サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の魔法使いの出逢いの物語 プロローグ

無限に存在する世界。同じ物など無いそれは、時に摩訶不思議な変化の事象を生み出す。

誰かが、部屋の一室で本棚から一冊の本を選び取り、それを開き呟く。

「……大分かけ離れてるし、あんまり関係ないけど……ま、いっか。暇潰しにはなるしね」

開かれた本がパラパラ、と独りでにページを捲り始め、光を放ち出す。また、新たな歪んだ物語が動き始める。

「ホント、不思議な世界だよねぇ。特に、『出来損ないの魔法使い』は大分変わっちゃってるし。って言うか、人物――事象の逆転?」

誰に言う訳でも無く、本を持った金髪の人物は彼にしか解らない事を言う。

「まぁいっか。それじゃあ始めよう? 烈火の物語からも外れた、歪んだ物語を……」

本が光を強める。始まる……歪んだ、そして桜に包まれた物語が――









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

長く、広い敷地。長い、長い通学路の横には木が立ち並び、それらは全て満開の“桜”を咲かせている。因みに季節は春を過ぎ、完全な季節外れでは在るが、桜は全く関係なく咲き誇っている。

「本当に、年がら年中咲いているのだな」

ふわり、一陣の風が吹き、呟いた人物の咲き誇る桜と同じ色のポニーテールの髪が揺れた。静かな驚きを微かに含んだその少女は、さらにその通学路の先にある時計塔を見つめる。

とても長い時計塔。彼女の姉曰く、この学園の生徒会室として使用されていたりと、かなりお金持ちな学園と一発で分かる。

そしてこの桜は……。

(さくら姉さんは、また随分と派手な『魔法』を使った物だな)

彼女たち『魔法使い』の産物。この桜は、彼女の姉である『桜の魔法使い』が生み出した『魔法』……言ってしまえば“枯れない桜”だろうか。

(生み出した理由が、噂される願いを叶える“枯れない桜”に対抗してだと言うのは、どうかと思うがな……)

そう、本人曰く「思わずやっちゃった。テヘペロ☆」……らしい。テヘペロ、のレベルでは無いのだが、散らすのも勿体ないのでそのままなのだ――良いのか、それで。

相も変わらない姉だな……と、声には出さず思った少女が、ゆっくり辺りを見渡す。流石に完全休日と言う事もあり、人の出入りは完全に無いと言っていい。だからこそ、少女はこうしてゆっくりとしていられるのだが。

「取り敢えず、散策でもしてみるか」

そう呟いた少女が、その足を動かし数キロ以上ある敷地の中へ歩き出すのだった。

同時刻、時計塔の屋上。つまり、この学園の生徒会室。休日ともあり、誰も人がいない……と思いきや、意外な事に二人の人物がその場にいた。

二人いるうちの一人は、見ただけで高価と分かる椅子に座り、これまた高価と分かる机の上に積まれた書類の山を、さっささっさととんでもない速度で処理していく。それを行いながら、その金髪の人物は、言う。

「……かったるい」

「――と言いながら、とんでもない速度で書類整理をしているのは師匠でしょう」

そう事実を言い返したのは、近くのソファーに座り同じく書類整理を行う、茶髪のショートカットの少女。一旦作業を止め、感情の起伏が少ないその表情と青い瞳で、師匠と呼んだ金髪の人物を見つめる。

対して師匠と呼ばれた金髪の人物は、その美しい美貌を誇る――まぁ、男なのだが――表情を崩し、しょうがないでしょ、と言う表情に変わる。ちなみに、その間も手の動きは止まっていない。

「しょうがないでしょ。こんな書類の束、さくらさんだけに任せる訳にはいかないんですから……」

「それで、朝っぱらから書類と格闘ですか。まぁ“企画”も近いのですから、仕方がない気もしますが……取り敢えず、師匠は少し休んでください。後は私が片付けます」

そう言う少女の感情の起伏は少ないが、その強い瞳で見られても金髪の人物は動じる事なく、えーと不満げに声を上げた。それを見た少女が、はぁ、とため息を吐いてから、まるで言い聞かせるように再び言葉を紡ぐ。

「良いですか? 私は今さっきこの生徒会室に辿り着きました。が、師匠は朝から4時間近く書類と格闘。いくら師匠が丈夫でも人の身体は休息を求める物です。そして、残りの書類は私だけでも片付けられます。つまり、休日にも関わらず生徒会長たる師匠がこれ以上働く必要は無いのです。お分かりですか? さっさと休みなさいと言う事ですコノヤロー」

「あーはいはい分かりました。相変わらず、シュテルの説教はかったるいですね……って言うか、さりげなく最後に毒を吐くのは止めなさい」

うんざりした表情の彼を見て、少女――高町シュテルは、よろしい、と言う表情になり書類を片付けて行く。その間に師匠と呼ばれた彼は、しょうがないですね、と呟いてから出口の扉へ向かい、

