サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第20話

時空管理局本局、そのとある空間。
本局という事もあり、あらゆる場所がそこには在るが……ここは、そのどんな場合より特殊だった。

まず重力が無い、無重力空間。そこは円筒形の形状で、縦に長く伸びており、通路と思われる部分がその内部を縦横に走っている。

そして何より――本。ただ本が在るだけだが……規模が違う。気の遠くなるほどの規模で本棚が並んだ書庫、言うなれば“無限”。

そう称するに相応しい規模だ。果てが見えず、この場所を所有している管理局も中身を殆ど把握していない。

無限、無限の書物がある書庫。
だから――無限書庫。
そんな管理局すら管理を諦めている筈の場所で、一人の少年が座り数十の本を周りに回転させ情報を読んでいた。

普通ではあり得ない、というか無理な光景だった。本来この無限書庫は、目的の物を探す事は“不可能”とまで言われている。例え探せたとしても、年単位での捜索になる何て話もあるのだ。

だが、その“不可能”という事実が一人の少年――ユーノ・スクライアがあっさりと覆してしまっていた。

パタン、と彼が検索に掛けていた本が閉じ、元の場所に戻って行く。
ちょっとした休憩なのだろう、息を吐いて身体を楽にするユーノ。

「ヤッホー、ユーノくん」

と、無重力空間を利用してか、リラックスするユーノの上からゆっくりと降下して、フレンドリーな挨拶をする髪を小さなお団子頭に括った女性――高町なのは。

突然目の前に、それも逆さまで現れた彼女に対して、ユーノは極めて普通に挨拶を返した。

「やぁなのは。って、なにその本?」

そう少年が目を付けたのは、なのはの手の中にある古びた書籍。彼は純粋に興味を持った……まぁなのはが興味を持つ様な本だし、普通では無いというのは誰でも解るだろう。

「あぁこれ? ちょっと面白そうだから、ゆっくり読むために持ち出そうと思って。しっかし、何でも在りそうだね、ここ」

「そうだね。ちゃんと探せばどんな物でも在ると思うよ」

探せばどんな物でも……ユーノの言うことは、決して過大評価ではない。実際、この無限書庫にはそれだけの“知識”が納められているのだ。それを披露する機会が無かっただけで。

「そう見たいだね。まぁ私は行くよ、クロノくん待たせてるし。あと、頼んだ私が言うのも何だけど、無理はしないでね」

「うん、分かってる」

「じゃあ家への転送ポートも設置したから、夕飯には帰って来てね~」

タンっと通路を蹴って、無重力空間の出口を目指すなのはに軽く返事をして、検索を再開するユーノ。
……彼はツッコミを入れなかったが、個人用の転送ポートを用意する処とか、相変わらず彼女のポケットマネーがふざけた額をしているかがよく解る。

「なのは」

「あらクロノくん。待たせちゃったかしら」

「いいや。行こうか」

無限書庫を出て通路を歩くなのはとそう会話を交わし、彼女の隣を歩くクロノ。

図らずも、今回の『魔導師襲撃事件』の解決の為に組む事になったなのはとクロノは、基本的にこうして行動を共にする事にしていた。
無論、何かあった時は別行動という可能性も在るが、この事件の間は互いが“相棒”という立ち位置に近いかもしれない。

「それでどうだった、無限書庫は?」

「ん~、流石はユーノくんって感じね。探せば何でも出てくるそうよ」

「その本は? 闇の書と関係があるのか」

「これは違うわよ。『刀』の事が載ってる書庫。勿論、私みたいな資格者が使う……ね」

本の中身をさらさらっと読み流しながら、そう応えるなのは。その応えに、クロノも少なくない驚きを隠せない。

「そんな物まであったのか……」

「言ったでしょ、探せば何でも在るって。ま、ちょっと古いみたいだけど……」

言うなり、なのはは真剣に本の中身を読み耽り始めてしまう。先ほどまで読み流していたのだが、彼女はちょっとした違和感をこの本に感じたのだ。いや、この本に対してというより、現在の『刀』に対してと言った方が正しいかもしれない。

(見たところ、さくらの『千本桜』が無いのは……まぁこの本が古いし、本人が『ボクはかなり最近だからね~』とか言ってたから解る)

