サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 番外編・マジカルトーナメント(仮)――旅の魔法使いVS烈火の守護者・そのニ

「ヒステリア・サヴァン・シンドローム……ですか?」

「そうだ。HSS……ジャンヌは『ヒステリアモード』と呼んでいるらしいがな」

――ヒステリアモードは天下無双。そうジャンヌが言った辺り――実は、彼女達だけ結界内の会話を聞き取れる――で、フェイトがなのはに視線を向け説明を求めたが……なのはは『私だって万能じゃない』と言わんばかりに肩を竦め、聞いた事が無いというアピールをした。

そこで口を開いたのは、この中で唯一その正体を知る人物……つまり、ジャンヌから能力を聞いた事のあったシグナムだ。続けて、名称だけでは当然ながら疑問を感じる全員に向け、彼女は語った。

「本来、遠山家と言う家系の人間が持つ特異体質だそうだ。発動に必要なトリガーは『性的興奮』 発動すれば、思考力・判断力・反射神経などが通常の30倍にまで向上する……代わりに、男の持つ子孫を残す本能の下、女性を守ったり優しくしたりするらしいがな」

「で、出鱈目な能力ですね……でも、どうしてそれをジャンヌさんが?」

“性的興奮”辺りでハテナマークを浮かべていた子供二名を敢えて無視し、なのははそう訊く。なのはの疑問は当たり前かもしれない。何せ、遠山家の家系に発現する能力と言うのだから、遠山家の人間ではないジャンヌがヒステリアモードを使用できるのは辻褄が合わない。

それについてもシグナムは知っているらしく、目は結界内から離さず言葉を続けた。

「……ジャンヌは前に、そのHSSの能力者である遠山 金一から血を輸血された事があったらしい。私の“推理”では、その血液を創造主(クリエイター)が解析し、ジャンヌの意思に関係なく取り入れた、と考えている」

それで合っているか、と言う意味合いを込めてシグナムが刹那へ視線を向けると、刹那はそれに小さくだが頷いた。

彼の翼もそうだが、この能力は“本人の意思に関係なく、本当に有益だと判断した物を取り入れる”と言う非常に面倒な知能を持っている。

つまりは、創造主(クリエイター)がHSSがジャンヌに“必要”だと判断したのだ。

そこで、ヒステリアモードの特性を把握していたフェイトが、一つある事に気が付いた。

「あの、ヒステリアモードが女性を守る物なら、ジャンヌさんはリリィさんに攻撃できないんじゃ……」

「そうだな。が、それは『ヒステリア・ノルマーレ』での話だ」

ヒステリア・ノルマーレ……普通の“性的興奮”でなるHSSでは、フェイトの考察は間違っていない。しかし、今ジャンヌが発現させたヒステリアモードは、ノルマーレではない。

「今のジャンヌが発動しているのは『ヒステリア・ベルセ』 女性を“奪う”ヒステリアモードだ」

「女性を……奪う?」

「そう。ベルセの状態では、女性に対しても荒々しく、時に力尽くでその全てを奪おうとさえする。発動には、他の男に対する憎悪や嫉妬といった悪感情が加わる事が条件――つまりアイツ、居もしない男を想像してベルセを発動させたな」

……沈黙。何だか居たたまれない沈黙。そりゃあ、シグナムの言っている事は“想像するだけでベルセになる、リリィ――アリス――に対する凄まじい独占欲”と直訳される様な物だ。

それでいて、中々素直になれないツンデレ気質な性格をしているのだ。どうやら普段の冷静な彼からは考えられない、難儀な性格をしているらしい。

コホン、とわざとらしく咳をし、シグナムが気まずい空気を吹き飛ばす。

「まぁともかく、ベルセの戦闘能力はノルマーレの1.7倍。先程も言ったように、女性に対しても荒々しく攻撃的になる。ただし、ノルマーレと違い思考が攻撃一辺倒になる、いわば諸刃の剣」

