サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第16話

海鳴大学病院。海鳴市の病院でも、かなり大きな規模の病院であり、重い病気の患者などはここに通う事が多い。

そんな大きな病院の一室、診察を終えた患者が礼儀正しく扉を開けて出てきた。長い金髪の髪に、夏らしく麦わら帽子を被り、確実に女性と見違える程の顔立ちの……ヒナギクが。

「終わったか」

「あら、冬獅郎くん」

診察を終えたヒナギクを待っていたのは、律儀に扉の隣で寄りかかって居る銀髪の少年、冬獅郎だった。

彼を見つけたヒナギクは、彼が待っているのは……そもそも誰も待っていないと思っていたので、当然のように疑問を口にした。

「どうして冬獅郎くんが?」

「さくらに頼まれたんだよ。ボクは用事があるから、お兄ちゃんを迎えに行ってくれ、ってな」

「ああ……冬獅郎くん、ゾッコンってやつですか」

――ゴツンッ!!

……こんな何処かに頭をぶつけた様な――というか後ろの壁に頭をぶつけて痛々しい音を出した冬獅郎は、恨めしそうに頭を抱えてヒナギクを見る。

対して冬獅郎をからかったヒナギクは、少々笑いを堪えた様子だったが、しっかり両手を合わせて謝罪した。

「ごめんごめん。まさか、ここまで反応するとは思わなくて」

「たくっ……行くぞ」

これ以上ツッコンでも自分がからかわれるだけと思ったのか、それとも純粋にめんどくさいと思ったのかは分からないが、ヒナギクに一言入れて歩き出し、ヒナギクも彼に歩幅を合わせて歩き出した。

因みに、この二人の関係はだいたいこんな感じだったりする。冬獅郎が何だかんだ言いながらもヒナギクに付き合い、ヒナギクは冬獅郎をからかったりするのである(主にさくら関連で)

性格がまるで違う二人なだけに、なぜ普通に仲良く出来るか実に不思議だ。

どうでも良いが、今ごろ料理と格闘中であろう騎士とアイドルは、お互いかなり性格に似通った部分があるので――まぁ言ってしまえば男勝りな性格とか――すぐに打ち解けていた。

「で、どうだったんだ?」

「どうだったって……ああ、診察の結果ですか? どうだったも何も普通でしたよ。ただの定期検診――」

「とぼけんなよ。今は俺の主もお前の騎士もいねぇんだ」

ヒナギクの冗談めいた声を遮った冬獅郎の表情は、いつに無く真剣そのもので……彼に真実だけを求めているという事が読み取れた。

冬獅郎の表情を見てどうやら観念したのか、ヒナギクはその感情を読み取らせない――そんな風な表情で言葉を放つ。

「いつも通り普通ですよ。ただ、原因不明の病気が進行しただけですから」

「チッ……お前はどうも思わないのかよ? 自分の身体の状態を」

「別に思いませんね。もう慣れましたから。なのはや裏月くんには悪いですけど……」

――もう慣れた。まるで、自分の身体をどうでも良い様に言うヒナギク。

彼はいつもそうだ、アルフとの戦いの時も、時の庭園のときも、いつも、いつも。

けれど、本当にもう慣れたのだろうか? 本当に慣れたならば――なぜ、シグナムと雪華だけに自分の身体の事を言わない?

ふと、冬獅郎がその場に立ち止まり、ただ歩くヒナギクを見て……呟いた。

「自分すら騙せねぇ嘘、簡単に付くんじゃねぇよ……」

――その呟きがヒナギクに聞こえたかは、彼には解らなかった……。


「……これ、どっちの勝ちだと思う?」

「……私よ。私の方が焦げてない!!――多分」

「何を言う。私の方が焦げていない!!――果てしなく多分」


人はこの光景をこう呼ぶ――五十歩百歩……と。

前回、ヤル気満々で台所に入り料理対決を繰り広げたシグナムと雪華(尚、内容は正直見ていられないので割愛)

