サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第17話

「変わって無いわね。色んな意味で」

「ったりめぇだ。そんな簡単に人の性格が変わるかよ」

そうして軽口を叩き合うのは、長身の女性と男性……なのはとクーゴだ。なのはの手にはより鋭利的となった天鎖斬月が、そしてクーゴがフェイトの時とは違い自分の武器を出現させた。

彼の首に掛けられた十字架のネックレスが輝き、一瞬で身丈程の大剣が彼の隣に突き刺さっていた。近接戦の細かい動きに対応する為か、刀身の下にも柄が付いており、恐らくこの大剣が彼の愛用する武器なのだろうという事が見て取れる。

が、なのはの後ろに立つフェイトに取って、今はそんな物は些細な事だ。自分の目の前に立つ女性……彼女は本当に、自分を助けてくれた少女なのだろうか?

まず、身長が全く違い過ぎる。前にフェイトが出会った時は、彼女より10㎝ほど高く少し年上程度だった筈だ。しかし今は……少なくとも170は在る様に見えた。

それでも全く違和感が無いのは、なのはがもともと大人びていた所為か。だが、フェイトは一つだけなのはに違和感を持った。

それは――

「胸がな――」

そう呟こうとした、瞬間。フェイトの顔面に純白の刀が音もなく突き付けられてた。恐る恐るフェイトが前を確認すると……視線こそ自分に向けていないが、オーラが、大事な事なので2回言うがオーラが、なのはが今どんな感情を抱いているかを物語っている。

「フェイトちゃん、それ以上言ったら――ハゲるよ」

「イ、イエッサー」

流石にこの歳でハゲたくないフェイトは、辛うじて頷きながらそう応えた。因みにフェイトが言いたかった事を代弁すると、なのはには胸の膨らみが無いのだ。もはやペッタンコなどと言うレベルではなく、板のレベルである。

「くくっ、はははっ!! 良いコンビじゃねぇか、お前ら」

二人のやり取りが可笑しかったのか、声を上げて笑うクーゴ。それに対し、ため息を吐きながらなのはが刀をクーゴの方に戻して言葉を放つ。

「うっさいわね。……始めましょうか、前の続き」

言うなり、なのはの姿が衝撃と共に消える。それはクーゴも同じで、大剣を手に掴むと一気に上空に舞い上がった。

長刀と大剣……種類の違う武器を構えた二人が、空中で相対する。

「あぁ、始めようぜ」

「そうね――」

なのはが天鎖斬月を横に一閃……それだけで、風を切る音と共に音を立て巨大な衝撃波が散る。

そして、クーゴを鋭く強い瞳で見て、言う。

「かかって来なさい、クーゴ。さっさと片を付けましょう」

「そう言うなよ、じっくり燃え上がろうぜ」

「残念だったわね。私は学者タイプの方が好みなのよ」

それは暗に、ユーノみたいなタイプと言っているのだろうか? そう思ったフェイトだったが、やはりまだハゲるのは嫌だったので口には出さない。

だがやはり、フェイトにとってはそんな軽口などどうでも良い事だった。自分が手も足も出なかったあの二人のいったいどちらが勝利するのか……少女にとってはそれが大事で、同時に結末が全く予想できない。

「へっ、そうかよ。往くぜ――『出来損ないの魔法使い』」

「――勝負よ、クーゴ」

出来損ないの魔法使い? 言い方からしてなのはの事なのだろうが、呼ばれる理由がフェイトには理解できなかった。

なぜ、彼女が出来損ないなのか……やはり理解できない。純粋な実力も一流で、魔導師としても非の打ち所がない彼女が、何故?

