サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第14話・前編

幾多もの斬撃音が響き渡り、その度に衝撃波が発生し訓練場を揺らしている……そう表現しても、決して大げさな事では無いだろう。

激しい火花が舞い散る、芸術じみた斬撃の応酬。それを生み出しているのは、刀を得物とした女性と槍を得物とした男性。

卍型の鍔を持った刀、天鎖斬月を持つシグナムが持ち前の超スピードで残像を作り出しながら攻め立てる……しかし、アームドデバイスの槍を持った人物、ゼスト・グランガイツも負けてはいない。

超速で繰り出される無数の斬撃に対し、的確に槍を振るって時には弾き、時には受け流す。

「はぁっ!!」

さらには、天鎖斬月を受け止めると同時に、力を込めた槍を強引に振るってシグナムを吹き飛ばしてしまった。

当然、シグナムはただ吹き飛ばされるだけでは無く、上手く振るわれた力を逃がしながら空中で着地、再び刀を構える。

それに応じる様にゼストは槍を構え……二人はまたも斬撃の応酬を繰り広げ始めた。天を縦横無尽に駆け巡り、加速しながら零距離戦闘を繰り広げる。

隊舎でその戦闘を見ていた人間たちは、殆どが彼らが何をしているか理解できない者達ばかりだったが、それでも目を離せないのは確かだった。

その中で、辛うじてその戦闘の内容を把握できていたクイントは、本当に驚愕していた。まさか、彼女が自分の隊長と互角に渡り合える実力を持つ人物だったとは……と。

――だが、それは全くの逆である。実際、普通の魔導師がシグナム達の様な刀の使用者に喰らい付くという方がおかしいのだ。まぁ、方法が無い訳ではないのだが。

ここで少し、天鎖斬月の能力(チカラ)について説明して見よう。
普通……例えばさくらが持つ『千本桜』を例にして見ると、その本来の姿である『千本桜景厳』は、刀剣とは思えぬ巨大さだ。それは千本桜自体の能力でもあるのだが、その解放された力を小さく押し留める事が難しい、という理由がある。勿論、出来ない事はないのだが、あまり長時間は難しいという事だ。

しかし天鎖斬月は違う。解放状態の力の全てを小さな形に凝縮する事が出来る巨大な“器”があり、それによって解放状態最大戦力での超高速戦闘を可能にした――それが『天鎖斬月』の能力(チカラ)の一つである。

ならば近接戦闘に於いて、圧倒的な力を発揮する天鎖斬月に対抗する為にはどうすれば良いのか? 簡単だ、その超高速戦闘に対応出来る者を戦わせれば良い。

そもそも、さくら達の刀の力に於いて大して優劣は存在しない。せいぜい相性が多少あるくらい……それは特殊と言われる天鎖斬月とて例外ではない。

そして、刀の力は持ち主の技量などによって変わる。幾ら刀が良かろうと、使う人間がお粗末ならば刀の力はその1割も発揮されない。
つまり、逆に言えば持ち主によっては手が付けられない程に化ける、という訳である。

なので、結局さくら達が持つ刀は持ち主を自身の能力でサポートしているだけ。そこは魔導師が持つデバイスと変わりは無い。

話が少し逸れたが、要は天鎖斬月に対抗するには近接戦闘に於ける能力が、斬り合いだけでもトップクラスの者――ほぼ零距離に於ける斬撃を防ぐ培った勘や技量など――がいれば良いのだ。ただ、その人数が本当に一握りというだけで。

今シグナムと拮抗しているゼストですら、まだ天鎖斬月を扱い切れていない彼女を相手するのがやっとなのだから、この異常性がよく解る。しかも、超速で斬り掛かって来た天鎖斬月を何とか防ぎながら反撃しているだけで、ゼストから攻撃できている訳では無いのだ。

