サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第10話・前編

「……久しぶりね。今は、斬月だったかしら?」

「ほぅ、お前が知っているのは意外だな」

「少しでも外に出れば、貴方の名前くらいすぐに聞くわよ。有名人なんだから」

まるで世間話の様に会話をする、プレシアと斬月。だが、状況はとてもではないが世間話をしていられる状態ではない。

プレシアの手で暴走させたジュエルシードが、今も変わらず激しい光を放っているのだ。にもかかわらず、二人は何ともないように会話を続ける。大物というか何というか……。

「それで、貴方どうやってここに来たのよ? 結構面倒な座標にしておいた筈なんだけど?」

「なに、優秀な道先案内人が居たのでな」

「誰が道先案内人だい!!」

斬月が何ともない風に言った瞬間、彼の服のフードに隠れていた小犬――アルフが顔を出した。それを見たプレシアは、なるほどね、と呟いて魔法陣を展開する。

どうやら、自分は微妙なところで詰めが甘いらしい。彼が手紙を出しただけで、ここまで行動する人間だとは少し予想外だったし、まさかアルフがその彼に出会うのも予想外だった。けど、今は時間がないのだ。

「悪いわね。あんまり話をしている時間は……ないのよっ!!」

プレシアの叫びと同時に、前方に展開された魔法陣から巨大な雷撃が放たれる。それは、彼女の娘のフェイトですら比べ物にならない程に巨大な雷。

それなのに、フェイトの半分もチャージをしたようにも見えない。だが、たったそれだけでこの威力をなしえるのは、彼女が大魔導師と呼ばれる所以の一つだろう。が、その巨大な雷撃は……標的に到達する前に“斬り払われた”。物理的に斬り払われた雷撃は、辺りを包む爆炎へと変わる。しかし、それすらも斬り払い姿を現す者――斬月が居た。もはや、ちょっとやそっとの事では驚けない気がするアルフも、健在だ。

あっさりと雷撃を斬り払った彼の手には、先程まではなかった刀がある。柄頭の途切れた鎖に卍型の鍔……全てが漆黒に彩られたその長刀は、持ち主の『強き信念』を支える為の刀に他ならない。

「……貴方、本当にデタラメね。白河家当主の名は伊達じゃない、ってことかしらね」

「お褒めいただき光栄だ。それと、時間が無いならケンカでもしながら喋るとしよう」

「えぇ……そうさせてもらうわよっ!!」

瞬間、様々な方向から雷撃が放たれ、それら全てを刀で斬月が斬り払う。

――今、Sランクオーバー、大魔導師プレシア・テスタロッサと白河家当主にして最強の援軍、斬月のケンカが……始まった。

それを待っていたかの様に、時の庭園の防衛システムが作動する。それを素早く観測したのは、二人をモニターしていたアースラだった。

「庭園内に魔力反応を複数確認、いずれもAクラス。数は……何これ!? 三百、三百五十、どんどん増えていきます!!」

凄まじい勢いで増えて行く、魔力反応。これには、執務官のクロノも驚きを隠せない。一体、どれだけの戦力を用意していたのか、と。
まだ増え続ける反応に、アースラもどう動けば良いか行動に迷う。流石に、アースラの戦力であの軍勢の中に突っ込む事など不可能だ。
そんな状況の中で……アースラのブリッジに入っていた裏月が、動いた。

「邪魔だ。ちょっと退け」

「えっ、貴方なんです……か?」

邪魔とまで言われたエイミィの言葉の疑問は、最終的に彼に向けられた物ではなかった。正確には、彼の行動に向けられた物。

エイミィを退かした裏月が、キーボードを左手だけで叩く。が、その叩く速度が問題だ。少なくとも、自分が出来る速度の数倍。それを彼は“片手”でキーを叩いている。この行動に驚くな、という方が無理だろう。

