サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

魔法少女リリカルなのはA's 通りすがりの魔法使い 第3話

加速する。月夜に彩られし結界空間にて、二色の流星が縺れ合い加速する。だが白と金色、二つの流星には明確な違いが在った。

金色の流星は、比較的読み易い軌道で天を駆けている。その直線的な軌道を、持ち前の速さで補っているといった処か。

対して白の流星は、金色の流星に優に追い付く速さで在りながらも、その動きは変則的で“読めない”。たった一つ、しかし決定的な違いが戦場のイニシアチブを大きく左右していた。

金色の流星――フェイトの視界から、白の流星が唐突に消え失せる。

「ッッ!!?」

途端、それを理解したフェイトが急激な制動をかける。当然、急激な制動にとてつもない衝撃がフェイトを襲うが、構っていられないとばかりにそのままバルディッシュを“後方”に振るう。

激しい衝撃が響く。それは、バルディッシュと真紅の刃を持つ魔王の月剣‐つるぎ‐がぶつかり合い、交わった証。攻撃を受け止められたにも関わらず、白の天使は相変わらず真意が解らない微笑を浮かべていた。その笑みが、フェイトの神経をさらに逆撫でする。

「なにを、笑っているんですか!?」

「フフッ、まだこのレベルには“着いて来られる”んだな、ってね」

「――!!」

明らかな挑発。しかし、今のフェイトにそれを判断するだけの冷静さは残されていなかった。速さも、技術も、目の前の女性には通じない事がこの数分間で解った。

――ならば、虎の子の新装備を発動させるのみ。

「バルディッシュ、カートリッジロード!!」

『Yes sir.』

バルディッシュがそれに答え、カートリッジを排出しようと6連装リボルバーから、カートリッジを炸裂させようと――その一瞬、何かがスライドした排出口の間に挟まった。

「なっ……!?」

フェイトが言葉を失いながら、“それ”を漸く認識し、そして己の思慮の浅さを後悔する他なかった。
――それは、戦闘開始じ彼女が何処かへ飛ばした誘導兵器……いや、これを見る限りただの誘導兵器ではない。

理のマテリアルたる彼女が使うそれは、近接型空間制圧兵器『ソードビット』……最初は加減していた状態で、使う必要が無いから待機させたのかと思っていたが、違う。彼女は機を待っていた……そしてそれが、この一瞬の隙だったのだ。

「さて、只でさえ相性の悪いインテリジェントデバイスに無理やりカートリッジシステムを組み込んだのに、こんな事をすればどうなるか――解るよね?」

「っ……バルディッシュ!?」

通常、意思を持つインテリジェントデバイスならば、この様な異常が起こると自動で対処する。が、今は“付け焼き刃”とも言えるカートリッジシステムを搭載し、大した調整も無く実戦投入――つまり、如何なインテリジェントデバイスと言えど即座に対処など出来る筈がない。

バチバチ、とスパークを上げカートリッジ部分から異常を来すバルディッシュ。急ぎ対処をするバルディッシュだが、フェイトはそこに隙を生み出してしまう。

「潜在能力は合格点――けど、精神と肉体はダメダメね」

瞬間、真紅の刃がフェイトへ襲いかかり――


「ディバイン……バスタァァァァァァ――――!!!!」


桜色の輝きが、戦姫の叫びと共にフェイトの目の前に煌めいた。それは、今までの彼女の砲撃より巨大な物。しかし、真紅の刃を振るった者は瞬間的に加速し、その砲撃をいとも簡単に避ける。

「なのは……?」

……思わず、砲撃の主の名を呼んだフェイトが疑問形となり呼んだのは、様々な疑問が沸き上がったからだった。

なのはは、あんなにも精密に――カートリッジと言う“付け焼き刃”が在るのに――射撃をする事が出来たか? しかも、この高速戦闘の中で、確実に自分に当たらないよう正確に。さらに、何時もの優しげな瞳はそこに無い。対象ですら無いフェイトが怯む様な、その獅子の瞳は一瞬にして視界から消えた処刑人(エグゼキューター)を確かに捉え、睨み付けていた。

ふと、なのはを見下ろす彼女の微笑が変わる。今までのように真意の解らぬ微笑ではなく、まるで獲物を見定める様な笑みへ。

「魂が引っ張られてる……か。面白いじゃない」

「…………」

『Accel Fin.』

白の天使が羽を羽撃たかせ、魔王の月剣と十のソードビットが滞空する。

獅子の子が両足に桜色の羽を展開し、砲撃形態のレイジングハートを真っ直ぐ構え加速魔力がブーストを掛け始めた。

二つの魔力が加速し始め、強烈な風圧を生み出して……爆発した。

「レイジングハートッ!!」

『Load Cartridge.』

まず動いたのは高町なのは。砲撃モードのレイジングハートの照準を真っ直ぐ処刑人に構え突撃、さらにカートリッジを二発排出する。その一瞬後に魔法使いが動く。そのスピードはなのはの飛行魔法をも圧倒的に凌駕し、しかし射線はなのはに合わせたまま引き離して往く。