「で、でも!! それじゃリリィさんが危ないんじゃ……」

「まぁ、とんでもない戦いになっているのは、確かだな」

シグナムが視線で戦いの場を見ろ、と言う事を示しフェイトがそれに素直に従うと……そこには、思わず目を疑う光景があった。

ジャンヌが凄まじい数のマズルフラッシュを瞬かせ、アリスは右手の刀を振るい続け閃光を閃かせる。
しかし両人――その動かす腕は、見る事も見切る事も出来ない。

見えないのだ。ジャンヌは銃を構え、アリスは刀を持っている筈なのに。

ジャンヌが放つ銃弾は『不可視の銃弾(インヴィジビレ)』 名の通り、目に見えぬ程に早く繰り出される銃弾。それは、銃弾を見てから回避できる人間ですら、閃光としか表現できない……この時点では、ジャンヌが使っている銃の種類すら認識できない程のスピード。並の者には、マズルフラッシュすらも見えずに終わるだろう。

その常識はずれの銃技を、ジャンヌは今ひたすら放っている。放たれた不可視の銃弾は、全てアリスへと迫り――しかし、届きはしない。残らず全て、たたっ斬っている。目に見えぬ銃弾を全て……だ。
不可視の銃弾は、不可視の斬撃によって残らず斬り飛ばされる。リリィの斬撃は、閃く一瞬の軌跡が残されるだけ。同じく、見切る事など出来はしない。

(ッ……まだだッ!!!!)

敗けない、敗ける訳にはいかない。その一点だけを力に込め、ジャンヌは銃弾を放ち続ける。

バラ、と6発の銃弾が空中にばらまかれ――ジャンヌが銃を一閃させると、その回転弾倉(リボルバー)にはきっちり6発の銃弾が収められていた。

空中リロード……この手品みたいな技は、彼やその相棒くらいでないと実戦では使えない。無論、リロードの動きが見えた観客などいない。

瞬間、ジャンヌの前方で6つの閃光が連なる。6連射の『不可視の銃弾』 さらに、もう一つの銃から6連射。12連射――だけではない。空中にバラ撒いていた12の銃弾を……空中でリボルバーに再装填(リロード)。

そして両腕をクロスさせ――不可視の銃弾を12連射した。

神業とも言える24連撃の『不可視の銃弾』が、同時にアリスへと襲いかかる。

しかし――その全てが、空中で火花と金属音を上げて斬り裂かれた。不可視の銃弾が……残らず全て。

フッ、と口元を僅かに吊り上げ、アリスが不敵に笑う。

「チィ……!!」

ベルセの彼だからだろうか。アリスの表情を見て荒々しく舌打ちし、だが手だけは休めずに不可視の銃弾を放つ、放ち続ける。

――城壁だ。アリスの超神速の斬撃は強力な城壁となり、全ての銃弾の行く手を遮っている。

リロード、連射、リロード。その城壁に対抗すべく、ジャンヌは不可視の銃弾をひたすら連射しアリスへと襲いかかる。だがしかし、城壁は全く揺るがない。暫くの間、何が起こっているか観客には理解できない均衡状態が続く。

「凄い……」

「あぁ。だが、ジャンヌの方が不利な事には変わりない」

フェイトには事の殆どは見えていない。だが戦況が拮抗していると言う事は何となく判った……しかし、シグナムはそれを肯定しつつも否定する。

「アイツの本来の動きは、あらゆる策と武器を使い、そこから戦況の流れを自分の下に引き寄せるオールラウンダーだ……だが、それはリリィに通用しない」

「な、なんで……」

「――リリィは、ジャンヌの全てを知っている……ジャンヌの巡らす策、その全てがリリィには通用しない。だからこそアイツは、リリィと同じ“一芸特化”で対抗しているのだ」

ベルセの影響も在るのだろうが……それでも、いつものスタイルを捨てて、彼が一芸特化と言うリリィの独壇場に乗り込んでいるのはそういう理由があった。

ずっと一緒にいたアリスだからこそ、策士ジャンヌの姿では勝てない。ならば、彼女になんとか対抗できる力――ヒステリア・ベルセと不可視の銃弾を以って、この戦況を創り出し、そして勝利への道を模索しているのだ。

(だが、相手を知っていると言う意味では――)

