サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第9話・前編

時の庭園。それは、高次空間内に存在する文字どおり“庭園”だ。魔法技術によって作られており、次元間航行も可能な移動庭園となっている。

今現在、この庭園に出入り出来る人間は多くない。ここに出入り出来る人間……一つの方法としては、この庭園の座標軸を知っている人間に案内してもらう事。もう一つは――その知っている人間が直接転移する事だ。

「プレシアッ!!」

大きな音を立て、一般家庭ではあり得ない玉座の間に入って来たのは、今はぐっすりと眠っているフェイトの使い魔、アルフだった。何やら、かなり焦った様子だが……そんなアルフに名前を呼ばれて振り返ったのは、フェイトの母親であるプレシア・テスタロッサ。

振り向いた彼女からしてみれば、なぜ娘の使い魔であるアルフがここにいるのか理解できなかったが、次の彼女の叫びで漸く理由が分かった。

「頼むよ! フェイトを止めておくれっ!! あの子、このままじゃ管理局に直接戦いを挑んじまう!!」

「なっ……あの子、そんな事を……」

そう、残りのジュエルシードが管理局の手に――正確に言えば、なのはの手に――ある以上、もはや管理局に戦いを挑むしか方法は無い。
確かに、これはもう自分に頼むしかないだろう。アルフがここに来たという事は、彼女ではフェイトを止められなかったという事だ。ならば、言い出した自分が言うしか、方法は無い。

だが――

「……ごめんなさい、アルフ。それは出来ないわ」

プレシアは、小さく首を左右に振って、しかし確かに拒否をする。自分の願いを……叶える為に。

「どうしてさ!? あの子がどうなっても良いのかい!?」

「それは――っ、ゴホッ!! ゴホッ!!」

「プレシア!?」

プレシアが何か言葉を言う前に、彼女が突然咳き込みながら倒れこんでしまう。倒れこんだプレシアを驚きながらもアルフは支える……が、プレシアが吐き出した物を見て、その表情は更に驚愕に染まる。

彼女が吐き出した物――それは、真っ赤な血だった。

「アンタ、これ……ぐっ!?」

驚愕を隠せないアルフがプレシアを問いただそうとした時、彼女は全身から力が抜けていくのを感じた。魔力が吸い取られている……そう理解した時には、もう腕も動かせない程の状態になっていた。同時に、フェイトとのリンクも強制切断され、アルフの下には魔法陣が展開される。

これを行った人物、プレシアは弱々しい笑みを浮かべながら、申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。

「ごめんなさいね、アルフ。私が言うのもおかしいかもしれないけど……全部が終わった後、フェイトをよろしくね」

「プ……レ、シ……ア――」

何かを言おうとしたのかもしれない。アルフは、腕を必死に伸ばしてプレシアを掴もうとする……しかし、それが彼女に到達する前に、アルフはプレシアが行使した転移魔法により、何処かへ転送された……。

「もう、戻れないわね」

一人になった自分。口元の血を拭いながら、呟く。だが、同時に何を今さらと考える。

そうだ、もう戻れないのだ。この選択をした瞬間に、その事は決まっていたのだから。

――決して取り戻せないもの、それが過去。それでも、失ったものを取り戻そうとする者を……一体、誰が責められるのだろうか? その答えは、誰にも解らないのかもしれない……。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

戦艦アースラ艦内。そこはまぁ微妙な空気に包まれていた。見事なまでな笑顔でリンディと対面するなのは。そのなのはを、嫌な予感しかしないという風な表情で見るリンディ。

その他と言えば、自分の母が普通のお茶を飲むなんてっ!? という感じで驚愕しているクロノ。差し出されたお茶とお菓子を至福の表情で食すシグナムと、少し遠慮しながらも同じ様に食べるユーノが居たりする。

