サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

魔法少女リリカルなのはA's 通りすがりの魔法使い・プロローグ

選択肢の数だけ無数に存在する世界、枝分かれする未来。これは、そんな選択肢の世界の一つ。

――魔法使いが入り込んだ、始まりの前の物語。

海鳴町、広域封鎖結界内。魔力を持たない一般の人間が入り込めないそこには、赤毛の少女――闇の書の守護騎士、ヴィータが一人の少女を追い詰めていた。

「っう……」

栗色の髪を微かに揺らし、ビルの内部に叩きつけられた少女が身動ぎする。が、ダメージが思いの外大きいのか、それても破損したデバイスの影響か、立ち上がる事すら出来ない。

バリアジャケットの再構築すら出来ずに、ただ擦れた思考で考える事しか出来ない。何故、こんな事になったのか。突然襲い掛かってきた少女と交戦状態に入ったが、弾丸のような物を少女が使った途端に戦況は一変。

彼女の魔力が突如跳ね上がり、展開した魔力防壁を打ち破られ、今に至る。

(もう……駄目なの?)

思考だけで無く、視界すらもぼやけてきた。赤毛の少女が近づいてくる……そして目を閉じかけた、その時――

「……誰だ、お前」

――誰かが、目の前に降り立った。一瞬目を離した隙に、だ。ストレートの桜色の髪がなびく。その手には、炎が波打つ様な美しい刃を持った剣。後ろ姿で、さらに帽子まで被っているので顔は見えない。しかし、後ろ姿だけでも何処か気品が感じられた。

……女性が、怪訝そうに見つめるヴィータに向かって、凛々しい声で言葉を放つ。その、質問の答えを。

「――通りすがりの魔法使いだ」

――それは、歪んだ物語が始まる合図だったのかもしれない。

女性の答えに、ヴィータは露骨に顔を歪める。答えになっていない……そして、目の前の者が何処か自分の仲間と被るイメージを感じて、振り払いたかったのかもしれない。

「答えになって――ちっ!!」

「なのはっ!!」

思わず叫ぼうとしたヴィータが舌打ちを放ち、すぐさまビルの外へ離脱する。それと入れ違いで、三人の人物が少女――高町 なのはの下へ駆け寄った。

少年、ユーノ・スクライアがすぐに治癒魔法を掛け、金髪の少女、フェイト・テスタロッサと使い魔のアルフがなのはを心配しつつも、警戒を含めて目の前に立つ女性に問い掛けた。

「貴方は、何者ですか?」

「二回目だが、通りすがりの魔法使いだ」

彼女的には正直に答えたのだろう……が、二人には冗談にしか聞こえなかったのかさらに警戒を強められた。

――別に、冗談のつもりは無いのだがな……。

まぁ、通りすがりの処は即興だがマジだ。本当に通りかかっただけ……だが、それを説明する暇はないらしい。帽子の下で、女性が鋭く目を細めて言う。

「気を付けろ、もう一人来るぞ」

「あ、ちょっと待ちなよアンタ!!」

警告するだけして、桜色の髪の女性は使い魔の制止を聞かずに飛び出した。フェイト達が使う飛行魔法を行使した様子も無いのに、女性はいとも簡単に空中に降り立つ。

彼女のロングスカートがゆらりと揺れ、彼女は再び赤毛の少女、ヴィータと相対した。

「もう、お前が誰か何て訊かねぇ」

ガシャン、とヴィータが己のデバイスである『グラーフアイゼン』を構え、言った。それに、女性が帽子の下で薄く微笑みながら、答えた。

「ほう、ならばどうするつもりだ?」

「決まってんだろ――前に立つなら、ブッつぶすだけだ!!!!」『Explosion.』

ヴィータの叫びに応え、グラーフアイゼンが変化する。弾薬の様な物を排出し、グラーフアイゼンの形状が変化した。

『Raketenform.』

ハンマー状だった物がスパイクに状に変形し、もう片方からジェット噴射によりヴィータがその場で回転し加速を始める。

「ラケーテン……ハンマァァァァァァッ!!」

そして、勢いをそのままにヴィータは一気に突撃した。推進剤の噴射と回転の遠心力、この要素によって強化されたそれは、受け止める事も避ける事も困難な一撃。事実、高町なのははこの技によって敗れた。

