サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第13話

「ふぇー、そう言うことだったんだ。全く、端折り過ぎだよ冬獅郎」

「……すまん」

まだ顔が赤いさくらの言葉に、冬獅郎は返す言葉が無く素直に謝るしか無い。

とことんまで端折った彼だったが、一から説明して誤解を解いた事でとりあえずは収まったらしい。まぁ、あんな言い方をすれば余程察しが良くなければ誤解するのは避けられなかっただろう。

「んで? 俺の主共々お世話になれるのか?」

「まぁこの家はお兄ちゃんのだから、お兄ちゃんに訊かなきゃ解らないけど……多分オッケーじゃないかな? だってお兄ちゃんだし」

どういう理論だ、なんて冬獅郎はツッコミそうになるが、一度ヒナギクに会った事のある彼は何となく理解した。見ただけで解る、アレは確実にお人好しの人種……しかも自分の主とも知らぬ仲ではない。

そして何より――もう自分の主のトラブルに巻き込まれている。

「まぁ、お前の主……もう巻き込まれてるけどな」

「うにゃあ、お兄ちゃんも相当だけど、冬獅郎の主さんも相当だよね」

それはつまり、トラブル要素満載な人種だよね、とさくらは言いたいのだろう。

それを否定する材料を持たない冬獅郎は……

「……ノーコメントだ」

――黙秘を貫くのであった。

一方、そのトラブル要素満載の主二人はと言うと……何かSPっぽいのに追われていた。正確に言えば、ヒナギクがお姫様抱っこで抱えている雪華を追っているのだが、彼女を抱き抱えているのはヒナギクなので彼を追っているも同然だった。

何故こんな状況になったかと言えば……まぁ前回の雪華の行動から大体は解るだろうが、あの後、

「い、所謂、許婚よね!!」

とか、彼女が言い出した事でさらに事態が悪化していたりする。

因みにその瞬間、ヒナギクはと言うと……。

「……私は何処からツッコミを入れれば良いのかなぁ?」

当然、色んな意味で困っていたりする。地味に素の口調になっている事から、彼も本気で困惑しているのが読み取れたりする。

そりゃあ、彼だって男の子(説得力ゼロ)だ。雪華の様な美人で可愛い女の子――しかも彼の好みど真ん中とくれば、先の雪華の発言は嬉しいと言えば嬉しい。が、ヒナギク“は”その場しのぎの言い訳だろうと思っているので、何か複雑である。

で、何が起こったのか黒服の男達がいきなり現れて、雪華と捕らえ様と接近……と、ヒナギクが雪華を抱えて今に至るという事だ。去り際に見た老人の困惑の表情を見るに、この男達は彼の意図しない人物たちなのだろうか。

どのみち、ヒナギクには逃げる以外の選択肢は無い。無いのだが――

「……ヒナ。もしかしなくても、楽しんでるでしょ?」

「さて、何の事です?」

ここで一度考えて見よう。男達が追っている人物は“あの”高町なのはの師匠。しかも、ギンに本気が出せれば白河家当主……つまり今は斬月くらいしか拮抗できる人間がいない、とまで言わせる実力を持つ人物だ。

そんな人物が、只の一般人に追い付かれるとお思いか? 否、例え今の様にヒナギクにハンデがあろうとも、何度繰り返そうとも、ヒナギクが彼らに捕まる事など永劫ない。

そのヒナギクからすれば、これは鬼ごっこの様な物だが……後ろを見ていい加減、飽きたな~、何て考える程に余裕があったりする。

ふと彼が前方を見て、表情を変える。それを見た雪華が何かと前方を見ると……まだ少し距離があるが、見慣れた銀髪の髪が見えて、彼女の表情が微笑みに変わった。
そしてすれ違う瞬間――

「ごめんね」

「気にすんな。いつもの事だ」

雪華と冬獅郎は、たったそれだけ言葉を交わした。それだけで、二人には十分だった。

……冬獅郎の隣でさくらが頬を膨らませているのは、まぁ余り関係ないだろう、多分。

さて、ここで彼らの持つ刀について少し説明しよう。

彼らの持つ刀は基本的に――天鎖斬月の様な特異的な例外を除き――通常解放状態と完全解放状態がある。例えば冬獅郎の『氷輪丸』……この名前は通常解放状態の物。それでも他を圧倒する力があるが、さらにその上をいくのが完全解放状態、つまりその刀の“本来”の姿な訳だ。

ここで一つ補足。冬獅郎の氷輪丸の様な『属性』の付いた刀の持ち主は、通常解放などが無くともある程度の力が使える。

まぁ何が言いたいかと言えば――

「「「「ぶべらっ!?!」」」」

――道を滑り易いように凍らすなど、冬獅郎にとっては造作も無い事だという事だ。見事なまでに揃ってすっ転んだ男達を見て冬獅郎はいつもと変わらぬ表情を、さくらは苦笑を浮かべながら主たちを追ってその場を離れるのだった。