その行動によって、アースラのモニター全体に見取り図の様な物が映し出された。それを見たなのはが、この地図が何なのかを素早く理解した。

「裏月さん、これってこの庭園の地図ですよね?」

「ああ。あっちのシステムに介入して映し出した。あとさ……何かヒナが庭園に侵入してるみたいだぜ?」

その行動はまさに電光石火。裏月の言葉を聞いた瞬間、なのはの耳には携帯電話が当てられている。その行動は、少なくともアースラクルーに見えた者はいなかったとか。

ほどなくしてコール音が鳴り止み――代わりになのはの怒声がアースラ艦内に鳴り響いた。

「ちょっと師匠!! なに普通に突撃してるんですかっ!? え、レジィおじさんの依頼? いや、師匠は自分の――」

言い掛けて、気付いた。ここには、まだ自分の師の状態を知らない人……シグナムが居るのだ。事実、かなり不思議な目で自分を見るシグナムが見えた。

これ以上会話を進めると、何か彼女に悟られてしまうかもしれない。なら……多少は妥協するしかないだろう。

「――10分。10分で戦闘を切り上げて、さくらにバトンタッチしてください。良いですね?」

そう言って、なのはは電話を切って携帯をしまう。その電話の相手、ヒナギクも同じく電話を切って携帯をしまった。彼が居る場所は、時の庭園の巨大な通路。当然、その近くには凄まじい数の傀儡兵が迫っている……のだが、ヒナギクとさくらに冬獅郎の三人は全く焦った様子が見られない。

「さてと、変な機械が大量に来てるみたいですけど、これってタイミング良かったんですかね?」

「良かったんじゃねぇか? 遠慮なく叩き潰せるしな」

「うん。じゃあ始めようよお兄ちゃん」

言いながら、さくらは自分を見つめる視線に気付いて、冬獅郎に視線を向ける。自分に向けられた視線からは、彼らしい心配の気持ちが感じ取れた。

そんな彼に多少苦笑しながらも、しっかりと安心させるように笑顔で言葉を掛けた。

「大丈夫だよ、冬獅郎。ボクは……大丈夫だから」

「――そうか」

一言、それだけ言って冬獅郎は反対側の傀儡兵を駆逐する為に移動する。その姿に、ヒナギクは何かを察する。この二人には、自分も知らない何かがあるのだな、と。

でも、大して訊く気もなかった。どうやら自分が入り込める関係ではないようだし、さくらがやはり話したくなったら話してもらえばいい。

「お兄ちゃん」

「うん、分かってるよ。さくら」

ヒナギクとさくらが向かい合う。と、その中心には一本の刀――千本桜が刺さっていて、辺りの空間がまるで二人だけの物の様に錯覚させられる。それを二人が……優しくゆっくりと掴む。

すると、さくらがまるでヒナギクの中に入り込むように……消えた。
それと同時、数百を越える傀儡兵が壁を破壊して攻撃対象、ヒナギクに向かって突撃する。

冷ややかにそれを見る彼が、逆手に構えた刀を地面に――離した。

「乱れ咲け、桜の華――」

刀は地面に吸い込まれるように消え、同時に足元から立ち昇るのは圧倒的な千本の刀身の葬列。

彼方がたった数百のくだらない傀儡兵なら、ヒナギクは……数億を超える美しき桜の刃を司る。

ヒナギクが瞳を開く――その瞳の色が、美しい蒼から、まるで魔女のような紅に変化していた。

「卍解(ばんかい)――千本桜景厳(せんぼんざくらかげよし)」

直後、全ての刀身が舞い散る。それを認識したものの辿る運命は、“格”の違いを見せ付けられ……悉く塵となって消え失せるのみ。
一方通路の反対側、そこにも数百を超える傀儡兵が壁を破壊しながら突撃し……瞬間、先行して突撃していた傀儡兵が氷結した。

「乱れ咲け、雪の華――」

それを成した人物、冬獅郎が静かに呟く。持った刀――氷輪丸から圧倒的な冷気が溢れ出し、それだけで彼の周りが凍り付く。

――対象、危険、破壊。

傀儡兵のシステムはその言葉で埋め尽くされ、一斉に砲撃を放つ。

その行動が無駄な足掻きとは……機械には認識できないだろう。

「卍解――大紅蓮氷輪丸(だいぐれんひょうりんまる)」

瞬間、砲撃の全てが凍り付いた。いや、傀儡兵の半分以上も氷結する。

氷の龍が融合した。言葉にすれば、そうだろう。刀身の鍔が微妙に変化し、元々の鍔に少しずらした鍔が重なっているような形状となっていて、その刀を持つ腕から連なる様に巨大な翼を持つ西洋風の氷の龍を、冬獅郎自身が纏っているかのようになる。

最後に――まるで彼を護るように背後に三つの氷華が浮かんでいた。

「さぁて、ヒナ達も暴れ出したみたいだし、俺たちも行くか?」

「当然です。シグナムさんは駆動炉を適当にぶっ壊してください。裏月さんは――」

「真子と一緒に斬月の所に行く。月天、後は任せる」

「わーてるよ。おもいっきり暴れて来い」

月天……一つの本だった筈の彼が、なぜか人間の姿になってアースラのシステムを操作していた。それも、裏月と瓜二つ。違うところは、髪が白くなっているのと前鐔の付いている帽子を被っているところか。

まぁ、そんな事を気にするメンバーは彼らの中には……アースラクルーくらいしかいない。が、今はそんな事を気にしている場合ではないと、忙しく動き出す。しかし、その中で何もせずに動かないのは――フェイトだ。

もう、何をしていいのか分からない。

――私は、何のために生まれてきたのかな?