そうして出来た二人の料理は……見事、期待通りに真っ黒焦げにしてくださいました。まぁ、消し炭とはいえ真っ黒焦げと認識出来るだけマシである。

オムライスとしては、マイナス百点も良いところだが。

「わ、私ったら私なのよ!!」

「いーや私だ。この焦げ具合からして私だ!!」

――不毛で五十歩百歩な争いを続ける二人が、お昼を作る為に帰宅したさくらに揃って説教されるまで……あと2分。って言うか、ヒナギクが大変な時にいったい何をしているのだろうか、この主人公たちは……。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「少し久しぶりだね、スミレちゃん」

場所と時間は変わり、深夜のミッドチルダ。いくつものお墓が立つ場所で、一人の女性がそう言った。
彼女が立つ墓に刻まれた名前は、彼女が呟いたものと同じ。つまり、先程の言葉は生者ではなく……死者に捧げられたもの。

けど、そんな事は関係ないように左右の髪を小さな団子状に括った長身の女性――高町なのはは花を墓に添える。なのはの表情は、とても寂しげで……しかし、もしその表情が見れたものがいたとするなら、ほんの一瞬だっただろう。

「この魔力反応、片方はフェイトちゃんだけど……もう片方は、まさか――」

唇に手を当てながら、考える様に呟くなのは。彼女が感知した魔力反応は、どうやら両方に覚えがあったらしい。

と、思考をまとめたのか彼女が考える仕草を止めて、唐突に瞳を閉じる。数秒ほど、だっただろうか?

なのはが再び瞳を開くと――一本の漆黒の刀が地面に突き刺さっていた。その刀の前に立ち、力強く柄を握り、言う。

「往くよ……『天鎖斬月』」

刹那、暗闇に包まれていた墓地に純白の光が輝き……それが消えた時、なのはの姿はそこには無かった。


「フォトンランサー、ファイアッ!!」

ミッドチルダ、深夜の公園。そこでは何時もと違う二人の人影が存在した。片方は漆黒の鎌を振るい、空中から四つの雷撃の槍を放つ少女、フェイト・テスタロッサ。

もう片方は、少女が放った高速の槍を涼しい表情で自分に到達する直前で“何のモーションも無く”一瞬で消滅させた男、クーゴだ。

「何度も言わせんな。テメェの小細工なんて通用しねぇんだよ。とっとと直接来い」

「ッ……バルディッシュ!!」

クーゴの挑発に悔しげに呻くフェイトだったが、すぐさま自身のデバイスに指示を出し、魔力を一気に練り上げて術式を構築する。

――遠距離攻撃が効かないのは解ってる、けど!!

「サンダー……スマッシャー!!」

――目眩まし程度にはなる!!

そんな思いでバルディッシュのデバイスフォームから放った雷撃は、やはり彼に到達する前に弾かれてしまったが、弾かれた雷撃が爆発し、彼の視界一体を覆う煙となった。

それが少女の狙い。相手の視界が覆われた今なら、自分のスピードには対応出来ない……この時のフェイトは、自分の役職など何の関係も無かった。ただ、彼に勝つ。そんな思いで自分に出来る最大速力を出し、一気に彼の背後に踊り出て、彼を倒す漆黒の鎌を振るった。

「なっ!!」

――筈だった。彼の意識を奪う筈だった一撃は、そうなり得ない一撃だった……まるでそうとでも言うかの様に、振るわれたバルディッシュは男に到達する直前で“何かに”衝突し、そこから1㎜も押し込む事が出来ずに沈黙していた。

呆然となるフェイト……だが、こんな状況になって漸く彼が展開する“何か”の正体に気付いた。

(この防壁、純粋な魔力で出来てる!?)

あり得ない。そんな思いが頭を過る。そうだ、普通は無理だ。通常、魔力防壁は術式を組み強固な防壁となるはず。しかし、彼は術式も何も無しに、ただ単純に自分の周りだけに魔力を固めているのだ。
そんな事をすれば、本来は魔力が拡散するだけだし、術式を組んだ防壁にも劣り燃費も悪い。

だから彼の展開する防壁は、その様な常識を覆す物だった。そして、その驚愕が少女に致命的な隙をもたらした――

「しまっ――!!」

気付いたときはもう遅い。いや、例え油断が無かったとしても間に合わなかっただろう。振り向きもしないクーゴ……その真後ろに魔力球が出現し、一瞬で砲撃となりフェイトを呑み込んだ。

