サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第10話・後編

裏月と斬月が合流したのと時を同じくして、侵入者を殲滅する為に放たれた数百の傀儡兵。それの一部が、たった一人の標的を撃墜するべく幾つかある一方通行の通路に集結していた。

その標的が壁を破壊しながら侵入してきたのを感知し、傀儡兵が一斉に砲撃を放ち出した。しかし、侵入者――高町なのはは翼と自身の動体視力と反応速度を以って、空中で無駄の無いダンスを踊る様に避け、手に持ったマギリングライフルのトリガーを引き、次々に傀儡兵を掃討していく。さらには、自身のデバイスと会話までする始末だ。

「そういえばエクスシア。裏月さんが、新しい武装を追加してくれたんだっけ?」

『はい。使用しますか、マスター?』

訊きながら、なのはは両腰の武装を跳ね上げ、レールガンで傀儡兵を狙い撃ち、続いて両肩のプラズマブラスターで傀儡兵を爆散させる。

そしてお返しとばかりに向かって来る熱線の束を、アクロバティックな動きで回避して、何事もなかったかの様に口を開いた。

「う~ん……別に使わなくて良いかな。触ってもいない武装を、いきなり実戦で使うのもあれだし、何より名前が私には似合わないよ。普通にルシファーの方がお似合い――」

『ドライブ・オン。武装コード、ソードブラスター『メサイア』起動』

「エクスシア……」

困った表情のマスターを完全無視で、エクスシアは武装を起動した。それは、エクスシアなりの気遣いと信頼なのかもしれない。

なのはの持っていたマギリングライフルが送還され、代わりに巨大な武装がエクスシアから転送されてくる。

その武装は、名前の通り剣銃という形状だった。上段部には砲撃を放つ為の砲門、下方部には純白のクリスタルの刃があり、持ち手の下には手を護る様に彼女用にカラーリングされた白いシールド部分もある。

「へぇ、ルシファーの接近戦仕様を刃に変えたみたいな感じだね?」

『マスターが、砲撃仕様を無視して『ルシファー』で突撃するからです。そもそも接近戦仕様も何もありませんよ、ルシファーは』

「あはは、気にしない気にしない」

なのはがそう笑いながら、ソードブラスター『メサイア』を構え、翼をエクセリオンモードに移行させて……一気に加速し、敵陣の真っ只中に突撃した。

「処刑人‐エグゼキューター‐、高町なのは!! 目標を殲滅します!!」

『――言った傍から突撃しないでください、マスター!!』

そりゃあもう、エクスシアの叫びは虚しく響き、次の瞬間には大量の爆発音が辺りに谺した。

「あれか……」

桜色の髪をポニーテールに括り、手に持った天鎖斬月によって、凛々しいという言葉が良く似合う女性、シグナムが目的の場所に到達した。

彼女の目に映っているのは、球体上の部屋の中心に浮かぶ巨大なコア。時の庭園を動かす為の魔力コアだ。

当然、そんな重要な物が剥き出しで置かれている訳が無く、しっかりと強力な魔力防壁で覆われている。

流石にこれを壊すのは難しいだろう、とアースラのオペレーターがシグナムに通信を繋ぐ。

『あの、流石にその魔力防壁を力ずくで壊すのは厳しいと思うので、今から言う停止方法を――』

『シグナム。裏月からの伝言だ。面倒だから跡形もなくぶっ飛ばせ、だそうだ』

だが、そんなもの余計なお世話だと言わんばかりに、月天が通信を割り込ませてシグナムに言葉を伝えた。

それに対してシグナムは……左手で顔を覆いながら応える。

「要はアレを壊せば良いのだろう? 往くぞ、天鎖斬月――虚化(ホロウか)」

……瞬間、シグナムを純白の奔流が覆い尽くす。それだけで、強烈な重圧が部屋を支配していく。救いは、この部屋にシグナムしかいなかったことか。

奔流が晴れる。そこに居るシグナムは、一枚の仮面を顔に被っていた。シンプルな髑髏状の仮面は、左半分が血の紋様で染まっていて……見る者に恐怖を与える様な仮面。それに応じてか、眼球が黒、瞳が真紅に変わる。

