サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第18話(A's編スタート)

季節は秋から冬に変わろうか、という11月。

そんな寒い時期でも、処刑人(エグゼキューター)として名を馳せる『出来損ないの魔法使い』、高町なのはの朝は早い。

朝 04:00。時期の関係もあり、朝日が昇るどころかまだ暗闇の夜道で、高町なのはは息も切らさずランニングをしていた。これは、彼女の何時もの日課である。

早すぎるだろ、とも思えるが彼女が自主的にやっている事なので誰も文句は言えない。

ランニングを終えたなのはが次に訪れたのは、街から少し離れた桜台。

「さてと……」

グググっとリラックスして身体を伸ばしたなのはは、足下に魔法陣を展開。そして桜色の球体を出現させていく。

「取り敢えずこれくらいかな」

誘導弾の制御訓練。普通の魔導師なら誰でもやる事だが……彼女の場合、その数がおかしかった。
おおざっぱに数えるだけでも、その数は優に二十を越える。

「よっと」

そして、今度は何処からか取り出した空き缶の束を空中に投げ捨て――瞬間、総勢二十六のシューターが動いた。

的確に、全ての空き缶を地面に落とさず誘導弾で撃ち抜いていく。通常これだけの誘導弾は、制御するだけで精一杯の筈だが、なのははそんな様子も見せずに涼しい表情でシューターの制御をこなす。

と、いきなり後ろを向いて、いつの間にかベンチに座っていた男性に声を掛けた。

「それで、私に何の用なの? クーゴ」

無論、その間も誘導弾の制御は少しも乱れていない。後ろを向いたままで……だ。

ここまでくると、才の無い魔導師が彼女に嫉妬するのも馬鹿らしくなる様に思えた。

「……あのさ、俺はそれだけの数のシューターをデバイスも無しに操ってるのを突っ込めば良いのか、それとも後ろを向きながらシューターを操ってるのを突っ込めば良いのか、どっちだ?」

どっちも突っ込めば良いと思います。というツッコミは、当然ながら彼らに聞こえる訳も無く、クーゴは呆れた表情のままで、なのはは涼しい表情のままだ。

「どっちでも良いんじゃない? それより、何の用なのよ」

「へいへい、急かすなよ。――お前、最近起こってる『魔導師襲撃事件』……何か知ってるか?」

『魔導師襲撃事件』、その言葉を聞いたなのはの視線が、途端に鋭くなる。そして、操っていたシューター同士が衝突し、全て相殺する。それによって、打ち上げられていた複数の空き缶がゴミ箱の中に落ちた。どうやら、話を聞く気になった様だ。

……これを見ないでやっている時点で、彼女の空間認識能力の高さが見て取れる。

「最初は、管理外世界の魔力生物達から魔力が奪い取られていたの。その程度なら、管理局は小さな事だと大事にせず解決しようとしてたんだけど……」

「最近になって、魔導師も襲われるようになった、か?」

クーゴの言葉に、彼の隣に座ったなのはは小さくコクリと頷き、一度間を開ける様にスポーツドリンクに口をつける。

そうして、再び口を開いた。

「そう。AAランクの魔導師まで襲われるようになって、管理局も無視する事は出来なくなった。嫌でも耳に入るわよ」

「流石は処刑人(エグゼキューター)か。で、お前はどうするんだ? 『出来損ないの魔法使い』さんよ」

「……どうするも何も、私は依頼がなきゃ動かないわよ」

「嘘つけ。お前、絶対こういう事には自分から首突っ込んで行くタイプだろ」

「アンタに言われたく無いわよ」

この二人何というか、変な所で似た者同士というか、お互いが突撃思考をしているというか。
ただ、そんな二人でも気が付かなかった。この『魔導師襲撃事件』が、彼ら達の極めて身近で起こっている出来事だと言う事に……。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

夜 19:00。時間的には、部活などを終えた学生達が家に帰宅する時間帯か。

そんな海鳴市の市街地上空に、二つの人影があった。片方はゴスロリチックな服装で、ハンマーを肩に担いだ少女。もう片方は、青と白の毛並みを持つ一匹の狼だ。

「どうだヴィータ。見つかりそうか?」

「いるような、いないような……」

狼の問い掛けに、ヴィータと呼ばれて赤毛の少女は何かを探る様に瞳を閉じたまま答える。そして、閉じていた瞳を薄く開き、再び言葉を放った。

「この間から時々出てくる妙に巨大な魔力反応……そいつが捕まれば、一気に20ページくらいはいきそうなんだけどな」

「分かれて探そう。“闇の書”は任せる」

飛び去る狼に向かって軽く返事をした少女は、同時に肩に担いだハンマーを下ろして“三角形”の魔法陣を展開する。すると、辺りを包む結界が出現した。

それは人払いだけではなく、範囲内の魔力を詮索する能力を持つ結界。

「――見つけた!!」

ほどなくして、魔力反応を感知した少女が“目標”に向かって一気に飛翔する。見つけた標的は、先程まで探していた物とは違ったが、大きさ的には殆ど変わらない。

――当たりだ!! そんな想いが少女、ヴィータの頭に過る。だが、ヴィータは気付いていない――自分が引いたカードが彼女達にとって、如何に最悪なJOKER‐ジョーカー‐かと言う事を。