砲撃の集束シークエンスも何も無く、ただ純粋に瞬間的に魔力を砲撃状に放出した……そう言えば一番正しい表現かもしれなかった。

「ぐっ……ゲホッ、ゲホッ!!」

為す術なく地面に叩きつけられたフェイトだったが、辛うじて砲撃を受ける瞬間魔力をその身に纏わせ気絶だけは免れた……が、戦闘には確実に支障が出るだろう。特に、少女にとって格上の相手に対しては致命的だ。

「お前、何で俺がお前の事を『弱い』って言ったか、解るか?」

「……?」

けれど、クーゴは隙だらけになった少女を気にもせず突然話しを切り出す。どうにかバルディッシュ杖にして立ち上がったフェイトが質問の内容に疑問を感じるが、生真面目な性格の所為かもしくは天然なのか律儀に質問に答えた。

「それは……私が貴方より弱いからじゃないんですか?」

だから、こうして自分は情けない姿をさらしている。そう言いたげなフェイト。

だが――

「違ぇよ。そういう意味だとお前、そこそこ強い部類に入るだろうからな」

クーゴは首を振りながら否定し、フェイトにとって意外すぎる評価を下した。そう、単純な強さという点では彼も戦って見なければ解らなかった。

彼が言っているのは、そういった強さではない。

「空っぽなんだよ。お前」

「空っぽ……?」

「あぁ。戦う人間ってのはな、なにかしら『信念』ってのを持ってる。そして、信念が強ければ強いほど折れねぇし、本当の意味で強えぇ。外見からは、判断出来ねぇもんだ」

人は誰しも想いや願いがあり、その想いが人間を動かす原動力にもなる。

クーゴが言っているのは、そういった『強さ』だ。言うなれば己の願いを刃に乗せる、という事だ。

「例え義務だとか使命だとかで刃を振るおうが、その奥底にある自分の『信念』ってのは刃を合わせりゃ解る。けどテメェにはそれが無かった。刃を合わせなくても、それくらいは解るんだよ」

「………………」

フェイトは、何も言い返せなかった。彼の言う通りだったからだ。

ただ、母親の為と言われた事をこなしていた自分には、言い返す事など出来ない。それこそ、プレシアに『貴方と好きにしなさい』と言われなければ、疑問にも思わなかった程に自分には何も無いのだから……。

しかし、少女は忘れている。自分はなぜ、母親を止めに行ったのか。そして、自分を動かした言葉はなんだったのか……それを呼び起こすかの様に、クーゴが再び言葉を放った。

「けどな、お前が忘れてるだけで、在る筈だぜ」

「なに、が……」

「お前にも、自分を動かす『信念』ってやつがな。自分がどうしてここに立っているのか、思い返して見ろよ」

――私を動かす、信念?

そんな物、在る筈が無い。大体、それを指摘したのは他ならぬ彼なのだから。

(私に、生きている意味なんて……)

ない。そう少女が思った時、フェイトの脳裏に閃光の様に“誰かの”言葉が蘇った。

『意味の無い生命(いのち)なんて無い。それを否定することを――私は認めない』

瞬間、ハッとフェイトの瞳に生気が戻ったように思えた。少なくとも、その変化を感じ取ったクーゴの目付きが鋭くなる。

『変わろうよ、フェイトちゃん』

(そうだ、何で忘れてたんだろう……)

決めただろう、あの時に。そうして、自分は立ち上がったではないか。

「決めたんだ。変えるって……」

「……何をだ?」


「――私自身を!! 『フェイト・テスタロッサ』を始めるって、私自身に誓ったから!!」

そうして立つ少女は、真夜中の筈なのに、とても美しく輝いて見えた。

それを見たクーゴが……漸く表情を笑みに変える。まるで、フェイトを好敵手(ライバル)と認めたかの様に。

「良いモン(信念)……ちゃんと持ってんじゃねぇか」

「良いモノ(信念)持ってるじゃない、フェイトちゃん」

――一瞬、クーゴと誰かの声が重なって聞こえた……それを認識した時、フェイトの目の前に“誰かが”衝撃と共に降り立つ。

「久しぶりね、クーゴ」

「……あぁ、そうだな」

その“誰かが”クーゴに向かって言う。対するクーゴは、さらに笑みを深めながら応えた。

降り立った“誰か”は裏月や斬月が着ている様なロングコートに似た物を着ていたが、さらにはだけた胸元を繋ぐようにX状の物があり、それが手甲の様に腕にも着いている。
何より、手に持った刀も変化していた。卍型の鍔は何かの刃の様に変わり、刀身の下部分には細い空間、上部分には三つの尖った形状の物が小さく突き出ている。

