サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第9話・後編

なのはとフェイトが戦いを始めたのと同じ時、一匹の小さな犬が人気の無い公園で倒れていた。どこも怪我をした様子はないが……必死に動かない身体を動かそうとするのは、たった今戦闘開始したフェイトの使い魔、アルフだ。

何時もとは違う姿なのは、極力魔力の消費を抑える為。しかし、自身のマスターとのリンクを切られた状態では、とてもでは無いが魔力の回復は間に合わない。

万事休す……そう思った瞬間、自分の身体が誰かに抱えられる感覚をアルフは感じた。

「無事か? ……この残留魔力の感じ、プレシアだな」

「あ……アンタ、プレシアを知っているのかい?」

「まぁ、一応友人と言ったところか」

「だったら頼むよ……フェイトを……プレシアを助けてくれっ!!」

「――ああ、任せておけ」

アルフの必死の頼みに迷いなく青年――斬月は頷く。また一人、役者は舞台に出揃い始める。

少し時間は進み、一人の美少女に見える少年――ヒナギクが繋いでいた電話を切って、携帯をしまい呟く。

「さて、私の弟子には悪いですけど、そろそろ派手に動きましょうか……ん、貴方は」

「冬獅郎?」

近づいてきた人物の状態……を本人が名乗る前にヒナギクの近くに居たさくらが当てる。

当てられた少年――冬獅郎が微妙な表情をしながら口を開いた。

「……たくっ、俺の主も人使いが荒い。お前らを手伝ってやれ、だってよ」

「あら、雪華ちゃんにはバレてました?」

「そこは、俺の主がちょっと変わってるって思ってくれ」

「うにゃあ、それは言って良いの、冬獅郎?」

……因みに、彼が自分の主が直接行こうとしたのを必死に止めたのは別の話だ。

「てめえ、自分の職業考えろよっ!? 怪我したらどうすんだ!?」とか「――もしかして、アイツに惚れたのか?」とか言って頑張って説得したとだけ、彼の頑張りを報告しておこう。

「じゃあ、そろそろ行きますか」

「どうやって行くんだ?」

「知り合いの一人でも居れば、大雑把でも転移できるんですよ、私は」

言いながら、彼は背中から“翼”を生やす。一対、二枚の純白の翼。その翼が、願いを受けて光輝く。

運命を背負う者……ヒナギクも舞台へ上がる。後は――幕が上がるの待つだけだ。

時間は戻り、空中に舞台を移し海上で白と金の軌跡を描きながら互いの得物で斬り合う、なのはとフェイト。

だが、その表情は対照的。フェイトは厳しい表情を浮かべ、なのはは終始軽い表情を浮かべている。

フェイトが先端に魔力刃を成形した形態、サイズフォームのバルディッシュを横凪ぎに振るう。が、それは身体を一回転させながら刃を躱し、その勢いを殺さずにマギリングサーベルを振るった。

「ほらほら、もっと上手く避けないと当たっちゃうよ?」

「くっ……このっ!!」

ギリギリで避けたフェイトを嘲笑うかの様に、なのはは余裕の表情だ。
そんな少女の態度に苛立ちながらも、何とか冷静さと保ち距離を取り、体の周囲に発射体(フォトンスフィア)を成形し攻撃に転じる。

「フォトンランサー! ファイ」

「遅い」

しかし、その四つのスフィアから放たれる筈だった物は、放たれなかった。なのはの左手には、スフィアを一瞬にして全て撃ち抜いたマギリングライフルがある。

フェイトは再び驚愕を隠せない。今の魔法は、自分の中でも信頼の置ける物だ。それをあっさり対処されただけでなく、遅いとまで断じられるなんて。

接近もダメ遠距離もダメ。ならばどうするのか? 少女の頭では必死に戦略を練っては、すぐに無駄だと破棄していく。

「どうしたの? まさか、もうお終いじゃないよね?」

「っ……はああああぁぁぁぁっ!!!!」

「――へぇ。まだやれる見たいだね」

当然だ。自分は敗ける訳にはいかないんだ。少女は、自分の魔力を込められるだけ魔力刃に込めていく。

同時に、瞬間的に加速できる状態にもする。自分が今からするのは、策も何も有ったようなものではない。だが、相手の少女に対して策が無いなら、真っ正面から力で勝負を挑むしかない。

フェイトは――一気に加速、バルディッシュを全力で振り下ろした。
対するなのはは、ライフルをしまった左腕で三角形のシールド、ラウンドシールドを成形してそれを防ぐ……が、全力で魔力を込めた攻撃だ。シールドに刃が食い込み、どんどんと罅が入っていく。

――この距離なら砲撃は撃てない。いける!!