――フェイトも、そしてクロノやリンディ達もそうだが、そもそも前提条件が間違っている。なのはにとって……“魔導師”と“魔法使い”は全くの別物なのだから。

斬撃音がフェイトの思考を遮る。見ると、互いの武器の刃をぶつけ合っている二人。

なのはとクーゴ……二人の“二度目”のケンカの火蓋が切って落とされた。

そのケンカの行方は――誰にも予測出来ない。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「でさ、何でコイツらはお前の料理見て落ち込んでんの?」

「さ、さぁ? 私が帰って来たら、もうこんな感じでしたけど……」

時間は少々戻ってヒナギクの家。裏月がヒナギクにそう訊きながら指を差す先には、ヒナギクが作った料理人にも負けないだろう料理を見てズーン、と言った感じでガチへこみしているシグナムと雪華。

まぁどうしてこうなったかは……前回のお話を見てお察しください。

「……まぁ良いや。ほら、これ持っとけ」

「持っとけって、これデバイスですよね?」

落ち込むシグナムと雪華を軽く無視して、相変わらず物を投げ渡す裏月。受け取ったヒナギクは、渡された純白の首に掛けるタイプの小さな宝石を見て、普通に疑問を浮かべる。

何故なら……。

「私、デバイス持ってますよ?」

そう、彼は“一応”デバイスを持っている――一応と言うのは、殆ど使う機会が無いのと基本的にさくらが居るから使う必要が無いのである。

そして、そのデバイスが魔法らしいかと言えば……まぁ微妙と言わざるを得ない。

「解ってるよ。だから、お前はそれを持ってるだけで良い。絶対に、肌身離さずな」

言うだけ言って、裏月はヒナギクの家を後にした。そして、結局よく解らなかったヒナギクは疑問に思いながらも、自身の首に掛けられた小さな紅と蒼の二本の刀のアクセサリーと一緒に、純白の宝石を首に掛けるのだった。

「あーくそ。やっぱ一回ミッドに戻らねぇとダメだな」

家に戻った裏月……その彼が、何かの資料を見ながら一人愚痴る。いや、一人というのは語弊があった。彼の後ろには、何処からか帰って来た少し上機嫌に見える斬月がいるのだから。

裏月の独り言を聞いた斬月が、壁に背中を預けながら唐突に口を開いた。

「良いのか?」

「何がだよ」

「ヒナギクの事だ。まぁお前の事だから、やれるだけの事はしたのだろうが」

斬月の言葉に笑いながら、解ってるなら言うなよ、と返す裏月。

そうだ、もう自分に出来る事は全てした……けれども、やはり笑える、と裏月は考えてしまう。

「傑作だよな。天才と呼ばれた人間が、もう賭けに頼るしかないんだから」

「『ツインリンカーコアシステム』……だったか?」

「ああ。デバイスに組み込まれたリンカーコアと、持ち主のリンカーコアを同調させ、単純に二倍じゃなく二乗……いいやそれ以上の出力を叩き出す事が出来る」

ヒナに渡したデバイスには、そのシステムが組み込まれている。そう続ける裏月だったが、単純にそれだけなら渡す必要性は全く無い。
だから、彼があのデバイスをヒナギクに渡したのは他の理由がある。

「……けど、それによって持ち主にもたらされる影響は未知数。出力も、今の状態では安定しているとは言い難い。俺からすれば、未完成作品も良い所だ」

「だが、それしか方法が無い、だろう?」

ああ、と返事をしながら荷物を纏め始める裏月。どうやらミッドに行く為の荷物の様だが、先ほど決めたばかりな筈だったのに随分行動が早い。

「それで……ミッドに何の用があるのだ? まぁ私も一度家に戻らねばならんから、丁度良いが」

「――助けたいんだ。泣いてる奴を」

だから動く。動かなければ、何も始まらないのだらから。

絶望に泣く者と天才と呼ばれし者が出逢うまで……あと、少し。

時間は戻りミッドチルダ、深夜の公園。

「おらよぉっ!!」

「チッ……はっ!!」

暗闇に支配されたその空間で、激しく火花を散らす二つの影。散るのは一瞬でしかないが、それが連続で起これば見る者と聞く者を魅了する乱舞のメロディとなる。

片や――クーゴが敵を撃砕する大剣を振るい、片や――なのはがそれを紙一重で回避し、お返しとばかりに右手に持った刀を槍の様に突き出す。が、相手は刃に付いたもう一つの柄を握り、大剣の巨大さを利用して突きを受け止めた。

――ガキンっ!! と鋭い音が響き渡る。普通の剣なら、この時点で終わっていただろう。しかし、驚くべき事にクーゴの大剣には傷一つ付いていなかった。

「天鎖斬月で傷一つ付かないって、その剣どういう作りしてんのよ!?」

「わりぃな! 生憎コイツは特注品だからよっ!!」

会話を続けながらも、二人は動く事を止めない。クーゴが大剣を力強く振り下ろすが、そこにはもうなのははいない。前方に残像を残したままクーゴの真後ろで天鎖斬月を自身の首元まで溜め、一気に振るった。