シグナムの思考を遮る様に、均衡状態だった戦況が動き出す。その均衡状態を生み出していた……他ならぬアリスの手によって。

タイミングをずらし発射された、一発の不可視の銃弾。その見えぬ筈の銃弾を――アリスは、左手の二本指で挟んだ。その左手には、いつのまにかオープンフィンガーグローブが嵌められており、特注品のそれは指毎に覆っている長さが違う。

チタンを焼結させたコバルト合金のグローブが、銃弾を挟み火花を散らす。火の玉の様に輝くそれを、可能な限り速度を保ち、アリスは自分の身体ごと180度回転し――なんと、銃弾をUターンさせ撃ち返した。発砲からこの瞬間まで、コンマ一秒も経っていない。

(銃弾返し(カタパルト)か――!!)

とんでもない曲芸。だが、ジャンヌも既に曲芸を放っているのだ。

――返された不可視の銃弾が、再び放たれた不可視の銃弾によって弾かれた。


銃弾撃ち(ビリヤード)――しかし既に、均衡状態は消え去っているのだ。銃弾が弾かれ火花を散らした瞬間、アリスはジャンヌの目の前に現れていた。形としては、最初の時と同じ……しかし、速さは比べ物にならない。

「――閃華(せんか)・瞬(またたき)」

その声が聞こえた時には、ジャンヌの身体は後方に吹き飛ばされていた――ただし、その両手には白銀の剣を持って。

受け止めたのだ、アリスの抜刀術を。その両方の剣を地面に突き刺し止まり、いつの間にか投げ放っていた2丁の銃を受け止め見えない場所へしまい込む。

先程のシグナムの思考を繋げるならば――相手を知っていると言う意味では、ジャンヌとて同じ事だ。

漸く一旦の終わりを迎えた攻防戦……そして、一休みとばかりに二人の会話が始まった。

「ふぅん、双剣双銃(カドラ)……ね。双剣双銃のジャンヌとでも名乗るの?」

「いや、アリアとあっちのジャンヌと被るから、遠慮しておこう」

「だよねぇ~……でも、意外だよ。ジャンヌがこんな賭け、乗ると思ってなかったし」

まぁ正直、どれだけ煽っても乗って来ないとばかり思っていたから、この様に強引な手段を用いてジャンヌを引きずりだしたのだが……思いの外、あっさりと乗って来てしまいこの状況だ。

だがジャンヌは、アリスの言葉に何処かムッとした表情になりながら応えた。とてもヒステリアモードらしい、かなりこっぱずかしい物で。

「当たり前だ。お前を他の男に奪われるくらいなら、私がお前を押し倒してでも奪い取る……あぁ、言ってたら、今すぐお前を押し倒して――風穴をあけたくなったな」

瞬間、アリスの顔が凄まじい……それこそ神速の勢いで真っ赤に染まる。ちなみに、唯一この会話が聞こえている場所では、なのはとクロノがそれぞれフェイトとはやての耳を塞いでいたりしている……まだ、子供にはちょっと早い口説き方らしい。

仕方がない、本人だって止まらないのだ。ノルマーレならともかく、ベルセでは。けれど、アリスの表情は一変悲しげな物となり……同じく、悲しげに言葉を紡いだ。

「でも――この関係を進めなかったのは、ジャンヌだよ?」

「ッ……」

僅かに、ジャンヌが息を飲むのが判る。そうだ、このぬるま湯の様な関係を進めなかったのはアリスではなく――自分だ。

「あぁ、そうだな――」

そうだ、そうだとしても……。

「――だが、今進んでみるのも悪くはないだろう?」

怖がってばかりでは、もう前には進めない。

瞬間、バラ撒かれたのは裕に50を超える弾丸。そしてピクリとジャンヌの指が動き――また 『不可視の銃弾(インヴィジビレ)』 が神業な量で放たれた。

アリスが再び城壁を……展開しない。その刀は、鞘に収められたまま。
つまりは抜刀術……刀を抜き放つ刹那の瞬間、アリスの髪は金色から紅く染まり――

「閃華瞬(せんかまたたき)・烈火ノ太刀(れっかのたち)」

凄まじい烈火の炎が、不可視の銃弾を喰らい尽くす。だが、その炎は直ぐに鎮火する。ジャンヌが剣を地面に突き刺すと同時に、冷気が地面を伝い一気に炎を凍結させ掻き消したのだ。

