりは、世界から縛られない者がした事ですね」

「要は、ボクらと同じ存在や言う事や」

ギンの言葉を訊いて、一番驚いたのは誰だっただろうか。その力を目の当たりに何度も目の当たりにした事の在る、クロノか。もしくは、使い方次第ではその力に匹敵する力を行使する事が出来る、フェイトか。

そして、ジャンヌの隣にいるリリィが、改めてギンに問いかける。

「ギンくんは、これを遣ったのが誰か知っているの?」

「……出来れば、外れて欲しかったんやけど、ね。なかなか面倒な能力を持ってる子やから。これを遣ったのは恐らく――」

ギンが薄く目を開き、告げる。その、驚愕の名を。

――もう一つの氷輪丸、と。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

少し時間は進み、日が沈んだミッドチルダ構外。とある通報を受けた部隊が、一部の隊員を率いてそこを訪れていた。その部隊とは……。

「隊長、通報が有ったのはここですが……」

「あぁ。まだ何も見えないが、警戒しろ」

時空管理局、陸の“最強部隊”として名高いゼスト隊だ。急な通報ともあり、全員が揃っている訳では無いが、オーバーSランクのゼスト・グランガイツに、AAランクのクイント・ナカジマがいる時点で、ただの通報にしては行き過ぎている戦力だろう。

――当然、ただの通報でないからの戦力と言える。通報した者が見たと言うのは……巨大な“氷の竜”。そう、氷と言うキーワードが引っ掛かり、ゼストは隊を率いてここまで来たのだ。今ミッドチルダで起こっている事件――氷結系魔導師が襲撃され、さらには高ランクの魔導師が行方不明――と関係が在る可能性が在った。

そしてそれは――間違いではなかった。

「っ、全員下がれ!!」

「隊長!?」

己の得物である槍のデバイスを構え、推進用の魔法陣を展開するゼストに対しクイントが叫ぶが、ゼストは答えず、変わりに衝撃を爆発させ突撃した。

――瞬間、暗闇を突き抜けて真っ直ぐに迫る巨大な氷の竜。見た時にクイントは理解する。速度、大きさ、そして恐らく威力も巨大なそれは、不意討ちで放たれてしまえば自分達には対処のしようがない。だが、隊長は自分達より速く気付き、対処しようと突撃したのだ。

ゼストが誰よりも速く反応できたのは、彼自身の才と……かつて、違いは在れど似ている力である天鎖斬月と直接打ち合った事が在る故だろう。

「オオオオオオオッ!!!!」


『ギャオオオオオッ!!!!』


衝突した竜と槍が、氷と衝撃波で圧力を作り地面を砕く。凄まじい轟音を鳴らし、鬩ぎ合う二つの力。それは一度、氷の竜がゼストを圧している様に見えた――

「グォ――オオオオオオオッ!!!!」

が、ゼストは敗けるつもりなど毛頭ない。ズガンッ! と地面が割れる程に力強く脚を踏み、推進用の魔法を……何と二重で行使する。無茶な魔力行使による痛みに苦悶の表情を浮かべが、歯を食い縛り耐えて無視する。

結果、圧され気味だった勢いが拮抗し、氷の竜が砕け散る形でゼストが競り勝った。衝撃に逆らう事なく下がったゼストは、多少息が上がりジャケットも損傷していたが、戦闘不能と言う程では無い。その事に安堵の表情を浮かべる隊員もいたが――その表情は、すぐに凍り付く。

『ギャオオオオオオオッ!!!!』

「なに!!」

「そんな……あの威力の攻撃をこんな短時間で!?」

再び迫る氷の竜。それは先程と同じ大きさ、同じ速度。ゼストは今の攻撃の反動で動けず、クイントもあれだけの攻撃を即座に打ち消す攻撃など無い。

万事休す……せめて魔力防壁だけでも、と捨て身で隊員たちの前にクイントが立ち――

「月牙……天衝ッ!!」

――その瞬間、飛来した蒼い斬撃が氷の竜と衝突する。氷の竜は斬撃に噛み付き、斬撃は勢いのままに氷の竜に猛進。竜がさらに強く噛み付き、斬撃が竜に罅を入れた時、両者が弾け飛ぶように衝撃を撒き散らし、相殺した。

そして、斬撃……月牙天衝を放った女性が、ゼスト隊を守るように前に現れる。蒼いロングコートのような服に、セミロングの蒼い髪。手に持っているのは、蒼い天鎖斬月……と、蒼一色の姿だが、その瞳は対照的に紅い。