「ねぇフェイトちゃん、二つ良い事を教えて上げる」

「え……?」

だが、そんなフェイトの考えとは裏腹に、なのはの表情は全くの余裕。
フェイトはこの時点で気付くべきだった。なぜ、速くともこんな単調で事前予測が可能な攻撃を……彼女は“片手”で防いだのか。

「覚えといた方が良いよ。“最良の戦術を行う時こそが、最大の危機”そして――」

「なっ!?」

なのはの空いた右腕……それが、シールドの内側に魔力球を成形し、なのはが右腕を溜める様に引く。
それに反応したフェイトがすぐに後退しようとするが、食い込んだ刃の所為で一瞬だが行動が遅れる。

退避するフェイトに向かって……なのはは遠慮なく魔力球を“殴った”。

「私が砲撃を撃てるのは――エクスシアからだけだと思わないでよっ!!」

「くっ、ああああああぁぁぁぁっ!?!?」

殆ど零距離から放たれた砲撃。圧縮された桜色の魔力が、強引に展開したシールドごとフェイトを押し返していく。

なのはは一度魔力を圧縮、そして自身の拳でそれを爆発させる事によって砲撃を放つことが出来る。つまり、現時点で彼女オリジナルの砲撃魔法とも言える、ディバイン・バスターのカウンターバージョン。

当然、そんな物を零距離から喰らおうものなら只では済まない。ギリギリでシールドを張ったとはいえ、バリアジャケットは半壊状態になり何とか防ぎ切れたくらいだ。
そんな彼女の四肢体を……白い光の輪が拘束した。

「えっ!?」

レストリクトロック。バインド系統の魔法で、発動から完成までの間に指定区域内から脱出できなかった対象全てをその場に拘束するもの。なのはが指定したのは、フェイトが突撃した場所から自分の場所まで……つまり――

「ゲームオーバーだよ、フェイトちゃん」

エクセリオンモードの翼を展開し、なのはがフェイトを見下ろす。

言いながら、彼女が胸の前でパン、と両手を合わせる。それはまるで……神への祈りを捧げる様だった。

両手を合わせたなのはが、少しずつ合わせた手を放していく……その中心には、桜色の球体が魔力を凄まじい速度で吸収していた。

バインドで縛られたフェイトが、自然と震える声でその魔法の正体を言い当てる。

「集束……砲撃っ!?」

「ご明察。見せて上げるよ、私のとっておきをねっ!!」

大きく広げたなのはの手の間に、圧倒的な魔力の塊が集束していく。
スパーク音を鳴らし、圧倒的で暴力的な大きさと光を放つ魔力球。フェイトの目が確かなら、展開された翼が輝き……純白、そして“黄金”の輝きを放ち出す。