「で、改めてここは何処だ?」

所変わってミッドチルダ。そんな異世界の地で誰に言うわけでも無く呟いたのは、言葉とは裏腹に冷静な表情をしたシグナムだ。

前回、勢い良く撤退したシグナムだったが、当然ながら彼女が異世界の土地勘を持っている筈も無く、こうして途方に暮れている訳である。

まぁとりあえず、とシグナムは一つのお店に足を向けて……

「すみませーん。この『ミッドせんべい』を一つください」

「はいよー!!」

買い食いをする事にした。全く持って、冷静と言うかマイペースなシグナムである。因みに、何で彼女がミッドチルダのお金を持っているかと言うと、なのはがもしもミッドに機会があった時の為に、彼女の身分証明書とミッドのお金を渡して置いたのだ。

まぁ、流石にこんな形で来ることになるとは、当たり前だがシグナムも思っていなかった。

そんな感じで、煎餅を食べながら歩くシグナム。見たところ、地球で言うと都会のような光景に近いようだ。そりゃあ、地球より発達している所などはある。

だが、同じ様な所も多いのだ。

例えば、銀行のような所に地球で言うと警察っぽいのが集まっていて、その近くには強盗っぽいのがいたり――

「……いやいや。おかしいだろう」

思わずツッコミを入れるシグナム。まぁ、気持ちは解らなくも無い。
と言うか、異世界に来てもこんな光景を見ることになれば、誰でもツッコミたくなるだろう。

そんなシグナムの思いを強盗っぽいのが聞いている訳も無く、勝手に事態は進んで行く。

「こ、コイツを殺されたくなきゃ、動くんじゃねぇぞ!!」

「くっ……!」

青い髪の少女を人質に取った強盗が、そう言いながら後ろに下がって行く。それを悔しそうに拳を握りしめ見る女性は……人質の少し長い髪をした少女の母親なのだろうか? そのくらい、人質の少女と女性は似ていた。

それはともかく、このままでは犯人に逃げられてしまうだろう。そう思ったシグナムは――動いた。

「よし……」

少女を抱えたまま下がる犯人は、完全に安堵していた。銀行に強盗に入った時、管理局員が居たのは全くの予想外だったが、その局員の子供の一人を一瞬の隙を突いて人質に取れたのは幸運だった。

目的の金は山程奪った。後は人質を利用して逃げ切るだけ……いや、この人質をさらに利用して金をむしりとるのも良いかもしれない。

そんな自分の未来に思考を巡らせる犯人だったが、その瞬間、自分が抱えていた筈の人質の少女が……消えた。

突然の事に驚き、焦る犯人だったが――

「お探しの人質は、この子か?」

「なにぃ!?」

突如後ろから聞こえた声に急いで振り返ると、何とそこには自分が先程まで人質に取っていた少女を一人の女性が左手で抱えているではないか。

焦った犯人が殆ど反射でデバイスを構えて、魔力弾を放つ……が、それよりも早くシグナムは動いていた。

魔力弾の軌道を予測し、屈みながら犯人に向かって突進。そして犯人が二射目の照準を定める前に、男の腹に掌底を叩き込んで、男の意識をあっさりと刈り取った。

倒れ伏せる犯人を尻目に、シグナムは青い髪の女の子を地面に降ろして、言う。

「もう大丈夫だ。よく頑張ったな」

「あ……あ、ありがとうございました!!」

……こんな状況でも律儀に頭を下げながら礼を少女が言うとほぼ同時に、まるで止まっていた時が動き出すかのように局員たちが犯人を捕らえたり銀行の被害状況などを把握し始めた。どうやら、漸く状況を理解したらしい。

暫くシグナムがその場にとどまっていると、先程の少女の母親なのだろう局員が彼女に話し掛けて来た。

「あの、娘を助けていただいてありがとうございます。私はクイント・ナカジマ。貴方は?」

恐らく事情聴取などを行うのだろう。そう考えたシグナムの行動は……極めて単純明快だ。

何せ彼女は――

「私はシグナムと申します。それとついでに、道を教えてくださらないでしょうか?」

――絶賛異世界迷子中、なのだから。と言うか、どこのキャッチコピーだよ……そんなツッコミが聞こえて来そうな状況なシグナムなのであった。

「これ、脅迫文というより……」

「テロ予告、やねぇ」

聖王教会。そこは簡単に言えば古代に存在した『聖王』という王を崇める場所。

そんな祈りを捧げる場所で、明らかにその様な物とは無縁そうな二人、なのはとギンが見ていたのは一枚の教会宛ての手紙。

中身は、二人の言う通りこの教会を破壊するという犯行予告。目的は不明。そして実行日は……何と明日だったりする。

「で、もしもの時の為に私を呼んだと……私じゃなくても裏月さんか秋翔(あきと)さんで良かったのでは?」

「その、秋翔さんは今ちょうど留守にしていて、お兄様は何かあった時は貴方に頼れと……」

まだ少女とも言える年頃だが、この教会の主とも呼べるカリム・グラシアが少し困った表情でそう言う。

それを訊いたなのはは、あぁ成程、とさほど気にした様子も無く呟く。実際、大して気にしていないのだろう。それは隣にいるギンも同じなのか、平然と差し出された紅茶を飲んでいた。