そして事実、アースラクルーはモニター越しにそれを見ただけで、言い様の無い恐怖を感じた。そしてシグナムは天鎖斬月を……振るった。

「『月牙……天衝』」

声がダブって聞こえるのは、アースラクルーがモニター越しに見ているからだろうか? それは解らない……しかし、ダブった声が聞こえた時には、強烈な爆音が響き――次の瞬間には、駆動炉のコアが跡形もなく消し飛んでいた。

……が、それによって唐突に警戒音が鳴り響き、大量の傀儡兵が開いた扉から吐き出されて来る。

恐らく、駆動炉が攻撃された時の為の緊急トラップなのだろう。対応しようとシグナムが天鎖斬月を構えると、今度は聞き慣れた声が念話で聞こえてくる。

【シグナム。その部屋から退避して】

【主? 何をするおつもりで?】

【……面倒ですから、部屋ごと消し飛ばします】

その言葉を聞いた時には、シグナムは球体上の部屋から退避していた。あの主の言葉はマジだ。本気と書いてマジと読むくらいマジだ。
部屋から退避したシグナムが見たのは、球体上の形をした部屋の外装を……残らず全て覆い尽くす数億を超える桜の刃だった。

そして――近くにいたヒナギクが部屋に背を向け、告げる。

「吭景(ごうけい)・千本桜景厳」

見た人間はそろってこう言うだろう。『スケールが違う』……と。この時点で、時の庭園から駆動炉のあった部屋が、跡形もなく斬砕された。

先程のコアの爆発すら越える衝撃に、玉座の間でもプレシアが何事かと調べて……表情を唖然とさせる。

「ねぇ……駆動炉が跡形もなく消滅してるんだけど?」

「「ヒナ(ヒナギク)だからな」」

いや、ヒナギクってだれよ? そもそもどこまでデタラメなのよ、貴方たちは? という考えがプレシアの頭の中を過るが、もう過ぎたことだと思考を切り替えて裏月と斬月の二人を見る。

因みに、真子は雑魚を片付けてくるわ~、とか言ってどこかに行ってしまったいたりする。

「で、まだ続けるのか? プレシア・テスタロッサさんよ」

「あら、貴方に名前を知られているなんて光栄ね。その天才的な頭脳で『神童』とまで呼ばれた人間……裏月くんにね」

「それで呼ばれるのも、久しぶりだな」

「貴方も、私の事を否定するのかしら?」

その言葉の意味は、もちろん彼女が行おうとしている死者蘇生。多分、否定するのだろうとプレシアは思う。彼らに自分の願いが理解できるとも思えない。だからこそ、彼らはここに乗り込んで来たのだろう……と。