その間にも、アリスはジャンヌの後ろに飛び、何かを槍の様に突き出した。ジャンヌがそれを振り向き様に、左手の首筋を掠めるかと言う紙一重で回避し――僅かに目を見開く。

彼の視界に映ったのは鞘。それは、僅かながらも彼の動きを阻害する。さらにその状態から、アリスは再び刀を抜刀した。

――また、アリスの髪が紅く染まる。

「閃華瞬――」

言い終えぬ内に、嵐の様な業炎が溢れる。それは先程より遥かに強く、生半可な冷気では対抗すら出来ない。しかもこの時点で、超神速の抜刀術ときた。

だが、不安定な形で抜刀している分、僅かばかり先程より速度は遅れて――それでも見えぬ程に迅い――いる。

だから、その僅かな隙でヒステリアモードのジャンヌは思考するより先に動いていた。地面から引き抜いた剣を盾にするように構え――クリスタルの刃を、水色に輝かせた。

風圧と冷気、嵐の炎。互いの圧倒的な力がぶつかり――次の瞬間、刃と刃が直接衝突した。



「烈火ノ太刀――嵐(あらし)!!!!」



「聖なる(エクス)――氷結の極光(カリバー)――――!!!!」



絶唱は、凄まじい爆音をも貫き、しかし二人の姿は巻き上げられた砂、炎、氷、それらが爆風により交ざり合い……二人だけではなく、結界の内部、その全てを覆い尽くした。

結界内の爆音とは裏腹に、外の会場は沈黙していた。決してつまらない訳ではない。何が起こっているかは判らないが、ただこの勝負を見たい、と言う気持ちは観客全員の心であった。

やがて、時間を掛けて内部を覆い尽くしていた、砂や炎などが交じり合った煙が晴れて往く……まず、姿を見せたのは“金色の髪”……アリスだ。彼女は全く平然と、ルビーレッドの瞳である一点だけを見つめていた。

その一点の煙が晴れる……今度は対照的な“銀色の髪”が、ジャンヌが姿を見せた。

ジャンヌのサファイアブルーの瞳が、アリスのルビーレッドの瞳と三度交錯する。一陣の風が、二人の髪を撫で、揺らす。同時に、二人は動く。

アリスは刀を鞘に収め、腰に溜める様に構える。先程とは違い、しっかりと構えを取った状態――遊びは終わり、そう言わんばかりに。


対するジャンヌは構えを――解いた。


この状況で構えを解くなど、正気の沙汰ではない……だが、違う。ジャンヌは構えているのだ、『無形の構え』 で。まぁ見えなかっただけで、今までもこの構えだったのだが。しかし、先程とは違い“一撃”に全てをかけ、さらに鋭く尖らせる。

ふと、この状況で微かにジャンヌが笑った。

(『義』を重んじるお前の技を、このような『義』とは程遠いだろう戦いで、お前のパートナーである私が使う……か。お前はどう思うだろうな、金一)

笑うだろうか、怒るだろうか、それとも――まぁそんなものは、後で訊きに行けばいいだろう。再び表情を引き締め、アリスと相対するジャンヌ。

どこまでも対照的な瞳が交錯し、金と銀の髪が揺れ波打つ。

ある意味すれ違っていた二人の心は、漸く交錯を始め――この戦い(意地の張り合い)の終曲(フィナーレ)はもう……すぐそこまで迫っていた。
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  1. 2012/09/30(日) 04:16:07|
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コメント

何と言う激しい台詞(笑)子供に聞かせちゃいけないですねw

それはさておき、ジャンヌには分の悪い戦いになっていますが如何なるか……

P.S.誤字ですが、

「『片』を竦め」→「『肩』を竦め」

です。
  1. 2012/09/30(日) 12:48:03 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

ホントはもって直接表現だったのですが、ちょっとマズいと思って変更しましたww

決着は次回ようやく……正直、1話で終わると思っていたのですが(汗)

感想ありがとうございましたm(__)m
  1. 2012/10/02(火) 02:32:01 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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