「まぁそんな事はどうでも良いとして……いい加減、秋翔さんとの仲は進みましたか?」

「へ……えぇっ!? べ、べべべ別に秋翔さんと私はそういう間柄ではありません!!」

(分かりやすい動揺の仕方やなぁ)

ギンの思っている通り、なのはの質問を理解した瞬間にカリムは顔を真っ赤にしてとんでもなく分かりやすく動揺する。

そうしている間にも、楽しいオモチャを見つけたな~、見たいな感じでカリムを弄りまくるなのは。

こうして見ると、普通の女の子の会話に見えるのだろう。しかし、それでもなのはは年相応には見えない。精神的にも、そして肉体的にもそう思わざるを得ない。

――なのはの“さらに身長が伸びた”身体を見ながら、ギンは本当にそう思った。その事をよく解っているのは、何より自分となのはだと言うのに。

それを少女が受け入れ、自分も止めなかった事だとしても……そう思わずにはいられなかった。

「そういう訳で、シグナムは絶賛異世界迷子中……と」

「にゃはは、簡単に言うとそうなっちゃうよねぇ。それで、どうするのお兄ちゃん?」

裏月から聞いた事の経緯を話したさくらが、ヒナギクに行動の選択を促す。いつものヒナギクなら、即答で自らが迎えに行く、と言っただろう。が、今のヒナギクは少し迷いがあった。それはシグナム本人ではなく、その転移した場所……つまりは聖王教会というところに問題がある。

今シグナムが教会にいるかは解らない、しかしいないとも限らないのだ。どちらにしろ、恐らく教会の近くにいる事は確か……彼は教会に行くどころか、余り近づきたくも無いのだ。

彼にとって教会は居心地が悪い。
言ってしまえばヒナギクにとって神聖すぎるのだ、聖王教会は。そこに居るだけで気分が悪くなる……と言えば良いのだろうか。

なぜ彼が教会を苦手としているのか。それは、これより先の物語で語られる――のかもしれない。

「どうしてこうなった?」

視点は再び戻ってシグナム。ポツリと呟く彼女の表情は、まさに困っている表情だった。目の前にいる槍を構えた大男――先程の女性、クイント・ナカジマの部隊の隊長、ゼスト・グランガイツの表情は、苦笑気味だったがやる気は満々という感じか。

何でこうなったか、考える為に多少の回想……あの少女の母親、クイントは思った以上にフレンドリーな性格で、事情聴取などほったらかしで世間話に花を咲かせてしまった――それで良いのか、時空管理局。

それで何だかんだで、この訓練場まで案内されて偶然若い者の訓練を行っていた隊長に出会って――

「だから、どうしてこうなった?」

――全く解らない現状だった。まぁ実際には、クイントがシグナムの実力が知りたかったのと……このままだと、自分が模擬戦に駆り出されそうだったからである。

だって、私は本来お休みですよ? それに娘たちや夫と過ごす筈だったのに……とは、後に本人が語る事である。

「悪いな。俺の部下の所為でこんな事になってしまって……」

「あ、いえ。別に貴方の所為ではありませんよ」

結局、この状況を受け入れたのは自分なのだ。ならば相手に気を使わせる必要など無い。そう思ったシグナムは、直ぐに戦闘を行う準備をする。

短刀を取り出し、それを斜めに振るう。それだけの動作で、短い短刀は長い長刀……天鎖斬月へと変化した。

彼女は気付いているだろうか? 少し前とは違い、何も言わなくとも天鎖斬月を解放する事が出来る様になっている事を。恐らくは、気付いていないのだろう。意識せずに出来るという事は、それだけシグナムが刀の力を引き出し始めている、という事だ。それでも、まだまだ先は長いのだろうが。

解放された刀の形状を見たゼストが、その表情を驚きに変える。それを見ながら、シスターと言い目の前の彼と言い何なのだろうか、と思ったが、ゼストが表情を引き締め武器を構えたのを見て、思考を完全に戦闘の為に切り換える。

――互いが互いの得物を構える。ただそれだけで、まだ若いヒヨッコ達は圧倒的な二人を包む空気に呑まれる。

「時空管理局・首都防衛隊、ゼスト・グランガイツ」

「月剣‐つるぎ‐の騎士、シグナム」

互いが互いの名を名乗る。後は、誰でも解るだろう。闘志と闘志の……ぶつかり合いだ。

「「いざ尋常に――」」

stand by ready……

「「勝負!!!!」」

set up――!!
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  1. 2012/03/23(金) 22:03:39|
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