本を見ながら、彼女は器用に思考に頭を割く。さくらに関しても違和感は残るが、今は良い。問題はもう1つの方……とさらに思考を巡らせるなのは。

(問題は冬獅郎くんの『氷輪丸』……能力とかの違いは殆ど無い様に見えるけど、明らかに“違う”能力以外が今の冬獅郎くんと“違い”過ぎる。これは一体……)

書籍が古いという事を差し引いても、なのはにとって無視しきれない“矛盾”が残る。だが、幾ら聡明な彼女が思考を巡らせても、この答えは一向に出ない。

情報が足り無すぎる、そう結論付けたなのはは書籍を閉じて、取り敢えず目の前も問題から片付ける事にした。

「それはさておきクロノくん、増援の方はどうなったのかしら?」

「あぁ……グレアム提督、そしてキミの口利きのお陰で武装局員の一個中隊の指揮権を貰えたよ」

「まぁ提督自ら言ってくれたんだし、それくらいは貰えないとね――グッ!?」

――衝撃。何かが、なのはの頭の直接干渉……いや、なのはがその存在を感じ取ったと言う方が正しいかもしれない。

予期せぬ痛みにも、本を持っていない方の手で頭を押さえながらその正体を探るなのは。

しかし、彼女の素早い行動も虚しく事態は予想以上のスピードで進む。突如頭を押さえたなのはを見て、困惑しながらも何事かと問い掛けようとクロノが動いた時、それは起こった。

「な、なんだっ!?」

「この地震、訓練場から……!!」

「あ、おいなのは!!」

突然起こった強い振動。本局での異変に戸惑うクロノだが、なのはは冷静に振動の震源地を把握する。
ここから然程離れてはいない場所、そこまで彼女が把握出来たのには先程の頭痛が関係していたのだが……今はそれどころでは無い、とばかりになのはは震源地――本局の訓練場に走る。

フェイト・テスタロッサのいつもの“数倍”の魔力反応と微かに感じた――虚(ホロウ)の力。

幾つものチカラが重なり合い……物語は動き出す。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

地球、海鳴市。同じ時、時空管理局本局では巨大なトラブルが起こっているのだが、この街は今は極めて平和だ。

それを証明するかの様に、とあるゲームセンターのクレーンゲームにて、一人の少女がぬいぐるみを羨ましそうに眺めていた。

眺める少女は赤毛……つまりヴィータなのだが、ぬいぐるみは彼女が大好きな『のろいうさぎ』という物なのだ――が、ヴィータはクレーンゲームなどした事は無いし、無駄遣いする様なお小遣いも無い。

ここはベルカの騎士らしく――関係あるかは知らないが――大人しく諦めよう……そう考え家に帰ろうとすると、ヴィータの目の前には『のろいうさぎ』があった。

「え?」

「これ、欲しいんでしょ?」

「い、良いのか!!」

とか言いながら、もうヴィータは『のろいうさぎ』を掴んで離しそうにない。少女のそんな行動に、ぬいぐるみを譲った人間は“金髪”の髪をなびかせクスリと笑う……金髪?

「な、なななな――」

ギギギ、とまるでブリキの人形の如くゆっくりとその人物を指差すヴィータ。

まぁ、少女がそうなるのもしょうがない。今、ヴィータの目の前にいるのは、

「なんでアンタがここにいるんだよぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

ついこの前、自分が魔力を奪う為に襲い掛かった――ヒナギクなのだから……。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

轟音と閃光……それを訓練場の中心から放たれる“チカラ”が生み出す。

二つのチカラを生み出しているのは、訓練場の制御室に駆け付けたなのはとクロノが見たこと無い程の出力の雷撃。

その雷撃の中心には――“仮面”を着けた少女、フェイトが佇んでいた。彼女は動いてすらいない……ただ電撃を放ち続けているだけ。

だが、その出力がふざけている。通常、魔力変換で生み出せる属性魔法の領域を明らかに越えた出力……もうすでに、訓練場の電気機器‐システム‐はダウンしている。

最早普通の魔導師は近づく事すら馬鹿らしくなっている状況に、なのはは舌打ちを禁じ得ない。

「虚(ホロウ)の仮面に、それ以外にももう一つの“何か”か……面倒な事になったわね」

「クロノ……かい?」

「っ! アルフっ!?」

なのはとクロノが状況を把握するとほぼ同時、システムのダウンした制御室の扉を無理やりこじ開け、侵入して来たのは、暴走しているフェイトの使い魔のアルフだった。が、その右腕は痛ましく焼け焦げ、辛そうに顔を歪めていた。

