サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第8話・後編

なのはの飛翔とほぼ同じ時、フェイト達の行動を感知したアースラでは、局員が忙しなく動いていた。その中では、かなり冷静な表情でモニターを見ていたのは、執務官のクロノ。しかし、その隣にいる艦長のリンディは、遣る瀬ない表情だった。

「艦長、彼女たちが力を使い果たす、もしくは自滅した時を狙う……これで良いですね?」

「……えぇ。悪いわねクロノ、嫌な役を押し付けて」

「……いえ、僕は僕の仕事をこなすだけです」気遣う様なリンディの言葉にも、クロノは首を振って応える。
先に、なのはが考えた予想は見事的中していた。彼らは、完全に静観に決め込んだらしい。確かに、戦術的に見れば、これは正しい選択なのかもしれない。

――だが、それを認めない人物というものは、いるものなのだろう。

「か、艦長!! 結界内に反応……これは、ジュエルシード発見者、ユーノ・スクライアのものです!!」

その報告と同時に見えたのは、暴走によって引き起こされた竜巻をバインドで縛る、ユーノの姿だった。なぜ彼があの場所に……そんな考えが二人の頭に過るが、事態はさらに急変する。

二度目の警戒音が、艦内に鳴り響いたのだ。

「今度は何だっ!?」

「け、結界内に突入する反応を感知!! 通常飛行魔法の……約三倍!? 今も加速してます! 魔導師……いや、速い!!」

「何なのっ!?」

アースラでも捉えきれない速度で、何かが結界内に突入した。そんな彼らの焦りを知ることもなく、フェイトは既に限界に達していた。
ユーノが参戦した事により、持ち直したと思われた戦況だったが、もう彼女の魔力は底を尽きかけている。そんな状態でも、暴走したジュエルシードは容赦なくフェイトに襲い掛かった。

「ああっ!!?」

「「フェイトっ!?」」

放たれた雷撃が、一瞬だが気を抜いたフェイトに直撃した。只でさえ防御が薄い彼女が、魔力を殆ど無くした状態で耐えられる筈がない。

為す術もなく墜ちていくフェイトを助ける為、アルフが必死に飛ぶが……それよりも早く、墜ちる少女に向かって止めとばかりの雷撃が左右から迫りくる。

間に合わない……もはや打つ手なし。そう思われた――が、その事実をあっさりと覆す存在が、半瞬前に行動を起こしていた。

「キャアッ!!」

「な!? ――フェイト!!」

左右から迫る雷撃が“何か”が放った攻撃により消滅した。

数瞬前……結界に突入した“何か”――高町なのはは、状況を一瞬にして理解し、表情を引き締め動いた。一度旋回しながら射角を変更、そこからウイングを展開……エクセリオンモードにて姿勢制御を行い、両腰の武装をはね上げ、そこから魔力式亜音速弾頭加速砲‐レールガン‐を放った。

僅か半瞬、その間になのははこれだけの事をやってのけたのだ。放たれた二つの弾丸は、一瞬にして正確に雷撃と衝突、爆炎を上げる。その衝撃でフェイトは吹き飛ばされたが、それはアルフが上手く受けとめた。

そして、二人を護る様に前に現れたのは……神業とも呼べるものをあっさりとやってのけた、高町なのはだ。少し二人を見て、その行動によって顔が見えたフェイトは、表情を驚きに変える。

「な、何で……」

「また会ったね、フェイトちゃん――っと」

挨拶をする暇もなく、なのはは手に持ったライフルのトリガーを射角を変更しながら、三度連続で引く。それに反応して放たれた桜色の熱線は、迫っていた雷撃を全て打ち落とした。これには、フェイトもだがアルフとバインドで竜巻を抑えていたユーノも驚愕する。

今まで自分たちが手間取っていた物を、目の前の少女は何ともない様に対処して見せたのだ。

「ん、これじゃあ落ち着いて話も出来ないね……ちょっと黙らせようか」

「黙らせるって……どうやってさ!?」

「ギン」

『はいはい、人使い荒いなぁ』

アルフ問いには応えず、変わりに誰かの名前を呟くなのは。すると、どこからか声が聞こえる。それにより、またもやフェイト達は驚愕の表情になるが……次の瞬間、さらに自分たちの理解の範疇を超えた事が起きた。

