サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の魔法使いの出逢いの物語 第1話

「……私は休んで来いとは言いましたが、人を連れて来いと言った覚えはありませんよ」

心なしか呆れた様な表情で、生徒会室に入って来た刹那とシグナムを迎え入れたシュテルが、そう言う。まぁ、この休日に人を連れて来るとは思っていなかったし、何より自分の師匠にして珍しい行動を取るのだな、と言うだけなのだが。

シグナムはそれに少々困った表情になっているが、刹那は笑顔でシュテルに返事を返した。

「いやぁ、迷子になっていたのを放って置けなくて」

「まっ……!!」

「成程、それなら仕方がないですね」

「良いのか!?」

良いらしい。っていうか、シュテルとしても特に関係はなかったようだ。どうせ、書類整理は全て終わっているのだし。と、シグナムの突っ込みを華麗にスルーしたシュテルが、彼女の分の紅茶を素早く入れ、自身の座ったソファーのテーブルに置き座るように促す。それに従って、シグナムが反対側のソファーに座り、刹那もシュテルの隣に座った。

「では自己紹介にしましょう。私は生徒会副会長・高町 シュテルです。以後、お見知り置きを」

「芳乃 シグナムだ。よろしく」

ペコリ、と礼儀正しく頭を下げたシュテルに習い、シグナムも頭を下げて自己紹介をして顔を上げる。すると、シュテルは分かりにくいが、何処か驚いた様子になっており、その理由はすぐに本人の口から語られた。

「芳乃……では、貴方が学園長の?」

「学園長……あぁ、さくら姉さんの事か。そうだな、私はあの人の妹だ」

「それで、こんな時期に転校なんて事も可能だった訳ですね」

「あぁ。まぁちゃんと試験は受けたし、合格もしたからな?」

一応言っておく、といったう感じで言うシグナムに、シュテルは分かってますよと返す。いくら身内とはいえ、学園長がそういう事をする人物ではないと知っている故の返事だ。

「改めて、よろしく頼むシュテル。私の事はシグナムで良い」

「はい。ではシグナム、私の師匠の事は……もうご存知でしょうね。この学園の生徒会長・紅 刹那。私の師匠で、こんなんでも男ですので」

「ちょっと待ちなさい。“こんなん”とはなんですか、“こんなん”とは」

こんなん……まぁ、刹那の女性的な容姿を言っているのだが、それを訊いた本人は若干怒りを含めた表情でそう言う。ただ、弟子の冗談と分かっているのか本気で怒っている訳ではないらしい。

そこから、何気ない雑談を交え、話題はシュテルの年齢に移る。

「それはそうと、シュテルはまだ中学生だろう?」

「えぇ。この身長の所為で、よく高校生と間違われますが。それが何か?」

因みに、シュテルの身長は170㎝前半。シグナムと殆ど同じであり、彼女が高等部である事を考えると中学生にしてはかなり高い方だろう。ただ、シグナムと違って胸は無いのだが。

ついでに言うと、刹那の身長は高く見積もっても150㎝後半。本人も気にしているのか、身長の話題になった途端になんともまぁ微妙な表情になってしまった。

「いや……中等部のお前が、どうして副会長をしているのか、と思ってな」

「成程、その事ですか。その理由は、そこにありますよ」

シュテルが目線だけで示した場所に、シグナムが視線を向けると……そこには、大量の紙の束、束、束。下手したら崩れてしまいそうな程、大量の資料や学園の書類が積み重ねられていた。

その光景を見て、シグナムは何となくその“理由”とやらを理解し、そして詳しい説明は刹那が引き継いだ。

「多分、シグナムさんの予想通りですよ。この学園、基本的に中等部と高等部が一緒に企画をやる事が多いんです。で、会長は高等部から、そして副会長は……」

「中等部から。それも、“会長が信頼出来る人間”から選ぶのです。つまり私ですね」

「そういう事か。刹那から、信頼されて選ばれたと言う訳だな」

「凄いでしょう。えっへん」

途中で言葉を引き継いだシュテルが、グッと膨らみの無い胸を張り誇らしく言うが……感情の起伏が少ない所為で、なんか変にシュールである。

「でも、シグナムさんも大変なタイミングで転校してきましたね。正式な転校日は休みを明けてから、火曜日でしょう?」

「そうだが……何か在るのか?」

「えぇ。その日に、ちょっとしたお祭り騒ぎが。まぁでも、参加しなければ普通に屋台を楽しめますよ」

「――さて、それはどうでしょうね?」

ニヤリ、と言う文字が似合いそうな位、不敵に笑うシュテルに、あぁこの子は何か企んでるな、と刹那には解ったが、屋台と言う言葉を訊いて、さっそく食い物巡りの計画を立てているシグナムは気付かなかった……。


