サクライロノセカイ/リリカルなのはなお話

えびえもん兼いかじゅんのブログです。リリカルなのはの二次創作などを書いています。

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魔法少女リリカルなのは 烈火の魔法使いの出逢いの物語 D.C.(ダ・カーポ)クロス編『魔法使いの交差』

しんしんと桜が舞っている。


狂ったように舞っている。


驚くほどゆったりと。


音もなく。


天使の羽のような花びらの散りざまは、まるで永遠を思わせる一瞬―――


……ふわり、桜が舞い散る。ふわり、少女が舞い降りる。少女を守る様に舞っていた桜が、ひらりひらりと地面に落ちる。それすらも、芸術的な迄に美しい。

ゆっくりと、金髪の少女が立ち上がり辺りを見回す。周りにある木の全てが桜で、少女の目の前には枯れる事の無い巨大な“枯れない桜の木”……恐らく、これがこの島の全ての桜の中心。その証拠に、この桜に不思議な力が集まっているのが、少女には解る。

小さな手を翳し、少女が桜の木に触れる。その瞬間、少女の表情が何処か厳しい物へと変わった。一度、ため息を吐いてその表情を消し去り、枯れない桜に背を向けて少女は――『桜の魔法使い』は歩き出した。

これは、魔法使いが入り込み歪んだ、美しい旋律を奏で続ける――『ダ・カーポ』の様な物語。

(……なんか、変に目立ってるなぁ)

桜の魔法使い、その名の通りの少女――さくらが、年がら年中桜が咲き乱れる島『初音島』の商店街を歩きながら、視線だけで辺りを見回す。目立っている、とにかく目立っている。

あらゆる人間……店などを経営している人などから、集中的な視線にさらされていた。が、改めて自分の姿を確認して理解した。さくらの容姿は、金髪のツーサイドアップに身長は140㎝ジャスト。今が真っ昼間である事を考慮すると――はい、アウト。完全に小学生と間違われているのだろう。

若干、困った様に渇いた笑みを浮かべ、さくらは駆け足気味に商店街を後にした

(一応、背丈とかだけでも年相応の方がよかったかなぁ……)

狂ったように降り積もる桜を踏み締め歩きながら、うーんとそう考えるさくら。とはいえ、長年過ごしたこの姿を変えるというのは、今からでは自分ですら違和感があるし、妹とにも頼むから突然変えないでください、と言われてしまったことがある。

(でも見知らぬ土地だし……あ)

ふと少女が顔を上げたのは名案が思いついたからではなく、桜並木を越え目的の場所が見えたからだ。
見上げる先は、一つの学園。

『初音島』。それが、一年中桜が咲いているこの島の名前。そして、さくらが街並みを見ながら遠回りしてたどり着いたのは、目の前にそびえる『風見学園』。改装されていると言えど、何十年も存在している大きな学園だ。

が、彼女の目的はこの学園そのもの、ではない。彼女がここに来た目的は、この学園の中にいる、魔法使いの存在だった。

(いる……大きな力を持つ、魔法使いが)

いること自体に、全く問題はない。あの枯れない桜の力を調べた時点で、少なからず魔法使いがいることは解っていたし、これだけ力の強い魔法使いなら枯れない桜の存在を知らない訳がない。

ということは、あの枯れない桜の力を知っている……知っていて、何かしらの事情で管理、もしくは放置している可能性がある。害がないと見ているのか、それとも制御できると考えているのか。

どちらにしろ、それはさくらの管轄ではない。管轄も何もないのだが、さくらがこの地に来たのは枯れない桜そのものではない。

――かつて“あの人”が討滅した筈の存在が、枯れない桜に潜んでいるかもしれない。という可能性を知り、この地に来たのだ。

「……もう一回、調べて見ようかな」

小さく、そう呟くさくらの眼界には、下校を始めた学園の生徒達の姿。これ以上ここにいては、自分の姿では目立つだろうとさくらは背を向けて歩き出した。

――その後ろ、離れた場所から追い掛けてくる一人の学生に“何故か”気付かないまま……。

何度見ても、狂ったように咲き誇る巨大なこの『枯れない桜』は変わらない。あらゆる人間の想いを受け、叶える枯れない桜。魔法を知らない人にとっては噂でしかないが、その力を知る人にとっては噂では済まされない。

――その性質を利用する人物に、とってもだ。

だが、魔法使いの中でも高い能力……というより、叶う者はいないとされるさくらにも、この中に潜む存在だけを取り除く、というのは些か難しい。中の核になる存在に引っ付いているので、下手に取り除こうとすれば、枯れない桜自体がどうなるか分からない。