しかし、裏月が放った言葉は、プレシアの予想を覆す言葉だった。

「別にアンタを否定するつもりは無ぇよ。俺には、そんな資格は無いしな」

「どういう事かしら?」

「俺も……少し違えばアンタと同じ場所に居たかもしれない、って事だよ」

それは……彼も自分と同じ願いを持っているという事なのだろうか? なら、なおのこと解らない。なぜ、なぜ――

「ならなぜ、貴方は自分の願いを叶えないのっ!? 貴方なら出来る筈よっ!! 神童とすら呼ばれた事のある、貴方なら!!」

「出来ねぇよ」

「なぜ!? 貴方なら――」

「違う」

叫ぶプレシアの言葉を遮り、裏月が静かに言葉を紡ぐ。静かだが、その言葉には彼女を止めるだけの力強さがあった。

そのまま、彼は言葉を続ける。

「アンタの聡明な頭なら解るだろ? 俺はしないんじゃない、出来ないんだよ」

「なに……を……」

「……何度も、何度も方法を探したさ。それでも、死者を蘇らす事なんて、出来やしなかった」

彼は願った。大切な人を生き返らせたい、と。でも、それはまさに叶わぬ“ユメ”でしかなかった。

「俺は人間だ。たった一人のちっぽけな人間なんだよ。幾ら天才と呼ばれようが、それは変わらない。神様でもなんでも無いんだ」

「私は……」

「こいつは受け売りなんだがな……人ってのはさ、いつ死ぬか解らないんだ。だから、今日を、明日を全力で生きる。それにさ……もう休ませてやれよ、娘さんをよ」

「どういう、意味かしら?」

裏月の問いに、プレシアが理解できないという風に返す。それに応えたのは裏月ではなく、口を出さずに佇んでいた斬月だった。

「お前のその強い願い。それが、お前の娘の魂をこの世に縛り付けているという事だ」

「そんな非科学的な事が――」

「あるんですよ、実際にね」

言葉を遮ったのは、少女の声と天井を撃ち抜く砲撃音だった。それと共に、翼から粒子を撒き散らして少女が着地する。

「……随分と、知った様な口を聞くのね? 処刑人(エグゼキューター)、高町なのは」

「まぁ、私にもいろいろ有りますからね。それに、貴方の都合で他人を巻き込まれると迷惑なんですよ。そうだよね、ハラオウン執務官」

その問いかけに、瓦礫を吹き飛ばしながら侵入する三人の人物の内の一人――クロノ・ハラオウンが全力で応えた。

「ああ!! 世界は何時だってこんなはずじゃないことばかりだよ!! 昔から何時だって、誰だってそうなんだ!! 不幸から逃げるか戦うかは個人の自由だが、他人を巻き込む権利は誰にも無い!!!!」

飛び込みながら叫ぶクロノに加え、もう一人の人物、ユーノ・スクライアも同じく部屋に飛び込む。

そして最後の一人――漆黒のバリアジャケットを纏った少女が……ゆっくりとプレシアと対峙した。

「フェイト……」

「……母さん、貴方に言いたいことがあってきました」

ゆっくりと、フェイトは言葉を紡ぐ。自分の母親に、自分の想いを伝える為に。

そんな娘に、プレシアも視線を離すことなく受けとめる。自分に逃げる事は許されない。まるで、そう視線が語っているようだった。

「私は……母さんが望む『アリシア・テスタロッサ』にはなれません。私は『フェイト・テスタロッサ』。貴方の娘です」

「っ……!」

「私は――母さんと一緒に居たいです!! アリシアにはなれないけど……貴方の娘にはなれます!! ――これが私の精一杯の我が儘です!!」

今まで、自分の“娘”の彼女が我が儘を言った事があっただろうか? そうプレシアは考えてしまうが、そもそもこれは我が儘に入らないだろう。

普通の……幼い少女が願うちっぽけなユメ。それを叶えられるのは自分だけで、これを拒絶するという事は自分と同じ“孤独”を娘に味あわせる事になる。

プレシアの気持ちが揺れ動く。それで良いのか、と。

「プレシア……過去に囚われ過ぎるな。“今”を失う事になるぞ。お前は……それでも良いのか?」

揺れ動く彼女に、斬月の言葉が深く突き刺さる。そして彼女の視界には、自分に手を差し伸べるフェイト。

――良いのだろうか? まだ、やり直せるのか。そんな事を考える前に、プレシアは無意識のうちに手を伸ばしていた。その先にあるのは、伸ばされたフェイトの手。

ゆっくりと、しかし確かに伸ばされた手はどんどん近づいて行き――瞬間、強烈な光が瞬いた。

「キャッ!?」

「母さんっ!?」

瞬いた光……ジュエルシードの暴走がプレシアの手を離れて制御不能に陥っていた。

さらには、暴走したジュエルシードの力で……プレシアの居る地面が崩れ落ちた。下にあるのは、次元断層によって引き起こされた魔法などをキャンセルする虚数空間。
思わずプレシアは目を瞑り――堅い何かに自分が落ちたのを感じた。
目を開けて冷静に自分の居る場所を確認すると、そこは何故が氷の上だった。それだけでは無い……発生した虚数空間の穴を氷が次々と塞いでいるのだ。だが、それも長くは保たない。氷結した箇所が、ジュエルシードの暴走によって砕かれている。

