サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 番外編・マジカルトーナメント(仮)

人が凄く一杯入りそうな、ミッドチルダに立てられた超巨大なドーム。企画の当日だからか、祝いの花火が上がっているそのドームには、でかでかとこう掲げられていた――

『時空管理局主催!! 第一回マジカルトーナメント(仮)』

――正直、そのネーミングセンスはどうよ? とツッコミを入れたくなる看板である。

事実、一人の少女がドーム真っ正面から静かにツッコミを入れていた。

「……クロノくん、私はネーミングセンスって大事だと思うんよ」

「言わないでくれ……これでも、上層部が知恵を絞って考えたと言っているんだ……」

ツッコミを入れた少女の名は、八神 はやて。そしてそのツッコミに、片手で頭を抱えフォローにならないフォローを入れたのは時空管理局執務官の少年、クロノ・ハラオウンである。

車椅子に座るはやての脳内には、愉快に名前の候補を出す上層部と言うこれまた愉快な光景が描かれていたが、流石のクロノも少女の脳内にツッコミを入れる才能は無く、彼女の車椅子を押してドームの中へと入っていった。

係員に二人分のチケットを渡し、適当な食べ物と飲み物を買って二人は観客席へと入る。ドームの大きさから予想はしていたが、やはり規格外にデカい。しかも、まだ開始まで時間が在るのに殆ど満員御礼ときている。

これでは流石に、二人の座る場所は無い……と思いきや、なにやらデカデカとかなり空いている席が在った。クロノはさも当たり前のようにそこへ行き、さも当たり前のようにはやてをお姫様抱っこで持ち上げ席に座らせるが、当のはやては――クロノに恥ずかしいことを平然とやられ、赤面した表情で――疑問に思い、隣に座ったクロノに質問した。

「なぁクロノくん、なんで私らの席だけ確保されとるん?」

「あぁ、なのはと裏月さんが『コネと権力は使う物』と言って、僕達や他の皆の席を確保したらしい」

「……なんか、しょーもない使い方やなぁ」

まぁ、黒いことに使われるよりは遥かにマシである。と、そんなやり取りをしている間に時間が来たのか開始が近いと言うアナウンスが入る。それにより、会場のボルテージは一気に上昇し、まるでアイドルのライブでもやるのかと言う様な盛り上がりになった。

――若い者は娯楽が必要とはいえ、此れ程の盛り上がりを見せるとはなぁ。なんて感想を抱いたクロノだったが、彼もまた十分に若者である。ちなみに、なんで彼がはやてと共に行動しているかと言えば、はやては暫定的とはいえクロノの補佐役であり、まだ戦闘経験が少ない彼女にとって、こういった物は少なからず参考になるだろうと彼が判断したからだ。


……何故か母のリンディと友人のエイミィに頑張れ、と力強い視線で送り出されたのは、まぁ気にしないでおこう。

『さぁ始めるか。ネーミングセンスは気にすんな、時空管理局主催・第一回マジカルトーナメント(仮)!!』

『あー……まずは、エキシビションマッチを開始させてもらう』

かなり聞き覚えのある、ハイテンションな声とかなり冷静な声の二人の司会だが、まぁやはり今は気にしないでおこう。

と、その宣言と共に中央のステージに登場した女性により、会場のボルテージはより一層激しさを増した。クロノとはやても、その人物の登場に驚きながらも、同時に確かに妥当だなと考える人物。
純白のロングコートが揺れ、二つのお団子に束ねられた栗色も微かに揺れる。

そして、黒の天使と対をなす『出来損ないの魔法使い』

『他の魔導師の圧倒し、時空管理局創設以来、最強の魔導師と名高い。処刑人(エグゼキューター)――高町なのはの入場だ』

「はーい。どうもどうも~」

あらゆる人間を魅了する笑みを浮かべ、観客席に手を振りながらステージへと歩むなのは。その姿に、管理局員ならずとも男は誰もが魅了されていた。まぁ、彼女の身内を除いて、と言う言葉がつくのだが。

「まったく、大したキャラ作りだな」

「あ、魔法使いさん!!」

「……子供に正面向かって言われると、些か恥ずかしい物だな」

凄く、今さらだと思います、と心の中からのクロノのツッコミを受けつつ少々赤みが差した表情で登場したのは、“美しい”とか“凛々しい”と言う表現が良く似合う桜色の髪をポニーテールに括った女性――『烈火の魔法使い』、芳乃シグナム。