「広域封鎖結界……ですね」

同時刻、結界に捕われて――まぁ彼の力を持ってすれば、脱出など簡単に出来るのだが――いる一人の人間は、展開された結界の正体をいとも簡単に言い当てる。

金髪の髪をなびかせ、別段焦った様子も見せない者、ヒナギクは同時に別の反応も感知していた。

接近する一発の誘導弾……確実に囮だろう。そう判断したヒナギクは、飛来した誘導弾を“何か”で切り裂く。

だが、やはりそれは囮だった。誘導弾を斬り伏せたヒナギクの後ろに、ハンマーを力の限り振り抜いたヴィータがいた。

取った。少女はそう確信する。この距離ならば避けきれないし、人一人昏倒させる程の威力は優にある――

「テートリヒ・シュラっ!?」

――だから、正直寒気がした。振り向いた金髪の女性――ヴィータから見れば、だが――と目が合う。
その蒼の瞳……場数を踏んでいる少女だから解る。アレは、自分を『敵』と思っている目では無い。ならば、何を思っているのか。ヴィータにはワカラナイ。感情をヨメナイ。

「消えっ……!?」

困惑するヴィータの視界から、ヒナギクの姿が消える。それを認識した時には、少女の身体は後方に吹き飛ばされていた。それが、蹴り飛ばされた物だと判断出来たのは、遥か後方で止まってからであった。

騎士甲冑が無ければ、今ごろ自分の意識はなかった事だろう……そんな威力の蹴りに愕然としながらも、何とか立ち上がるヴィータ。

「な……」

「私、弱い者イジメ、嫌いなんですけどね」

しかし、そんなヴィータを嘲笑うかの如く、自身が遥か後方に吹き飛ばした筈の少女に追い付き、悠然と立つヒナギクの姿が少女の視界にいた。

ヒナギクの瞳……感情が全く読み取れないその瞳を見る度に、言い様の無い恐怖が少女を支配する。
その所為で、ヴィータは気が付かなかった。ヒナギクの右腰には、彼の刀の片方が鞘に収まっていた事に。

「あ――うあああああぁぁぁぁっ!!!!」

何の策も無く、ただガムシャラに自身のデバイスであるグラーフアイゼンを振り上げ、ヒナギクに突撃するヴィータ……だが、そんな少女の動きは、ヒナギクにとっては止まっているも同然だった。

だから――もう、終わらせた。

「氷華(ひょうか)……一閃」

直後、ヴィータの耳に聞こえたのは、チン、という何かが“収まる”音。ヒナギクが刀を抜く音? いや違う、収める音。

そんな馬鹿な。目の前の奴は、何かを呟いただけ……目の前? 目の前には誰もいない。
何が起こっているのか、解らない、わからない、ワカラナイ。

――ガシャン、という“氷結した”地面に人が倒れこむ様な音。それが、自分の物だと理解したとき、ヴィータは指一本動かす事が出来ずに……意識を失った。



「う…………え?」

「あ、気が付いたんだ」

「んなっ!?」

ヴィータが意識を取り戻す。何が起こった……一体、どれくらい意識を飛ばしていたんだ――そんな疑問を頭に浮かべる少女だったが、少女の隣に座る金髪の人間、つまりヒナギクが視界に入った瞬間、自分の身に何が起こったかを漸く思い出し起き上がり飛び退こうとし――

「あ、あれ?」

「かなり加減したけど、まだ身体は動かない筈だよ」

身体が動かない……というか、上手く力が入らない。まるで、自分がもの凄く寒い場所にいた様な、そんな感覚だった。

っていうか、アレで手加減かよ。そう状況も関係無しにヴィータが思ってしまうのは、彼が少女を『敵』と判断していないからなのだろうか。

「一応訊いてみるけど、貴方が『魔導師襲撃事件』の犯人さん?」

「は……な、何でそれを!?」

「あはは、やっぱり。っていうか、それじゃ自白してる様な物だよ」

何が面白いのか、ケタケタと笑い出すヒナギク。本当に、コイツはさっき戦った奴と同じ人間なのか……そう考えてしまう程、今の彼は無邪気に笑う。

――本当に?

「う~ん、別に私の魔力で良いなら分けて上げたいんだけど……それだと私、死んじゃうんだよね~」

「――え?」

今、彼は何と言った……死ぬ? 何で、なんで、ナンデ?

それなら、何でそんなに、笑っていられるんだ?

――ホントウニ?

