サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第11話(無印編エピローグ)

死天‐そらしに‐

その凄まじい人知を超えた光は、離れていたアースラも観測していた。

時の庭園を覆い尽くし、まるで浄化するような光には色が無い……正確に言えば、ヒトには理解できない色だった。

やがて光は収まり、圧倒的な輝きを放っていたモニターは静けさに支配される。それはアースラの中に居る魔導師組も同じで、もう何も映っていないモニターを見ながら沈黙する。それだけ、衝撃的な光景だったのだろう。

なにせ、世界の一つや二つなど簡単に消し飛ばすジュエルシードを、いとも簡単に消滅させたのだ。

しかし、その沈黙を破ったのも……それを行った人物だった。

「終わったぜ」

「見れば分かる」

魔導師組が焦って声のした方を向くと、そこには蒼の髪をした裏月がどうやってか丁度アースラに降り立ったっていた。アースラのシステムをどうやって潜り抜けたんだ……という疑問を口にする間もなく、斬月の返しを受けながら裏月が一度光を放つ。

その光が消えると、裏月は何時も通りのオレンジ色の髪に戻っていた。そして何事もなかったかの様に話を始める。

「さぁて、これで今回の依頼は終了だな」

「そうですね。まぁ後は依頼金額の交渉くらいです」

「……加減してやれよ?」

「さぁ? お金はあって困る物じゃないですから」

……加減するつもりなど微塵も無い様な、なのははさて置きだ。先程の光景から漸く回復したクロノが、何も説明する気がないらしい裏月たちに向かって叫ぶ。

「ちょっと待て!! とりあえず、さっきの事を説明しろ!!」

「蒼天と俺が融合して、単純にエネルギーを放った。以上」

「はしょり過ぎだろう!?」

すかさず叫ぶクロノだが……実ははしょりも何も無く、単純にその通りの事を裏月は言っているのだが、天鎖斬月の知識が無いクロノに理解しろというのは無理な話だろう。

因みに、なのははもう既にリンディ相手に金額交渉を行っていたりする。で、未だに叫ぶクロノに――ポスン、と一人の女の子をヒナギクが渡した。

「へ?」

「その子、ちゃんとお墓を作って上げてね?」

ヒナギクが渡した少女……今は事情聴取を受けているプレシアが見れば仰天しているであろう、フェイトと瓜二つの少女、アリシアだ。
アリシアの遺体をなぜヒナギクが救出していたかと言えば……驚異の直感で解放した千本桜でトンネルを作り、そこからアリシアの遺体を連れ出して脱出したという感じでだったりする。

――どこまでもハイスペックな美少女少年、それがヒナギクである。まぁそれを成した彼も説明する気は無く、背を向けてアースラブリッジの出口に向かって歩き出しながら裏月に声を掛けた。

「じゃあ裏月くん、私は帰るから。あんまり長居するとなのはに怒られそうですしね」

「ああ。俺も、後でシグナムとかを連れて一緒に帰る」

「あ! 今は次元断層の影響で転送は――って、あれ?」

エイミィがその言葉を言い終えるころには、もうヒナギクはアースラブリッジから姿を消している。なんとも不思議な気分になるエイミィを見て、ふと裏月が誰にも聞こえない程度の声量で呟いた。

「神様の真似事……か。もし神様がいるなら、アイツほど神様に愛されながらも愛されていない奴も珍しいな」

……その呟きを偶然耳にしていたシグナムが、その意味を完全に理解する時は来るのだろうか? まぁ、それは彼女次第と言ったところだろう。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

高町家の屋根の上。深夜の時間に、その場所でグラスに注いだ飲み物を飲みながら美しく浮かぶ星を見上げる人物が居た。

またゆっくりとグラスを口に運び、それによってグラスの中の氷がカラン、という音を立てる。と、同時にもう一人誰かが屋根の上に立った。

「まーたお酒飲んでるん?」

「良いでしょ別に。私の勝手なんだし」

現れた青年、ギンの言葉をまるで気にする様子も無く、再びグラスに口をつけるなのは。対するギンも、特に気にすることなく彼女の隣に腰を掛けた。どうやら、先程の言葉は特に気にしてはいなかったようだ。

そして隣に座るなのはを見て彼は思う――また背が伸びているな、と。だが、そんな思いをおくびにも出さずに会話を始める。

「今回の依頼、どうやった?」

「そうだね……やっぱり、改めて分かったよ」

「何が?」

「――人は己の願いの為なら、どこまでも残酷に成れる……って」
それが、自分の大切な人なら、なおさら……そう少女は呟いた。そうだ、ヒトは大切なものの為ならば、どこまでも残酷に成れる生き物。例え、それが決して取り戻せないものだと解っていても。

プレシアはフェイト・テスタロッサという存在があったからこそ、なんとか戻ってこれた。歪んだ願いを想うのがヒトならば、それを止めるのもまたヒト、という事なのだろう。

「それがヒトやから……ね」

「……そう、なんだろうね」

なんとも言えない表情で、またグラスに口をつけるなのは。ヒトは、願う。叶わぬことを知らず、己の器の小ささすら理解できない者もいる。

――ヒトがどれだけ小さいかを、ちゃんと解っている人はどれだけいるんだろう?

「まぁでも、事件は一応解決したんやし、もうゆっくりしてええんちゃう?」

「どうかな? ……そのうち、また厄介事が舞い込んで来そうだけどね」

「……キミの予感は良う当たるんよなぁ」

そんな苦笑気味のギンの言葉を聞きながら、少女は屋根の上で立ち上がる。その手には、空になった酒瓶があった。どうやら、酒が無くなったらしい。

「お酒取りに行くん?」

「それも有るけど……そろそろ、お墓参りに行きたいなぁ」

「――そっか。ええんやないの。頻繁に行っても、あの子は喜ぶやろうし」

勿論、今すぐ行くわけじゃないけど、となのはは苦笑気味に付け足す。それに対してもギンは、少し優しげな笑みを返した。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

――パタン。渇いた音を立てて、誰かが書物を閉じる。その誰かが、背の一対二枚の純白の翼……そして“金色”の髪をなびかせ、立ち上がった。

「これは、まだ始まり。長い物語の始まり(プロローグ)だよ」

必然で始まった物語。しかし、まだ何も解っていない。なぜ、高町なのはは『出来損ないの魔法使い』を名乗るのか。

何を想い、刀たちは彼らと共に居るのか。その中でも、さくらと冬獅郎、それにギンの関係は何なのか。

なぜ――烈火の騎士は彼の元に現れたのか。

「誰も知らない物語……って言っても、私は知ってるんだけどね」

彼は、綺麗な“蒼の瞳”を見せながら楽しげに笑う。

――烈火の翼が羽撃たくのは何時なのか……それはまだ解らない。

「さて、観てみよっか。烈火の翼が羽撃たく……物語の続きを。数多の願いが交錯する――歪んだ運命を」

彼の手には、いつの間にかカードが煌めいていた。

何かのラインが入ったカード。それを手に持って、彼は扉に向かう。
何処からか、笛の音のような音楽が聞こえた。

――扉が開く。全ての願いが交錯し、誰も知らない物語が始まる。

始まり(プロローグ)はお終いだ。歪んだ物語の役者は揃いつつある。
さぁ……何処へ向かうかも解らない歪んだ運命が織り成す物語の――開演だ。
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  1. 2012/03/22(木) 22:24:49|
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