「さくらさん!!」

さてどうした物か……と考えていたさくらを後ろから呼ぶ声。

その声に、さくらが驚いたことは二つだ。一つは、突然この地に知り合いなどいない筈の自分の名前を、何故か呼ばれたこと。もう一つは――この距離まで接近されて、自分が気付かなかったこと、だ。
一般の人間なら、少女が気付かない訳がないのだ。だが、さくらが驚き振り向いた先にいたのは、優しげな顔付きの学生だった。

どこも先ほど下校していた学生達とは違わない……いや、一つ致命的な違和感があった。

――この『枯れない桜』から発せられる独特の雰囲気が、桜より小さいながら青年からも感じられる。
だから、さくらは気が付かなかった。目の前の枯れない桜の独特の雰囲気に紛れ、彼が接近していたことに。

まぁさくらが訝しそうに見つめる青年に、そんな自覚はないのだろうが。彼も、さくらとは違う意味で戸惑っていた。

友人と下校する途中、家族とも言える人がどこかへ行くのを見かけ、追い掛けたところ何故かこの桜の下にいたのだ。そして桜の目の前に立つ彼女の名前を呼んだのだが……反応はしてくれたが、何やら様子がおかしい。

しかし、それは当然と言える。彼の知る『芳乃さくら』と目の前にいる『芳乃さくら』は……違う人物なのだから。だがこれで、長い年月をかけた運命は重なる。重なり、歯車は動き出す。

なぜここにいるのか、当たり前だが違う人物だとは知る由もない青年はもう一度声を出そうとして――一瞬だけ、枯れない桜から黒い影が飛び出すのを見た。

「……え?」

が、彼が認知できていたのはそれだけだった。気付いた瞬間には、さくらが彼の目の前にいて――“黒い影”が、見えない光に弾き飛ばされていた。

そんなテレビのアニメの様な常識外れの現象は、まだまだ続く。弾かれた黒い影は人型に形を成し、だが腕は鋭い剣の様に尖っているという、常識外れなものが彼の目
の前で、確かに起こっていた。

「さ、さくら……さん?」

「ボクは確かに“さくら”っていう名前だけど、君の知ってる“さくらさん”じゃないと思う。それと、ここで起こってることは残念ながら夢でも冗談でもなく現実だからね」

……試しにいつの間にか目の前いた彼女の名前を呼んだら、余計に頭がこんがらがった上に夢や幻を見ている、というのも否定されてしまった。

一方、混乱の最中にいる青年を護る様に立つさくらは、持ち前の洞察力と理解力で、なぜ後ろの青年が狙われたかをおおよそ推理できていた。

そして、どこからか取り出した刀を手に――数年ぶりに再会した、全くもって会いたくもなかった黒い影に話し掛けた。

「……てっきり“あの人”に完全に討滅されたと思ってたけど、こんな場所を見つけるなんて。悪運が強いんだねぇ」

『貴様……あの忌々しい氷の小僧の後ろにいた、あの時の小娘か!!』

覚えられていて面倒なような、説明が省けて楽なような……それはともかく、さくらの皮肉に何かを通した様に低い声で影が答えた。

「貴方からすればボクは小娘だけど、ボクからすれば貴方は諦めの悪いただの老害だよ」

『ふん……あの小僧はいないらしいな』

「さぁ? あの人は時間にルーズだからね。どこにいるか何てボクは知らないよ」

そもそも、再会するならこんな奴ではなくあの人がよかったのだが、と心の中だけでさくらはぼやいた。

だが、黒い影はそうではなかったのか……さくらの言葉を聞き、声高々に笑い言う。

『ならば――好都合だ!!』

瞬間、凄まじい速度で黒い影の両腕が伸び、鋭い刃がさくら……いや、正確には状況を把握できず動けない――下手に動かれるよりずっとマシだが――青年に向かって迫り、

「何が好都合かは知らないけど――ボクも好都合だよ」

刹那のうちに、刃の部分が一瞬で斬り落とされた。斬り落とした部分が消滅するのを待たず、さくらは黒い影に向かい疾走する。

さくらが刃を振るう……しかしその時には、伸びた部分を切り離した黒い影が刃を再生させ、片方で刃を受け止め反撃――しかし、さくらは刃の軌道をあっさりと読み取り、逆に影の片腕をいとも簡単に斬り落とした。