そんな状態の中、なのはがあっさりと話を切り出した。

「さて、ハラオウン執務官は何で私がさっきの件に手を出したか、知りたがってしましたよね?」

「え……あ、ああ」

突如自分に話を振られて反応が遅れたクロノだったが、それでも出来るだけ平然を装って頷く。

それを見たなのはは、じゃあ応えて上げる、としっかり前置きをして言葉を放った。

「それが私の受けた『依頼』だからだよ、クロノ・ハラオウン執務官」

「依頼……?」

「そ。誰から受けたかは伏せさせてもらうけど、『ジュエルシードの回収』を私は請け負ったの。当然、管理局の関係者からね」

だから私はあの場に介入した。暗にそう、なのはは言っているのだろう。

彼女は一度そこで言葉を切り、わざわざ自分で入れたお茶を口に含み一休みする。が、その行動を終えると、なのははリンディが驚く一言を付け加えた。

「ああ。因みに、依頼の報酬額がアースラ……まぁぶっちゃければリンディ提督にツケられてますから。依頼終了後、キッチリ払ってくださいね。もちろん、ビタ一文も負けませんから」

「……えぇっ!?」

「む、この菓子は美味いな。食べるか、スクライア?」

「あ、はい。いただきます」

下の発言二つは無視するが、なのはの言葉にはリンディだけではなくクロノも口を出してくる。まぁ、そりゃいきなりこんな事を言われれば反論したくもなるだろう。

「ちょっと待て!! ツケとは何だツケとは!?」

「そのまんまだよ。大体、貴方たちに任せてると、地球が吹き飛びそうだから私が居るんだよ? それくらいは、しっかり払ってくれないとね」

「それはどういう――」

「この船、大した戦力無いでしょ?」

なのはの言葉に、クロノとリンディがピタリと動きを止めた。それを見たなのはは、やっぱりね、という表情になってまるで二人を追い詰める様に再び言葉を紡ぎ出す。

「まともな戦力と言えば、ハラオウン執務官と提督の二人くらい。残りは、せいぜいAランクが居るかどうかかな? 確かに、あの子と使い魔を捕まえるだけなら、『アースラの切り札』と呼ばれるハラオウン執務官が居れば十分だと思う。けど、次元干渉で空間攻撃を可能とする魔導師がいるなら、話は別。相手の目的がジュエルシードなら、それを抑えられるハラオウン提督は前線には出れない。そして、私の予想では空間攻撃をした魔導師はSランク、もしくはSSオーバー。そんな相手を執務官一人で抑えられる……と?」

「それは……」

「確かに、解決するだけなら平気かもしれない。けれど、それで被害を増大させて隣接する次元を消し飛ばすのと、変な虚勢を張らずに私“たち”に協力を求めるの……どちらにします、リンディ・ハラオウン提督?」

静かにリンディを見据えるなのは。その真意を読み取る事は、クロノには出来なかった。

暫く沈黙と緊張感が辺りを支配する……が、唐突にリンディがため息を吐き出し、諦めた様な言葉を口にした。

「分かりました。正式に貴方たちに協力を要請します。どうせ、私へのツケも彼方のささやかな嫌がらせでしょうし」

「あら、よくご存じで。でも良かったですね。ハラオウン提督の依頼だったら、報酬金額が五割増しでしたよ」

「あ、あははは……感謝しておくわ」

なのはの言っている事は……まぁガチだろう。っていうか、目が冗談を言っていない目だ。

話はまとまった。なら、残るはこれからの事だ。これからの事……つまり、フェイト達の事だろう。事実、なのはの口から出てきた言葉は、彼女たちの事だった。

「さて、問題のジュエルシードは、あの子たちが持っている物以外は私たちが回収しました。恐らく、明日にでもあの子たちは真っ正面から勝負を仕掛けてくるでしょうね」

「その根拠は?」

「あの子たち、多分そんなに余裕が無いんですよ。今回強引にジュエルシードを回収しようとしたのが、その証拠です。だったら、こっちが何か仕掛ける前にあっちから勝負を掛けてきますよ」

まぁ、あの天然少女がそこまで考えているかは微妙だけど、となのはは頭の中で付け加えた。

確かに余裕が無いのは確実だ。これはなのはの知る由では無いが、直接勝負を挑むとフェイトが言い、アルフが焦ってプレシアの所に行ったのが良い証拠だ。

「とりあえず、あの子は私が担当します。敗けるつもりは微塵も無いですけど、どちらが勝とうが控えた魔導師が手を出してくると思いますので、座標の逆探知、お願いしますね」