彼女の“姉”と趣味が似ているのか、ロングスカートも含め何処かふわふわと服装は凛々しいシグナムの雰囲気には合わなそうで、しかし意外と似合っていた。

「なぁなぁ、魔法使いさんはこの大会に出ぇへんの?」

「さて。まぁ裏月が身内全員を仮登録しているから、トーナメント開始ギリギリまでに本登録を済ませれば出れるが……」

正直、今の彼女に出る気は全くなかった。そもそもよく勘違いされるが、シグナムは別段戦いは好きではない。戦いの最中は集中し、必要の無い思考を廃する為に楽しんでいる様にも思えるが、所詮シグナムにとって戦いとは“護るための手段”でしかない。

だから、言葉では迷っている様に見せながらも内心は出るつもりはなかった――この瞬間までは。

『さて続いては……正体不明の美少女――芳乃さくら殿の入場だ』

「……なに?」

解説と共に、その人物が入場した瞬間に会場の盛り上がりは一気に静まったと言っていい。そしてそこから、戸惑いや騒めきといった声が大半となった。

なにせ、出てきたのは小学生程度の背丈しかない少女だったのだ。“あの”処刑人(エグゼキューター)の相手をあの少女が……? と言うのが、大半の観客の意見だろう。

(なにを考えているのですか……さくら姉さん)

しかし、シグナムだけは別の事を考えていた。なぜ、こういった事には見る事はするが出る事には興味がなかった姉が、今あの場に立っている?

だが、頭脳明晰なシグナムでも直ぐには理解できない。

「…………」

「さくら姉さん?」

ただ、目の前のなのはではなく自分に意識を向けるさくらに、漠然とだが何かを感じた気がした。

なのはが『エクスシア』を起動させ、機械的な翼を展開する。さくらは、己の金色の髪が揺れた一瞬の内にその手に刀を手にしていた。

瞬間、ステージを結界が包み込み内部の空間が変化する。普通とは違い結界のそれは、果てなく白い空間……俗に『バーチャル空間』とも言える様な空間だ。

『さて、今展開した結界は少し特殊な奴でね。その空間内なら、自由に風景とか建物とかを持ち主の意思で弄れる。ま、今回はシンプルにさせてもらったぜ』

『では、緊急のエキシビションマッチなので制限時間は5分とさせてもらう――開始してくれ』

存外あっさりとした開幕。それを聞いて先に動いたのは、翼で一気に天へと舞い上がった高町なのはだ。

滞空したと同時に、その手には長身型の大型ビーム砲、マギリングガンポッド『ルシファー』を持ち構え、砲身の部分が横に2分割された単射モード……その間から魔力が迸りスパークが散る。

そしてトリガーを引き、放たれたのは比較的細い砲身からは似合わぬ極太の砲撃。それは間違いなくさくらに直撃し、広範囲に爆風を上げた。

……終わった。どういう仕組みなのか、結界の外からもよく見えるその状況を見ていた観客は皆、そう思ったことだろう。まぁ、相手が彼の有名な処刑人(エグゼキューター)なのだ、仕方がない……そう、失望感にも似た感情を殆ど全員が抱いた。

――ただ一人を除いて。ただ一人、さくらの妹……芳乃シグナムだけは、未だ“戦う時の”厳しい表情で爆風を見つめていた。クロノとはやても彼女の様子に気付き、まだ戦闘経験の少ないはやては不思議がっていたが、クロノは直ぐに気付いた……“まだ戦闘は終わってなどいない”事に。

「散って……千本桜」

響く、妹と同じ凛々しい声が。そうして一瞬の間に、爆風から“桜”が飛び出した。美しく、光を浴びて輝く千本の桜はまとまり、束となってなのはへ加速する。

魔力が爆せる。それは、白き翼が粒子を吹き出し加速した証拠。が、飛行魔法の数倍の速度のそれでも、千本桜は同速以上のスピードで追い縋る。

(相変わらず鮮やかね……でも)


――私も、敗けるつもりは無い。その心中を表へと出すかの様に、なのははエクスシアをさらに加速させ、千本桜を強引に振り切った。
同時に、砲撃によって巻き上げられた爆風が晴れて行く――ただ一歩も動かず、全くの無傷でなのはの動きを捉えていた。

