サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第1話


「あの……結局、あなたは誰なんですか?」

「私は主を守護する騎士。シグナムです」

とりあえず、突然現れた彼の騎士を名乗る女性――シグナムから話を訊くために、彼は自分の部屋からリビングに移動していた。

一つ目の質問は、彼女が現れた時と変わらず、自分の騎士と名乗っている。まぁ、これで予備知識がないなら訳がわからないのだろうが、彼女が出現した時に展開された魔法陣……あれは自分や弟子と友達も知る魔法と同じ物だろう。

何か変な事になったな~とか思いつつも、彼女をほっぽり出すわけにもいかないので、彼は質問を続ける。

「私の騎士ですか。じゃあ、何で私の所に?」

「いえ、それがその……」

シグナムが突然、先ほどからのキリキリした表情から一変して少し困った様な表情に変化した。

彼は彼女の変化を不思議に思ったが、思考を働かせて原因を考える。と、すぐにある可能性にたどり着いた。

「もしかして……分からないんですか? あなたが私の下に来た理由」

「は、はい。恥ずかしながら……」

今度は、ちょっと困った事になったな~とか彼は考えていた。来た理由さえ聞ければ、自分の友人に頼んで何が原因かを調べられたのだが……まぁ分からないものは仕方がない。

シグナムが嘘をついている様にも見えない。と言うか、嘘をつける性格では無いよね、というのは話をしていて何となく分かった。
ふと彼は時計を見て思う。そういえば、そろそろ夕飯の時間だった。

「まぁ、分からないものは仕方ないですね。とりあえず準備してた夕飯でも出しますから、ちょっと待っててください」

「あ、いえ主。私は別に食事を取る必要は――」

ない、と言い掛けてその場に「くぅ~~~~~」という大きく可愛らしい音が聞こえた。とたん、シグナムの顔が真っ赤に染まる。

どうやら、彼女のお腹の音だったらしい。その音を聞いた彼が笑いを堪え、それを見たシグナムがさらに顔を赤くする。

用意していた夕飯は、彼女の胃袋の中に全て消えてしまいそうだった。

「お、美味しいですっ!!」

「そう。よかった」

結局、夕飯を食べる事になったシグナムだったが、予想どおり用意していた夕飯を全て食い尽くす勢いで箸を進めていた。とはいえ、夕飯自体をあまり用意していた訳ではなかったので、某腹ペコ騎士王ほどの勢いではないので悪しからず。

それを笑顔で見ていた彼だったが、ちょっとした事に気が付く。

「そうだ! まだ私の名前、教えてなかったですよね。私、ヒナギク。みんなは“ヒナ”って呼ぶんですけどね」

「ヒナギク……ですか?」

食事をしていたシグナムが、ちょっと不思議な顔をする。それもしょうがないか……と思いヒナは苦笑する。

自分が男だと教えているから、女性の様な名前を不思議に思ってもしょうがない。

「変だよね。男なのにヒナギクなんて名前で」

「い、いえっ!! そんな事はありませんっ!!」

「――あのね、私は……昔の記憶がないの」

「え――?」

唐突な自分の主の告白に、シグナムは絶句してしまう。

何故だろう、話すつもりはなかったのに、ヒナは自分の事を口に出してしまう。

「このヒナギクって名前も、私がヒナギクの花を見て、何となくつけた名前。だから、私は自分の本当の名前は知らない。両親の顔も、そもそも両親が生きているかすら分からないの」

「主……」

ヒナギクは自分の生まれなど知らない。気が付いたらこの町にいて、何も思い出せないままこの町にとどまっている。

けど彼は、自分では幸運な方だと思っている。何も思い出せないけど、なのはを含めた高町家の人たちに会えたし、友人もできた。

だけど、やっぱり独りはどうしても不安になる。だから……っていう訳ではないけど。

「ねぇ、シグナム。もし良かったら……私と一緒に居てくれないかな? 独りは……どうしても不安になるから――」

ただ、そんなに長く一緒には居られないと思う……とは、続けられなかった。

そして、ヒナの願いにシグナムの答えは――

「主、私はあなたの騎士です。あなたが望むなら、いつまでも共に歩みます」

そんなもの、訊く前から決まっていただろう。シグナムの誓いを聞き、ヒナは無邪気な笑顔を浮かべる。
この日から……シグナムとヒナギクの共同生活が始まった。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「事の経緯としては、こんな感じですね~」

「それで急に、女性の服を選んでください、何て私に言ってきたわけですか」

高町なのはの両親が経営している店『翠屋』。そこでは、なのはがやっと事の顛末を理解できた、といった感じだった。

ヒナから掛けられてきた電話で、いきなり女性の服を選ぶのを手伝ってくれ、と言われた時は思わずついに正しい性別に目覚めたか、とかなり失礼な事を考えたなのはだったが、待ち合わせ場所にいたシグナムの服を選び、そして翠屋で説明を聞いて理解できたらしい。