その姿は、見る者によっては天使にも悪魔にも見える。

「エグゼ――」

なのはが魔力球から手を離し、自分すら隠れる程に大きくなったそれに向かって拳を溜める。

だが確かなのは――彼女が相手を断罪する様にも見えるという事だ。

――なのはが拳を叩きつける……同時に、圧倒的な光が爆発した。

「――キュータァァァァァァァ――――ッ!!!!」

解放された光は、先ほどの砲撃とは比べ物にならない程の大きさでフェイトの視界を覆い尽くし――断罪の光が、少女の意識をも呑み込んだ。

「か、仮にもAAA相当の魔導師を相手に、全くの無傷で勝利するなんて……」

「まぁ、彼女が噂どおりの処刑人(エグゼキューター)なら、当然の結果とも言えるかもしれないな」

「……ねぇクロノ君。この前から思ってたんだけど、自分より年下の女の子相手に、その呼び方は酷いんじゃない?」

映されたなのはとフェイトの映像を見て言うクロノに、オペレーターのエイミィは苦言の様にそう言った。

だが、それを聞いたクロノにとっては違うのだ。そう、馬鹿馬鹿しいと自分でも思うが、彼女は……高町なのはとてもでは無いが年下には見えない。

「僕にとって、彼女は年下のようには感じられないんだ。彼女と話していると……まるで自分より年上と話しているように思えてならない」

「ははは、そんなバカなことが――」

「ふーん、まぁ当たらずとも遠からず、ちゅう感じやな」

唐突に聞こえる第三者の声。その声に二人が急いで振り替えると、そこには薄笑いを浮かべる青年、市丸ギンが気配も無く佇んでいた。

「き、キミは誰だ!?」

「なのはちゃんの言う通り、本当に定番の返ししかせいへんのね。あ、ボクはなのはちゃんの相棒ってとこやな。ちゃんと艦長さんに許可とっとるよ。って言うかええの? 何か雷落っこちて来とるけど」

「ああっ!? い、急いで逆探知しなくちゃっ!!」

映し出されたモニターには、丁度バルディッシュが取り出したジュエルシードが、空に吸い寄せられる様に消えていく。それをしたのは、もちろんフェイトの母親であるプレシア。彼女の行動に、何とか意識を取り戻していたフェイトは動揺を隠せない。

そんな少女を掴んで、なのはは迷わずアースラの艦内に転移した。転移先で待っていたのは、つい先程までクロノ達と居た筈のギンだ。自分の相棒の自由奔放さは何時もの事なので、特に驚きもせずになのはは彼に状況を訊く。

「状況は?」

「座標の逆探知に成功。武装局員が乗り込んだとこやね」

「そう……行くよ、ギン」


返事までは聞かず、なのはは考え込んでいるフェイトの手を取り艦内をずんずんと突き進む。

「その子、なんも拘束せんでええの?」

「必要ないでしょ。集束が微妙だったとはいえ、私の『エグゼキューター』を喰らったんだから。それより……急ぐよ」

最後の一言、その意味をギンは正確に理解していた。そう、恐らく武装局員など意味をなさない。
それを肯定するかのように、アースラのブリッジに入ると同時に武装局員の悲鳴が聞こえた。

艦長のリンディが、急ぎ武装局員の回収を指示していたが、なのはの瞳に映っていたのは、モニター越しに此方を……フェイトを見るプレシア・テスタロッサだ。

「母さん、どうして……?」

「ごめんなさいね、フェイト。でも、私は行かなきゃいけないの」

「母さんっ!?」

突然、なんで自分の母はこんな事を言いだすのか。フェイトには叫ぶ事しかできない。

そして、プレシアが語りだす。なのはは……止めない。これは、少女にとって乗り越えなければいけないことだから。

「聞いてフェイト……貴方は普通に生まれたんじゃない……私の娘、アリシア・テスタロッサのクローンなのよ」

「……ク、ロー……ン? 私、が?」

震え、途切れる声でフェイトが何とか言葉を絞り出す。そんな少女を見ながらも、プレシアは語ることを止めない。これが自分の罰だから……と。

「そう。アリシアが死んで、何もかもが虚しくなった私が生み出したクローン……それが貴方よ。でもね、貴方の存在で私は救われた。私が元気が無い時は、いつも笑顔を見せてくれた貴方が居たから。けど……やっぱり何処かでアリシアの影を追い掛ける私が居たの」

「母さん……!!」

「だから――もう往くわ」

もはや話すことは話した。そう言わんばかりの表情で、プレシアはジュエルシードを同時発動させた。
途端、小規模ながら次元震の発生をアースラのオペレーターが観測の報告をする。

そして、光り輝くジュエルシードを見ながら、プレシアは本当に小さく呟いた。返事など、誰にも期待していなかった。

「やっぱり……もう戻れないのよ」

「――それはお前次第だろう?」

――だが、確かに誰かが言葉を返す。プレシアが振り替える、同時に玉座の間に転移の魔法陣が広がり、中心に誰かが――いや、彼女も知る人物が舞い降りた。

「久しいな……プレシア」

同時に、アースラのブリッジにも誰かが侵入する。その二人の内、一人……オレンジ髪の青年がモニターを見て、言った。

「相変わらず、テメーは来るのが遅いっての」

さぁ、終わりへと誘われた始まりの舞台の――開演。
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  1. 2012/03/21(水) 21:44:02|
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