低いうめき声を上げ下がる黒い影に、さくらは冷ややかな視線を向けて問い掛けた。

「それで……何が好都合なの?」

極めて冷静に、だが相手からすればバカにされた様に聞こえる問い掛けに……黒い影は、妖しく変わらず低い声で笑い、そして叫んだ。

『フフフ――こういうことだっ!!』

「うわ!!?」

驚き叫ぶ声は、さくらの後ろから……つまり状況を把握できていない――出来る筈もない――青年の物だった。

そうだ、影の狙いはあくまで青年。さくらの存在など、最初から眼中にないのだろう。地面から突き出たのは、黒い影と同じ無数の鋭い刃。それは四方八方から青年に迫り、逃げ道を無くし確実に仕留めるだろう。

事実、彼は身を屈めることしかできない。影の刃は本体の狙い通り青年へと迫り、彼はグッと目をつぶり――刹那、先程と同じ様に黒い影は残らず弾け飛んだ。そう、先程さくらが彼の前に立った時と同じ様に、だ。

なに、と驚愕に声を上げる黒い影に……戦力を見誤ったツケが、そのまま返ってきた。

「バカだね。狙われてるって分かり切ってる子に、何にもしないでボクが放っておくとでも思った?」

言葉を聞いた時には、後ろから強烈な“冷気”を黒い影が漸く感じ取り――もう片方の腕が、片から斬り裂かれていた。

『貴様……!!』

「咲け、竜霰架・斬(りゅうせんか・ざん)」

さくらが刀で斬り裂いた、その傷元から華が咲く様に黒い影が凍結して行き――

『くそっ……!!』

――氷結しきる直前に、突如消え失せた。倒した、訳ではない。今のは恐らく、本体の意思を持った分身体の様な物だったのだろう。

「やっ……た?」

「それも残念ながら、だね。倒してないよ」

言いながら、さくらは刀をいつの間にかあった背中の鞘に納めて、尻餅をついて呆然としている青年に駆け寄った。

「大丈夫? ごめんね、巻き込んじゃって……」

「い、いえ。あの……今のって一体……」

未だに呆然と――しない方がおかしい――している青年の問い掛けに、彼女はさてどうした物かと思考した。

一般人を巻き込みたくはない……とはいえ、自覚があるにしろ無いにしろ悪いが彼は一般人の枠組みではないだろう。それに、彼の言った『芳乃さくら』という人物も気になる。

悪戯好きの魔法使いからの情報で訪れたこの土地に、自分と同姓同名、しかも瓜二つの人物がいる。これを偶然と切って捨てることなど、当たり前だが出来ないだろう。
特に、目の前の謎は解き明かさないと気がすまない魔法使い、芳乃さくらにとっては……。

――解き明かして見せようじゃないか。と勝手に(?)俄然やる気になってしまったさくら。これを彼女の妹が見たら、また始まったとため息を吐くことだろう。これも本人に自覚なく、しっかり妹に受け継がれてしまうのだが、それはまた別の話だ。

「ま、ここまで来たら説明しない訳にはいかないか。キミ、名前は?」

「あ……さ、桜内(さくらい)。桜内 義之(よしゆき)です」

「桜内義之くん……か。良い名前だね」

気に入ったよ、とさくらは言いながら金色の髪を掻き上げ、そして――桜が舞い散るこの場所で、運命は交錯する。遥かな、時を超えて。

「それじゃあ、改めて自己紹介。初めまして、ボクは『桜の魔法使い』――芳乃さくら。よろしくね、桜内義之くん」

――ヒラリ、ハラリ、桜が舞い散り、物語は加速する―― 続きを読む
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  1. 2013/01/15(火) 04:31:33|
  2. 烈火の魔法使いの出逢いの物語
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烈火の翼・裏設定その一


さくら「はろはろ~。いきなりですが裏設定を公表しちゃいますなのでござる!! 作者が地の文書くの怠いからテロップで司会進行を務めさせていただきます、さくらことらぶりーちぇりーふぇありーと!!」

無自覚な魔法使い「烈火の魔法使いこと芳乃シグナム……おい待て、さっさとテロップを元(?)に戻せバカ者!!」

怒鳴られて、渋々テロップを元に戻すどこかで見たことのある栗色の髪の女性の二人組スタッフ……

烈火の魔法使い「まったく……誰が無自覚だ、誰が!!」

らぶりーちぇりーふぇありー「ここには君しかいないんだけどなぁ……それはともかく、このコーナーでは『魔法少女リリカルなのは 烈火の翼』に関する裏設定を暴露しちゃいます!! さっそく題材をドーン!!」