桜色の髪の女性は、何もせずに動かない。そしてヴィータの一撃が彼女に届こうか――瞬間、何かが煌めき、軌跡を描き、凄まじい衝撃が辺りに爆せた。

衝撃と轟音が収まり、そこに在った光景は……。

「なん、だと……!?」

呆然と、目の前の光景を信じられない瞳で認識したヴィータと……炎の刃で、寸分の狂いも無くスパイクの先端部分を受け止めた、魔法使い。

それが、この光景こそが純粋な真実。爆発的な破壊力を誇るヴィータの攻撃を、魔法使いが“いとも簡単に受け止めた”という事実がそこには在った。

完全に勢いを失ったのか、女性が軽く剣で押し返すだけでヴィータはあっさりと後退を余儀なくされる。けれど、そんな事はどうでも良いとばかりにヴィータは叫び気味に女性に言葉を放った。

「テメェ……なにしやがった!?」

「なに、とは? お前の攻撃を読めた事を訊いているのなら、簡単だ。あれだけ大雑把なモーションならば、攻撃を予測‐推理‐する事も容易いからな」

「とぼけんなっ!! どうやってアタシの攻撃を“受け止めたのか”って訊いてんだよ!!」

避けられたならまだ解る……だが、受け止めた? あり得ない。あり得る筈が無い。それだけの自信を少女は持っていたのだ。

――事実、ヴィータのこの一撃を受け止める事は、かなり難しい。カートリッジシステムによって、突破力と追尾力に優れるヴィータ一撃は、躱す事も受け止める事も難しい……だが、目の前の魔法使いは薄く微笑み、またいとも簡単に驚愕の方法を言ってのけた。

「別に、大したことはしていないさ。ただ単に……お前の攻撃に“衝突する瞬間に同じだけの衝撃”を与えて、完全に相殺しただけだ」

「なっ……」

もう、ヴィータは絶句して言葉を失う他なかった。女性が言っているのは、こういう事だ。

まず、彼女はヴィータの『ラケーテンハンマー』の軌道を完全に見切り、そして当たる直前に凄まじい速度で刃を振るった。さらに、刃とスパイクが衝突する瞬間に、強化された少女の一撃と全く互角の力を“一瞬だけ”生み出し、『ラケーテンハンマー』の威力を完全に打ち消したのだ。だから、あんなに簡単に受け止められてしまった。

――こういうのを、恐らく“神業”というのだろう。一瞬で相手の技を見切る推理力。さらに、桜色の髪の女性の友人曰く、未来予測じみた驚異的な直感力と、恐るべき反射神経と動体視力。そして、驚異的な斬撃スピード。

これらの要素を駆使して、この“神業”は成り立った。何より、未来予測じみた直感力については、彼女の右に出る者はそういない。

彼女にかかれば、放たれた銃弾をも超える速度の斬撃を放ち、銃弾のベクトルを強制的に変更する事すら、可能だろう。というか、少し前にやっている。……最早、反則的なまでの戦闘スキルだ。歴戦の騎士であるヴィータですら、驚く以外にどうしろってんだ、と言わんばかりの表情で惚ける他ない。
さらには――尋常ならざる速度で、月と空が曇に覆われていく……この切り取られた空間とも言える『広域封鎖結界』内部で、だ。


「なんだよこれ……これもお前か!?」

「聞き方が断片的だな。まぁ、この天候を私が操作したかと訊かれれば、答えは“NO”だ」

ただ、彼女はその答えを知っている。曇天が支配する、この天候。その曇天すらも、支配下に置かれた物。

全ての水が彼女の武器。全ての天‐そら‐は彼女の支配下。その力の名は――

「霜天に坐せ――氷輪丸」

溢れた冷気が創り出す水と氷の竜。水色の着物を羽織った少女が、金髪のツーサイドアップをなびかせ、それを従える。サファイアブルーの瞳が、目の前の騎士を見据える。
桜の魔法使いと、烈火の将が相対した。