対するなのはは、処刑人を逃さず睨み付け――二十を超える誘導弾を展開、一気に解き放つ。それは縦横無尽に飛び……その時、なのはの表情が一瞬苦痛に歪んだのを魔法使いは見逃さなかった。

(あの誘導弾……本来は足を止めて使う物じゃない)

彼女の戦略眼はその誘導弾の性質をあっさりと見抜き、同時に少女がどれだけ無理をしているかを理解する。

十のソードビットで誘導弾を迎撃しながら、魔法使いは振り返り思考する。いくら少女が自分に“引っ張られ”技量などの部分が異常なまでに急速成長しているとはいえ、それイコール少女の肉体が成長している訳ではない。そして、一方的に引っ張られると言う事は、精神的に“未熟”なのだ。

それは、己の知る『不屈の魔法使い』の足下にも及ばない程に未熟で、自分と言う存在がどれだけ知り合いの人間に影響を及ぼすかを理解しておらず、同時に己の存在をどれだけ度外視しているかがよく判る。

そしてそれ以上に、そういった自分の面を“自覚していない”と言うのが厄介だ。それでは『出来損ない』ですらなく……ただの『未熟者』だ。

(雷帝は合格点……でも不屈は私的には赤点ね。信念が定まってない心、私から見ても危うい)

急速に、少女への興味が薄れていくのを彼女は自ら感じていた。興味を失った訳では無い、しかし“今の”少女と戦う価値が無いことを……出来損ないの魔法使いは悟っていた。

ソードビットと誘導弾が乱舞する間を掻い潜り、再び桜色の砲撃が迫り来る。彼女はそれを――一瞬にして斬り伏せた。そして、背に隠されていた鞘に剣をあっという間に納める。

彼女の白いコートが揺らめき、修復されたバルディッシュを持ちフェイトが未だ警戒を解かないなのはの隣に合流する。奇しくもそれは、彼女らが対面した時と同じ状況。しかし、その心中はまるで違っていた。

「……興が削れたわ」

「どういう、意味ですか?」

「そこのフェイトちゃんなら未だしも、今の貴方は私が斬る価値もない。況してや、私の願いを叶えることも出来やしない」

ただ冷徹に見つめ、見定める瞳は高町なのは本人など見てはいなかった。少女の心の奥にある想い……ここにはいない、翡翠の守護者の少年を見ていた――同時に、この先の“歪んだ物語”に於いて、少女が直面する歪んだ運命を。

フフッ、と出来損ないの魔法使いが笑う。同じ存在であり、真逆の存在でもある少女に忠告の一つや二つ入れてやるのも、まぁ悪くはないだろう。

「――いつまでも大切な人が当たり前の様に傍にいると、思わない事ね」

「え?」

「それでもキミが絶望へ突き進むと言うなら……覚えておきなさい。“不屈”は折れないから不屈なんじゃない。例え折れたとしても、絶望が心を掬おうとも、何度でも、再び立ち上がる。それが――『不屈の魔法使い』よ」

視線が交錯する。なのはの視線には、先程までの獅子の光は消えている。少し喋り過ぎたかしら……と、白いコートと栗色の髪を翻らせ、出来損ないの魔法使いは二人の視界から消え失せる――瞬間、まるで予言の様に言った。

「さようなら、また会いましょう。フェイト・テスタロッサちゃん……そして『未熟な魔法使い』」









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「……終わったみたいだね。あっちも」

同時刻、全ての結界が消えた時点で戦闘は終結したと言っていい。それは、異常なまでの過剰戦力が揃っていた、さくら達の戦いも同じ事だった。

既に結界は解かれ、さくらと刹那の二人は静けさを取り戻した公園をゆっくりと歩いていた。少なくとも、先程まで戦闘を行っていたとは思えない程に、柔らかな表情で。

「まぁ、全部が終わったとは言えませんけどね。結局、あの仮面の二人はさくらさんが見逃してますし」

「言ったでしょ? ボクは必要以上に関わるつもりはないし、あの場には用事があったから来ただけだよ」

つまりは、この世界の事はこの世界にいる人物で、決着をつけてくれ、と言う事だろう。まぁ、もう大分関わっているのだから今さらだとは思うが。

刹那は帽子を被り直し、なんだか面倒な事になりそうだな……と思ったのだが、今までの出来事からして非常に今さらだと諦めた。と言うか、そこら辺は折り合いを付けないとやっていけない。