高町なのはの砲撃を受けたにも関わらず……だ。が、なのは本人は不思議には思っていない。自分自身の戦闘技術……そのあらゆる物を叩き込んだのば誰か、身を以って知っているのだから。

ガシャン、とルシファーを構えたなのはは、展開した翼で姿勢制御を行い、放つ瞬間だけ動きを止め再び巨大な砲撃を解き放つ。

桜色の砲撃は少女に迫り――同じ色の桜が、その砲撃の行く手を阻んだ。しかし、この程度の攻撃では通じない事などなのはは百も承知。そして既に砲撃を放った彼女は、その場から消え、目に見えぬ程の速度に少女の後ろに周り込む。

その勢いのまま、なのははマギリングサーベルを引き抜き、さくらに向かって右手を一気に振り抜く。ここからなら、いくら千本桜でも防御するには間に合わない――その筈だった。

会場にいる殆どの者は見切る事が出来なかったであろう、たった一瞬の交錯。渇いた鋭い音を立て、なのはが後退し距離を取った。

対して、相変わらず“無傷の”さくらが悠然と振り返り、何処か気品を漂わせていた。可憐、とか凛々しいという言葉がよく似合う。

(……ホント、後ろに目でも付いてるんじゃないかしら?)

展開していたバタフライナイフの刀身を閉じ、密かに左腕の袖に隠しながら彼女は思った。思った次の瞬間、目の前の少女はあの妹の姉なのだと思い返し、今更かと結論付けていたが。

ヒラリ、流れる“一枚の”桜を見て、なのはは人知れず小さなため息を溢す。

――確かに、小さな武器でも使い方とタイミング次第で強力な力となる、とは教えてもらってはいたが……未だたった一枚の桜で、回避行動に移る事を余儀なくされるとは、相手の実力を知ってはいるが少し落ち込む。

あの一瞬……何処からか飛翔した一枚の桜が、なのはの攻撃を簡単に遮った。だが、恐らく並の者ならば、知らず知らずに動きを封じられているそれを、彼女は咄嗟に反応して隠し武器のバタフライナイフで弾いたのだ。

けれど、弾いたとはいえ体勢を崩されたなのはは後退を余儀なくされた。と言うか、退くのが一瞬でも遅かったら、今ごろ自分は桜の刃に呑み込まれていた事だろう。

因みに、なのはの動きを読んで滞空させていたであろう、一枚の桜に反応できていなかったら……視界を潰され、あっという間にさくら本人に鎮圧されていたと予想できる。てか、昔よくやられていた事だったりする。

――思い出したら、なんだか妙にイラついて来たわね……。

しょうがない事とはいえ、何だか無性に腹が立ち『デモンストレーション』の意味合いが強いのは判っているが、せっかくなので意地でも一矢を報いたくなった――が、さくらが刀を何処から出した鞘に納めたのを見るに、どうやら時間切れらしい。

結界が解除され、二人は現実空間のよく在る闘技場の様な場所に回帰する――その瞬間、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。

「ま、デモンストレーションの役目は果たせたかしら?」

誰に言う訳でもなく、武装を解除しながらなのはがポツリと呟く。今頃、満足気に頷いているだろうこの大会の主催者を思い浮かべながら。
この大会は、少なくともこのレベル、これ以上のレベルの激闘が繰り広げられると言う意味合いのこもったデモンストレーションだったのだが、どうやらたった5分で観客の心を掴むには十分だったようだ。

まぁそれは良いのだが――

「しっかし意外ね。さくら、こういうのは頼まれても出そうになかったのに」

『それは、私も訊きたいものだな』

なのはの純粋な疑問に続く様に言ったのは、この場に姿の見えない人物だった。姿の見えない人物ならば、自分のデバイスであるエクスシアがいるのだが、生憎エクスシアはこんな片っ苦しい喋り方はしない。