だがそれすらも、クーゴは刃の方の柄を掴み強引に身体を振り向かせ防いで見せた。

「相変わらずふざけた反応してるのね……」

「そいつぁお互い様……だっ!!」

刀を受け止めたクーゴが、大剣を左に振るってなのはを弾き飛ばした。対するなのはは、それを想定していたのか冷静に空中で受け身を取り……クーゴを見て少し目を見開く。

クーゴの攻撃は終わっていない。切っ先を受け身を取ったなのはに向けていた。その刃の先に魔力球が集束し、本当に一瞬で巨大な黒い砲撃となりなのはを襲う。

砲撃がなのはを呑み込んだ……様にフェイトには見えた。

黒い砲撃が消える――そこには、左手で砲撃を“握り潰した”なのはが無傷でクーゴを見据えていた。

「やっぱ、こんな小細工じゃお前には通用しねぇか」

「レアスキル『瞬間魔力放出』。通常の魔力放出に掛かるチャージ時間をまるっきり無視して、術者の耐え切れる範囲での瞬間的な魔力の放出を可能とするレアスキル、でしょ?」

「当たりだ。まぁ、相手に遠距離で戦わせない為の物でしかねぇがな」

「はぁ……アンタらしいわね」

小細工。その言葉が戦いを見ていたフェイトに突き刺さる。自分はそんな小細工にも、全く手も足も出なかった。そして、例えレアスキルがなかったとしても、今のフェイトでは彼に勝つ事は不可能だった事だろう。

あの二人との距離が、フェイトには果てしなく遠く見えた。

(強く……なりたい!)

フェイトが拳を握り締め、今の自分には果てしなく遠い二人を見上げる。

(もっと――強く!!)

少女の前髪が跳ね、バチッと火花が散り、それを皮切りに身体中から電撃が溢れ出る。いつもの魔力変換の電撃ではない……出力が違い過ぎだ。
そのままフェイトの感情と共に爆発しようか、そう思われた時――

「ひゃあ、派手にやっとるなぁ」

「きゃあっ!! あ、貴方はあの人と一緒に居た……」

「市丸ギンや。よろしく」

突如フェイトの後ろに現れた糸目の男、ギンによって彼女は現実に引き戻された。

先程まで溢れていたフェイトの電撃も消えている……狙ったのか、それとも偶然か。どちらにしろ、相変わらず神出鬼没な男だった。

ひらひら~と手を振り自己紹介を終えたギンが、再び視線を上空に向ける。視線の先には、己の技を放つ為に力を溜め出したなのはとクーゴ。

「あの二人、やっぱり似とるねぇ」

「似てるって、あの二人が……ですか?」

「まぁ、普通に見とったら正反対なんやろうけど――」

――ある意味似とるんよ、その『信念』が……そうギンは続ける。

純白の刀、天鎖斬月・白天を両手で持ち、力を高めて行くなのは。

――ただ、ひたすらに他の人間を救おうとする者。


己の大剣に魔力を龍の形をした魔力を集束させ、なのはに対抗しようとするクーゴ。

――ただ、ひたすらに己の闘争を満たそうと、強き者との戦いを求める者。

一見、対になる様に真逆の二人だが……確かに共通している物がある。

なのはとクーゴの信念は……どちらも真っ直ぐで“純粋”なのだ。


だからこそ、折れない。例え折れたとしても立ち上がる、その“不屈”の精神で。
二人が互いの得物を振り上げ――

「月牙……天衝ッ!!」

「黒龍波(こくりゅうは)ァ!!」

合わせた様に同時に振り下ろした。放たれたのは、純白の斬撃と漆黒の龍。

斬撃と龍がぶつかり合い、鬩ぎ合う。その光景は、二人の『信念』のぶつかり合い。爆音と衝撃を撒き散らし、純白と漆黒が対立する。
そして、その二人の色は何かを境にしたわけでもなく、突然爆散し爆煙だけを残した。