実際、己の騎士がいきなり関わってしまった時点で、もうこうなるのは決まっていたのかもしれない。

「……で、あの赤い子に渡した物って何なんですか?」

「超高純度の人工リンカーコア……要は物凄い魔力の塊だね。昔シャマルちゃんが回収した物を、何でか知らないけどおばあちゃんが持っててね。今回、あの子に渡すように頼まれたんだよ」

赤い子とは、無論のこと刹那の手によって気絶させられていた少女、ヴィータ。そして“おばあちゃん”とは……此方も無論のこと『悪戯好きの魔法使い』

非常に、嫌な予感しかしないと刹那は思った。だけどしょうがない、悪戯好きの魔法使いなのだから。

「なんか、随分とかったるそうな物を引き受けたんですね?」

「しょうがないよ。おばあちゃんがするこの手の悪戯で意味がなかった事なんて無いし、ここにシグナムちゃん達を連れてこれたのも、おばあちゃんのお陰だしね」

ぶっちゃけ、無理やり予定を組まされた気がするのだが……と、もう何回目かのツッコミを心の中で入れる――と同時に、ここに来た時に別れた騎士の事を思い出す。今頃どうしているのか……まぁ弟子と兄がいるので生活面での心配はしていないが、その他の事、例えば恋愛の事とか――

「あ、今シグナムちゃんのこと、考えてるでしょ?」

「にゃ!? にゃんで私がシグナムのこと……」

「にゃはは、口調と声が元に戻ってるよ」

動揺してるね~と言う、相変わらず楽しげなさくらの言葉にハッとなり、刹那を赤くなったその表情を隠すように帽子を被り直し、コホンとわざとらしく咳をしてから言葉を放った。

「何で俺がアイツのこと……か、かったるいんですよ」

「にゃはは、刹那くんが『かったるい』を言い淀む時は、嬉しい時か恥ずかしい時だよねぇ」

「ぐっ……」

「ごめんね、色恋に疎い妹で。でも、キミならシグナムちゃんを任せられるし……今からさくらお姉さんって呼んでもいいよ? あ、『お義姉ちゃん』かな?」

「さ、さくらさん!!」

最後の方は、もう微笑ましくと言うかニヤニヤしながらと言うか、完全に楽しんで――実はかなり本気――刹那をいじくり回すさくら。
刹那は完全に素の状態に戻り、顔を真っ赤にしながら再び反論しようとするが……ふと、さくらが表情を変え何処かを見つめていることに気が付く。

「さくらさん?」
フワリ、金色の髪が揺れてさくらが振り返る。その表情は――

「……まったく、仕方ないなぁ」

どこか、自分の騎士が我が儘に付き合ってくれる時の表情と似ていた――









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ユラリ、ユラリと桜色のポニーテールが揺れる。それはまるで――彼女自身の迷いを、表に映し出しているようだった。

「……くっ!!」

グッと拳を握りしめ、己の座るビルの地面へと叩き付ける。何を躊躇う、何を迷っている、と。

自分にはもう、迷う事など許されない。迷う事など出来はしない。

なのに、なのに何故――

『約束だよ……約束――』

――何故こんなにも、心が軋むのだろう。心が、目的を肯定する事を拒む。しかし、ここで止まる事など許されない。許せば、己の主は確実に……。

「――にゃはは、やっぱり“同じ”だね」

何処からか、聞いたことのある声が聞こえる。それは――彼女の目の前。

急ぎ彼女が……『烈火の将』 シグナムが顔を上げるとそこには――一人の魔法使いがいた。

黒いマントを纏い、ホウキに乗った少女はまさに……物語に出てくる様な『魔法使い』だった。

「自己紹介がまだだったね……私は『桜の魔法使い』 芳乃さくら。よろしくね」

桜の魔法使いと烈火の将が交錯し――歪んだ物語は、ラストへの曲を奏で出す――
スポンサーサイト
  1. 2012/10/02(火) 02:42:13|
  2. 魔法少女リリカルなのはA's
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<魔法少女リリカルなのは 烈火の魔法使いの出逢いの物語 プロローグ | ホーム | 魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 番外編・マジカルトーナメント(仮)――旅の魔法使いVS烈火の守護者・そのニ>>

コメント

フェイトはやはりまだまだですか……中々先は長いですね。

P.S.誤字ですが、

「……興が『逸』れたわ」→「……興が『削が』れたわ」

「終わった『見』たい」→「終わった『み』たい」

「黒いマント纏い」→「黒いマント『を』纏い」

です。
  1. 2012/10/02(火) 07:52:47 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

感想ありがとうございますm(__)m

そうですね。今のフェイトはまさに“成長途中”です。てかまぁ、自分が描く大半のフェイトはそんな感じですがww 言ってしまえば、一種の主人公体質ですね。


では、次回をお楽しみに!!
  1. 2012/10/02(火) 21:50:52 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://freedomzer.blog.fc2.com/tb.php/38-0e51c61b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。