さて、と言う訳で何の問題も無く休みが明け、さらに準備期間を1日挟んで火曜日。桜並木の通学路、そこには大量の店、店、店。クラス全体と言う訳では無く、個人のグループを組み、それぞれの店を開くので、必然的に店が多くなるのである。因みに、予算は学園から割かれる他、個人でも出せるのでいろいろな店が出来たりする。当たり前だが、お金持ち学校だから出来る芸当だ。

で、そんな中、転校生・芳乃シグナムは最初の店辺りで展開されている店の地図を開き、そして力強く己に宣言した。

「よし、回るか」

「――相変わらずだなぁ、お前」

ふと、後ろから掛けられた聞き覚えのある声に、シグナムは反応して後ろを振り返った。そこにいたのは、この学園の生徒だろう男子。オレンジ色の髪に、整った……と言うより、何処か不良にいそうな顔立ち。勿論、不良などでは無い。

友人か、はたまた恋人か。詳しく見ている人間がいれば、そう考察したかもしれない。が、彼らの関係は予想の斜め上を行く物だった。

「裏月(りげつ)兄さん? どうしてここに?」

「どうしても何も、俺もこの学園の生徒だしなぁ」

そう言われましても、と言わんばかりの表情の彼は――なんと、シグナムの兄だ。しかも、血の繋がった。こう言っては何だが……似てない。まるで似てない。強いて似てると言えば、その意思の強そうな瞳かもしれない。

「まぁ、それはそうですが……」

「それよりさ、お前“企画”に出場するのか?」

「企画?」

なんだそれ? と言う反応のシグナムに、裏月はほれ、と一枚の紙を渡す。そこに記されていたのは……その“企画”に関しての物だった。

「なになに……『守護騎士・選抜レース』――なんだこれは?」

「まんまだろ。生徒会長、まぁ今は刹那の奴を守護する為の騎士、それを選抜する為のレースだとさ。会長の騎士って奴は、この学園の伝統なんだとよ」

「ほぉ……けど、これは事前エントリー式ですので、どのみち私は出れないでしょう」

「あん? 在るじゃねぇか、お前の名前」

え? と疑問を浮かべながら、紙の裏のエントリーした人物の名前を見て行くと……あった、自分の芳乃シグナムと言う名前が。

――なんでだ? と言うシグナムの疑問は、まぁ当然の物であろう。彼女はエントリーした覚えは無いし、何より今日転校してきた彼女に事前エントリーなど無理だ。ならば何故……そう思案するシグナムだったが、その思考は裏月によって遮られた。

「取り敢えず、エントリーしちまってるんだから、レース会場に行って来いよ。もう少しで始まるぜ」

「仕方ない……では、これをよろしくお願いします」

「ん?」

ぽん、と裏月に手渡したのは、シグナムが持っていたガイドブックと財布。それを持っていた本人は、あっという間に走り去ってしまったので、裏月はガイドブックの中身を見ると……赤い丸印が大量にあった。主に、飲食関係の物……つまり、ここを回って食べ物を買って置いてくれ、と言う事だろうが――メチャクチャ数が多い。

分割して食べるんだろうが、それでも多い。だから、思わず彼がこう言ったのも、仕方がない事なのかもしれない。

「――だるっ!!」

そしてその頃、レース会場の本部。様々な機器が取り付けられたそこで、テントの解説席も同時に設置されていた。

『と言う訳でレース開始3分前だ。解説は僕、クロノ・ハラオウンと』

『何か連れて来られた。八神 ヴィータが担当だ』

設置されたテント内で、マイクを通して言う黒髪の少年と赤髪の少女(中学生にしては背が低い)が、このレースの解説役だ。そこ、チビチビコンビとか言わない。

『さっそくルール説明だ。このレースは、妨害だろうが飛ぼうが何しようがオッケーの競技で、最初のゴールした人物が勝者となる。レースと言うより、バトルロワイヤルだな』

『お前がぶっちゃけてるからアタシもぶっちゃけるけどさ、誰が優勝すると思う?』

『そうだな、やはり優勝候補筆頭の殲滅者(デストラクター)じゃないか? 他に目立つ候補の参加者もいないしな……じゃ、スタートだ』

『いきなりかよ!? ぶっちゃけ過ぎだろお前!!』

ヴィータのツッコミは虚しくスルーされ、クロノのあっさりとした開始の合図で広い敷地の各地にいる全員が一斉に走り出し……一つのモニターに映る参加者達が、一斉に一人の人物に襲い掛かった。

『あぁ!? 何してんだアイツら!!』

『多分、完全にノーマークの人間を潰して、自分が強いと言う事をアピールしたいんじゃないか? まぁ、一点に狙われた人物は運が悪いとしか――』

瞬間、そのモニター内の“襲い掛かった”一人が吹き飛ばされる。

『――なに?』

『なっ……』

クロノは静かに目を見開き、ヴィータも驚愕を隠せずにいる。吹き飛ばされたのは、一人だけではなく二人、三人、四人と次々に吹き飛ばされて行き、一分にも満たない時点でその地点では一人を除き全滅した。