その女性に少し遅れる形で、二人の人物が降り立つ。

「何とか無事みてぇだな、ゼストのオッサンにクイントさんよ」

「裏月くん、それにリインフォースちゃんまで……」

「こんな状況ですが、お久し振りです」

一人はオレンジ色の髪を持った青年、裏月と深めの銀色の髪と深紅の瞳を持つ美しい女性、リインフォース。

「言い方悪りぃけど、ここに来たのがアンタらで良かったぜ。ゼストのオッサンじゃなかったら、全員がよくて全治一ヶ月の病院送りだったな」

出てきていきなり、呆れ顔でそう言う裏月。これは、敵が規格外の相手なのに不意討ちに反応し、攻撃まで相殺して見せたゼストに呆れているのだろう。そのゼストですら、二重のブースト魔法を行使して相殺が限度、と言うのは驚くべき話だが。

「主、ここは私に任せてください。後の方は撤退を」

「なっ……」

「よっしゃ、後は任せたぜ」

ぐぃっとゼストの肩を強引に持ち、撤退の準備を開始する裏月。が、ここで異議を申し立てたのはクイントだ。

「ちょっと!! 犯人を置いて撤退だなんて……」

「仕方ありません。敵と、普通の騎士や魔導師との相性が悪過ぎます――蒼天、崩天(ほうてん)は呼んだ方が良いか?」

「いえ、あの方は戦(いくさ)の匂いすれば、すぐに現れますよ」

「――人を戦闘狂みてぇに言うんじゃねーよ、蒼天」

どこからともなく声が響き、どこからともなく蒼天の隣に男が現れた。白い髪、リインフォースに蒼天と呼ばれた女性と色違いの白い服を着て、白い天鎖斬月を持った青年。白一色の姿に対して、その眼球は黒い。

「違うのですか?」

「違げぇよ。俺は戦いが好きなだけだ」

世間一般では、そういう人を戦闘狂(バトルマニア)と言う。

「主さまよ、ちょっくら勝手に遣らせてもらうぜ?」

「好きにしろ。私に、お前を束縛する権利は無い」

「へっ、サンキューな。ほら、お前らは邪魔だからさっさと帰れ」

シッシッ、と言わんばかりに手でクイント達を追い払う崩天。クイントはやはり反論するが、もう裏月がゼストを強引に連れて、リインフォースと共に離脱している事に気が付かない。

「いやだから――」

「何してんだ、置いてくぜ?」

「え、ちょっと裏月くん!?」

あぁもう、と呟き、仕方なしに残った隊員たちに指示を出してクイントも離脱する。

彼女らが小さく見える位になった処で、崩天は振り向き、少し大きめな声を出した。

「そろそろ隠れてねぇで出て来いよ――氷輪丸」

「隠れていたつもりは無いさ」

崩天の声に暗闇から反応し、靴音を鳴らしてゆっくりと姿を現したのは……まだ、少年にも見えそうな程の男だった。少し古ぼけたマントを羽織り、手には氷輪丸――冬獅郎の物とは少し形が違う――を握っている。

「邪魔者が居なくなるのを、少し待っていただけだ。久しぶりだな、崩天、蒼天」

「氷輪丸……貴方、その少年の身体を強引に……」

「はっ、何を言っているんだ蒼天。人間など、俺たちにとってただの塵(ゴミ)にしか過ぎないだろう? さぁ、少し話をしようじゃ――」

その刹那、光りが氷輪丸の隣を駆け抜け、風圧で彼のマントが翻った。残ったのは、斬撃の跡……そして、振り下ろした刀を構える崩天。その光景を見た氷輪丸が、驚くどころかフッと笑みを零す。

「――ごちゃごちゃうるせぇ。俺の“本能”が叫んでんだよ、テメェが敵だってなぁ!!」

「……クククッ、相変わらずだな崩天。なら、話の前に勝負といこうじゃないか」

「上等だ――後で吠え面かいてもしらねぇぞ!!!!」

好戦的な笑みを浮かべ、凄まじい速度で突撃し斬り掛かる崩天に氷輪丸も刀でそれを受け止める。

刃が交わり、火花が散り、理(ことわり)から外れし者たちが集い――歪んだ物語は、また加速する。
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  1. 2012/11/15(木) 22:35:26|
  2. 烈火の翼
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

リインフォースも刀を……だと……?

それはさて置き、地球そのものを空間凍結させるとは恐ろしい力ですね……
  1. 2012/11/18(日) 20:52:35 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

まぁさらっと本編のネタバレやってしまった事はすいません。いやまぁ、今さらですが(笑)

彼らからすれば大したことはしてないんですよね。まぁ世界の理から外れた彼らだからこそ、ですが。

感想ありがとうございましたm(__)m
  1. 2012/11/30(金) 03:37:45 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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