なかなかノリノリな桜の魔法使い。カラカラと運ばれてきたホワイトボードに描かれていたのは……凄く上手い紅 刹那とジャンヌ・ダルクの絵。

らぶりーちぇりーふぇありー「今日はこの二人の容姿に関することについて明かしてみます!!」

烈火の魔法使い「というと?」

らぶりーちぇりーふぇありー「この子達の女性的な容姿ってね、実は『時空の翼』と『創造主(クリエイター)』の能力に関係してるんだ」

烈火の魔法使い「あの二人が持つ、極めて特殊な力ですよね。それがなぜ?」

らぶりーちぇりーふぇありー「この二つの力はね、女性的であった方が扱いやすいんだー。だから、この二つの力が勝手に二人の容姿とかを女性的に育つようにしたのさ」

らぶりーちぇりーふぇありー、ペシペシと棒でホワイトボードを叩きながら話を続ける

らぶりーちぇりーふぇありー「でもね、この二つの力も結構人間的な考え方でね。容姿を女性的にすれば扱いやすくなると思ってるからそうしたんだけど、二人はそんなことしなくても扱えてるんだよねー」

烈火の魔法使い「ちなみにこれは、あいつら二人の性格にも関係が?」

らぶりーちぇりーふぇありー「んー、あると言えばあるね。刹那くんの場合、一般的なイメージの才色兼備な性格。だけど、こっちはあんまり左右されなかったみたいだね。刹那くんの口癖が『かったるい』だったり、ジャンヌくんはほとんど彼自身の性格みたいだし。まぁでも――」

烈火の魔法使い「でも?」

らぶりーちぇりーふぇありー「二人とも、いろいろ理由ついてるけど、この二つの力がなくても何にも変わらないんじゃないかな~。結局もとの二人は根本的には変わらないし、容姿だって力がなくても今と同じになると思うよー」

なんだかんだ語った上での天才のあっけない答えに、スタッフ総出でずっこけた。

結局、力があろうとなかろうと育つ道は同じで。環境しだいということらしい。

烈火の魔法使い「さて、今日はここまでだ。楽しんでいただけたか?」

らぶりーちぇりーふぇありー「それじゃあ次があればまた次回!! See you♪」












────────────────────

……え? 男の娘に育った裏設定ですけど何か?(笑)

いやまぁ、かなり前に設定してたやつなんですけど、絶対本編じゃ使わないだろうと寝る前の暇潰しにしてみましたww

結局、最後にさくらが言ったように、あんまり関係ないんですけどね

翼と創造主がなくとも容姿とか性格は変わりません。言うて変わるのは髪の毛とかの伸びる早さくらいww(これも女性的に見えるから、ですww)

まぁ暇潰し程度ですけど、機会があればまた裏設定公開するかもです。あ、コメントとか待ってます(笑)

いつのまにか拍手とか入ってると、密かに小踊りしてしまういかじゅんでしたww
  1. 2013/01/06(日) 02:59:45|
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正月記念短編小説『運命共同体』

1月1日、元日。世間一般的にはお正月である。子供はお年玉を貰い、大人はいろいろと忙しい日なのである。

そんな中、元日の八神家にて、本来いる筈のない人物がそこでお節料理をせっせせっせと用意していた。金色の髪をなびかせ、なんで私はここにいるんだろうなぁ、なんて表情をしながら、ふと呟いた。

「……かったるいなぁ」

――いつもの、スペックと顔に似合わぬ口癖を。その呟きに反応したのは、彼にいつも付き添う栗色髪の女性……シュテルだった。

「そんな事を言わずに……せっかく誘ってもらったのですから」

「誰も誘って欲しい、なんて頼んでませんよ」

「あの……やっぱり迷惑でした?」

そんな彼の素っ気ない返答に、車椅子に乗ったままおずおずと言う、この家の主、八神はやてだ。その後ろには、彼の――紅 刹那の反応が気に入らないのだろう、やけに不機嫌な少女、ヴォルケンリッターのヴィータもいる。

特に取り繕う訳でもない刹那に変わり、シュテルが車椅子に乗ったはやてに目線を合わせ言う。

「いえいえ、師匠はこんな反応ですが、内心ではとても嬉しいのですよ」

「シュテル、勝手に私の内心を想像しない」

「ふんっ、気に入らないなら帰ればいいだろ!!」

刹那の反応がさらに気に入らなかったのか、思わず叫んだヴィータをはやてが叱り付ける――より早く、サクサクと刹那はリビングの扉へと向かいさっさとドアノブに手を掛けた。