その残った一人が、ポニーテールに括られた“桜色”の髪を手で跳ね上げ、言う。

「さてと――遣るからには、真面目に遣らせてもらう」

少女……芳乃シグナムは、その宣言と共にゴールに向かって激走した。“一人を除いた”他の人物とは比べ物にならない速力で、一気に走る。

同時に、レースに参加している人物達がその除いた一人によって、次々に脱落していると言う報告が本部に入って来ていた。何が起こっているのか……やはりこれも、一部の人物を除き、理解が出来ていなかった。

『脱落しているのは確実に、殲滅者(デストラクター)の物だが……あの人は一体、何者だ?』

「――にゃはは、やっぱりこうなっちゃったか」

『が……学園長!?』

不意に、気配も無く現れた人物に、ヴィータとそしてクロノもまた驚きを隠せない。140㎝程の小柄な体型に、金髪のツーサイドアップの髪、サファイアブルーの瞳……この少女こそが、この学園の学園長、さくらである。

『学園長、なぜここに?』

「……自慢の妹の活躍を見に、かな」

さくらがそう、満面の笑みで言う中、既にレースの参加者は二人になっていた。一人は無論、ゴールに向かって激走するシグナムだ。……そのシグナムが、ザザザッと走りを止め、目の前に静かに立ち塞がる人物を見つめる。

「お待ちしていました、シグナム」

「やはりお前か、シュテル」

ペコリ、と自身のスカートを摘みお辞儀をするシュテルに、シグナムは大して疲れも見せず、まるで彼女がいる事が解っていたかのように言った。

「おや、私がいる事が予想出来ていたので?」

「簡単な消去法だ。私を知っていて、尚且つ転校したばかりの私をあっさりとエントリーさせた人物……可能性として一番高かったのがシュテル、お前だったと言うだけだ」

「成程、ならば私の目的も推理済みでしょう――行きますよ、『エクスシア』」

『Yes Master.』

シュテルの声に、彼女の首に掛けられた赤黒い宝石が一瞬輝きを放ち、シュテルを包み込み服装を変化させる。まず彼女が纏ったのは、首元の白い毛皮以外は全て漆黒に彩られたコート。そしてその背中に左右5対、計10枚の赤黒い機械的な翼を展開し、両腰部には折り畳まれた武装と補助的なスラスターと言う、二つの役割を果たす物も装備され、差し詰め『黒の天使』となったシュテルは天に舞い上がる。

彼女が求める物――それは、シグナムとの真剣勝負。

「どうしました? 貴方の武器は、その拳では無いでしょう」

「……戦う事が前提か。全く、仕方がないな。出来れば、こういった戦いでは使いたくないのだが……真剣に戦う相手に加減など、失礼な事だしな」

言うなり、シグナムは両手を強く合わせ少し動かし、そして手を離して行く――その両手の間に、美しい紅緋色の炎が溢れ、型を成して行き、同時に彼女の服装も変化する。

肩と背中部分が露出し、スカートもミニスカートの上に、もう一枚彼女の足が見え隠れする物を着て、何処かドレスを思わせる真紅の騎士甲冑を纏う。

そして、炎が型を成して剣の柄を創り出す。手を守る鍔も付いたそれは、全てが真紅に彩られ……さらに、炎が波打つ様な美しい刃を創り出した。

この剣の名は、宝剣『フランベルジュ』。騎士であり、魔法使いであるシグナムの愛剣。

それを構えたシグナムの露出した背中から、炎が一気に溢れ一対の翼を生み出す。それはまさに――

「『烈火の魔法使い』……芳乃 シグナム」

――シグナムそのものを現す、“烈火の翼”だ。

「『不屈の魔法使い』……高町 シュテル」

同じく、魔導師としてではなく魔法使いとしての名を名乗ったシュテルが、翼から魔力粒子を噴出させ、右手に赤黒いライフルを持ち、左手でスラスター部分から引き抜いたマギリングサーベルを構える。

「「目標を――」」

声が、重なる。そして二人が……形容の違う翼を羽撃たかせ、飛んだ。

「斬り伏せるっ!!」
「殲滅しますっ!!」

二人が激突し、激しい火花とスパークを散らす。それが、この戦いの始まりの合図であり、歪んだ物語がまた加速する合図でもあった。
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  1. 2012/10/05(金) 17:46:48|
  2. 烈火の魔法使いの出逢いの物語
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

いきなりの強制参加www

シュテル、お前戦いたかったんだなwww
  1. 2012/10/05(金) 21:06:00 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

>フルカスタムさん

いやまぁそれだけじゃないんですけどねww でも実際半分くらいは戦いたかったと言うだけの理由です(笑)

感想ありがとうございましたm(__)m
  1. 2012/10/15(月) 22:00:29 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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