「どうして……?」

「うん? ああ、私ね、変な病気にかかってて――」

「ッ、違ぇよ!! 何で死ぬかもしれないのに……そんなに笑ってられんだよっ!?」

なぜ、少女は自分にとって『敵』である筈の者に、こんな事を言っているのだろうか。

いつかの、自分の記憶に刻まれた“誰か”と被るから?

ヴィータの叫びを聞いたヒナギクが、その表情をまた読み取れない物に変えた。だって、と言った後に、ヒナギクはヴィータが絶句する様な一言を放った。

「――その方が、みんな心配しないでしょ?」

……漸く解った。ヴィータには理解出来てしまった。ヒナギクの笑顔、“無邪気”な笑顔の違和感。

――『仮面』だ。ヒナギクの表情そのものが『仮面』なのだ。

そして、その仮面の下は……。

「お前……!!」

「あらら」

何かを、自分でも解らない何かをヴィータが叫ぼうとした時、二人しかいなかった空間に変化が起きた。

ヒナギクを捕らえんと地面から突き出た、白い無数の魔力刃。無論、ヒナギクはそれに捕われる様な愚策は犯さず素早く飛び退く。

その隙にヴィータの傍に降り立ったのは、ヴィータがヒナギクを発見する前に飛び去った狼だった。

「無事か、ヴィータ」

「ザ、ザフィーラ……ちょっと待って――」

「ゲホッ!! っ……ゴホッ、ゴホッ!!」

狼、ザフィーラに思わず制止を掛けたヴィータは、ベチャベチャっと何かが地面に落ちる様な、そんな嫌な音を聞きヒナギクが飛び退いた方を見て――驚愕で目を見開いた。

ヒナギクが血を吐き出している……必死に口元を押さえているが、全く意味を成さず地面には血の溜まりが広がって行く。

暫く、ヴィータは呆然として何も出来ずにそうしていた……が、唐突にまるで糸が切れた様にヒナギクが倒れこみ――

(ゆき……か……ちゃん)

――その一瞬、頭に余儀ったのは一人の少女の笑顔。だが、彼の意識はなすすべもなくブラックアウトした。

彼の金髪の髪を真紅の血が染めていくのを見て、ヴィータは思わず駆け寄ろうとし、

「月牙天衝ッ!!」


少女と彼の間を、今度は純白の軌跡が遮った。そして、叫んだ声と、軌跡が消えた事で見えた倒れた彼を必死で抱き起こす女性が見えて、ヴィータは再び驚愕する。

「主!! しっかりしてください、主ッ!!」

目立つ桜色の髪をポニーテールに括り、その力強い瞳はいつも変わらない。見てはいないが、自分の後ろにいるザフィーラも驚愕している筈だ。

馬鹿な、そんな訳が無い……と。そうだ、いるはずが無い。ずっと昔に、いなくなったアイツが。

そんな想いを声に出して、ヴィータは叫んだ。

「何でお前がここにいんだよ、シグナム!!!!」

「――シグナムっ!!」

……だが、奇しくもその叫びは一気に降り立ち、また彼女達との間を遮る誰かによって、届く事はなかった。

「ここは私に任せて、早くヒナを病院に連れてって!!」

「あ、あぁ!!」

目一杯叫び、シグナムに指示を出しながらも冷静にヴィータ達を警戒する緋色の髪の少女は、蒼を基準とした少し特殊なセーラー服……俗に言う改造制服に身を包み、刀を背中に背負う藤原 雪華だ。

しかし彼女も、必死に自分を抑えているだけで完全に冷静という訳では無い。当然だ、目の前で親しい人間が倒れていれば、最悪な事態というのも予想してしまう。
――シグナムより彼の事情を理解してしまっている、雪華だからなおさら。

「……ヒナにちょっかい出した落とし前、きっちり付けさしてもらおうじゃない」

強引に破壊した結界の穴を通り抜け、ヒナギクを抱き抱えて離脱したシグナムを見た雪華が、その怒りを表すように身体中から蒼い冷気を放ち出す。

得体のしれない恐怖からか、一歩下がるザフィーラとヴィータをさらに睨む雪華。その場に立つだけで、辺りを氷結させていく彼女はまさに……氷の姫君。

「霜天に坐せ――!!」

雪華が叫び、背中の刀を掴む。途端、鞘が消滅したその刀の柄尻には、鎖で繋がれた龍の尾を連想させる三日月形の刃物が付き、圧倒的な冷気を発する。
そして溢れだす冷気が型を成し、触れたもの全てを氷結させる水と氷の竜を創り出した。

これが、この刀こそが氷雪系『最強』の刀……その名は――雪華の口から放たれた。

「――『氷輪丸』!!」

全てを氷結させる、氷華の力を持つ少女……氷の姫君、藤原 雪華も遂に参戦した、この歪んだ物語は……もう誰にも止められない。

止まらない物語は数多の人物を巻き込み、やはり加速していく。

始まった……歪んだ物語がまた――始まった。
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  1. 2012/03/24(土) 23:43:05|
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