「っ、師匠!!」

「この家の方が出ていけ、と言っているんです。私は帰りますよ」

何も、出ていけと言っている訳ではないのだが……そんな事を知ったことではないとばかりに、彼は扉を開き――瞬間、固まった。

「……お前、なんで帰ろうとしてるんだ?」

「――シュテル?」

名前を呼んでバッと振り向いた刹那に対し、シュテルも流石の反応で素早く目線を逸らした。

刹那の目の前に都合よく現れたのは、桜色の髪をポニーテールに括った不思議な雰囲気を持つ女性。それはそうだ、彼女は『魔法使い』なのだから。

烈火の魔法使い――芳乃シグナム。

「な・ん・で、貴方様がここにいらっしゃるのでしょうか?」

「なぜ不機嫌になる……シュテルに呼ばれたんだ。そのうち姉さんや主達も来る」

シグナムがそう言った瞬間、再び刹那がシュテルを睨むが、やはりシュテルは素早くスルー。そういう所は、実はオリジナルより優秀だったりするシュテルである。

ちなみに、かったるいかったるい言っていた刹那をこの場に連れてきたのもシュテルだったりする。あんまりにも素っ気ない刹那に業を煮やして、なんとか頑張って連れて来たのだ。

――まぁ、彼の過去を考えれば人に素っ気なくなっているのは、仕方のない話なのかもしれないが。だが、そんな彼をあっさりと動かすことが出来るのが、烈火の魔法使い、芳乃シグナムなのである。

「ほら、せっかく誘ってもらったのだから、何か話してから帰っても損はないだろう?」

「まったく、少しだけですよ」

このように、である。シグナムに先ほどのシュテルと同じ言葉を言われ、そさくさと戻って来た刹那にはやてとヴィータは顔を合わせて驚き、はやては思わず刹那に問い掛けた。

「せ、刹那さんって……魔法使いさんに何かあるんですか?」

「何かって言われても……うーん、無理やり私の命を拾った人?」

「無理やりとはなんだ、無理やりとは」

驚くはやてとヴィータに、そういえば大半の人間には説明していなかったなと思い、これも何かの縁だと気紛れに刹那は話し始めた。

「無理やりでしょう、確実に。人が親切に放置しても大丈夫だって言ってるのに、無理やり人のこと止めようとして……」

「人の目の前で勝手に消えようとするからだ。大体、最初に折れたのはお前だろう。文句を言うな」

「そりゃあそうですけど……あんな無茶されたら、折れるしかないでしょう――まぁですから、私はこの人に従うんですよ。この人が無理やり拾った命、責任を取ってもらわなきゃ困ります……だから、私はこの人が奴隷になれと言ったらなるし、何処かへ着いてこいと言ったら着いて行きますよ」

後半からの言葉は、恐らくはやて達に向けた言葉なのだろう。そしてヴィータとはやては、顔を合わせてまったく同じ事を思った。

((……無自覚?))

無自覚、なのだろう。でなければ、こんな平然と恥ずかしいことを言える筈がない。その無自覚が何なのか、とは敢えて言わないが。

そして刹那の言葉を聞いたシグナムは、困ったように笑みを浮かべて彼に問い掛けた。

「お前、それではもう私がいなくなったらどうする気だ」

「私を拾った貴方がいなくなるんです。何処へなりとも消えますよ。私は貴方の物なんですから」

「ならば、その表現は少し違うな。お前と私は――運命共同体だ。お前を助けたことが私の責任になるのなら、安心しろ、しっかりと背負ってお前と同じ運命を見つめてやる」

「……ふーん、物好きな人ですね、本当に」

シグナムの表現は、刹那には若干恥ずかしかったのか微かに顔が赤い。だが、それでもシグナムは平然としていた。

今度はシュテルも交ざり、確信しながら三人は思った。

(無自覚……やね)
(無自覚……だな)
(無自覚……ですね)

――近いのに遠い距離。変に察しがいいのに、鈍感。本当に、本当に摩訶不思議な関係の二人がどうなるかは……誰にも分からない。

ただ、三人は漠然と……上手く行けばいいなぁ、と願うのであった。













────────────────────

ぎ、ギリギリセーフだよねって何度目かのフライング記念短編を上げてみた。

ちなみに、一時間で書いたのでめちゃくちゃ荒削りです(笑)感想等々もお待ちしてますー
  1. 2013/01/01(火) 23:55:27|
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