本当にどこまでも異常な刀……少なくとも、この天鎖斬月に真っ正直から零距離戦闘で渡り合える者など――

「私の身内を除くと、アイツくらいしか見た事ないんだよねぇ~」

「わきゃぁ!? な、なのはちゃん、いつの間に!?」

「変な声出さないでくださいよ、クイントさん。因みに質問に答えると、戦闘開始辺りからいましたよ。クイントさんが集中していて、全く気付かなかっただけで」

本当に全く気が付かなかった……と、何気に落ち込むクイントを余所に、ただシグナムとゼストの戦いを静かに見守るなのは。それを見たクイントは、あれ? 自分より年下の少女――とは言っても、今のなのはの身長は150㎝前半はあるのだが――に見切れて、私は見切れないの? と、再び落ち込んでいるのは……取り敢えず置いておこう。

何故に彼女が此処に居るかと言うと……そりゃ、シグナムが迷子と解って自力で捜し出したからだ。どうせ近くに居るだろう、と強盗に遭った銀行に行ったりなんだりだったのだが、特に苦労もしていない様なので省略しよう。

で、見つけたシグナムを連れて、後はさくらにでも迎えに来させようと思っていたのだが、何故かゼスト隊長とシグナムが戦っていて、今に至る。

話は変わるが、なのはもゼストと戦った事が在ったりする。だからクイントとも面識があるのだ。

因みにその時の勝敗は、実は付いていない。と言うか、付ける前に戦闘の影響で訓練場が崩壊しかけたからなのだが……序でに言うと、訓練場の修理費は結構砲撃をブチかましていた少女がポケットマネーから支払ったらしい。そのお陰か、かなり設備が良くなった訓練場であった。

その時、少女の貯金額を見て色んな意味で落ち込んだ青い髪の女性がいたとかいなかったとか。

まぁそれはそうと、今の状況なら模擬戦が終わってからでも良いかな~とか思っていたなのはだったが――数秒後に来た電話により、その考えはあっさり覆された。

「はぁ!!」

「ふっ!!」

シグナムが刀を振るい、ゼストが返しに槍を突き出す。そんな行動を何度繰り返しただろうか。

それは定かでは無いが、幾度と無くそれを繰り返している内に、二人の思考は同じ答えに辿り着いた。

「……そろそろ、ケリを付けるか」

「えぇ」

ゼストの言葉に、短くも確かに応えるシグナム。これ以上、同じ事をしても時間の無駄だと……ならば一撃の元に、決着を付けよう、そういう事なのだろう。

先に動いたのはゼストだった。彼の足元に三角形の中で、剣十字の紋章が回転している形の魔法陣が展開される。恐らく、必殺の一撃を放つ為の推進用の魔法。

対するシグナムは、天鎖斬月を両手で握り右後ろ辺りに構える。
瞬間、天鎖斬月から純白の奔流が溢れ出る。

『月牙天衝』……本来で在れば、この技は“斬撃そのものを飛ばす”物であるが、今からシグナムがする事は違う。斬撃そのものを刀身に止める――つまり纏わせているのだ。

この技の特性の一つには、距離が近ければ近い程に威力が増すというものがある。無論、遠距離からでも十分な破壊力があるが、その特性を上手く生かせばさらに真価が発揮される。状況に応じて戦略を変更できる……それが月牙天衝の強味なのだ。

ならば、その破壊力だけを最大限に生かすにはどうするか――その答えが、今シグナムが行っている行動。近ければ近い程に威力が増すなら、飛ばす斬撃を敢えて飛ばさずに、直接叩き込めば良いのだ。
その他の利点を消す事にもなるが、ただ破壊力だけを求めるならそが一番有効な方法だ。