しかしこれで終わりではない。爆煙をもたらした一撃、それを放った二人はその場にはいなかった。

「はぁっ!!」

「おらぁ!!」

――爆煙が切り払われる。再び相対するなのはとクーゴ……もう既に、二人は互いに武器を振るっていた。


武器からは純白と漆黒の奔流が溢れ、力の限り己の“チカラ”を振るう。

「はあああああぁぁぁぁっ!!!!」

「おおおおおおぉぉぉぉっ!!!!」

――純白と漆黒が再び衝突する。今度は直接、互いの想いをぶつけ合う様に鬩ぎ合う。

そして……一瞬輝きを放つと、二人は先程より大きな爆煙に包まれた。

「ど、どうなったの?」

「……まだ、終わっとらんよ」

戦いの行方を見守っていたフェイトだったが、爆煙の所為でどちらが勝ったか判断出来ない。しかし、そんなフェイトの疑問に答えるかの様にギンは断言する。

「ぐ……」

「つぅ……」

爆煙からクーゴとなのはの二人が、それぞれ逆の方向に飛び出る。空中に着地した二人は、衝突の影響か服が吹き飛んでいる箇所があり少し怪我もしていたが戦闘に支障が出る程ではない……が、フェイトは右手の袖部分が少しだけだが吹き飛び、それによって顕になった“傷の跡”に目を奪われていた。

(あの傷……今の戦いで付いた傷じゃない)

なのはの右手に刻まれた、深い傷の跡。少なくとも今の衝突で付いた傷ではなく、跡になるほど深い傷で在ることは言うまでもなく明らかだ。しかも袖は少し吹き飛んだだけなので、さらに傷の跡が続いているのかもしれない。

「そろそろ、潮時やね」

ギンはそんな少女の疑問に今度は答えずそう呟く。と、ギンの呟きとほぼ同時に、再び武器を構えていたなのはとクーゴの表情が変わった。

「……もう来ちゃったか。限界ね」

「てか、前回も似たような展開だった気がすんだが」

「気のせいじゃないわね。まぁ私はともかく、アンタはめんどくさそうだから、さっさと逃げた方が良いわよ」

「チッ、しょうがねぇ……ま、もしかしたらすぐに会えるだろうから、良いか」

去り際のクーゴが言った言葉は、最後の辺りは小さ過ぎてなのはにも聞き取れない呟きだった。事実、クーゴの呟きに気付かなかったなのはは一気に飛び去る彼を見た後、消える様な速度で地面に着地する。

「あのすいません、少々話を聞かせてもらいたいのですが……」

そんな彼女に近づく複数の人間……制服を見ればすぐに分かる、管理局の人間だ。どうやら騒ぎに気付いて、ここに駆け付けたらしい。
だが、なのはは管理局員相手に全く臆する事なく、冷静に対処する。

「ああ、ここで起こったトラブルなら私が解決しました。後始末も私がするので、お構い無く」

「はぁ? 一体何を言って――」

「バ、バカっ!! この人はあの処刑人(エグゼキューター)だぞ!!」

思わず口調が崩れた局員の一人を、偶然なのはの事を知っていた局員の一人が注意する。すると、注意された局員がサッと顔を青くし「も、申し訳ありませんでした!!」と敬礼までして他の局員と共にあっさり帰って行った。

こう言う時、無駄に有名だと便利だよね~とか思いながらなのはが近くの林に視線を向けると、ガサガサ、とギンとフェイトが出てきた。
どうやら、ギンがフェイトをさらっと林に引き込んだらしい。まぁ面倒事にならずに済んで助かったので、結果オーライと言えるだろう。

「え、えーと……そのぉ」

漸く普通に会話出来る二人だったが……今度は言いたい事が多すぎてフェイトがテンパり出す。そんな少女の様子にクスクス、と笑い、フェイトを落ち着かせる様になのはは彼女の頭を撫でてやる。

「ほら、落ち着いてフェイトちゃん」

「あ、う……うん」

身長差もあるのだろうが、それはまるで……何処かの姉妹のようだった。そうして暫くすると、漸くフェイトが落ち着いた――

「何でも良いけど、フェイトちゃん見回りしてたんじゃない? こんなのんびりしてて良いの?」

「――あぁ!! わ、忘れてたぁ!!」

今度は別の問題が発生。そう、皆さんお忘れだろうが、フェイトは夜の街を見回りしていのだ。それなのに一般人(に、クーゴを分類していいかはともかく)と戦闘し、さらにはこんな所で道草を食っていれば……まぁ説教だけで済めば幸運という所か。