因みに、その話題のシグナムは……翠屋特製のシュークリームをパクついていた。これで三つ目……やっぱり栄養は胸にいくのかな? とかなのはは純粋に失礼な事を考える。

そういえば、師匠の話だとシグナムさんは魔法陣から出てきたって言ってたよね……。あっさり思考を切り替えたなのはは、ちょっとした疑問を口にした。

「シグナムさん。そういえばデバイスって持ってるんですか?」

「デバイスか……その、前は有ったと思うのだが……」

「前はって、今は無いんですか?」

「すまない。記憶が曖昧なんだ」

シグナムは本当にすまなそうに、表情をシュンとさせる。ただ、手に持ったシュークリームがかなりシュールだ。

質問したなのは的には、ここまで真面目に返されるのは予想外だったのか、少し焦った様子で言葉を返す。

「ああ、別にいいですから!! でもデバイスが無いなら、裏月(りげつ)さんに相談してみますか?」

「裏月?」

「一言で言えば、私達のド〇えもんですね。まぁ普通に人間ですけど。とりあえず会いに行きましょう」

シグナムの疑問に対して実に単純な返答をしたヒナが、席から立ち上がった。それに続いてなのはとシュークリームを持ったシグナムが立ち上がろうとして――パァン、という銃声音が店に響いた。

何事かと店の入り口を見ると……そこにはジャンパーにジーパンに覆面の三人組が居て、三人の手にはそろってトカレフの拳銃が握られていた。

「全員動くんじゃねぇ!!」

どこからどうみても、完全に強盗である。翠屋の中にいた客は騒然となり、シグナムは瞬間的に戦闘態勢をとるが……ヒナとなのはを見ると、この人たちバカでしょ、という表情をしていた。

――そもそも、この強盗達は致命的な失敗をしている。

何故わざわざ喫茶店を襲ったのだろう? まぁ普通の喫茶店なら良かったかもしれないが……生憎、襲った店が悪すぎた。

強盗の一人が騒ぐ客を黙らせようと、拳銃の引き金を引こうとして――自分の拳銃が無くなっている事に気が付いた。

「お客様。店内にこういった危険物の持ち込みはご法度です」

すると、男の隣にはいつの間にか拳銃をその手に奪い取り、笑顔で強盗にそう告げる翠屋の店主……高町士郎が居た。

「なっ!? テメ、ごぁっ!?」

「そこまでだ」

ようやく士郎に気が付いた強盗の一人が彼に銃を向けたが……今度はなのはの兄、高町恭也が強盗の体をいとも簡単に押さえ込んだ。

さすがにと言うか今さらと言うか……焦りを感じたのか、人質を取ろうと走り、そして計画どおり人質を取ったが――どうやらこの強盗、とことんな迄に運が無いらしい。

「う、動くなぁ!! 動くとこいつを撃つぞっ!!」

「あ、主っ!!」

その強盗が人質に取ったのは、シグナムとなのはからほんの少し離れた場所に居た、ヒナギクだった。

だが、なのはの表情は、先ほどよりこの人バカでしょ、と言う表情になっていた。一方シグナムは、自分が居ながら不甲斐ないと思ったが、ヒナが常人には認識できない速度で強盗の銃に何かしたのを見た。

当然、焦っている強盗は気が付かない。同じくそれを見ていたなのはが、せめてもの情けと思い……まぁ無駄だとは思うが一応忠告を出した。

「あー強盗さん? もう諦めた方が良いと思いますよー」

「うるせぇ! このガキ――って、あれ?」

強盗がなのはを黙らせようと、銃を向けて威嚇射撃を放とうとし……何故か引き金が引けない。何度引こうとしても、引き金はガチ、と音を立てるだけだった。

「一応教えてあげますけど、トカレフは撃鉄を軽く起こして中間で止めると、安全装置がかかるんですよ。まぁでも――」

「これくらい、強盗をやる前に勉強しておいた方がいいよ?」

ヒナの言葉を引き継いだなのはの姉、高町美由希の言葉は……恐らく聞こえなかっただろう。なぜなら、その美由希の手によって気絶させられ、地面に崩れ落ちたからだ。

昔の物ならともかく、トカレフ銃のセーフティはヒナがやったように、意外と簡単にかかる。そもそも、銃を手に入れた時に説明を見なかったのだろうか?