その純白に“そまった”刀、『強き信念』を支える刀――『天鎖斬月・白天(はくてん)』を携え、

『出来損ないの魔法使い』高町なのは、見参。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

海鳴市の噂の一つに、星の見える丘という物がある。その噂の内容は、海鳴の何処かにある丘が非常に星が見えやすく天体観測にもってこい……という物だ。

だが、所詮はウワサの領域。丘にたどり着くまでの道が解らず、その道も険しいとされるためウワサでしかない。

しかし、その“ウワサ”の丘にただ一人、座り込み星を静かに眺める者がいた。ただただ星を見上げる黒髪の青年は……斬月だった。

その彼が、何かに反応して近くの林を見つめる。

(転移反応。気配は一人……女性か)

正直、感覚だけでそこまで解る事をツッコミたいが於いておこう。彼の感覚では、相手はこちらに気付いていないらしい。

ならばそこまで警戒する必要は無い。そう判断した斬月は、ただ静かに林の中を見つめる。

天鎖斬月は誰かさんが使っているので使えないが、彼からすれば自分に気付けない相手程度なら平気だろうと思っているのだ。……これが自信過剰にならない所が、まぁ彼らしい。
そして、林をかき分け出て来たのは――

「よいしょっと……え?」

「…………」

――金髪のボブカットに、今はキョトンとした表情だが、優しげな表情と瞳。世間一般的に言えば、美人の部類に入るだろう容姿だ。

自然と見つめ合う二人……だったが、女性の方はなにやら困った表情。まぁ彼女からすれば、斬月の表情は一切変わらず冷静に見えるからなのだろうが――実は違う。

よほど斬月と親しい者でないと解らないが、今の彼はいわゆる見惚れている状態なのだ。無論、目の前の女性に。

「あ、あの~……何をしているんですか?」

「……それは此方のセリフの様な気がするが?」

「はうぁ!!」

林から無防備に出てきた事を見られたのが恥ずかしかったのか、顔を赤くして変な声を出す女性。

それを見た斬月は、思わずクスリと微笑する。そして、そのまま再び星を見上げ始めてしまった。

その行動を自分が居て良いと判断したのか、そさくさと斬月の隣に移動し、ポスンと座って同じく星を見上げる。

少ししただろうか……ふと、女性が斬月に話し掛けた。

「星、好きなんですか?」

「ああ、見ていると落ち着く。何より――」

言いながら、斬月が星を掴むように空に手を伸ばす。当たり前だが、それで星が掴める筈も無い。だから、その意味は違う。

手を伸ばしながら、斬月は言葉を続けた。

「こうして手を伸ばしても、星は掴めない。それが……ヒトがどれだけ小さいかを示してくれているような気がしてな」

「案外、ロマンチストなんですね?」

「意外か?」

「いいえ。私はそういうの、好きですよ」

笑顔でそう言う女性に、そうか、とだけ返しまた星を見上げる斬月。
しばらくの間、風が吹く音だけが聞こえていたが、急に斬月が立ち上がり、林に向かって歩き出す。それを反応した女性も立ち上がり、斬月に向かって言葉を掛けた。

「行っちゃうんですか……」

「ああ……そろそろ帰らねばならんのでな」

「――あ、あの!! 私、シャマルって言います。貴方は?」

女性……シャマルの唐突の自己紹介に斬月は振り向き、口を開いた。
普通、彼は自己紹介の時は継いだ家名を名乗る筈だ。けど、今は違った。

「夏樹(なつき)。白河 夏樹だ」

それは、月明かりに照らされた彼女が余りにも綺麗だったからなのか。それとも、単なる彼の気紛れか……彼、夏樹自身にも解らなかった。

しかし、二人は出逢った。歪んだ運命の中でも、確かに。

――それは……歪んだ運命の中でも輝く『運命』の出逢いだったのかもしれない。
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  1. 2012/03/24(土) 20:35:22|
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