「フェイトちゃんも相変わらずだね……まぁ詰まる話はまた今度にして、今は戻った方が良いよ。あ、ここで起きた事は秘密にしてね。いちいち私が出て説明するのもめんどくさいから、ね?」

「う、うん!! じゃあまた今度!!」

言うなり力一杯ダッシュし、あっという間に走り去るフェイト。

ホント、元気が良いというか天然というか……。

「なんか、見てて飽きない子やねぇ」

「まぁね……っていうか、また決着付け損ねたなぁ――ん?」

残念そうに言ったなのはが、ふと近くの木に添えられた花束に気付いた。

そこは最初にクーゴが立っていた場所……それを見たなのはは、フッと優しげに笑い、言った。

「なーんだ。案外優しいんだ、アイツ」








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

数日後、地球。場所は喫茶店、翠屋。そこはいつも通り平常運転だった――一部の箇所を除いて。

「……で!! なんでアンタがここに居るのよ、クーゴ!!」

「気にすんな。お前に会いに来たついでに、パフェ食いに来ただけだ」

その一部の箇所……テーブルを挟んで向かい合う、額に青筋を浮かべたなのはと平然とパフェをつっつくクーゴが居た。

当然だが、二人とも数日前と全く変わらない――いや、なのはの身長が5㎝ほど縮み、165くらいになっているが、クーゴがここに居ることに比べれば些細な(?)事だ。

「てか、その図体でパフェは似合わないわよ……そもそも、ここ一応管理外世界なんだけど?」

「俺に常識は通用しねぇ」

「アンタ、何処の学園都市第二位よ」

「ナイスツッコミ。まぁ冗談はさておき、真面目に話すと、知り合いの店のマスターに頼んだんだよ」

知り合いのマスター。勿論、クーゴがよく酒を飲みに訪れ、彼の話相手にもなっていた初老のマスターである。

「あの後、ダメ元でマスターにお前のこと改めて話したんだけどよ、今度はあっさりお前が誰か当てたんだよ。で、『なんか面白そうなので行って来たらどうです?』なんて言って、俺をさらっとこの世界に移動出来るように手配してくれたわけだ」

「……ねぇ、そのマスターって一体何者よ」

「気にすんな、俺も知らん」

いやいや、そこは知っておこうよ……というツッコミはクーゴには通用しないらしい。だって、基本的気まぐれで動く人種だし。

「あぁそうそう、俺もこの街に引っ越したから。マスター曰く、『楽しいお土産話、期待してますよ』だってさ。ほれ、身分証明」

ひらひら~といった具合にクーゴが見せびらかした身分証明を、引ったくる様に奪い取りじっと見るなのは。

そこには律儀に日本名で名前が記されていたが、関係ないので割愛しよう。つーか、察してくださいお願いします。

しかし、これで良いのか日本国家。これで良いのか時空管理局。そして、結局マスターって何者!?

「……一応訊くけど、家は何処かしら?」

「お前ん家から歩いて3分。つーか住所書いてあんじゃん」

「――もう、ツッコミ入れる気力も無い……」


……何はともあれ、これで次の舞台への役者は揃った。後は、歪んだ物語、第2幕の開演を待つだけ。

これからが本当の始まり。

――それが穢れきった物とは知らずに、大切な者を守る為にそれを求める者達と……烈火の騎士(シグナム)と氷華の少女(雪華)そして、運命を背負う者(ヒナギク)の物語が交錯する時、それは一体どんな物語が紡がれるのか。

何処へ向かうか解らない、数多の人物が紡ぎ出す歪んだ物語は、悲しみか? それとも……。

しかし、これだけは確かだ。

くそくらえな『運命』を吹き飛ばすのは――物語の『主役』の役目だろう?

歪んだ運命――それを振り払う烈火と氷華の翼が羽撃たく。

これ以上は語る必要は無い。ここからは、次の物語が語ってくれるだろう。

さぁ、平穏は終わりだ。歪んだ物語の開演を――始めよう。
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  1. 2012/03/24(土) 22:30:44|
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