座り込んだ少女の前に誰が立ち、明かりを遮って影を差す。


「君……は」

「ここで終わるの? フェイトちゃん」

処刑人(エグゼキューター)、出来損ないの魔法使い、高町なのは。

「良いの、このままで?」

「私、何をしていいか分からないよ……」

「…………」

「私は――何のために生まれたのかな?」

答えなど、期待していない。でも、虚ろな瞳でそう問い掛けてしまう。

彼女に答えられる筈が無い……だが、彼女は唐突に切り出した。

「意味の無い生命(いのち)なんて無い。それを否定することを――私は認めない」

「え……?」

フェイトが顔を上げる。そうだ、自分は認めない。意味の無い生命など、有る訳が無い。

それに……少女はまだ始まってすらいないのだ。

「変わろうよ、フェイトちゃん」

「変わ……る?」

「フェイトちゃんは、まだ始めてすらいない。お母さんに何も言えてないでしょ?」

まだ始めてすらいないなら、始める為に変わればいい。それが許されるのが、ヒトなのだから。

なのはが後ろを向き、歩きだす。が、一度だけ立ち止まり、言葉を放った。

「フェイトちゃんが変わった先には……きっと、お母さんがいるよ」

時の庭園、玉座の間。そこで激しい雷光が輝き、地面が割れ壁が砕け散る。

それは戦闘の激しさを物語っている……筈だった。そう、その筈なのだが、玉座の間の中央には斬月が佇んでいた――無傷で。

「はぁ、はぁ……あ、貴方、本当の本当にデタラメね」

「お褒めいただき光栄だ」

「貶してるのよっ!!」

頭に怒りマークが付きそうな勢いで、プレシアが斬月に向かって叫ぶ。

まぁ、気持ちは解らなくもない。彼女は仮にもSランクオーバー、限定的にならSSランクの魔導師だ。その彼女の雷撃を、斬月は全て“斬り払って”いるのだ。

しかも――

「それに貴方、その刀の力……微塵も使ってないわね?」

「む、流石にバレたか?」

「当たり前よ。私を誰だと思ってるのよ」

彼の持つ漆黒の刀、天鎖斬月の力を斬月は全く使っていない。単純な技量のみでSランクオーバーの魔導師の攻撃を残らず斬り払う。もはや神業とかそんなレベルではないことを、彼は涼しい表情であっさりとやってのけている。

もう、呆れるとかを超越してるなー、とかアルフは遠い目で思っていたりするが、気にする事は無い。

「まぁ余り気にするな。それに……来たか」

「来たって何が――」

――邪魔だ退けぇ!!

――ちょ、敵の数が多すぎんやろ!? 何とかせぇや裏月!!

誰がの叫び声と共に破砕音……恐らく傀儡兵を破壊する音が響く。それはどんどん近づいて来て、声も完全に聞き取れる迄になった。

「あぁ!? んなもん虚閃(セロ)でもぶっ放しとけよ!!」

「アホか! 仮面出すの面倒やろ!!」

「チッ、しゃあねぇな――」

……何か、凄く、すごーく嫌な予感がするのは気のせいだろうか?心なしか、斬月もため息を吐いて、唐突に……という訳でも無いが口を開いた。

「プレシア」

「なにかしら……」

「身体を屈めろ」

言った瞬間、斬月の後方から何かが溢れ出すのをプレシアも感じ取れた。

斬月ならともかく、自分が感じ取れる巨大さ……彼女はすぐさま身体を屈め、斬月はヒョイっとばかりに退避し――

「月牙ァ――天・衝ォォォオオオッ!!!!」

――刹那、後ろの巨大な扉が消滅した。叫びと共に放たれた蒼い特大の斬撃が、巨大な扉をあっさりと斬り裂きプレシアの後方の壁にまで到達して爆炎を上げる。

その光景に再びため息を吐いてから、斬月は後ろを振り向き、刀の刀身を肩に置いているオレンジ髪の青年に向かって、言う。

「遅かったな――裏月」

「はっ、テメーに言われたかねーよ――斬月」
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  1. 2012/03/22(木) 22:12:34|
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