『死(ころ)せ――神殺鎗(かみしにのやり)』

刹那。言葉にすればそれだけだ。たったそれだけの時間で……ジュエルシードによって作り出された無数の竜巻が、物理的に真ん中からたたっ斬られた。フェイトとアルフには、何が起こったから理解できない。辛うじて、ユーノが見たのは竜巻を斬った“刀”だ。それも本当に一瞬、次の瞬間には消え失せていて、とんでもない衝撃波が解放されただけだった。

その理解の範疇を超えた事を起こした人物、市丸ギンは先ほどまでなのはが居た遥か後方の丘に佇んでいた。その隣には刀を背負った少年、冬獅郎もいる。

「これ、キミが海ごと氷らせた方が早かったんちゃう?」

「めんどくせぇ。てか、良いのかよ、まだ復活しそうだぜ?」

「平気や。なんたって――ボクの主やからね」

そう言い、笑うギンから読み取れる物は……強い信頼。ここまでコイツが信頼を示すのも珍しいな、なんて冬獅郎が考えてしまう辺り付き合いの長さが伺える。

まぁ、コイツがここまで言うのだから問題ないだろう……それに、もう一人近づいているしな、と冬獅郎は視線を向ける。その視線の先には――飛翔する烈火の騎士が見えていた。

「来た……」

「来たって何が……ってうおっ!?」

竜巻が物理的に斬られただけでも訳が分からないのに、今度は近くに強い衝撃が出る。誰かが、空中に着地したのだ。もう、アルフからすれば何がなんだか分からない。

そして、衝撃が晴れた時そこに居たのは……アルフとフェイトには見覚えがある、在り過ぎる人物だった。

「あ、貴方は……」

「全く、私は自分の力量を弁えろと言った筈だがな」

卍型の鍔を持つ刀を持ち、呆れを含んだ表情でそう言うのは、ヒナギクの騎士、シグナムだ。

何でここに居るのか……そう言いたそうなフェイトの表情に気付いたシグナムは、更に呆れた表情になった。

「バカ者。これだけ大暴れすれば、私でなくとも気付く。学習能力が無いのか、お前たちは?」

「うぅ……確かにそうですけどって、学習能力はありますよっ!?」

「どうだか。この光景を見るだけで、説得力が無いな」

本当に、この二人は敵対しているのだろうか、という疑問が浮かびそうな程に仲が良さげに会話をするシグナムとフェイト。この光景には、フェイトを抱えるアルフと近くに来ていたユーノも呆気に取られる。

とまぁ放っておくとまだ続きそうな会話を止めたのは、極めて冷静ななのはだった。

「シグナムさん。そういう話は後回しで、とりあえずアレを黙らせましょう」

なのはが言いながら指を差した先では……先ほど寄りも激しく暴れているジュエルシードがあった。どうやら、機嫌を損ねてしまったらしい。

「ふむ、加減の必要は……無いらしいな」

「当然。往きますよ」

シグナムが天鎖斬月を前に構える。溢れるのは、単純な斬撃と呼べるもの。

なのはが翼を展開する。更に、翼の上段に装備された白い砲門、プラズマブラスターを両肩にシフト、両腰のレールガンも再びはね上げ、ライフルと合わせてチャージを開始する。前方に集束を開始した魔力の塊……それはあっという間に膨れ上がり、なのはの数倍は在ろうかという桜色の球体を作り出した。

準備は出来た。ならば、後はやるだけだ。シグナムが天鎖斬月を振り上げ――おもいっきり振り下ろす。放つは、斬撃そのもの。
なのはがライフルのトリガーを引き――圧倒的な魔力の塊を解放した。

「月牙――天衝ッ!!」

「ディバインバスター・ハイパーバーストモードッ!!!」
『解放』

砲撃と斬撃……その二つが放たれる。それを見たフェイトの頭に過った言葉は……圧倒的という文字だけ。

暴走した竜巻と衝突した二つの“力”は、一瞬鬩ぎ合いになり――とてつもない衝撃と共に大爆発を起こした。

「……あ」

衝撃で思わず目を閉じていたフェイトが、目を開けた時に見えたのは静けさを取り戻した海と……六個の青い宝石、ジュエルシードが浮かんでいる光景だった。

「な、何て出鱈目な……」

「そお? 単純に“力”をぶつけただけ。まったく、我ながら芸が無いよ。さて、と」

ユーノの呟きにも、何ともない風に応えるなのはがいつの間にか手に持っていた六枚のカードを一気に投げた。

それは寸分の狂いもなくジュエルシードに刺さり、吸い込み封印が完了した。普通なら、カードはなのはの手元に戻るのだろうが、今回はそうすると明らかにフェイトと敵対しそうなのでその場に止める。