「じゃあ30分位で戻りますから、書類整理はお願いしますね」

「了解です。15分で片付けて、紅茶でも用意しておきますよ」

そう言って、シュテルが返事をするのを聞いてから生徒会室を後にした。この時の彼は夢にも思わなかっただろう――これが、運命めいた出逢いの切っ掛けになるなどとは。

時間は少しほんの経ち、5分くらいした処だろうか……今現在、先程の少女はと言うと――

「……どこだ、ここは?」

――そりゃあもう、盛大に迷っていた。まぁ、こんな数キロ超の敷地内を地図も土地勘も無しに散策していれば、誰でもこうなってしまうだろう。とはいえ、少女は特に困った様子はない。ほー、なかなか綺麗だなと大きな湖を見た感想を呑気に言っている。

って言うか喩え迷っても、あの目立つ時計塔を目指して行けば問題ないのだ。

「――珍しいですね」

ふと、優しげな声が聞こえ同時に人の気配を少女は感じる。自分がここまで接近されてでしか気配を感じれなかった事に少し驚きながらも、表情には出さずに声の方向へ視線を向けると……今度こそ、言葉を失ってしまう。

「部活以外で、休日にこの学園に来る人は少ないんですけど」

そこにいたのは、女性でも見惚れてしまう程に美しい人物だった。腰まで届く金色の髪、まるで少女の様な顔立ちだが、何処か大人びた雰囲気を感じさせる。濁りの無い蒼い瞳が、少女の姿を映し出す。

「綺麗ですよね、この湖。私も気に入ってるんですよ、芳乃(よしの)さん」

「あ、あぁ――ん?」

何とか反応を返した少女は、ふと不思議な事に気付く。……何で目の前の人物が、自分の名字を知っているんだ、と。はて? と少女が内心不思議がっていると、それを読み取ったのか微笑を交えて目の前の人物が言う。

「この学校、登校も私服オッケーでしょう? だから、変な人が入り込んだ時の為に私は生徒の名前と顔を全員分覚えてるんです。貴方は、転校生の芳乃 シグナムさんですよね?」

「あぁ。そう言うお前は、この学校の生徒会長か?」

少女の……芳乃シグナムの言葉に、今度は相手が少し驚いた様子を見せる。無論、自分の事を見抜いたシグナムに対しての驚きだ。

「知ってたんですか?」

「いいや、この中等部と高等部があるこの学園で、全校生徒を全員覚えている人間など生徒会長くらいな物だろう……そう推理しただけだ」

当たっていたらしいな、と言うシグナムに彼はまぁそうですよ、と言う意味を込めて頷く。良い推理力……どちらかと言えば、直感力に近いかもしれない。そこにも彼は興味を持ったが、他にも……自分が会長だと気付いても態度をあからさまに変えないと言う事にも興味を持つ。

――けど、ならばこれはどうだろうか?

「じゃあこれは推理できました? 私、こんな容姿で男なんですよ」

「ほぉ、それは流石に推理できん。提示されているピースが足りないからな」

……そこから、どちらも喋る事なく沈黙が流れる。シグナムは特に表情を変えていないが、彼はキョトンとして呆気に取られていた。先に言葉を発したのは、その彼だ。

「……驚かないんですね?」

「なにを驚く必要がある? 結局、人は外見も大事なこともあるが、最終的に重要なのは内面だ――そう、私はお婆さまと姉さんから学んだのでな」

要は、お前の外見がどうだろうが関係ない……と言っているのだろう。フォロー、になるののだろうか? まぁ一つ解るのは――彼女が、珍しいくらい真っ直ぐだと言う事だ。思ったことをハキハキ伝え、相手が生徒会長だろうと同じ生徒なのだから遠慮はしない……ただそれだけなのに、何かが可笑しいのか込み上げる笑いを彼は必死で堪え、それに気付いたシグナムが疑問げな表情で問う。

「なんだ、どうした?」

「ふふっ、別になんでもないです」

「そうか――自己紹介」

笑顔で言う彼を不思議に思ったが、それを追及するよりもシグナムには言いたい事があった。

「え?」

「まだだろう? 私は芳乃 シグナムだ。お前は?」

お前は私の名前を知っているが、私はお前の名前を知らない……だから、改めて自己紹介、と言う事だ。

――本当に、初対面なのに迷いなく好感が持てるくらい、真っ直ぐな人だ。だから、と言う訳ではないが、彼は偽りの無い満面の笑みで彼女に答えた。

「私は――紅(くれない) 刹那(せつな)です。よろしくね、シグナムさん」

出逢いが物語を生み、そして動かして行く――喩えそれが、歪んだ物語だとしても。魔法使い達の物語は動き出し……加速する。
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  1. 2012/10/02(火) 21:47:41|
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  4. | コメント:2
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コメント

シュテル、コノヤローってアンタ(笑)

どんな物語になるのか、楽しみにしています!
  1. 2012/10/03(水) 07:43:09 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

感想ありがとうございますm(__)m

シュテルの特技は真顔で毒舌です(笑)

ご期待に添えるよう頑張りたいと思います!! 次回をお楽しみに!!
  1. 2012/10/05(金) 17:48:36 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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