今にも倒れそうなアルフの身体をクロノが支え、なのはが彼女に情報を求める。

「これ、どうなってるか説明出来ます?」

「詳しくは分からないよ……眠ってたフェイトが突然目覚めたと思ったら、変な仮面が着いて暴れだすし、何とか訓練場に放り込めたと思ったら」

「突然、今までに無い出力の電撃を放ち始めた」

なのはの予想した言葉に、当たっているという意味合いを込めて頷くアルフ。

礼を言う間も惜しく、見た情報を聞いた情報を合わせて、なのはは打開策を練り始めた。

(突然目覚めて暴れ始めたってのは、確実に虚(ホロウ)の力。でも、この電撃は虚が生み出してる物じゃ無い。見たところ虚の力自体はデカくないし……そもそも、途中から人に入る虚なんて普通はあり得ない――)

「『アアアアアアァァァァッ!!!!』」

「……ゆっくり考えるのは後かな」

そう言うなのはが見たのは、彼女の存在を感じ取った仮面を着けたフェイト。

ただの音圧だけで、訓練場と制御室を遮る厚いガラスにヒビが入る……出鱈目だな、と思わずクロノが呟くのも無理は無い。

――チンタラしてる時間は無い。思考を切り替え、一瞬で考えを纏めたなのはが動く。

「クロノくん、アルフさんの治療を宜しく。あと、この番号に連絡取って。私が面白い事があると言ってるって言えば、確実に飛んでくるだろうから」

「分かった。キミはどうするんだ? あの状態のフェイトだと、幾らキミでも止め切れるか……」

流石は執務官のクロノだ。冷静に状況を見極めている。そうだ、幾ら処刑人(エグゼキューター)のなのはと言えど、たった一人でこのふざけた力を振るうフェイトを“止め切れるか”と言われれば、難しいと言わざるを得ないだろう。

倒せるか……と訊けば、別の答えが返ってくるだろうが。

「“止め切れるか”と訊かれると、まぁ少し難しいかしら」

結果は、クロノの想像通りだ。彼女は自信家だが、決して自分の実力以上の見栄は張らない。それが、彼から見たなのはの性格だ。

しかしクロノはもう一つ、彼女の性格の特徴を知っている。

高町なのはが、こうして“自信満々”で不敵な笑みを浮かべながら言う事は……全て勝算がある事だ。

「――魔導師としては、ね。行くわよ、ギン」

「ハイハイ。ほな、そのお嬢ちゃんの手当て、よろしゅうな~」

いつの間にか現れたギンを連れ、なのはが訓練場に突入する。

彼女のあの表情……それは即ち、なのはにはフェイトを“止める”だけの勝算があるという事。

「よし……」

それを確信したクロノは、今自分がすべき事の為に動き出した。

同時刻、訓練場を所構わず破壊していた電撃が、一ヶ所に集束して現れた標的に向かい放たれた。


強靭かつ強大な電撃の槍――しかし、それは一本の『刀』によって霧散した。

『で、どないすんの?』

「足止めしかないでしょ。アイツが来るまでね」

『難儀な事やね~。しかも、加減せんとアカンみたいやし』

「当たり前よ。本気でやったら、フェイトちゃんが無事じゃすまないもの」

――まぁ、それも私が保つ範囲でだけどね……そう心の中で付け加えながら、脇差しサイズの刀を構えるなのは。

刀を構え、自身も戦闘態勢になるなのはを認識したフェイト、というより虚(ホロウ)は器用にも仮面で狂喜の笑みを浮かべ、雷撃の槍をなのはに放つ。今度は先程の様に一本では無く、無数の電撃だ。

「射殺せ――神鎗」

が、それらは全て“伸びた”なのはの刀によって、やはり霧散した。
伸縮するその『刀』は、彼女が資格者たる証でありチカラ。

高町なのはを資格者とする刀、『神鎗』遂にそのチカラを現し――歪んだ物語は、加速する。
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  1. 2012/03/25(日) 13:21:16|
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