ならば、答えは必然的に一つしかなくなる。うにゃ、と先程までの雰囲気から想像も出来ない声を上げ、目をぱちくりさせながらその人物の名を呼んだ。

「うにゃぁ、珍しいね『千本桜』 キミが自分からボクに話しかけてくるなんて」

『珍しい、と言う点では兄(けい)も同じだろう。私の記憶では、兄はこういった物を好まない筈だが?』

『刀』が話しかけ、さらにはそれに平然と応えると言う俄かには――それを言ったら、インテリジェントデバイスはどうなるのだ、となるが――信じがたい光景だが、彼女達にとってはまるで普通である。

だが確かに、千本桜の疑問は尤もだ。さくらは、こういった戦いの場はあまり好まない筈なのに、なぜ今回はあっさりと引き受けたのか……その疑問は、あっさりと氷解した。

ふと、さくらが視線を一ヶ所の向けたのだ。そこは、少女が戦っている最中ですら常に気を向けていた場所。

――芳乃シグナムが、烈火の様な瞳で姉を見返している場所だった。

「……そろそろ、妹の成長を確かめてみようかと思って、ね」

喜笑を浮かべる少女の表情は、いつになく楽しげだ。と同時に、それを見たシグナムがフッと笑みを返すように微笑んだ。

と、いつの間にかシグナムの隣に佇んでいた金髪の人物――紅 刹那が髪を掻き上げ、彼女にある事を告げた。

「こうなるだろうと思って、しておいて上げましたよ……本登録」

「あぁ、助かる――ここまでされて、出ない訳にはいかんからな」

まったく、こんなにやる気になったのはいつ以来だったか……そう思い、隣にいる刹那を見つめ、視線に気付いた彼が不思議そうに見つめ返した所で、漸く気が付いた。

「――そうか、お前と出会って、お前の泣き顔を見たとき以来だな」

「…………ふんっ!!」

「ッ~~~~~!?」

ガッ、と足をおもいっきり踏まれ、声を出すのだけは我慢して痛みに悶えるシグナム……男女の関係を差し引いても、まぁ自業自得である。

「なに思い出してるんですか!! 私はか、かったるいんですよ!!」

「な、なんでお前がかったるいんだ、まったく……」

それはまぁ……彼の顔が仄かに赤くなっている時点で、察しろと言う事だろう。頭脳明晰なシグナムでも、“色恋”になると形無しだ。
二人の無意識なイチャイチャ具合はともかく、流石にここまでされて出場しない訳にはいかない。

何せ、戦っている最中でも自分に意識を向けられていれば、その申し出、受けない訳にはいかない。

――最強の魔法使い、孤高のカトレアの再来。様々な異名を持つ天才魔法使い……その妹である『烈火の魔法使い』としては。

ずっと憧れ、ずっと彼女を目標とし、そして今、その姉からどんな勝負の形であれ指名されたのだ。一人の『魔法使い』として、彼女自身が。

未だ、その壁は厚いのかもしれない。――過去、芳乃シグナムが芳乃シグナムとして皆に見られなかったのは、それが原因でもあるのだから。

けれど――シグナムはこの言葉を姉に届けたい。それに、さくらも応えた。

「私は、敗けません。貴方の――芳乃さくらの“妹”として」

「ボクも、敗けるつもりは無いよ。キミの――芳乃シグナムの“姉”としてね」

一人の魔法使い、そして姉妹として、二人は交錯する。

烈火と桜が煌めき――歪んだ物語は、加速する。
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  1. 2012/09/27(木) 04:21:52|
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  4. | コメント:2
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コメント

何とド派手なエキシビション(笑)

この後に普通の魔導師が戦ったら……空気確定ですねw

シグナムには頑張って頂きたいモノですw後クロノもw

P.S.誤字ですが、

「千本桜の疑問は『最』もだ」→「千本桜の疑問は『尤』もだ」

です。

P.S.のP.S.前回の戦闘描写についてですが、バトル漫画を文章で書いてみると良い練習になりますよ。
  1. 2012/09/27(木) 08:10:00 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #G7LvmW4Y
  4. [ 編集 ]

>フルカスタムさん

感想ありがとうございますm(__)m

まぁ、彼女らの実力からすればこれくらいはウォーミングアップに入るかなと(笑)

ま、まぁ仕方ないですよね……確実に空気確定です、はいww

無論シグナムはかなり張り切ってます。クロノ君は……どうでしょうww

PS.バトル漫画ですか……確かに、よい練習になるかもです。助言ありがとうございます!!
  1. 2012/09/28(金) 04:34:26 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

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