「了解したわ」

「――じゃ、私たちはそろそろ帰ります。シグナムさん、あとユーノ君も帰るよ」

「む、漸く終わったか。ああ、ついでにこの菓子はもらっていく」

「え、遠慮が無いですね……って、僕も?」

「どうせ行く場所ないでしょ? どうせ明日には仕掛けてくるんだし、丁度良いからね」

全く遠慮を知らないシグナムはさて置き、呼ばれたことに疑問を感じるユーノをあっさりと説き伏せるなのは。

どうやら、かなりユーノの事を気に入ったらしい。本人にその自覚があるかは、本人にしか解らないが。

兎に角、本日の対談は終了。残るは……少し長めの始まり(プロローグ)の終わりを……始めるだけだ。


翌日、時は明け方。そんな普通の人間はまだ寝ていそうな時間に、ベッドで何かを考えながら天井を見つめるオレンジ髪の青年――裏月は起きていた。

「なぁ、月天(げってん)」

少しそうして居ただろうか、彼は自分以外に誰も居ない筈なのに誰かの名前を呼ぶ。

『何だよ、相棒』

だが、そんな声に応える誰かが居た。それが聞こえた場所には、一つの本がある。真っ白な色に表面には半月の紋様が描かれた本。

それが確かに返事をしたのだ。当然ながら話し掛けた彼、裏月は驚くことなどなく話を続ける。

「ぼ……俺もさ、斬月やお前がいなかったら……プレシアみたいになってたのかな?」

『さぁな。所詮IF……もしもの話だ。俺には解らねぇよ』

「そっか――んじゃ、往くか?」

言いながら、ベッドから降りて月天と呼ばれた白い本――魔導書――を持つ。その口振りは、もはや決定事項の様なニュアンスだった。
それを聞いた月天は……もし彼が人間の姿ならば、当然という表情を浮かべていただろう。

そんな二人の前に――いきなり扉を開けてオカッパ髪の青年が入って来る。その人物を見た裏月は……途端に呆れた様な表情になった。

「お前、何でここに居るんだよ、真子」

「いやな、何か面白そうな事が起こりそうやったから、来てもうた」

「来てもうた、じゃねぇよ。まぁ良いか……往くぞ」

返事は無い。だが無くとも解る。それだけ長い付き合いという事だ。
まぁ、こんないきなりな事態にもさらっと対応できるようになったのは……裏月にとって嬉しいのか嬉しくないのか。それはともかく、遂に彼らも動き出した。役者は――揃いつつある。

「フェイトちゃん、出てくれば? 居るんでしょ?」

同時刻、海鳴臨海公園。そこで言葉を放つのは、高町なのはだ。その言葉に反応してか、電灯の上に黒衣のバリアジャケットを纏った少女、フェイトが現れる。

そのフェイトを見据えるなのはの表情は、少女には何を考えているかは解らない……だが。

「ジュエルシードを――」

「私に勝ったら、全部上げるよ」

「――え?」

自分の言葉を遮った少女の言葉に、フェイトはポカンという表情になる。が、少女がデバイスを起動して前に見た武装を展開したのを見て、急いで表情を引き締める。

「ふふ、ちょっと遊んで上げる。――かかって来なさい」

「……はぁっ!!」

油断は無い。そこまで言われて、黙っている訳にはいかないフェイトは自身のデバイス、バルディッシュを持ち……一気に加速した。

一撃で沈める――そう考えるフェイトは失念していた。あの時……自分たちがてこずっていた物をあっさり対処してみせた人物が、誰なのかを。

振るわれた黒い鎌、一撃で相手の意識を墜とす為のそれは――あっさりと弾かれてしまった。

「ッ!?」

「さて、出来損ないの魔法使い……ここでは処刑人(エグゼキューター)とでも名乗ろうかな?」

いつの間にか抜き放った魔力で刃が構成された武器、マギリングサーベルを持ちながら、言う。

少女は身を以って知る。自分が否に無謀な戦いに挑んだかを。後悔など……出来ない。いや、そんな事をする暇など無い。

「さて――貴方は、私に何をもたらしてくれるかしら?」

その事を――少女は思い知る事になる。
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  1. 2012/03/21(水) 21:31:25|
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