何はともあれ、所有時間は僅か一分足らず。知識と運が足りなかった強盗は、遭えなく御用となった。

「――いや……っていうかヒナちゃんなら、人質になる前にこんな素人くらい簡単に倒せたよね?」

「美由希さん。か弱い私にそんな事、出来るわけ無いじゃないですか~」

「師匠、笑顔で嘘を吐かないでください。まぁここは、お兄ちゃん達に任せましょう。じゃあお母さん、行ってきます!!」

「はいはい。行ってらっしゃい」

今さっき強盗に襲われていたのに、あっさり娘を送り出すのは、一重に高町桃子が家族を信頼しているからなのだろう。実際この家族、そんじょそこらの強盗なら瞬殺できるし。

そして、主についていくシグナムは思った……自分は、いろんな意味でとんでもない人を主にしたのだな、と。












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「裏月さん、入りますよー」

場所は変わってとある家。その家の一室のドアをなのはが軽くノックして、返事も聞かずにドアを開けて部屋の中に入る。

なのはに続いて、ヒナとシグナムも部屋の中に入った。すると、そこにはパソコンと向かい合っている、一人の青年が居た。

返事を聞かずに入って来た、なのは達に対して何か気を悪くする様子もなく、その青年が椅子を回転させて振り向いた。オレンジ色の髪に、銀のフレーム付きのメガネをかけた彼……裏月は、早速とばかりに用件を訊く。

「よぉなのは。今日はどうした?」

「実は――カクカクシカジカでコレコレウンヌン――ってな感じです」

「……お前ら、また強盗に絡まれたのか?」

裏月の言い方だと、ヒナとなのはの二人は過去に何回か強盗に絡まれているらしい。シグナムは妙に気になったので、ちょっと話を訊こうとしたが……その前になのはが話を無理やり切り替えた。

「い、いや。その話はもう良いじゃないですか」

「まぁそれもそうか。それで? デバイスが欲しいのはお前だっけか?」

「あ、ああ」

「使える武器は?」

「剣の系統だな」

「じゃあほら、これで良いだろ」

言うなり、裏月は何かをヒョイ、っとシグナムに向かって投げ渡し、彼女は慌ててそれを掴み取った。
掴んだ物を見ると……それは一本の白い短刀。卍型の鍔を持ったその短刀に、シグナムは不思議と引き付けられた。

「どんな刀かは使えば分かる。ただ、その力の全てを使いこなせるかは……お前次第だ」

「って言うか裏月さん、随分と用意が良いですね? もしかして、かなりタイミングが良かったですか?」

「ああ。ま、純粋なデバイスとは呼べねぇかもしれないが、最近完全させたモンだよ」

「とりあえず、私達はこれで帰ります。シグナムが、今すぐにでもこの刀を使ってみたい、って顔をしてますから」

「あ、主っ!?」

ヒナの言い方に思わずシグナムは顔を赤くしたが、自身の主の言う通りなので反論できなかった。

……そんなこんなで、裏月にお礼を言って三人は帰って行った。そして、一人部屋に残った裏月は近くに置いてある携帯を手に取る。一応、連絡しておこう、と彼は思い自分の親友に電話をかけた。

『もしもし。どうかしたか?』

「おお、な――いや、今は家名を継いだから、斬月だったよな?」

『私としては、別にどちらでも構わんがな。で、何の用だ』

「ああ。あの刀……渡しちまったけど、別に良かったよな?」

『――お前、人の家に代々受け継がれている宝具を、本当に再現したのか……』

電話の相手、斬月と呼ばれる人物は、かなり呆れを含んだ言葉を裏月に返す。

話を訊く限りでは、どうやら先ほどシグナムが貰った刀は、斬月の家に伝わる宝具を裏月が再現した物だったらしい。

「しょうがないだろ。出来るもんは出来るんだから」

『……はぁ。別に渡すのは構わんが、渡した人間に使えるかが問題だろう?』

「ん、まぁ普通に使うだけなら問題なさそうだったな。ただ――本当の意味で刀に認めてもらえるかは、保証できねぇぜ」

……先ほど裏月が言った、純粋なデバイスとは呼べないかもしれない――それは間違っていない。と言うか、アレは最早デバイスの域を超えている。もともと、オリジナルとも呼べる刀自体がデバイスではないのでしょうがないのだが。

斬月の家系に受け継がれている三本の刀、そしてイレギュラーとも言える裏月が再現した刀……普通、刀は人が選ぶものだが、この四本は違う。

人が刀を選ぶのではない――刀が人を選ぶのだ。

『だろうな。さて、私も気が向いたらそちらに行くかもしれん。その時はよろしく頼む』

「ああ、じゃあ旅を楽しめよ」

少し久しぶりに親友と言葉を交わして、裏月は上機嫌になる。

――さぁて、いい加減アイツのデバイスも完成させるとすっかな。ま、使う機会が来てくれるかはともかく……。

こんなことを考えていた裏月だったが……この彼の予想は、良いのか悪いのかハズレることとなる。

この約三ヶ月後、願いの宝石がこの町に降り注ぎ――幾つもの出逢いの物語が……始まる。
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  1. 2012/03/17(土) 17:08:14|
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