漸くゆっくり話が出来る……そう考えたなのはだったが、すぐにその思考を切り捨てた。

――空を切り裂き、巨大な雷撃が海に直撃したからだ。素早く動いたのは、近くにいたユーノを抱えたシグナムとなのはだ。離脱して回避行動を取る。

「わぁっ!?」

「なのは、これはっ!?」

「次元干渉……多分、牽制目的ですね」

なのはの予測は、やはり正確だった。2射目の雷撃が海に直撃した瞬間、アルフがジュエルシードを回収する為に動いた。まずは三個のジュエルシードを手に取る――しかし、そこまでだった。

残りの三つのジュエルシードは少し離れた場所に在るが……その近くに執務官のクロノが転移してきた。

力尽きたフェイトを抱えながら、執務官を相手取り残りのジュエルシードを回収する……分が悪すぎる賭け。そんな事を実行するほど、アルフは自惚れてはいない。

直ぐ様魔力弾を作り出し、海上に向かっておもいっきり叩きつける。執務官が制止を掛けているが、知った事では無いアルフは、水しぶきに隠れて撤退した。

「あらら、今さら出てきて横取りですか?」

「なっ!?」

追跡が不可能と判断したクロノは、仕方なくジュエルシードを回収しようとしたが、残ったジュエルシードはなのはの手元に戻ってしまう。

これには、クロノも杖を向けてなのはを睨み付けてしまう。

「君は――」

「何をしたのか分かっているのか、でしょ? まったく、ひねりが無いねー」

「だ、だから――」

「ああ、私は君みたいな子(ミジンコ)には微塵も興味がないの。とっととハラオウン艦長の所に案内してくれない?」

まさに反論を許さない。そんな具合になのはは言葉を紡いでいく。何かさりげなく、えげつない言葉が混ざっていた気がするが……気のせいでは無いだろう。

何か、心が折れそうになるクロノだった。というか、もう折れているのではないだろうか?

「アイツ……あの執務官のこと、嫌いだろ?」

「だ、断言しますか……まぁ、確かにそうかもしれませんけど」

何か、段々とクロノが可哀想になって来たシグナムとユーノだった。
さて、これだけやれば出てくるだろう、となのはが思った瞬間、崩れ落ちているクロノの隣にモニターが現れ、アースラ艦長であるリンディ・ハラオウンが顔を出す。本当に、なのはは未来でも読めるのだろうか……。

「お久しぶりです、ハラオウン提督。優秀そうな息子さんをお持ちのようで」

「……お久しぶり高町さん。いきなり皮肉をありがとうございます」

「いえいえ、本心ですから。さて――私が先ほど受けた依頼について説明したいことがあるので……通してくれますよね?」

「え、えぇ。もちろん」

リンディは今切実に思った……誰か胃薬をください、と。

時を同じくして、アルフが時の庭園を訪れているとき、一人の人物が海鳴に降り立った。

若い黒髪の青年のようだが、どうやらここに来たことがあるらしく懐かしそうに辺りを見回す。が、何かに気付いたのか表情を変えた。


「……何処かのバカが随分と暴れたらしいな。止めたのは……成程な、裏月が天鎖斬月を渡した人間と、なのはか。ならば、彼方が動くまで散歩でもするか」

――動く。歪んだ物語が、刀に選ばれし人物が、幻想(ねがい)の宝石が。

烈火の騎士――シグナムが。

運命を背負う者――ヒナギクが。

天才と呼ばれし青年――裏月が。

出来損ないの魔法使い――なのはが。

白河家の当主にして最強の増援――斬月が。

それぞれの想いが交差し、始まりは終わりへと誘われる。

さぁ……歪んだ物語の終演を――始めよう。
スポンサーサイト
  1. 2012/03/21(水) 14:59:07|
  2. 烈火の翼
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第9話・前編 | ホーム | 魔法少女リリカルなのは 烈火の翼 第8話・前編>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://freedomzer.blog.fc2.com/tb.php/11-47794608
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。