このままではプレシアの居る場所も危険……だと思われた時、一本の蒼の刀が彼女の身体に巻き付き、そのまま一気に引き上げた。それを受け止めたのは、刀を巻き付けた裏月の隣にいた斬月だ。

「……まさか、鎖が伸びる事がこんな形で役に立つなんてな」

「そんな事より、このままだとどうなる?」

先程、氷を発生させてプレシアを助けた人物、冬獅郎が裏月に問い掛ける。その問いに裏月は……極めて冷静に答えた。

「……このままジュエルシードが暴走を続ければ、巨大な次元断層を発生させながら――隣接する次元世界を巻き込んで消滅する」

「それは……地球も含むのか?」

「――ああ」

裏月の答えに、冬獅郎は思わず舌打ちをしてしまいそうな表情になる。
それを抑え、彼は裏月に視線を向ける……裏月の表情は、諦めなど微塵も含んでいなかった。その裏月が、唐突にアースラに連絡を取る。

「聞こえるか、アースラ? 今からなのは達を回収して、出来るだけ遠くに離脱しろ。今からやることに、巻き込まない保証は無い」

『え、や、りょ……了解です!!』

いきなり過ぎることに戸惑いながらも、アースラのオペレーターは必死に対応する。

その間にも、なのはが何が何だか解らない……主にクロノとかを押しながら離脱を始める。そして最後に、プレシアを抱き抱えた斬月が振り向き、言う。

「無理はするなよ。“アレ”はお前と蒼天だけでは、制御が利かんのだからな」

「わーてるよ。威力抑えるくらいしか出来ないのは」

「解っているなら良い。――後は任せた」

それだけ言い、斬月の気配が急速に遠ざかるのを感じながら……裏月は言われ無くとも、と呟いて天鎖斬月を構えた。

「チッ、まだ居たのっ!?」

なのはが愚痴りながら後方を見ると、狭っ苦しい一方通路に大量に出現した傀儡兵。粗方は片付けた筈だが、まだ生き残りが居た様だ。
流石にまともに相手にしている時間は無い……と、なのはは脇差サイズの刀を掴み、服装をギンと同じ物に変えながら……振り向き足を止め――建物ごと傀儡兵をたたっ斬った。

「卍解――神殺鎗」

丁度、天鎖斬月を構えて行動しようとしていた裏月が聞いたのは、明らかに建物が崩れる様な音と大量の爆砕音。まぁ何となく予想は出来るが、師匠譲りでえげつないよな、とか裏月は思ったりする。

「さて、終わらせようぜ」

誰に告げる訳でも……敢えて言うなればジュエルシードにだろうか、裏月が言う。

そして――光が瞬いた。

「……完全虚化」

裏月の身体が光に包まれる。まるで、世界が光色に染められた錯覚すらした。勿論それは錯覚でしかなく、光の渦はすぐに引いた。

そこに居た裏月は、変わっていた。オレンジ色の髪が蒼に変わり、手に持っていた天鎖斬月が消えている。

静かに、風貌が変わった裏月がジュエルシードを見据える。告げるは、全てを終焉に導く一言。

……さぁ、狂い歪んだ幻想‐願い‐の宝石が創り出した舞台の――終演。

「死天‐そらしに‐」

――再び瞬いた光は、色がなかった。いや、表現できない色であった。

その光がジュエルシードが認識する全てを呑み込んで……その世界は闇へと消えた――
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  1. 2012/03/22(木) 22:18:43|
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