「……そこの使い魔くん、そこの女の子を連れて下がって」

「あ、あぁ」

視線を外さず、そう告げた少女に何故か逆らえずにアルフはビルに突っ込み、気を失ったフェイトを回収して下がった。フェイトのデバイスも、辛うじて機能を保っているだけで破損が激しい。戦闘続行は、まず不可能だろう。

高町なのはと同じく、魔導師としての実力が高い筈のフェイトをここまで追い込んだのは、氷輪丸を構える見た目は少女、さくらの前に立つ、桜色の髪をポニーテールに括った女性。

――ヴォルケンリッター、烈火の将……シグナム。

「強い……ですね」

その百戦錬磨の彼女が、小さな少女を前にして額に一筋の汗を流す。剣こそ構えているものの、斬りかかる事はしない。いや、迂闊には出来ないと言う方が正しい。

それを見て、さくらはただ微笑み軽そうに言葉を口にする。

「そうかな? 案外見かけ倒しかもよ」

「いいえ、解ります。貴方は強い……そして、不思議と心が踊るのを止められない」

そう、笑みを浮かべて言うシグナムに、さくらは少しだけ目を見開いた。シグナムが俗に言うバトルマニアだったのが、何故か少々予想外だったらしい。

シグナムが剣のデバイス『レヴァンティン』を構え、さくらは氷の刀『氷輪丸』を一閃振るい、氷の竜を従える。そうして互いが動こうか、その瞬間――


――桜色の光が、瞬いた。


「なに!?」

「……集束砲撃」

さくらが静かに呟く、と同時にそれは放たれた。圧倒的な光の束、集束砲撃『スターライト・ブレイカー』。神々しいまでの光が結界に激突し、一瞬にしてそれを打ち破った。

一ヶ所とはいえ破られた結界は、そこから崩壊を始めてゆっくりと現実空間へ回帰しつつある。

「くっ……申し訳ない。刃を合わせるのは、また次の機会に!!」

答えは聞かず、シグナムは結界の外へ向けて飛翔する。確かに心踊る戦いは魅力的だ……が、自分には遣らねばならない事がある。そしてもう一つ、“アイツ”との約束がある。

――そうして、二人は交錯する。

「っ!!」

「…………」

一人――烈火の将――は目を見開き、もう一人――烈火の魔法使い――は帽子の下で静かに見つめるだけ。

同じ色の瞳と、同じ色の髪が一瞬交錯する。それが、この歪んだ物語が加速する合図。

『ダ・カーポ』の様に繰り返す物語の、一つの合図だった――
スポンサーサイト
  1. 2012/07/30(月) 00:22:03|
  2. 魔法少女リリカルなのはA's
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<魔法少女リリカルなのはA's 通りすがりの魔法使い 第1話 | ホーム | 魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第24話>>

コメント

読ませて頂きました!

さくら達の悠然とした雰囲気が感じられて良かったです!

誤字ですが、

「この技によって『破』れた」→「この技によって『敗』れた」

です。
  1. 2012/07/30(月) 07:35:14 |
  2. URL |
  3. フルカスタム #nJlylIdQ
  4. [ 編集 ]

>フルカスタムさん

感想&誤字報告ありがとうございます!!

まぁ最初ですので、極力余裕だぜーみたいな感じで書いてみましたww しかし、代償にヴィータが噛ませみたいに……あ、いつものこと(ギガントシュラーク

次回をお楽しみに!!
  1. 2012/08/09(木) 23:14:56 |
  2. URL |
  3. いかじゅん #3/2tU3w2
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://freedomzer.blog.fc2.com/tb.php/31-d3e5fc82
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。