対峙する二人の力が高まり、ほんの少しの間だが動きが止まる。

――動いたのは全くの同時。

「はああああぁぁぁぁっ!!」

「うおおおおぉぉぉぉっ!!」

一気に踏み出した二人から衝撃が爆裂し、その衝撃を置き去る様に二人は加速した。

互いに得物を必殺の一撃の為に溜め、そしてその一撃を振るおうとした――瞬間、

「射殺せ、神鎗」

……二人の間を一本の刀が遮った。
突如現れたそれを避ける為にシグナムが刀の上、ゼストが下に軌道修正したため、ギリギリで二人が己の一撃を激突させる事は無くなった。

「何だと……!?」

「これは……」

体勢を整えた二人は驚いた表情になったが、その意味合いは少し違う。ゼストの場合は、この訓練場で予期せぬ妨害が入った事による驚愕。

そしてシグナムの場合は……見覚えのある刀と聞き覚えの在り過ぎる少女の声が聞こえたからだ。

「勝負の途中にすいませんゼストさん。悪いんですが、シグナムをちょっとお借りしますね」

「なっ!? おい待てなのは!!」

まさしく問答無用。言い放った言葉の返事を聞く前に、シグナムを掴んで急いでその場を後にするなのは。

「ちょっと止まれなのは!! まだゼスト殿との決着が――」

「すいませんが後回しで。ちょっとした仕事が入ったので、手伝ってください」

当然ながらシグナムが反論してくるが、速攻で却下しながら彼女を連れ出した目的を話す。

ついさっき、聖王教会が謎の機械兵器によって攻撃を受けている、という電話をなのはが受けたのだ。勿論、相手は明日襲撃すると予告した相手だろう。何も、相手が律儀に約束を守るとも思っていなかったなのはだが、だからといって自分が離れた一時間足らずの時に襲撃しなくても……と思わず愚痴るなのは。

しかし、シグナムは彼女の話を聞いても何か釈然としなかった。

「それならば、わざわざ私を連れて行かなくても良いのではないか? お前一人でも十分そうなのだが……」

そうだ、わざわざ自分を連れて行く理由が無い。なのはの実力なら、自分を連れて行っても大して変わりは無いだろう。それを、何で今回に限ってシグナムの意思を無視して連れ出したのか……その疑問に対して、なのはは何故か溜め息を吐きながら応えた。

「因みにあのまま止めなかったら、ゼストさんのデバイス壊してましたよ、シグナムさん」

「え゛」

「……シグナムさん、天鎖斬月の強度とか解ってないでしょ? 天鎖斬月は『決して折れる事が無い』とまで言われる刀。それを月牙天衝を纏わせたまま、あの勢いで衝突させれば……まぁ幾らアームドデバイスでも粉々ですね」

なのはの言葉を聞いたシグナムの額に、一筋の汗が流れる。そして天鎖斬月を見て思う、そんなにも凄い刀だったのか……と。いやだって、普通とは違うとは思っていたが、投げ渡された物だったし、とか誰に言い訳しているのか分からない事を考え始めるシグナム。

――だが、なのはの言った事は半分本当で半分は嘘だった。決して折れない、というのは本当だ。が、相手は完全に接近戦に特化されたアームドデバイス。まぁヒビくらいは確実に入るだろうが、一回の衝突で砕ける事は無い。

ならば何故なのはは戦闘を止めたのか。本来、彼女はあの衝突で決着が付かなかった場合に止める予定だったのだ。


少女が戦いを止めた理由、それは――

(あの時、一瞬だけど天鎖斬月から見えたのは……『炎』だった)

シグナムの集中力が最大まで高められた、あの踏み込む前のほんの一瞬。一瞬だったが、なのはには確かに見えた……天鎖斬月から溢れ出た紅‐くれない‐にも緋色にも見えた“炎”。

天鎖斬月の特異性の一つには、認められた持ち主によって“色”を変えるという物がある。今のシグナムの天鎖斬月は、まだ“染まっていない”という意味での純白。

だが、それを抜きにしても天鎖斬月が『属性』を持つなど今までには無かった。もしも万が一、一部とはいえ天鎖斬月の力を無意識下で解放した状態で先程ぶつかり合っていたら……恐らくだが、アームドデバイスでも耐えられずに砕け散り、下手をすればゼストにも怪我を負わせていた可能性があった。

だから、そう判断したなのはは強引に戦闘を中断させた。一部とは言え、刀との対話も無しに能力を解放しかけるなんて……いつ爆発するか分からない爆弾と一緒だ、と思うなのはだったが、シグナムの持つ天鎖斬月に彼女が認められる条件が分からない以上、どうしようも無いんだよね……そんな事に頭を抱えながら、なのはは依頼場所に一気に飛ぶのだった。
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  1. 2012/03/23(金) 23:25:31|
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